著者
藤井 真一 海上 道雄
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.231-237, 1965-07-25
被引用文献数
1

長野県南佐久郡南牧村野辺山の東京教育大学農学部附属八ケ岳演習林で、1961年5月23日に発生した霜害について、地形・気象とカラマツ幼齢木の被害との関係を調査した。1)調査地区の南端部にある矢出川の流れの低地に強い冷気湖が発生している。この冷気が岡囲にあふれ、被害の地域を広めているものと考えられる。2)被害は、カラマツの葉や頂芽および樹皮に現われた。特に樹皮の凍傷痕は、地上20cmほどの下部に多数みられ、これが幹の全周に及ぶときは、幹の枯損を招く原因になることを認めた。3)矢出川低地に近い地域は被害激甚で、樹皮の被害が多く、霜害発生3年後には全く枯死した。その他の地域では被害程度によって生存木もあるが、その後の生長にかなりの悪い影響が現われている。
著者
小野 慶治 柏木 征三郎
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.189-193, 1990-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
20

免疫不全状態にある透析患者のB型肝炎ワクチンに対する不良な抗体産生が従来からの筋注法を皮内接種に変える事によって改善されるのか検討した。HBs抗原・抗体陰性の透析患者35名を三群に分け, 第I群 (14名) には組換えワクチン5μgを隔週に皮内接種し, 第II群 (13名) はワクチン2.5μgを隔週に5回, 続いて毎週皮内に接種した. 第III群の残り8例は10μgを4週毎に三角筋に5回注射し, 続いて5μgを隔週に皮内注射した. これらのワクチンは抗体陽転化まで与えた.第III群での筋肉注射後の抗体産生はきわめて悪く, 16週目でわずか37.5%の抗体陽性率しか得られなかった. しかし, 皮内接種へ変更後抗体陽転率は著しく高くなった. 一方ワクチン5μgが皮内接種された第I群の成績は良く, 更に第II群でも2.5μgの投与間隔を半分に短縮することにより良好な抗体産生が得られた. つまり. 少量のワクチンを皮内に接種する事により対象の透析患者全例で26週 (6か月) 以内に抗体陽転が認められた. これは透析患者に対するB型肝炎ワクチン接種後100%の抗体産生を得た世界最初の報告である.しかし, 最高抗体値は全般に低く予防効果を示す10mIU/mlよりは高いものの, ワクチン接種中止後抗体価の低下してくる例もあり, 今後, 経時的に抗体価を測定しワクチンを再接種する配慮も必要である.
著者
原田 実
出版者
新潮社
雑誌
新潮45
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.68-71, 2014-11
著者
由美 かおる
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, 2013-12-15
著者
山口正之 [ほか] 執筆
出版者
青木書店
巻号頁・発行日
1982
著者
野村 紘一 西 美智子 島田 保昭
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.54-57, 1988

われわれは最近, 6ヵ月齢チンチラ種雄猫において, 耳道対輪部内壁に多発性結節性肥厚を伴う慢性外耳炎の1例に遭遇した. 本症は耳道にカリフラワー様肥厚結節を多数形成するとともに耳奥から多量のチーズ様捏粉状分泌物を排出しており, 外耳口はほんんど閉塞していた. 肥厚結節は, 10数倍に増殖した上皮組織からなり, その表面は, 剥離角化細胞がたまねぎ状の集塊をなして堆積し, いわゆる真珠腫様構造を呈していた.<BR>本症の発生原因の詳細は不明であるが, 低脂肪食の給与とプロブコールの内服によって症状の緩解が見られたので, 高脂血症が疑われた. また, これが慢性外耳炎を契機とする耳腔内の角化亢進に拍車をかけたものと推察される.<BR>本症に関する報告はほとんどなく, きわめてまれな疾病と考えられるが, 人の耳道に発生する真珠腫 (Ohrcholesteatoma) の所見に酷似しているところから, 本症を猫耳道の真珠腫性肥厚症とした.
著者
山崎 晴雄 佃 栄吉 奥村 晃史 衣笠 善博 岡田 篤正 中田 高 堤 浩之 長谷川 修一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.129-142, 1992-12-15
被引用文献数
6

中央構造線(MTL)は西南口本を南北に二分する主要な地質構造線である。この断層は第四紀における日本で最大級の右横ずれ活断層でもある。その活発な活動度にも拘らず, MTLに沿っては歴史地震の発生は知られていない。長期的な地震予知や災害アセスメントに有効な最近の地質時代における断層の運動史を知るため, 1988年の夏中央構造線活断層系の一部である西条市近傍の岡村断層でトレンチ発掘調査を行なった。5つの小トレンチとそれらを繋ぐ細長い溝で構成される調査トレンチでは, 更新世末から歴史時代までの5つの地層ユニットと, それらの顕著な断層変位が認められた。各ユニットの堆積時期は地層中に含まれる有機物試料の^<14>C年代と土器片の考古学的編年によって決定された。断層は2000年前〜4世紀に堆積したIIIb層を切り, 7世紀以降に堆積したIIIc層に覆われるので最終活動時期は4〜7世紀と推定された。この値は1984年に行なわれた同じ断層の発掘調査結果と一致する。また, これ以外の断層活動時期も地層の不整合や変形構造に基づいて識別された。
著者
木村 政司
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.17-21, 2003-07-30

The purpose of scientific illustration is not to create art, but to document science. Previous experience with medical illustration highlights the importance of communication between the scientist and the artist. Communication at this level involves the observers' eyes and mutual trust. Scientific illustration requires the development of both technology and the power of nature inherent in man. The observers' eyes might demonstrate greater influence than the imagination. It is time to make a lasting connection between the observational skills of the artist and of the scientist. The permanent value and lasting significance of scientific illustration occur when the objective observational skills of both disciplines can contribute equally, even if the details to which they are drawn differ.
著者
大庭 一郎
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.184-197, 2002-11-01

日本図書館協会の「専門性の確立と強化を目指す研修事業検討ワーキンググループ」と図書館問題研究会の「職員問題委員会」は,1998年以降,相次いで職務区分表の作成に取り組み,2000年に3点の職務区分表が発表された。本稿の目的は,公共図書館用の職務区分表(2点)を対象として,職務区分表の作成過程と概要,職務区分表における貸出業務の位置づけ,職務区分表の役割を明らかにすることである。その結果,両団体の職務区分表作成への取り組みは評価できるが,専門的職務と非専門的職務の区分について,図書館界としての理論的・実践的な共通理解が十分得られていないこと,が明らかになった。