著者
室岡 瑞恵 桑原 康裕 春山 成子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.138-148, 2012 (Released:2012-03-26)
参考文献数
5

アムール川は主に中国とロシアの国境を流れる国際河川である.中流域では高い頻度で洪水が起こっているが,定期観測データがほとんど無く,洪水の実態は明らかにされてこなかった.本研究ではアムール川中流域のハバロフスクにおける降水量データと流量データを基に洪水の数値解析を行い,現地での聞き取り調査と照合した.さらに,地形分類図を作製した上でJERS-1/SARデータにより湿地図を作製し,遊水地としての機能を多く果たす地形を明らかにした.その結果,月降水量の頻度は指数分布に従っており,5・10・20・50・100年確率降水量を算出することができた.また,降水量と流量の関係はロジスティック曲線に従っており,理論上,降水量96.5mm/月を超えると河川氾濫が始まることがわかった.当該地域の地形は丘陵地,氾濫原,自然堤防,低位及び高位段丘に分類できた.この中で湿地が多く分布するのは氾濫原で,湿地面積と降水量に相関がみられ,遊水地としての機能を大きく果たしていることがわかった.
著者
Masato Kotani Fumihiko Katagiri Tsuyoshi Hirai Jiro Kagawa
出版者
(社)日本内分泌学会
雑誌
Endocrine Journal (ISSN:09188959)
巻号頁・発行日
pp.EJ14-0137, (Released:2014-08-22)
被引用文献数
2 14

The hypothalamic hormone kisspeptin (metastin) regulates human reproduction by modulating gonadotropin-releasing hormone (GnRH) secretion. Kisspeptin is detected in peripheral blood, although GnRH is not. In this study, we measured plasma kisspeptin levels in four male cases with hypogonadism and seven normal male controls using enzyme immunoassay (EIA) to elucidate the clinical implications of kisspeptin levels in male hypogonadism. The results showed a variety of plasma kisspeptin levels: 6.0 fmol/ml in a male with isolated hypogonadotropic hypogonadism (IHH), 43.2 fmol/ml in a male with Kallmann’s syndrome, 40.7 fmol/ml in a male with azoospermia, 323.2 fmol/ml in a male with hypergonadotropic hypogonadism, and 12.3 ± 2.5 fmol/ml (mean ± SD) in seven normal controls. Except for the case with IHH, the plasma kisspetin levels were elevated in the three cases with Kallmann’s syndrome, azoospermia, and hypergonadotropic hypogonadism. The reason why the three cases had high values was their lesions were downstream of the kisspeptin neuron in the hypothalamic-pituitary-gonadal axis, suggesting that elevated kisspeptin levels were implicated in hypothalamic kisspeptin secretion under decreased negative feedback of gonadal steroids. The result that the plasma kisspeptin levels were decreased by gonadotropin therapy in the case with Kallmann’s syndrome supported this hypothesis. In conclusion, to measure plasma kisspeptin levels could be useful for better understanding of male hypogonadism.
著者
鐵拳子
出版者
京都府立医科大学
雑誌
校友会雑誌
巻号頁・発行日
vol.27, pp.48-52, 1902-02-25
著者
長 宗雄 富山 淳
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

位相力学系に対応する作用素環としては通常はC-クロス積が考えられているがその前にもっと密接に関係するBanach-algebraクロス積がある。これらはXが1点のときはそれぞれl^1(Z), C(T)(Zは整数群、Tはトーラス)となり両者の大きな違いは前者には自己共役ではない閉イデヤルが存在することがある。交流理論としてはこの非可換l^1-algebraの構造が大きな研究課題になるべきであるがこれまでこのクロス積の研究は殆どなかった。主要結果の一つは上の差異を踏まえた次の結果である。定理:lの閉イデヤルが全て自己共役になるのは力学系がfree(周期点がない)の時のみに限る。次に、上の二つのalgebraのなかでC(X)と可換な元の全体(C(X)のcommutant)を考えるとこれ等はともに極大可換なBanach-algebraになりそれぞれのnon-zero閉イデヤルとはnon-zeroな共通部分を持つ。この重要な性質はCについては証明されているが、characterの空間の詳細な解析を行い、合わせて上記の二つのmaximal abelian subalgebraへのバナッハ空間としての射影が存在するための必要十分な力学系の条件をもとめた。Semi-hyponormal作用素がconvexoidであるかどうかは、これまで約20年間解決できずにいた。この問題について、Linear and Multilinear Algebraから発表した論文「A remark onnumerical range of semi-hyponormal operators」においてunilateral shift UからT=aU+bUとしS=T^2として作る作用素はすべてconvexoidであることを示した。この結果はこの問題の一つの決定的な結果であり、ほぼ達成できた。次に、バナッハ空間上の作用素について、Polaroid作用素を研究し、この作用素がsingle value extension propertyをもつなら、Weylの定理が成立することを示した。また、quasi-similarな作用素については、Bishoppropertyをもつ作用素であればPolaroid性が同値であることを示した。これらの結果は、Journal of Mathematical Analysis and Applicationsから「Polariod type operators underquasi-affinities」として発表し、作用素論の指導的数学者であるRaul Curto氏から高い評価をいただいた。ヒルベルト空間上の作用素の特性関数の研究においてはp-hyponormal作用素に特性関数を導入し、スペクトルの特長付けを行った。さらにdeterminantの積分表示を得ることができた。この結果はMath. Proc. Royal Irish Academyから「Determinants ofcharacteristic functions of p-hyponormal operators」として発表した。
著者
迎山 和司 川又 康平 小林 真幸 川嶋 稔夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1787-1794, 2014-08-15

プロジェクションマッピング(PJM)とは立体構造物の形に沿って,コンピュータで処理された映像をプロジェクタで投影する表現手法である.近年フェスティバルなどでPJMはさかんに行われており,対象を直接改変しないので歴史的文化財などに有用である.本論文では,函館市内の歴史建造物に対して実施されたPJMを事例としてあげて,これから実施する人が参考にできる事項をまとめた.加えて,集客効果の高いイベントを実施して得られた公立大学の地域貢献についての知見を述べる.
著者
金谷 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.391, pp.73-80, 2003-10-16

先端技術は世界に発信して初めて意味があるが,日本人の国際会議における英語による発表がまずいために国際的に評価されないことがしばしば起こる.研究発表だけでなく,機内,空港,ショッピング,および人との挨拶で日本人の言語挙動がおかしく,外国人から奇異に思われることが多いが,多くの日本人は気がついていない.これを指摘するとともに,日本人が間違えやすい発音やアクセントの要領を示す.
著者
黒田 祐一
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
松江工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:1347037X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.27-34, 2005-02
被引用文献数
1

2 0 0 0 OA 書評・紹介

著者
小出 良幸
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.317-317, 2002-04-25 (Released:2009-11-12)
被引用文献数
1
著者
宮田 彬
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-5, 2005-01-01

ツリフネソウトラガSarbanissa yunnanaの発見を報告した論文(宮田・野崎,1989)で,ノブドウにつく謎の幼虫について言及し,おそらくそれがベニモントラガSarbanissa venuataの幼虫であろうと述べた.その後,長い間調べる機会が無かったが,大分県九重町地蔵原に移って間もなく2003年9月27日再びノブドウにつく幼虫を発見した.前2回の遭遇では幼虫は茎に70頭から100頭の大きな群れを作っていた.しかし今回は1本のノブドウに12-19頭からなる小さな4つの群れが見つかった.群れにはリーダーがおり,敵を威嚇するときはリーダーが頭を上にそらせ体を震動させると,メンバーが一斉に同じ行動を行った.また摂食の際,群れは解散したが,終わると元の葉に戻ってまったく前と同じように並んだ.地蔵原は海抜約830mの高原で涼しいためか低地では二度も失敗した幼虫飼育は順調で,数日でクヌギの朽ち木に潜り込み蛹化した.2004年8月10日から15日にかけてベニモントラガ2♂1♀が羽化した.ツリフネソウトラガもベニモントラガも地蔵原には多いので,両種の成虫の発生期を調べた.その結果,ベニモントラガは年1回8月に出現する一化性の種であるが,ツリフネソウトラガは初夏と夏の年2化であることがはっきりした.
著者
高橋 劭 RUTLEDGE S. KEENAN T.D. 守田 治 中北 英一 木村 龍治 藤吉 康志 深尾 昌一郎
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

本研究は、地球の気候変動に重要なアジア多島域の巨大積乱雲の組織化過程、降水機能についての国際共同プロジェクトに参加、研究を行うことを目的としている。観測は、オーストラリア・ダ-ウィン沖のMelville島で行ったが、この島は平坦で研究には理想的である。ここではモンスーン直前島全体を覆うような大きな雲システムの発達が知られているが、昼過ぎ海陸風の収束域に雲は発達し始め約1時間で雲頂が18kmにも達する雲、Hectorが東西方向に発達する。強い雨と1分間に数百回もの雷をもたらし面白い事に急に雲は南北に並びを変え、ゆっくり西に動く。このHector雲の組織化過程と降水についての研究のためオーストラリア気象局を中心に国際プロジェクトが組織化された。多くの大学・研究所が参加、オーストラリア側ではドップラーレーダ、エ-ロゾンデ、ウインドプロファイラー、ゾンデ観測が行われ、米国もウインドプロファイラーでの観測を行い、我々のグループはビデオゾンデを持って参加した。ビデオゾンデはHector雲内の降水粒子の分布の直接測定を行うもので、このプロジェクトでも大きな比重を持つものである。観測は常にドップラーレーダと緊密な連絡を取りながら行われた。平成7年夏、研究代表者はオーストラリア気象局のJasper氏とMelville島でのSite Surveyを行い、観測地、宿舎、輸送に伴う税関手続きなどについて調査を行った。平成7年10月、約1トンにも及ぶ観測資材を船で輸送、同年11月15日より1ヶ月間、大学院生4名と研究代表者がMelville島での観測を行った。観測は朝7時から夕方まで日曜なしで行われた。内陸の観測地までは宿泊地から車で40分であった。連日35℃を越す暑さで、幸いレンタルの観測室は冷房はあるが、外は蚊やブヨ、ヒルが多い湿地帯であった。気球格納庫を設置、すぐそばに気球飛揚のため水素ボンベを並べた。ヘリウムは高価なためこの予算では購入できなかった。昼過ぎHector雲が発達、真っ黒い雲列が東に現れ、ドンドンという雷の音とともに接近、一旦Hector内に入ると大変である。激しい雨と突風があり雷はすぐ近くに落ち続ける。一度はすぐ10m先に落雷、強電流が地面から流れ、すべての器械を破壊してしまった。日本に連絡を取り、パ-ツを輸送させ修理をしたが、4日間費やした。この激しい雨と雷の中、水素
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.857, pp.54-63, 2007-09-17

人と犬の生活空間を分離しながら、共生可能とすることをテーマにした住宅だ。床材は、人の領域を少し滑りやすい大理石、犬の領域を滑りにくい御影石とした。滑りやすい大理石の場所には、犬があまり入ってこないだろうという期待もあった。また、犬の領域と屋外の床仕上げを共通にすることで、犬が屋内外を自由に歩き回ることができるように配慮している。
著者
野澤 一博
出版者
科学技術・学術政策研究所
巻号頁・発行日
2014-08 (Released:2014-08-14)

本報告書では、全国の高等教育機関(大学、短期大学、高等専門学校)の社会・地域貢献活動に関する組織や、行政との関係、専門人材育成活動、コンサルティング活動などの現状と課題を明らかにした。多くの高等教育機関が社会・地域貢献活動に取り組んでおり、理工学部を含む総合大学が多い国立大学で特に幅広い活動がみられた。体制・運営管理については、各校において比較的整備が進んでいた。教員への活動に対するインセンティブの付与では、国公立大学においては比較的措置が取られているが、私立大学や短期大学ではインセンティブが付与されていない学校が多かった。社会・地域貢献活動に関する課題としては、国立大学では活動が比較的活発であったが、運営実態面では、資金や人員に関して課題とする学校も多く、今後、社会・地域貢献活動を行なうためには人的・予算的なリソースの確保が重要なテーマと言える。社会・地域貢献活動は、学校種別や規模により活動内容に多様性がみられた。社会・地域貢献は、統一的な基準を設けて標準化を図るより、学校の組織特性や地域環境・ニーズに合わせた多様な取組を支援していくことにより、その取組がより活性化すると考えられる。 This study investigates the current status and characteristics of social and regional engagement, including management aspects, relationship with government, continuing professional development and consulting services, of higher education institutions (universities and colleges) in Japan. With regards to social and regional engagement, many institutions have provided a variety of program. Especially national universities, which are often classified as comprehensive universities including sience and technology departments, have a wide range of programs in places that facilitate social and regional engagement. Many of higher education institutions have developed the organizational structure and operational management. While many national and public universities have set up incentivizing measures to encourage professors to engage with the society, many of private universities and junior colleges have yet to develop incentivizing measures. Although many national universities actively have engaged with their society, the procurement of the necessary human resource and financial capital to conduct programs is a critical challenge in the future.There were a wide variety of social and regional engagement programs run by different institutions that differ depending on institution classification, specialization, and size. Instead of standardizing these programs by applying a unified set of rules and guidelines, instituting a diverse system that reflects the unique organizational characteristics of the institution and needs of surrounding society would be more effective in developing social and regional engagement programs. By allowing institutions to devise a system that fits their schools and region, higher education institutions can facilitate more dynamic and active programs for their society and region.
著者
高瀬 保晶 平井 義人 石川 達也 牛木 猛雄
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

金型と同一試料模型の光学式三次元座標入力装置にて得られた三次元点群データとを比較検討した結果,三次元計測では傾斜の大きな軸面部,また鋭角な隅角部の計測精度は劣り,形状計測装置の計測ステップ,また照射,受光素子を配した光学系の配置にも影響を受けていると思われた.ニューロの応用により平滑面での誤差は移動平均に比較してほぼ全体にわたり良好な補正が可能であることが分かったが,ショルダータイプマージンから軸面への立ち上がり部分,'また軸面から咬合面部への移行部分では両者の差は認められず,学習効果による補正効果が認められない症例も多かった.ただし,移動平均法ではどの症例でも丸みを帯びて補正しているのに比較し,誤差は含むものの明瞭なエッジを形成する傾向を示した.H-NeTを用いた曲線補間においても,部分的な精度の向上が認められない場合もあり,パラメータの変更を行い,解析を行う必要性が示唆された.さらに光学読みとり装置,読みとり方法などの改善が必要であると考えられた.
著者
地曳隆将 松崎公紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.15, pp.1-7, 2014-03-10

棋譜を教師データとした評価関数の学習は,特にコンピュータ将棋において有効とされている.本研究では,コンピュータ大貧民を対象として,棋譜を教師データとした提出手役評価関数の学習を行いその性能を評価した.提出手役評価関数には 3 層ニューラルネットワークを用いた.提出手役評価関数の性能を評価するため,棋譜で提出した手役との一致率を調査した.その結果,学習に使用する教師データを増やすことで一致率が上昇したが,教師データ数 15000 程度で一致率が頭打ちになることが確認された.教師データ数 15000 の棋譜評価関数では,未知の盤面に対する提出手役一致率が 69%であった.
著者
森田茂彦 松崎公紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.14, pp.1-5, 2014-03-10

チェスや将棋などにおいて,プレイヤの強さを数値として表すレーティングシステムが広く用いられている.レーティングアルゴリズムとして良く知られるイロレーティングでは,プレイヤ間のレート差と勝敗によってレートの増減が計算される.特に,弱いプレイヤが強いプレイヤに勝つと,レートの増分が大きくなる.本研究では,大貧民を対象としたレーティングアルゴリズムを提案する.大貧民では,プレイヤの強さに加えて,初期手札の良さが勝敗に大きく影響する.そのため,初期手札の良し悪しに差がある場合,従来のレーティングアルゴリズムを用いるとレートの増減が過剰であったり不足することが起こりうる.この問題を解決するため,初期手札の不均等性を考慮に入れたレーティングアルゴリズムを提案し,そのアルゴリズムについて評価を行う.