著者
和泉 健太 武内 耕太 寺坂 聖子 中島 寛貴 正意 敦士 小田桐 匡 松永 秀俊
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.H4P3270-H4P3270, 2010

【目的】日常生活において、我々は座る対象を選択することなくかつ安全に座るという一連の手続きを、無意識のうちに行っている。ところが、実際に臨床では能力的に低下を認める高齢者や脳血管障害患者などは、座るという動作が必然的に増加するにも関わらず、着座する際に対象物に対して尻もちをつく(転倒)傾向があるように感じる。この着座に至るまでの手続きには、様々な筋を動員することで身体制御を行っていることから、原因に下肢の筋力低下が疑われ、筋力や動作に伴う重心移動の観点からについて様々な報告がある。しかし、着座の手続きには対象物の高さや座面などの情報を視覚としてとらえる入力プロセスが含まれており、その情報と身体情報とを照合することで正確な運動が行われ、安全な着座動作に至ると推測される。このように入力情報に基づいて脳内処理を行い、動作に変換するプロセスについては十分研究がされていない。<BR>本研究では、上記の背景に基づいて、アイマークレコーダーと三次元動作解析装置を用いて、着座動作における最低限の視覚情報と頸部の動き(体性感覚)による入力情報から、対象物への安全な着座動作、特に高さを決定する機構について検討することにした。<BR><BR>【方法】21~22歳の視覚異常がなく、着座を行う対象物が十分に見える程度の視力を有した健常男子大学生3名(身長:170。2±3。19;平均値±標準偏差)を対象とした。<BR> 対象物は幅16cmのものを使用し、高さは本研究内で高さによる違いを検討するため、20cm、40cm、60cmの3種類の高さが設定できる昇降台を使用した。<BR> 被験者は、対象物に向かって、両肩関節90度外転位で閉眼している状態で、約1m先に対象物を配置した。被験者は合図とともに閉眼した状態で基本的立位をとり、対象物に対して向きなおった後、対象物に向かって左足を踏み出した際に験者によって「A(着座する)」または「B(着座しない)」の指示が与えられた。被験者は指示の入力と同時に開眼し、対象物手前で回転した後、指示に則した動作を行う試行とした。対象物の高さについては不規則に提示されるものとした。<BR> その他、被験者に対する注意としては、尻もちをつかないように着座すること、カメラの間から対象物を注視すること、できるだけ早い動作で行うことを指示した。<BR> 運動反応中の身体運動は、三次元動作解析装置(MAC 3D System、nac IMAGE TECHNOLOGY社製)を用い計測され、眼球運動については、アイマークレコーダー(EMR-8、nac IMAGE TECHNOLOGY社製)を用い、瞳孔/角膜反射法によって計測された。また、得られた視線データは同時にVTRに記録され、対象物への注視時間を計測した。高さごとに視線データを計測し、高さによる傾向を分析した。統計処理は二元配置分散分析、T検定を用いて多重比較を行った。統計学的有意水準を5%未満とした。<BR><BR>【説明と同意】被験者には、本研究の目的、方法、安全性、個人情報の保護等についての十分な説明を行い、裸眼での実験への参加について同意を得た。<BR><BR>【結果】頸部屈曲角度は、着座なし条件で対象物が低いほど小さくなる傾向を示し、着座あり条件では対象物が低いほど大きくなる傾向を示した。注視時間は、着座なし条件では高さによる影響を受けなかったが、着座あり条件では対象物が低いほど注視時間が短縮する傾向をみとめた。このうち対象物の高さが20cmと60cmの間で、着座あり条件における注視時間に有意差を認めた(p<0.05)。<BR><BR>【考察】着座なし条件においては対象物が高くなるにつれて注視する座面の位置が高くなり、それに対応して頸部屈曲角度は小さくなるが、着座条件が付随しないために運動変換の必要がなく、視覚による情報を重要としなかったため、時間に変化が認められなかったと考えられる。着座あり条件においては、方向転換後にアクションを起こさなければならず、脳内での運動変換プロセスの負担は対象物が低くなるにつれて大きくなるために着座という動作を優先することから、注視時間が有意に短かったのではないかと考える。<BR> 以上より、様々な高さの対象物に対する着座動作には、頸部の屈曲角度より視覚による入力情報が優先され、その量は脳からのアウトプットが正確に遂行できるだけの最低限量で入力されることが示唆された。また、対象物が低くなる(運動量が大きくなる)ほど、脳内処理時間が延長することも推測された。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】今後、本研究を基に脳血管障害患者や高齢者など、対象とする範囲を拡大することで、安全な動作獲得による生活レベルの向上には視覚へのアプローチが重要となることが考えられる。今後も視覚情報と身体運動との関連性に着目し研究していきたい。
著者
菊池 秀之
出版者
旅順工科大学
巻号頁・発行日
1945

博士論文
著者
田川 拓海
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2009

筑波大学博士 (言語学) 学位論文・平成21年3月25日授与 (甲第4882号)
著者
松原 聡
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
1996

日本評論社1991年刊を学位論文として提出したもの
著者
中村 伊知哉
出版者
慶應義塾大学
巻号頁・発行日
2008

博士論文
著者
谷口 博人 井上 美智子 増澤 利光 藤原 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.127-135, 2001-02-01
参考文献数
6
被引用文献数
10

本論文では, 移動端末だけからなる分散移動システムであるアドホックネットワーク上でのクラスタ構成法を考察する.クラスタ構成法とは, ネットワーク上の全ノードをクラスタヘッドとそれと直接通信可能なノードであるクラスタメンバからなるクラスタに分割することである.移動端末は, 計算能力, 通信能力などの点でパフォーマンスが低いため, 移動端末にかかる負荷が小さい手法が望まれる.分散システムの問題として, 端末の移動や, トポロジーの変化に伴うオーバヘッドを考慮しなければならない.更に, 無線チャンネルの帯域幅の空間再利用の観点などから, クラスタ構成をすることによって, 階層構造を構築する利点がある.その際, ネットワークで交換する情報量を少なくするためクラスタヘッドを少なくすることや, 管理情報の受け渡しを少なくするためクラスタヘッドの変更数を少なくすることが望まれる.本論文では, アドホックネットワーク上にクラスタを構成するクラスタ構成法及び, 移動端末の移動などによりトポロジーが変化した場合に対応するクラスタ再構成法を提案する.提案するクラスタ構成法は, トポロジーグラフが密な場合を除き, 従来手法に比べてクラスタ数が少ないこと, また, 提案するクラスタ再構成法は, 従来手法に比べ, クラスタ数が少なく, またクラスタヘッドの変更数が少ないことをシミュレーション実験で示す.
著者
小嶋 敏夫 玉川 英則
出版者
一般社団法人 地理情報システム学会
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.23-33, 2004-07-31 (Released:2009-05-29)
参考文献数
8
被引用文献数
2 4

The present study seeks to provide meanings to distortions in historical maps from Edo Period by using Euclidean regression analysis, which is already theoretically systematized in cognitive map studies of geography. As for meanings or factors of distortions, cognitive and other possibilities are presented. In addition, the present study attempts to construct correction models of historical maps based on characteristics of distortions found in the above-mentioned process of providing meanings to distortions.
著者
清水 英範 堤 盛人 森地 茂
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

(1) 基準点となりうる地物の整理江戸朱引内全域にわたり、古地図と現代図との目視による対照を行い、TINの位相を保持している基準点となる地物300点を整理した。(2) TINを拡張した幾何補正手法の有効性と限界の確認TINとアフィン変換を統合した幾何補正手法を従来の常套手段である多項変換等と比較し、その有効性を確認した。また、TINとアフィン変換を統合した幾何補正手法の限界を例示し、TINと多項変換を統合した幾何補正手法との比較も行った。本研究においては線形街路の多い江戸城下町を対象としていることから、TINとアフィン変換を統合した幾何補正手法を用いている。(3) 古地図分析支援システムに要求される機能の確認都市計画史等の文献を調査することにより、古地図分析支援システムとして要求される機能を確認した。(4) 古地図の土地利用図の作成TINとアフィン変換を統合した幾何補正手法により天保御江戸絵図(1843)を朱引内全域にわたり幾何補正し、大名屋敷や神社・仏閣などの土地利用ごとにポリゴン化した。これにより、現在の文京区に相当する地域の土地利用図の作成を行った。(5) 古地図分析支援システムの有効性の確認幾何補正した古地図の構成要素をベクター化することにより、古地図の定量的分析を支援することが可能となる。さらに、現代のGISデータを用い、当時の空間的状況と地形との関係を分析することが可能となる。(3)において確認したGISの機能を用い、(4)において幾何補正した天保御江戸絵図を対象に、主要街道の縦断線形の分析、標高・地形と土地利用の関係の分析、眺望に関する分析を行い、システムの有効性を確認した。眺望に関する分析においては、CG技術を用い鳥瞰図の作成も行った。
著者
春日 淳一
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.287-298, 2000-12-15

市場経済においては,貨幣を支払えば原則としていつでも誰でも望む商品を手にすることができる(コミュニケーション・メディアとしての貨幣の一般化)。しかし,いったん購入した商品を返品し支払った貨幣を取り戻すことは通常できない。貨幣支払いのこの不可逆性はそれ自体なんら目新しい事実ではないが,本稿では(1)貨幣支払いとその不可逆性を社会システム論の文脈でとらえたうえで, (2)物理学的なイメージをも借りて,支払いの不可逆性が経済システムにおける時間の一方向性と結びついていることを示し,最後に(3)不可逆性の文明論的帰結を述べる。出発点となるのは,ルーマンが経済システムの基本的出来事(システム要素としてのコミュニケーション)とみなした支払い/非支払いという対概念である。ルーマンは支払いと非支払いの対称性を強調するが,両者には意思決定を伴うか否かをめぐって「対称性の破れ」 が見られる。筆者は出来事/反出来事という対概念を用いて非支払いを2種に区別したのち,支払いと同時に生じる反出来事としての非支払いに着目し,それが支払いの不可逆性発生の「現場」となる様子を明らかにする。