著者
山本 彩
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.59-82, 2013-06-30

我が国において社会的ひきこもり問題は2000 年ごろから注目されるようになった。厚生労働省研究班はひきこもり支援について,その背景にある要因によってストラテジーが異なるとして,精神障害群,発達障害群,人格の問題群の三つの群への分類を提案した。また,本人が相談機関に行こうとしない場合に,米国でおこなわれている薬物依存患者を受療につなげるプログラムCommunity Reinforcement and Family Training(CRAFT)が参考になるとした。しかし,CRAFT に関する日本語の資料は2012 年時点ではまだ乏しい。本研究では,我が国ではあまり知られていないCRAFT について紹介し,社会的ひきこもりの背景に発達障害がある群を対象にCRAFT を行う場合に留意すべきポイントを,文献からまとめ考察した。
著者
渡辺 洋平
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.39-49, 2011-12-20

ドゥルーズは『差異と反復』(1968)において,「現代哲学の任務は「プラトニスムの転倒」と定義された」と書いた.この言葉は取りも直さず,自らの哲学がプラトニスムを転倒させるものであるという宣言に等しい.そこでドゥルーズが目指したのは,プラトンにとっては排除すべき対象だった「シミュラクル」と呼ばれる存在を復権することであった.しかしこの「転倒」は,より広範な意義を持っているように思われる.本論文では「プラトニスムの転倒」という主題を,シミュラクルから解放することで,より広範な領域へと開くことを試みる.ドゥルーズにとって,プラトニスムとはイデアという超越的な基準により,この世界に善悪を作り出す思想である.「プラトニスムの転倒」とは,こうした超越的な体制から内在的な体制への移行であり,そこでは,道徳とは異なるものとしての倫理的なあり方が目指されることになる.そしてこの移行は,あいだの問題,共同体の問題を通じて,自然との新たな共生へ,さらには世界の新たな形成へと向かっているのである.
著者
岡田 英明 喜連川 優
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.184-187, 1994-03

小特集 機能エレクトロニクス研究センター
著者
高崎 文子
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1834号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2004/1/21 ; 早大学位記番号:新3678
著者
山下 聡子 平山 陽菜 水上 柚香子 永見 聡一朗 佐藤 翔 下山 佳那子 SATO Sho
巻号頁・発行日
2012-11

第14回図書館総合展. パシフィコ横浜, 2012-11-20/22, 掲示番号52.
著者
杉原 太郎
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会誌 (ISSN:13447254)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.115-120, 2012

4回にわたる本シリーズでは、初学者のためのリサーチデザインの導入と位置づけ、工学系研究と社会科学系研究の考え方の違い、定量調査と定性的調査と実験の各々の特徴について解説する。自ら実装したシステムの評価をしたいと考えたり、開発されたシステムを現場に持ち込み人々の営みがどのように変容するかを調査したいと企図したりする場合の、最も基礎となる部分についての原稿である。本稿はその第1回目として、調査と実験の基本的な考え方およびプロセスについて概観する。筆者は、工学系出身でありながら、社会科学の研究に関わることになった経験を有する。その経験を生かし、特に工学系研究者が陥りやすい落とし穴について概説することに重点を置く。内容は、HI2011 およびHI2012 の講習会で説明したものをベースにした。
著者
久本 憲夫 川島 広明
出版者
京都大学大学院経済学研究科
雑誌
京都大学大学院経済学研究科Working Paper
巻号頁・発行日
no.J-68, 2008-05

雇用形態の多様が言われて久しいが、雇用形態を異にする人々の協業についての突っ込んだ研究は多くない。本ワーキングペーパーでは、放送業界、とくにラジオ放送職場における雇用形態の多様化の実態について紹介することを目的としている。日本の民間放送は大阪と愛知で民間のラジオ放送が1951年に開局したことにはじまり、今年で57 年目を迎えている。現在は、AM・FM 放送、地上波テレビ放送、衛星放送・CS放送など様々な放送局が開局し日夜途切れることなく放送を送り届けている。そのなかで、ラジオ放送は人々の生活に密着し日々役立つ情報を提供し続けている。ラジオを聞く多くの人は、「親がラジオを聞いていたから私もラジオを聞くようになった」という。とはいえ、ラジオ離れは進んでおり30 歳代の親を持つ若年層はラジオを聞かなくなってきている。中学生のAMラジオを聞いている比率が2%、高校生に至っては1.5%前後になる。就職希望の大学生40%以上が自社およびラジオの番組を聞いたことがないという1。若者に強いと言われるFM放送も例外ではなく開局当時の聴取者を引き連れて聴取者層が移行しているのみで、新たな聴取者層は十分に獲得できているとは言い切れない。AM放送は、開局時からの聴取者の高年齢化が進む中で、中高齢者に特化した番組を制作してきたために、若年層から30 歳代の聴取者を十分には獲得できていない。そのため、制作経費削減や人員削減の波が押し寄せている。業務委託化の当初は、「現場は非正規労働者に基幹は正規労働者」にと言われた時代もあったが、現状では正規労働者(以下、「正社員」とする)だけでは企業も放送も維持できず、基幹的な仕事においても、それ以外の労働者(以下、「非正社員」とする)2に依存する状態になっている。本稿では、番組の自社制作率68%のある中堅ラジオ局A社を主たる事例として取り上げることにより、正社員と非正社員の業務分担の状況を明らかにしたい。
著者
麥谷 邦夫 吉川 忠夫
出版者
京都大學人文科學研究所
巻号頁・発行日
2003-03-20

周氏冥通記. 4卷
著者
日比野 丈夫
出版者
京都大学東南アジア研究センター
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.72-79, 1964

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
宮﨑 一徳
出版者
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
雑誌
公共政策志林 = Public policy and social governance (ISSN:21875790)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.59-74, 2016-03-24

2015(平成27)年、第189 回通常国会において、「内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律案」(以下、「内閣機能強化法案」と言う。)が閣法第54 号として提出され、審議が行われた。中央省庁改革から十数年で、法による見直しを必要とするほど内閣官房及び内閣府に重要な政策課題が集中し問題が生じていたのである。本稿では、どれだけ内閣官房と内閣府が拡大して来たかを、特に第2 次安倍内閣以降、内閣はどのように内閣官房、内閣府を使っているのかということと、議員立法がどう関係しているのかということに焦点を当てて分かり易く図、表を使って示す。そこには安倍内閣が内閣官房、内閣府の拡大を伴う積極的な取組みを行っている様子とともに、「○○基本法」と称する等(以下「基本法等」という。)の議員立法が大きく関わっているという実態が浮かび上がって来る。特に議員立法に関しては、内閣機能強化法案の審査を通じて、政府からもその関わりについて明確な認識が示されることとなった。官庁の垣根を超えた問題に基本法等で担っていく役割が非常に大きくなっていることが、法案審査に関わった多くの議員、政府の職員、国会のスタッフ等にも認知されたと考える。一方、内閣機能強化法案の審査は、今後の内閣官房、内閣府の拡大への対策のスキームも示すこととなった。基本法等のあり方にも、期限設定等の点で影響を与える。しかし、官庁の垣根を超えた問題の解決の必要性自体を減ずるものではないため、当面の間、大きな変化は生じないのではないかと考える。