著者
木村 哲夫 荘島 宏二郎 永岡 慶三
出版者
新潟青陵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

小規模であってもコンピュータ適応型テスト(CAT:受験者の解答が正解か不正解かによって、次の設問の難易度をコンピュータが調整して出題するテスト)を,複数の教員や学校が協働作業をすることによって、開発し実施できることを示すとともに、その結果を能力記述文と対応付けることを目指した。あわせて、学習管理システム(LMS:コンピュータ上で行われる学習を管理するシステム)で簡単にCATを実施可能にするプログラムの開発を行い公開した。
著者
前野 みち子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、中世において恋愛と奢侈とモラルの結節点となった悪徳の寓意〈ルクスリア〉が、中世的寓意思考に大きな影響を与えた『プシコマキア』の挿絵入り写本を介して文学、教会彫刻、説教などに流れ込み、十二・三世紀の商業都市の興隆を背景に市民への戒めや芸術創造の動機として機能したことを明らかにするとともに、この現象が同時代の恋愛と奢侈を代表していた宮廷文化とどのように関わり、どのようにその関係を変容させていったのかについて考察した。
著者
淺野 敏久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1_18-24, 2008 (Released:2010-06-02)
参考文献数
26
被引用文献数
1

環境問題は客観的な環境の変化だけでは成立しない.現象が社会的に認められて,それが問題状況にあるとの言説が広まり,支持されることで成立する.ある環境変化(将来に予想される変化)を社会問題に仕立てていく原動力の一つに市民・住民運動がある.その発生の仕方や,担い手の社会経済的あるいは文化的属性が異なるので,当然のこととして環境運動の性格は地域によって異なる.結果として,環境運動の訴える環境問題も地域的な特徴を有したものになる.環境運動を研究するには,さまざまなアプローチがあるが,本稿では地域的な視点から環境運動にアプローチすることに焦点をあて,その場合の分析視点について試論を述べる.地域と環境運動の関わりについて,運動への地域性の反映という着目の仕方と,運動の地域への働きかけに着目する仕方があり,それぞれについて,筆者が行った研究をもとに,いかなる論点があるのかを例示的に示してみたい.
著者
秋本 弘章 近 正美
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.2_17-32, 2009 (Released:2010-06-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本稿は,日本地理学会地理教育専門委員会において筆者らが中心となって行っているインタビューから得られた知見をまとめたものである.インタビューでは,大学等で地理学を学び,教育界以外で活躍している社会人を対象とし,地理学および地理教育の意義等を質問した.彼らによれば,地理は,大変魅力的な教科であり学問であるばかりでなく,実社会でも役に立つという.とりわけ,地図活用能力とフィールドワーク力が実社会でも極めて重要であることが指摘された.地理教育の内容に関しては,最低限の地理的知識を身につけさせることを前提としながらも,社会に対する見方・考え方を身につけさせることを期待している.今後は,こうした地理教育への社会的要請を基盤としながら,地理教育の内容や方法について検討していくことが求められる.
著者
松原 彰子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.2_33-38, 2009 (Released:2010-06-02)
参考文献数
8

本稿では,筆者が慶應義塾大学の日吉キャンパスで行っている「地理学」の講義を例にして,大学の教養課程における自然地理学の授業の意義を論じた.地球環境や自然災害の多様な問題を正確に認識するためには,自然現象を空間的かつ時間的にとらえる自然地理学からのアプローチが有効である.したがって,このような立場から,教養課程において自然地理学の授業を展開することには意義があると考える.
著者
岩田 具治 斉藤 和巳 山田 武士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.114, pp.57-62, 2007-06-21

オンラインストアの収益を向上させるためには,顧客生涯価値(LTV)を高めることが重要である.従来のリコメンデーション法はユーザの興味と最も適合する商品を推薦する.しかしながら,従来法により必ずしもLTVが高まるとは限らない.本研究では,LTVが上昇する確率を最大化する新たなリコメンデーション法を提案する.提案法では,まずLTVの高いユーザに特徴的な購買パターンを抽出する.そして,抽出されたパターンと同じような購買行動になるように商品を推薦する.生存時間解析を応用し,ログデータから効率的に購買パターンの抽出を行う.また,効果的なリコメンデーションにするため,最大エントロピーモデルを用いてユーザの嗜好を推定する.LTVが高まることはユーザがサービスに満足した結果であるため,提案法はオンラインストアだけでなく,ユーザにとっても好ましいリコメンデーションである.音楽配信サイトの実ログデータを用い,提案法の有効性を示す.
著者
鱒澤 彰夫
出版者
早稻田大學中國文學會
雑誌
中國文學研究 (ISSN:03850919)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.77-91, 1996-12-20
著者
TAKITA T
出版者
佐賀県有明水産振興センター
雑誌
佐賀県有明水産振興センター研究報告 = Bulletin of Saga Prefectural Ariake Fisheries Research and Development Center (ISSN:09191143)
巻号頁・発行日
no.21, pp.81-98, 2003-07
被引用文献数
3 1

1999年4-9月と2000年4-10月に、六角川河口およびその沖のあんこう網と鹿島市沖の竹羽瀬で、漁獲物組成の経時的・地域的変化を検討した。49科88種の魚類が出現した。河口では、エツ、コイチ、スズキ、ワラスボとシマフグ、河口沖ではヒラ、サッパ、コノシロ、シログチ、ワラスボとアカシタビラメ、竹羽瀬では、サッパ、カタクチイワシ、シログチ、ネズミゴチとメイタガレイが優占した。優占種の多くは稚魚で、この海域が多くの魚種の成育場であることを示した。小型魚が河川感潮域または浅い海域に継続的に添加され、成長した個体から先に沖へ移動すると考えられた。河口域では、漁獲量と漁獲時塩分の相関が有意な魚種があり、河川感潮域に侵入する海水の濃度との関連のもとに上流部あるいは海域へ移動しつつ河口域を利用していることを示した。漁獲量と塩分が無関係な魚種も多く、塩分以外の要素も魚類の分布と移動を規定していると考えられた。環境条件が調査海域に類似の諌早湾奥部は、佐賀海域とともに有明海産魚類の成育を支えていたと考えられ、その消滅が有明海産魚類の再生産に及ぼす影響は大きいと考えられる。
著者
木山 昌彦 今野 弘規 前田 健次 磯 博康 佐藤 眞一
出版者
財団法人大阪府保健医療財団 大阪がん循環器病予防センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、地域住民を対象に、食行動・身体活動・社会心理要因とメタボリックシンドロームおよびその構成因子との関連を明確にし、さらに食行動と社会心理要因との相互作用を確認する疫学研究を実施した。その結果、男性では、朝食欠食が体重増加に関連しており、特に睡眠時間が短いほどその関連が顕著であった。また肥満関連食行動数が多いほど、将来の2 型糖尿病発症リスクが高いことがわかった。ただし、肥満関連食行動が自覚的ストレスによりその後の体重変化に与える影響を分析したが、明確な影響は得られなかった。
著者
小松 郁夫 鄭 廣姫(CHUNG Kwang?hee) 鄭 廣姫 CHUNG K.-H.
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

1.研究の進行・学級経営をめぐる問題の現象を把握するための調査実施。対象:韓国のソウル所在の小学校5年生(17学校)・日本の学校と学級経営に関する幅広い理解を求め、学級経営研究会、関連学会へ参加し、関連資料を収集すると共に、関連研究者との面談の実施。・調査結果の整理と分析、韓日の学級運営の現象に対する比較分析。・報告書の作成2.研究成果韓国で実施した調査結果を整理し、日本の調査結果と比較・分析した結果、次のようなことが分かった。まず、韓国の小学生の場合、日本に比べて「最近イライラすることが多い」(韓国63.1%、日本54.3%)、「疲れていると思う」子どもが多い(韓国75.6%、日本65.1%)ことが分かった。また、学級運営の現状を見ると、韓国の学級運営がより深刻な状態になっていることが調査結果、明らかになった。例えば、「授業中に立ち歩く人がいる」に対して韓国の小学生は41.4%(「とてもそう思う」「少しそう思う」を含む。以下同一)と答えているが、日本では27.2%である。「授業が始まっても教室に入らない人がいる」「授業中におしゃべりをしたり手紙を回す人がいる」に対しても韓国は各々33.2%、60.9%、日本は22.4%、54.1%となっており、韓国の学級運営がより困難な状態になっていることがわかる。「クラスにいじわるな人がいる」では韓国68.5%(とても多い33.3%、やや多い35.2%)で日本の38.4%(とても多い10.3%、やや多い28.1%)よりはるかに上回っており、至急な対策が求められている。しかし、授業などに対する意識面では韓同間に差が多く見えなかった。これは、韓同ともに子どもたちは授業中におしゃべりすることがよくないことや、授業時間を守ることの大事さ、授業中に授業と関係ないことをすることの悪さに対してもきちんと認識していることを意味している。学校生活の面では「学校が楽しい」「授業が楽しい」などの項目では有意味の差は見えなかったが、「みんなが同じことをしていれば安心です」(韓国40%、日本69.6%)、「クラスの友達からどう思われるか気になります」(韓国55.6%、日本72.1%)、では韓日間の差が大きく見られ、注目を引く。友人関係・学級の様子の面では「私のクラスは仲がいいです」(韓国26.2%、日本76.6%)で大きな差が現れ、先の「クラスにいじわる
著者
山下 則子 武井 協三 神作 研一 小林 健二 井田 太郎 浅野 秀剛 延広 真治 加藤 定彦 佐藤 恵里 原 道生 キャンベル ロバート 倉橋 正恵
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

この研究は、日本の近世の文学・芸能・絵画に共通して見られる表現様式を明らかにすることを目的としている。研究成果は、2013年に開催された展示とシンポジウム、それらも含めた研究成果報告書『図説 江戸の「表現」 浮世絵・文学・芸能』(全349頁・2014年3月・八木書店)である。この本は、近世的表現様式を持つ作品の歴史的な背景や、学術的な位置づけなどを論じたものである。これらの解説や論文は、最新の研究を踏まえて、更に新しい発見を加えたものである。
著者
小林 睦子 内藤 和美 高橋 ゆかり
出版者
群馬パース大学
雑誌
群馬パース学園短期大学紀要 (ISSN:13477269)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.53-73, 2003-03-31

To investigate the change of social recognition to the child abuse problem we examined newspaper articles on child abuse written as incidents in our previous report. In this paper, we focused on commentaries which more clearly showed the opinion of writers. Headlines in the Asahi Shimbun from April 1994 to March 2002 were analyzed. The number of commentaries on child abuse were increased after the enforcement of the law of child abuse. The articles on child abuse gradually changed from family cases to social problems. Various gender bias was seen in articles on child abuse.