著者
池田 悠稀 西村 悠貴 キム ヨンキュ 樋口 重和
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.69-74, 2016 (Released:2017-10-31)

The purpose of this study was to reveal the relation between the characteristics of emotional contagion and the mirror system activity. Thirty-one university students participated in this experiment. Emotional vocalizations and video of hand reaching and grasping a cup were presented to the participants. Facial electromyography (EMG) as emotional contagion index was recorded while presenting emotional vocalizations. Mu rhythm desynchronization in electroencephalogram (EEG) as mirror system activity index was recorded while presenting the video. The result shows significant correlation between the activity of facial EMG and desynchronization of mu rhythm, suggesting a person who is likely to be affected with emotional vocalizations also shows high mirror activity.
著者
迎山 和司
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,人工知能によって4コマ漫画を分析し,得られた特徴情報からルールを設定して2コマ漫画を生成した.4コマ漫画は4つのコマで構成され,一つのコマは登場人物・背景・セリフ・オノマトペ・漫符の要素で構成される.興味深い点はコマの形は同じなのにコマをバラバラに分解されても読者は元に戻すことができることだ. これは、コマ同士に関連する何かがあることを意味する.そこで,このような接続ルールを見つけ,選択されたパネルを組み合わせて新しい物語を自律的に生成した実験を行った.分析と試行の結果,セリフと登場人物のルールを発見し,2コマまでは破綻のない物語を生成できた.したがって,基礎的ではあるが,あらゆる漫画を抽象化して共通要素から新しい物語を作るという本手法の有効性は示せたと考える.今後は4コマ漫画にのみならずストーリー漫画でも要素を抽出して同様の手法で試したい.
著者
五十嵐 裕子 イガラシ ユウコ Yuko Igarashi
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.46, pp.45-68, 2012-02

日本の折り紙のはじまりは神事や贈答儀礼に用いられる「儀礼折り紙」であった。江戸時代になると、折り紙は礼法や決まりから離れ、折り方そのものを楽しむ「遊戯折り紙」がおとなの遊びとして広まった。江戸時代中期には、それまで祖母や母から女子の躾として伝承されていた折り紙が、「子どもの遊び」となり普及していくようになる。一方西欧では、フレーベルが子どもの創造的活動衝動を自由に表現するための「作業具」の1つとして、折り紙を位置づけた。フレーベルの教育理論を導入した日本の幼稚園でも折り紙は保育教材として採用されたが、フレーベルが折り紙に込めた教育的意図は理解されないまま、折り紙はやがて保育教材・教具から放逐されていった。しかし折り紙遊びはその後も現代に至るまで家庭や幼稚園、保育園で子どもたちに親しまれている。折り紙あそびの普遍的魅力を再考し、折り紙の教材的価値や折り紙遊びにおける子どもへの適切な援助に関する研究が望まれる。The purpose of the study is to reassess the changeless appeal of Origami play through examination of its historical correlates. In the Heian era, origami was "courtesy origami" for "Act of God" or exchange of presents courtesy. From the middle of the Edo era, origami had become a popular play among children. In the Meiji era, Froebel's origami was introduced in Japan as one of his occupations for creative activity of children and the origami was taken in as the teaching materials of kindergarten and primary school. But in Japan, origami was intended to develop the process of accuracy and skillfulness of the fingers. Therefore the origami was not utilized positively as the childcare teaching materials. But the origami play is high in popularity in the present age. It is necessary for us to revaluate a meaning of the origami play as the childcare teaching materials.
著者
石原 香絵
出版者
学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻
雑誌
GCAS report = 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報 (ISSN:21868778)
巻号頁・発行日
no.3, pp.4-19, 2014

本論は、日本における映画保存史の中でも、とくにGHQによる占領期に着目し、この時期に法定納入の対象から映画が除外された事実とその背景を明らかにするものである。池田義信(日本映画製作者連盟初代事務局長)は、戦中・戦後の混乱期の資料散逸を悔い、映画フィルムの収集保存先として国立国会図書館(1948年開館)に期待をかけた。国立国会図書館法は文化保存の観点から法定納入を定め、当初は映画もその対象としたが、当時のフィルムの燃えやすく危険な性質や、小売価格の半額程度を支払う「代償金」の負担が重いこと等から、1949年の法改正時にその納入を免除した。その後、小規模ながらフィルム・ライブラリーを有していた東京国立近代美術館(1952年開館)へと映画の収集保存先としての期待が移り、民間による〈映画保存運動〉が1960年に始動するが、ここではこの運動が始まるまでの状況を扱うとともに、映画の法定納入の重要性を改めて検討する。
著者
三橋 浩志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.221-228, 2018 (Released:2018-05-31)
参考文献数
5

大学・大学院で地理学を専攻した者の大半は,会社員,公務員等として就職し,教育・研究職以外の場で活躍している.このような人材が有する地理学へのアイデンティティや「想い」を地理学振興に活かすことは有用である.そこで,大学で地理学を学び,現在は教育・研究現場以外で活躍する「地理系社会人」が,地理学界を支援するためのあり方を,国家公務員有志が行っている二つの活動の経緯,成果,課題等を整理することで,事例分析した.その結果,1)地理系社会人の緩やかなネットワークづくりが基盤となる,2)ネットワークづくりには人材の発掘が肝要である,3)参加者が地理学徒であるというアイデンティティを共有する場づくりが重要である,などの見解を得た.そして,4)情報ネットワーク等の情報発信機能の充実と地理学界における顕彰機能等の意識改革,が今後は必要との示唆が得られた.
著者
三池 克明
出版者
佐久大学信州短期大学部
雑誌
佐久大学信州短期大学部紀要 = Bulletin of Shinshu Junior College, Saku University (ISSN:21880328)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.8-15, 2016

The author study a method to utilize RPG(role playing game)for education. In past study, the liberal arts education was able to find the possibility that could conjugate by the research on consciousness of RPG experts. However, it is not found about the process and the dificulty to improve playing the RPG. Therefore, in this paper, the author report the research on consciousness of the RPG beginner.The author study a method to utilize RPG( role playing game) for education. In past study, the liberal arts education was able to find the possibility that could conjugate by the research on consciousness of RPG experts. However, it is not found about the process and the dificulty to improve playing the RPG. Therefore, in this paper, the author report the research on consciousness of the RPG beginner.
著者
山下 壮起 ヤマシタ ソウキ Yamashita Soki
出版者
基督教研究会
雑誌
基督教研究 (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.39-60, 2014-12

論文(Article)ヒップホップでは反社会的な事柄が歌われる一方で、宗教的な表現が多く見られる。アフリカ系アメリカ人のヒップホップ世代が、政治的に保守化したアフリカ系アメリカ人教会と対峙するなかで救済を教会の外に求め、その結果、ヒップホップが救済について論じる言説空間としての側面を持つようになっていったと考えられる。本論文では、公民権運動以降のアフリカ系アメリカ人教会の変遷を紐解きながら、ヒップホップの宗教的機能の分析を通して、アフリカ系アメリカ人のヒップホップ世代の救済観について考察した。
著者
吉馴 明子
出版者
明治学院大学キリスト教研究所
雑誌
明治学院大学キリスト教研究所紀要 (ISSN:09103082)
巻号頁・発行日
no.48, pp.309-335, 2016-02

【論文/Articles】
著者
富田 隆 工藤 賢三
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.535-539, 2017 (Released:2017-06-01)
参考文献数
8

医療施設や介護施設では,嚥下障害をもつ患者や入所者の誤嚥を防止するため,食事や服薬の際にとろみ調整食品が繁用されている.最近,薬剤服用時のとろみ調整食品の使用は,製剤の崩壊や溶出に影響をおよぼすことが分かってきた.本稿は,とろみ調整食品が,速崩壊性錠剤の崩壊,溶出,薬効におよぼす影響について,筆者らの検討事例を提示し,錠剤服用時のとろみ調整食品使用の参考資料として供するものである.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1896年03月09日, 1896-03-09
著者
対馬 かなえ 浅井 健一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_180-1_186, 2013-01-25 (Released:2013-03-05)

本稿ではコンパイラに備わっている型推論器をそのまま使い,型デバッガを作成する手法について述べる.これまでの型デバッガでは型推論器を独自に再実装して型を求めていたが,それらの手法と比較して我々の手法には3つの利点がある.1つ目は型推論結果に不一致が起きないことが保証されることである.従来の型デバッガでは,型デバッガの型推論器とコンパイラの型推論器の間で齟齬が起きる可能性があった.2つ目はそもそも型推論器を再実装する必要がないことである.それによりこれまでに行われていない,構文等が多い言語の型デバッガを容易に作成することが出来る.3つ目はコンパイラの型推論器の更新に依存しないことである.これらの利点を活かし,我々は実際にOCamlを対象とした型デバッガを実装した.本稿では単純型付きラムダ計算とlet多相を対象として提案手法を説明し,実装について述べる.
著者
中山 健夫
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.3, pp.93-100, 2010 (Released:2011-02-19)
参考文献数
45

根拠に基づく医療 (EBM) は, 臨床的エビデンスと, 医療者の専門性と, 患者の価値観の統合により, より良い医療の提供を目指すものである. 「エビデンスをつくる」臨床研究は, 想定されるクエスチョンよって, 適切な疫学的研究デザインは異なる. 「ランダム化比較試験によるエビデンスが無ければEBMは実践できない」「ランダム化比較試験を行わないと臨床研究として認められない」という考えは誤解であり, それぞれの目的に沿った臨床研究の手法を採ること, 「現時点で利用可能な最良のエビデンス」を意思決定に慎重に用いることがEBMの基本である. 診療ガイドラインは, 「特定の臨床状況のもとで, 臨床家と患者の意思決定を支援する目的で, 系統的に作成された文書」と定義される. 診療ガイドラインは, エビデンスを現場に伝える役割を担い, エビデンス・診療ギャップの改善に役立つとともに, 患者と医療者のshared decision makingを進める基点となることが期待される.
著者
曾根 三千彦
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.3, pp.114-120, 2011 (Released:2011-08-03)
参考文献数
43

近年胃食道逆流症 (gastroesophageal reflux disease: GERD) の増加が指摘されている本邦において, 逆流が関与した耳鼻咽喉科領域の疾患—咽喉頭酸逆流症 (Laryngopharyngeal reflux disease: LPRD)—も増加傾向にある. 逆流は咽喉頭に留まらず, 鼻副鼻腔から上咽頭さらには耳管から中耳腔にまで達し, 十二指腸内容液の逆流が関与した症例も認められている. GERDは胃内容物の逆流によって不快な症状や合併症を起こした状態と定義されており, 食道外症候群として喉頭炎・咽頭炎・副鼻腔炎・中耳炎が耳鼻咽喉科領域の疾患に含まれている. 過去の論文の評価から喉頭炎のみがGERDとの関連性を確認され, 他の疾患との関連性については推測段階に留まっており, 咽喉頭炎や自覚症状に対するプロトンポンプ阻害剤の効果も確定はしていない. 日本消化器病学会から発刊されたGERD診療ガイドラインでは, 上記疾患に加えて閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因の一つとしてGERDを挙げている. LPRD患者の生活の質 (QOL) は多方面にわたって低下しており, 局所所見よりも臨床症状と強く相関する傾向がある. GERDと同様にLPRDの治療では, 症状のコントロールとQOLの改善が目標である. そのためには耳鼻咽喉科医の的確な診断と治療が必要であり, LPRDの診療ガイドラインの作成も望まれる.
著者
財津 亘
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.29-41, 2016-01-31 (Released:2017-03-23)
参考文献数
22

本研究は,最近10年間の放火事件を対象に,単一ならびに連続放火犯が述べた動機をテキストマイニングによって分類することを目的とした。研究1では,まず単一放火犯が供述した動機に関する文章(文字列)を対象に名詞を抽出し,放火犯ごとで名詞の出現度数を算出した。これにより作成されたデータセット(253名×67名詞)について,古典的多次元尺度法(重み付きユークリッド距離)による分析を行い,名詞を2次元上に布置した。つづいて,2次元上に布置された名詞の座標データを基に,階層的クラスター分析(Ward法,ユークリッド距離)を実施し,放火動機を分類した。その結果,単一放火に関する7類型が見出された(①怨恨型,②自殺型,③不満の発散型,④犯罪副次型,⑤保険金詐取型,⑥火遊び型,⑦人生悲観型)。続く研究2では,連続放火犯127名の供述における44の名詞を変数として,研究1と同様の分析を行ったところ,連続放火に関する5類型が抽出された(①不満の発散(雑多要因)型:ギャンブルの負けなど,②不満の発散(就業要因)型:仕事や就職活動の失敗など,③火事騒ぎ型,④逆恨み型,⑤犯罪副次型)。加えて,単一放火の中心となる動機が“怨恨”であり,連続放火の動機の中心は“不満の発散”であることを示唆した。