著者
吉田 敬 高村 明 梅田 秀之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究ではr-processやνp-processなど重元素合成に関するネットワークの拡張やニュートリノ駆動風におけるこれら重元素合成の計算を行い,r-processのベータ崩壊率に対する依存性や極超新星のニュートリノ駆動風におけるνp-processについて調べた.しかしニュートリノ自己相互作用については動径方向近似での計算は可能となったが角度依存性の導入や最終的な定式化には至らなかった.そのため今後も研究を継続していきたい.超新星元素合成についてはニュートリノ元素合成で作られるフッ素の銀河化学進化や超巨大質量星を起源とする極超新星における元素合成の特徴を明らかにした.
著者
Muhammad Imran Abdullah Muhammad Ramzan Saeed Ashraf Janjua Muhammad Faizan Nazar Asif Mahmood
出版者
(社)日本化学会
雑誌
Bulletin of the Chemical Society of Japan (ISSN:00092673)
巻号頁・発行日
pp.20130146, (Released:2013-08-31)
被引用文献数
35 7

In the present study, ten metal free dyes for dye-sensitized solar cells (DSSCs) have been designed. These dyes have designed by structural modification of TC4. Density functional theory was used for structure optimization and determination of photo-physical properties. These dyes contain triphenylamine as electron-donor and cyanoacrylic acid as acceptor. Five π-spacers are used to connect the donor and acceptor. Two auxiliary donors are also used to assist the donor. Results of this study indicate that stronger electron-donating auxiliary groups and longer π-conjugation enhance, while electron-withdrawing fluorine at a π-spacer decreases the performance of dyes in DSSC. As compared to auxiliary electron-donors, π-spacers have a strong impact on the performance of the dyes in the DSSCs. Major absorption peaks of all dyes were in the visible region. These absorption peaks are associated with the π-π* transitions of the entire molecule. From calculations it is clear that all dyes will be good photosensitizers in DSSC. The present calculations will provide new ways for experimentalists to synthesize high-performance dyes.
著者
服部 保 岩切 康二 南山 典子 黒木 秀一 黒田 有寿茂
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.47-59, 2010-05-30
参考文献数
23
被引用文献数
2

宮崎神宮には照葉樹等の植林後約100年経過した照葉人工林等が保全されている。植林後の年数が明確な本樹林は各地で形成されている工場緑化林や緑地帯などの照葉人工林における植生遷移の予測や生物多様性保全の可能性および孤立林の維持管理方法などについての課題を明らかにする上でたいへん重要である。本社叢の種組成、種多様性、生活形組成の調査を行い、照葉二次林、照葉自然林、照葉原生林との比較を行った。宮崎神宮の社叢は林齢約100年の照葉人工林と林齢約45年の針葉人工林から構成されており、社叢全体に118種の照葉樹林構成種が生育し、その中には絶滅危惧種も含まれていた。植栽された植物を除くと多くの植物は周辺の樹林や庭園から新入したと考えられた。照葉人工林の種多様化に対して隣接する住宅地庭園の果たす役割が大きい。照葉自然林の孤立林に適用される種数-面積関係の片対数モデル式および両対数モデル式を用いて宮崎神宮の社叢面積に生育すべき種数を求めると、前者が119.0種、後者が158.6種となり、前者と現状の調査結果とがよく一致していた。後者の数値が適正だとすると宮崎神宮に十分な種が定着できないのは、地形の単純さと考えられた。社叢の生活形組成では着生植物、地生シダ植物の欠落や少なさが特徴であった。種多様性(1調査区あたりの照葉樹林構成種の平均種数)をみると宮崎神宮の照葉人工林(20.4種)は照葉原生林(42.9種)、照葉自然林(32.9種)と比較して、非常に少なく、照葉二次林ほどであった。1調査区あたりの生活形組成も照葉二次林と類似していた。宮崎神宮の照葉人工林は林冠の高さやDBHなどについては照葉自然林程度に発達していたが、種多様性、生活形組成では照葉二次林段階と認められた。
著者
藤田 直子 熊谷 洋一 下村 彰男
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.591-596, 2007-03-30
参考文献数
59
被引用文献数
3

The objective of this study is to make clear the difference of spatial conceptions of open spaces of Shinto shrines between "Shasoh" and its synonyms "Chinjyuno-mori" and "Shaji-rin". We approached the sides of qualitative changes and quantitative changes. By both side of research, we could make clear the meanings and their contexts considered with the social background of their words. As a result, we can mention similarities and differences between "Shasoh", "Chinjyuno-mori" and "Shaji-rin". From 1975 onward, the spaces of forest of Shinto shrines were attentioned for study site by various kinds of scientific fields. The spatial conception of "Shasoh" was intended for the space of forests only in Shinto shrines. This word was taken the Shintoism into their consideration. The spatial conception of "Chinjyuno-mori" was intended for image for gods or spiritual spaces "Geniusu Loci" in origin, and then intended for the valuable site for ecological and botanical study as space of native forest. The spatial conception of "Shaji-rin" was used by political stance at first, and then it was intended for the spaces involved in politics of forests and fields. This word wasn't distinguished between the space and image of Shinto shrine and Buddhism temple.
著者
藤田 直子
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.193-251, 2006

本論文は,2006 年に東京大学に提出した学位論文の前半部分であり,後半における現状の実態分析及び評価のための概念整理と位置づけることができる。本研究の立脚点は「緑地」という視点を通して時間的な軸と空間的な軸から社叢空間を捉えようとするところにある。本論文は五章で構成されており,各章は以下の通りに位置づけられる。第1章においては,本研究の背景と目的ならびに位置づけを明らかにした。まず,問題の所在,本研究に反映させる問題意識を述べ,関連する研究の流れや位置づけを通覧し,それぞれの研究のアプローチ及び方法論を整理することによって,本研究の位置づけを試み,その目的及び方法を明らかにした。設定した本研究の目的は,社叢を緑地という視点で評価することの意義と妥当性を明らかにすることとし,具体的には①空間に対する認識の変遷を「自然」との位置づけの関係から分析することで,日本人の自然に対する空間概念形成を明らかにすること②“神社の屋外空間”を指して用いられる「社叢」「鎮守の森」「社寺林」といった類義語を比較して各々の言葉の意味や意義を分析することにより,同一の空間に対して複数の言葉が用いられる原因とその背景にある意図を明らかにし,神社のオープンスペースに対する緑地の空間概念の差異と特徴を明らかにすること③法の成立・運用における「社叢」の概念及び位置づけを明らかにすることにより,“神社の屋外空間”と“社叢”の空間概念を明確にすること以上の3点を研究目的とした。第2章においては,文献資料調査によって自然・神道・社寺など社叢に関連する歴史や事象及び語彙を明らかにし,本研究において『社叢』を対象とする意図を明らかにした。まず,自然に対する神道の空間認識と日本人の自然に対する空間概念との関係を明らかにするために,分析対象記事(該当記事4,159)を文献(該当文献555)から選出し,神道の空間認識における「自然」の位置づけの変遷や日本人の自然に対する空間の認識の関連を言葉の解釈の変遷や西欧との比較を踏まえて分析した。その結果,日本における自然の概念と神道の精神や空間認識は通じるものが多く,自然に対する神道の空間認識が日本人の自然に対する空間概念の形成に関与していたことが明らかになった。第3章においては,“神社の屋外空間”を指して用いられる類義語に対し,語彙自体の使用の変遷を明らかにするための書籍・論文出現頻度に関する分析と語彙が想定する対象を広く収集分析する語彙の概念に関する分析を組み合わせることによって,量的側面と質的側面の双方から実態を明らかにし,神社のオープンスペースに対する緑地の空間概念の差異と特徴を明らかにした。その結果,数値分析処理による包括的な傾向として「社叢」「鎮守」「社寺」と「森」や「林」といった語が組み合わされる傾向が強まったのは1970 年代中盤以降であり,この時期を契機として“神社の屋外空間”を「緑」の空間として認識しようとする見方が形成された事が示唆された。また,「鎮守の森」や「社寺林」が,元々“聖なる場”や“神社や寺院”などの意味をもつ「ある空間」に対して自然や緑地といった概念を加えることで成立してきた空間概念であるのに対し,「社叢」は元来からそれ自体に自然や緑地といった概念を含む空間概念であることが分かった。また,各々の言葉が対象とする空間概念の範囲に関しては,「社叢」が指し示す空間概念には神社境内内森林の生物生息空間,特に植物生態学的側面に着目するという空間概念が強いこと,「鎮守の森」が指し示す空間概念には古来から地霊をまつる聖なる空間やその神に対して用いられてきた語が生態学的研究対象として地域の本来の潜在自然植生が顕在化している場所として着目されたことなどにより,神社の空間のみならず精神的・文化的な拠り所という広範囲な解釈として捉えられている空間概念が強いこと,「社寺林」が指し示す空間概念には明治期の土地政策・林野政策の中での位置付けに対して用いられた歴史を経て,機能面や制度に着目した場合や現物の空間を表現する場合の対象となる空間に対して求められた空間概念が強いことが示された。第4章においては,「社叢」という言葉の意味や使用されてきた意義を明らかにするために,雑誌史蹟名勝天然紀念物における全記事中,社叢・神社・社寺・及び関連記事を選出して分析対象とし,史蹟名勝天然紀念物保存法の成立・運用の過程における社叢というものの位置づけや,社叢という言葉の使われ方の変遷を分析した。その結果,「社叢」が史蹟名勝天然紀念物保存法の要目の筆頭に採用されたのは,単に植物学・生態学上優れた森林としてのみならず,社叢を複合された価値を有する場として保存していく必要があるという意識と,当時巻き起こった神社合祀令への反対とが相まった結果であることが明らかになった。更には,その後時代を経るにつれ「社叢」という言葉に含まれる意味は変化してゆき,それに対する複合的な意味合いは消え忘れられ,次第に原始林に準ずる森林かつ神社に所属するものを「社叢」として指すようになったことが明らかになった。第5章では,第2章から第4章の結果をまとめるとともに本研究の結論を述べた。以上の研究から本論文では,神社の屋外空間に対する空間概念を明確化しその空間を表現するに相応しい語彙が示されたことで,意味的側面から神社の空間を緑地という視点で評価することの意義と妥当性を明らかにした。なお次報においては,都市における社叢の実態を明らかにするために,東京都区部を対象にマクロ・メソ・ミクロの異なる3つの空間スケールを設定し,現地調査と数値情報をもとにGIS を用いて定量的に都市の社叢を分析した研究結果を著すると共に,本研究における結論を述べる。
著者
Fukuda Yoshiharu Nagano Megumi Futatsuka Makoto
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
Journal of occupational health (ISSN:13419145)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.118-122, 1998-04
参考文献数
20

Occupational Leukoderma in Workers Engaged in 4-(p-Hydroxyphenyl)-2-Butanone Manufacturing: Yoshiharu FUKUDA, et al. Department of Public Health, Kumamoto University School of Medicine

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1924年08月07日, 1924-08-07
著者
櫻井 渓太 川村 隆一
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.7-22, 2008-01-31
参考文献数
23
被引用文献数
1

竜巻発生近傍(発生前後2時間以内,半径50km以内)のレーウィンゾンデデータ(55事例)とJRA-25長期再解析データを主に用いて,日本の竜巻発生環境場の実態を統計的に調査し,シビアストーム発生のポテンシャルを示す既存のパラメータについて,その診断基準が日本ではどの程度有効かどうかを考察した.K指数(Ki)と対流抑制(CIN)の頻度分布から,他の大気安定度パラメータに較べて,両パラメータの有効性が高いことがわかった.また,水平風の鉛直シアーに関するパラメータではストームに相対的なヘリシティ(SRH)が有効な指標であることが再確認された.複合パラメータに関しては,対流有効位置エネルギー(CAPE)の有効性が低いために,どの複合パラメータも実用面で問題がある.このため,KiとSRHの積で定義される新しい複合パラメータ(KHI)を提案し,環境場の事例解析により検証を行った結果,米国と比較すると日本では対流圏中層が湿潤で下層の鉛直シアーが大きい,ミニスーパーセルの発生環境場で竜巻被害が起こることが多いと考えられる.KHIのシビアストームの検出率は高いが,上層の寒冷渦に起因する竜巻の事例等では検出が難しいことも示唆された.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1920年02月20日, 1920-02-20
著者
山田美妙 著
出版者
明法堂
巻号頁・発行日
1895-11-25
著者
庄子 晃子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.31-36, 1997-01-31
参考文献数
22
被引用文献数
5

ドイツの建築家ブルーノ・タウト(Bruno Tauto, 1880-1938)は, 1933年11月より翌1934年3月まで, 乞われて我が国の工芸産業の指導機関である商工省工芸指導所の顧問(嘱託)を務めた。タウトは最初の出会いである1933年9月の工芸指導所研究試作品展覧会の視察に基づく提案書の提出を皮切りに, 赴任直後から離任直前まで, 工芸指導所に対して熱心に提案や助言を重ねた。タウトが工芸指導所に提出した文書10編が岩波書店に残る。それらは, Vorsch1age(提案)6編, Berichte(報告)3編, Antwort(返答)1編に整理できる。それらの中でタウトは, 輸出振興を課題として欧米物のスケッチ的模倣的図案に終始している工芸指導所に対し, 伝統と現代の統合, すなわち日本の古来からの伝統(感覚, 形式, 材料, 技術)と西欧の近代精神・技術・生活との結合から, 日本独自の現代産業工芸の典型としての質の高い規範原型を創出して, 国内の工房や工場を指導していくことが工芸指導所の責務であり, 真に日本的なものは世界に通じるとする立場を貫いた。
著者
潟岡 孝昭
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1970, no.2, pp.144-156, 1970-09-30 (Released:2009-09-16)
参考文献数
17
被引用文献数
1

同志社英学校の開校当初の状態については, 既に同志社大学関係者によって詳細に述べ尽され, 現在もなお同志社社史々料編集所において調査されており, 私などの卑見を述べるべき筈のものではありますまいが, たまたまその当時の2・3の史料を見出す機会を得たので, それらを紹介すると共に卑見の一端を述べ諸賢のご指導を仰ぎたい。