著者
漆畑 貴久
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.57-79, 2008-04-30

本稿は、交通犯罪対策としての刑事立法の動向を、1946(昭和21)年以降における刑法及び道路交通法の改正を中心として、交通犯罪に対する厳罰化という流れに着目して概観し、その意義について考察することを目的とする。本稿において概観した刑法及び道路交通法の一連の改正に対しては、罰則の強化による犯罪の抑止に対する期待から、それぞれの厳罰化を支持・容認してきた国民の意識が存在したこととともに、その内容において、著しい罰則の強化自体に対する疑問、その効果に対する疑問、そして刑の不均衡という疑問などが指摘できることを明らかにする。このような立法が実現する背景には、犯罪を犯すものと犯さないものとの区分を志向する態度が存在することを示す。そしてこうした考察を通して、国民の意識を的確に把握しそれを反映させ、同時に、刑法の基本原理と刑罰制度の理念との調和に十分な配慮を払うという観点に立った慎重な立法態度が、実効性とバランスとを備えた交通犯罪対策の実現に繋がると考えられることを指摘する。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1912年02月15日, 1912-02-15
著者
山下克明著
出版者
岩田書院
巻号頁・発行日
1996
著者
片倉 賢 ELKHATEEB A.M. ELKHATEEB A.M
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

ヒトや家畜のトリパノソーマ症は発展途上国で蔓延している原虫性疾患であるが、予防・治療薬の開発が進んでいないNeglected Tropical Diseases(NTD、顧みなれない熱帯病)である。申請者らは、安全で安価な治療薬の開発を目的として、薬用植物から天然の抗寄生虫活性物質を含む植物の探索を行った。その結果、ニガキ科の薬用植物であるBrucea javanicaに含まれるクアシノイド類が強力な抗トリパノソーマ原虫(Trypanosoma evansi)活性をもっていること、およびクアシノイドの構造と活性とに相関があることを明らかにしてきた。平成23年度は、クアシノイド類が原虫のどの器官を標的としているかを明らかにするためにbruceine類の安定同位体ラベル誘導体の合成を試みた。すなわち、重水素ラベル無水酢酸を用いて重水素ラベルbruceine Aとbruceine Cのアセチル誘導体を合成した(Elkhateeb et al, 2012)。これをトリパノソーマ原虫に作用させ、安定同位体顕微鏡システムを用いて観察した。その結果、解像度は薬剤のターゲット器官を認識できる程度であったが、蓄積した同位体ラベル化合物の検出にはいたらなかった。安定同位体ラベル誘導体の標識部位がアセチル基のメチル基のみであったことが原因と考えられたため、今後は安定同位体ラベル部位を増やし検出感度をあげることが必要である。
著者
宮崎 麗子 藤代一成 平賀瑠美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.739-742, 2004-03-15
参考文献数
6
被引用文献数
2

MIDI楽曲の編集に使われるシーケンスソフトでは,各エディットウィンドウが独立した状態でしか表示されないため,注目したいパラメータや再生・編集位置を切り替える場合にユーザに負担がかかる.さらに,各ウィンドウは注目部分だけしか表示できないため,楽曲を大局的にとらえることが難しい.そこで本論文では,これらの問題を解決するために,ユーザの認知地図を壊さずに,アニメーション効果によって楽曲の表現レベルをシームレスに切り替えることのできる,3次元MIDIデータ可視化システムcomp-i(Comprehensible MIDI Player-Interactive)を提案する.So-called sequence software systems, which are commonly used to edit MIDI-encoded music, possess two kinds of problems due to interactions with MIDI data through multiple independent windows. In this paper, we address the problems by prototyping a system, called ``comp-i (Comprehensible MIDI Player - Interactive)'', which provides a novel type of 3D virtual space, where the users are allowed to interactively explore the global structures and local features embedded in a time-series of multichannel asynchronous events of MIDI datasets while keeping their cognitive maps.
著者
Duan Lian Hong Young-Joo Yasuno Yoshiaki
出版者
Optical Society of America
雑誌
Optics Express (ISSN:10944087)
巻号頁・発行日
vol.21, no.13, pp.15787-15808, 2013-06
被引用文献数
25

An automated choroidal vessel segmentation and quantification method for high-penetration optical coherence tomography (OCT) was developed for advanced visualization and evaluation of the choroidal vasculature. This method uses scattering OCT volumes for the segmentation of choroidal vessels by using a multi-scale adaptive threshold. The segmented choroidal vessels are then processed by multi-scale morphological analysis to quantify the vessel diameters. The three-dimensional structure and the diameter distribution of the choroidal vasculature were then obtained. The usefulness of the method was then evaluated by analyzing the OCT volumes of normal subjects.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1052, pp.68-72, 2000-07-31

冷房機器がなかった昔、夏の暑さをしのぐのによく打ち水をしたものだ。ただ水を撒くだけなのだが、随分涼しく感じる。これは水が蒸発し気体に変わる時に周囲の熱を奪うという原理が基になっている。 時代は移り、冷房機器が家庭内に普及するにつれて打ち水は見かけなくなった。その冷房機器の代表格、家庭用ルームエアコンも実は打ち水と同じ仕組みで涼しさを生み出す。
著者
梅宮 典子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

気温30℃RH60%の条件に設定した人工気候室において、被験者前方2mの気流吹き出し壁床上1.5mに扇風機を顔面にむけて設置し、夏季の日中に、気候馴化が完了したと思われる時期の19名の大学生を対象に、1回の実験内において扇風機を運転⇔停止して気流条件を変更する実験をおこない、気流が変化する場合の局所発汗速度による発汗反応の変化と主観申告による熱的快適性について考察した。結果として、(1)被験者顔面近傍(前方30cm)における平均気流速度、変動係数は、運転時で0.71m/s,37.1%,停止時で0.043m/s,46.5%,(2)運転時、停止時とも、温冷感はNeutralより暑い側,発汗感は中立より「汗をかいていない」側,(3)停止時には気流が「弱すぎる」一方でその他の気流評価には左右に差がなく,運転時には「つめたい」,「さわやかな」,「涼しくなった」,「快適になった」側にある一方で「強さ」には左右に差がない,(4)室内雰囲気評価は「暑苦しい」以外で扇風機運転を経ることによって改善したが,「暑苦しい」は第二回停止時に最も評価が低くなる,(5)局所発汗速度は全実験を通じて0〜0.20(mg/cm2/分)の範囲にあったが,その経時変化特性は実験あるいは被験者によって異なる,(6)局所発汗量は、同一実験における運転時と停止時のあいだで、r=0.71〜0.96で相関が高い,(7)発汗申告は申告時の発汗速度を必ずしも反映しない,(8)温冷感申告と発汗速度とはほぼ関係がないが、発汗速度が大きい場合には、発汗速度が大きいほど暑い側の申告が得られる,(9)運転時には発汗速度が大きいほど快適側に申告する場合がある,(10)停止時には発汗速度が大きいほど不快側の申告が得られる場合がある,ことが明らかになった。一方,文献調査によって発汗申告評価の歴史的変遷を調べ,(11)温感研究の初期には発汗の主観申告が重視されていたことを確認した。
著者
町田 実
出版者
早稲田商学同攻会
雑誌
早稲田商学=The Waseda commercial review (ISSN:03873404)
巻号頁・発行日
vol.224・225合併号, pp.13-48, 1971-12
著者
山田 紀代美 鈴木 みずえ 佐藤 和佳子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.165-172, 2000-11-01
参考文献数
32
被引用文献数
4

本研究は, 6年間の追跡調査に基づき,在宅の要介護高齢者の介護者の主観的疲労感と生活満足感の変化およびそれらに関連すると考えられる要因を明らかにすることを目的に行った.調査対象者は,静岡市の特別養護老人ホームの在宅サービスの利用介護者で初回調査に参加した82人のうち,追跡調査に回答した53人である.疲労感については蓄積的疲労徴侯調査票を,生活満足感は介護者の生活に対する主観的な満足感を求めた.その結果は以下のとおりであった.1.在宅での介護継続の有無に関して,介護継続者は14人,介護を終了していた元介護者は39人であった.2.介護継続者は,蓄積的疲労徴候調査票の特性の中で,抑うつ感,不安感,一般的疲労感,身体不調は有意(p<0.05)に疲労感が低下していた.しかし,慢性疲労,イライラの状態,気力の減退では変化がみられなかった.元介護者については,蓄積的疲労徴候調査票の7特性のうち,気力の減退を除く6特性で著明な改善が認められた(p<0.01).3.生活満足感については,介護継続者および元介護者のどちらも満足感を感じている者が多く,6年間での変化はみられなかった.4.介護継続者においては,趣味をもつものが,元介護者よりも有意(p<0.05)に多かった.
著者
宇陀 則彦
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.1-4, 2012-09-18

ディスカバリサービスの意義を利用者が理解することは難しい。なぜなら利用者のメンタルモデルとデイスカバリサービスの機能が一致しないからである。しかしながら、ディスカバリサービスの重要な性質である 「広がりと着地」 が適切に実装されれば、理解が進むと思われる。It is difficult for users to understand significance of discovery service because mental model of users and functions are mismatched. However, understanding will deepen, if "reach and touch" those are important features of discovery service will be implemented appropriately.
著者
SUMI Seijiro TAKEUCHI Osamu
出版者
CALICO
雑誌
Design-based research in CALL
巻号頁・発行日
vol.10, pp.157-182, 2013-07

The purposes of this paper are to (a) elaborate on the Cyclic Model of Learning(CML; Takeuchi, 2007), which was formed based on the four phases of the design-based research (DBR) framework (Amiel & Reeves, 2008); (b) to put the model into practice through use of technology in the field of EFL teaching; and (c) to examine how the CML-based teaching practice influences students’English ability and the instructor’s teaching methods. Based on the four phasesof the DBR framework, a qualitative investigation was conducted to identify the problems that impede teachers’ use of technology in EFL teaching (Sumi, 2011). To ameliorate the problems, following the second phase of the DBR framework, the CML was created and applied to a research project. The most distinctive feature of the CML is its integration of in-class practices with students’ out-of-class self-learning with aid of CALL technology. The CML was put into practice and tested on 19 first-year undergraduate students of EFL over the course of one year at a university in Japan. Data were collected, both on- and off-line, in a variety of ways including quizzes, weblog, video recording, questionnaires, and classroom observation. Findings confirmed that CML-based teaching practice contributedto the improvement of both students’ English abilities and the instructor’s teaching methods.