著者
佐藤 大貴 三武 裕玄 長谷川 晶一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.386-389, 2015-09-18

意図,感情の表現,コスプレといった自己表現,身体拡張を行う猫の尻尾デバイスを提案する.尻 尾の駆動方法として糸駆動はしなやかな動作で生き物らしさを表現する事が可能であると同時に,軽量な ため装着型のロボットとしても適する.一方で,細長いものを糸駆動しようとすると自重でねじれてしま い,意図した動作ができない問題を持つ.そこで曲がりやすくねじれにくい性質を持つメッシュチューブ を尻尾の芯の綿袋にかぶせて用いる.この機構により,猫のしっぽのように S 字曲線を描く動作が可能な 軽量の装着型ロボットを実現した.
著者
岡本 貴久子 Kikuko OKAMOTO オカモト キクコ
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.9, 2013-03-28

本研究では近代日本において実施された「記念」に樹を植えるという行為、即ち「記念植樹」に関する文化史の一つとして、明治12(1879)年に国賓として来日した米国第18代大統領U.S.グラント、通称グラント将軍による三ヶ所(長崎公園・芝公園・上野公園)の記念植樹式に焦点をあて、それが行われた公園という空間の歴史的変遷を分析することによって、何故そうした儀式的行為が営まれたかという意図とその根底に備わっていると見られる自然観を考察した。 なぜ記念植樹か。実は近代化が推進される当時の日本において記念碑や記念像が相次いで設置されていく傍らで、今日、公私を問わずあらゆる場面において一般的となった記念樹を植えるという行為もまた同様に、時の政府や当時を代表する林学者らによって国家事業の一環として推進されていたという事実があり、加えてこうした儀式的行為を広く一般に浸透させる為に逐一ニュースとして記事にしていた報道機関の存在から、記念に植樹するという行為もまた日本の近代化の一牽引役として働いていたのではないかと推測され得るからである。 本文では1872年のグラント政権が開国後間もない新政府の近代化政策に与えた諸影響を中心に論じたが、例えばこのグラント政権下において米国で初めて国立公園が設定され、Arbor Dayという樹栽日が創設され、且つ同政権下の農政家ホーレス・ケプロンが開拓使顧問として来日、増上寺の開拓使出張所を基点に北海道開拓を指揮するなど、グラント政権下における殊に「自然」に関わる政策で新政府が手本としたと見られる事柄は少なくない。こうした近代化の指導者ともいうべきグラント将軍による記念植樹式は、いずれも明治6(1873)年の太政官布告によって「公園」という新たな空間に指定された社寺境内において営まれ、米国を代表する巨樹「ジャイアント・セコイア」等が植えられたのだが、新政府にとってそれは単に将軍の訪日記念という意味のみならず、「旧習を打破し知識を世界に求める」という西欧化政策を着実に根付かせる意図を持ってなされた儀式的行為であったと考えられる。しかしながら同時にこの儀式的行為は、「樹木崇拝」という新政府が棄てたはずの原始的な自然崇拝が根底に備わるものであり、新旧の自然思想が混淆している点を見逃してはならない。 従って明治初期の記念植樹という行為は、新旧あるいは西洋と東洋の思想とかたちと融和させるために行われた一種の儀式的行為であり、明治の指導者たちはこのような自然観を応用しながら近代化促進につとめたといえるのではないだろうか。Planting memorial trees is today a common practice. The act of planting such trees indeed contributed to the promotion of Japanese policies of modernization in the Meiji era, no less than erecting monuments or memorial statues. Two facts support this hypothesis. First, there are texts encouraging the planting of memorial trees, some written by Honda Seiroku, professor of the Imperial University of Tokyo, who laid the groundwork for modern forestry, and others issued by such government offices such as the Ministry of Agriculture, Commerce and Forestry. Second, the media came to recognize the news value of memorial planting and reported on it. Under these circumstances, memorial trees were planted widely as rites of national significance in modern Japan. The event that I examine here is the ceremony commemorating General Ulysses S. Grant’s visit to Japan as a state guest in 1879. Materials indicate that General Grant planted memorial trees at three different parks, all of which were former landholdings of Buddhist temples and Shinto shrines, transformed now into modern Japan’s first public parks by decree in 1873. An analysis of the characteristics and historical changes of these park spaces and the types of memorial trees chosen for planting suggests that the intention was to reflect the policy of Westernization in Japan, with its emphasis on breaking with the past and obtaining new knowledge. At the same time, the root of these ritual practices can be seen in the worship of trees which the government otherwise rejected. There is evidence here that an admixture of old and new ideas regarding nature was one source powering this particular aspect of the promotion of modernization in Japan.
著者
Masami Hagiya
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.48(1983-PRO-026), pp.1-8, 1983-12-16

A Shell called Prolog Shell is presented which in addition to using Prolog for the query part of the command language treats the usual UNIX commands as modal operators. By doing so it can keep the shell environment in a consistent manner and can process the user's imperatives of subjunctives as well as his queries. As a result a description file of the UNIX make command can be programmed as a set of modal clauses.
著者
三宮 浩太 光来 健一
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2015-OS-135, no.1, pp.1-9, 2015-11-17

IaaS 型クラウドでは,ユーザはアプリケーションの利用率が低い時にインスタンスのスケールインやスケールダウンを行うことでコストを削減することが可能である.しかし,このようなインスタンス構成の最適化では利用率の低いアプリケーションを動かすためであっても最低性能のインスタンスが最低 1 台必要となり,それ以上のコスト削減を行うことができない.さらなる最適化のために複数のアプリケーションを 1 台のインスタンスに統合することも考えられるが,統合時にアプリケーションを一旦停止させる必要がある上,統合後のアプリケーション間の隔離が弱くなるという問題がある.本稿では,これらの問題を解決するために,ライブラリ OS を用いてインスタンス構成の動的な最適化を実現するシステム FlexCapsule を提案する.FlexCapsule はネストした仮想化とライブラリ OS を用いてインスタンスの中の個々のアプリケーションを軽量な VM の中で動作させる.そして,VM マイグレーションの技術を用いることによりアプリケーションを停止することなくインスタンス構成の最適化を行う.また,VM による強い隔離によりアプリケーション間のセキュリティを保つ.我々は FlexCapsule を Xen の Mini-OS および OSv を用いて実装し,FlexCapsule におけるいくつかの機能の性能を調べた.
著者
今西 祐一郎 伊藤 鉄也 鈴木 淳 青田 寿美 呉 格 太田 尚宏 寺島 恒世 谷川 惠一
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.31, pp.1-16, 2013-05-10

●メッセージ国文学研究資料館41年●研究ノート『和泉式部日記jの本文異同への新視点一傍記混入から見えてくるもの-合羽摺り絵本『彩色画選』とカラリスト松寿堂「蔵書印データベース」にできること-つながるデータ、可視化する書脈『中国古籍総目』の編纂について●トピックス平成24年度日本古典籍講習会人間文化研究機織連携展示「記憶をつなぐ一津波災害と文化遺産一」国文学研究資料館常設展示「和書のさまざま」百人一首たまてばこ平成25年度アーカイブズカレッジ(史料管理学研修会通算第59回)の開催新収資料紹介総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況.
著者
武富 厚美 久野 雅樹
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2014-NL-219, no.1, pp.1-4, 2014-12-09

近年,盛んに利用されている Twitter のようなマイクロブログでは,感情を含んだ投稿を多く含んでいる.本研究では,ツイートにおける感情表現を定量化し,ツイート頻度や Twitter 上でのつながりのようなユーザの特徴という観点から分析を行った.その結果,ツイート量が多いユーザは攻撃的な投稿をする傾向があった.しかし彼らのフォロワー数は多く,攻撃的な投稿は肯定的に面白い表現として捉えられていると考えられる.一方,ツイート量が少ないユーザは,攻撃的でない不快感情やポジティブ感情のようなパーソナルな感情をつぶやいている。彼らのフォロワー数は少なく,自身の感情を他者と共有することを指向していると考えられる.
著者
松山 隆司 竹村 岳
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.2149-2158, 1998-07-15

本論文では,多重フォーカス画像(カメラのフォーカスを規則的に変化させながら撮影した複数枚の画像)を用いた実時間3次元距離計測のためのカメラシステムの開発,距離計測アルゴリズムの提案および,それらの性能評価について述べる.以前提案した距離計測法5)では多数枚の画像を用いる必要があったが,今回提案するアルゴリズムでは,3枚多重フォーカス画像から高精度に距離計測ができる.これは,多重フォーカス画像から生成したspatio?focal画像における明度分布の対称性を利用した高精度モデル当てはめ法によるものである.さらに,このアルゴリズムでは,最適モデル当てはめを反復計算なしに求める計算法をとっており高速計算が可能となっている.論文の後半では,3枚の多重フォーカス画像を同時に撮影することが可能なカメラシシステムの開発について述べ,カメラおよびアルゴリズムの性能を実験によって評価する.一般に距離計測精度は様々なカメラパラメータに影響されるが,今回開発したシステムでは,良い条件の下での計測誤差は0.3%となっている.
著者
大橋 宏樹 新城 靖 齊藤 剛
雑誌
コンピュータシステム・シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.95-104, 2011-11-23

この論文は,ソケットアウトソーシングという手法を用いて仮想計算機モニタ内で IPv4/IPv6 変換を行う方法を提案している.ソケットアウトソーシングは,ゲスト OS のソケット層の処理をホスト OS に移譲することでネットワーク入出力を高速化する.この論文では,ソケットアウトソーシングを高速化ではなく機能拡張に用いることで,IPv4/IPv6 変換を実現している.この時,IPv4 クライアントを動作させるために,ホスト OS 上で動作し,仮想計算機モニタと協調して動作する DNS プロクシを用いている.提案方式は,ホスト OS とゲスト OS ともに Linux で動作している.10G bps のネットワークにおける実験では,提案方式が実機上での IPv6 による通信とほぼ同等のスループットが得られた.
著者
白水 菜々重 松下 光範
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.2276-2287, 2013-09-15

本研究の目的は,イベントにおいてTwitterやUSTREAMといった即時性の高いソーシャルメディアを利用することが,そのイベントのコミュニティの形成・維持にもたらす影響について明らかにすることである.近年,共通の関心や興味に基づいて人々が自発的に開催する勉強会やカンファレンスなどで,TwitterやUSTREAMといったリアルタイム性の高いWebサービスを利用してオンラインコミュニケーションを行うケースが増加している.本稿では,このようなイベント開催時にTwitterを介して行われる参加者同士のインタラクションの調査,ならびにそれを補完するアンケート調査を行い,このようなソーシャルメディアを利用したイベントを取り巻くコミュニティの特徴について分析を行った.その結果,(1)従来のオフラインだけのコミュニティには見られない立場を超えたインタラクションが観察され柔軟なコミュニティが形成されていること,(2)会場だけでなく遠隔地から上記のサービスを利用して参加するユーザの中にも情報伝播のhubになる人物が存在すること,(3)参加者の流動性がイベントの継続において重要であること,という知見が得られた.
著者
安蔵 靖志
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.98-99, 2012-01-15

俳優の細川茂樹氏の呼びかけによって,情報処理学会とのコラボレーションによるスマートフォンアプリ共同開発プロジェクトがスタートした.さまざまなアイデアを盛り込むことで技術的なチャレンジができることから,「家電製品の取扱説明書を手軽に集めて整理・閲覧できるアプリ」をテーマとして決定.お茶の水女子大学の大学院生2名がメンバーとして加わり,開発に携わることとなった.
著者
賀沢秀人
雑誌
デジタルプラクティス
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.152-158, 2011-07-15

2011年3月11日14時46分.日本を未曽有の大地震が襲った.Google では直後に対策チームを発足,約2時間後に安否情報確認サービス Person Finder [1] を開始したのを皮切りに,避難所情報,被災地生活支援サイト,自動車通行実績情報マップなどの支援サービスをスタートさせた.本稿では,対策チームの一員として Person Finder 関係の開発にたずさわった経験をもとに,非常時におけるソフトウェア開発にとって重要な点について考察をおこなう.
著者
平松 隆円
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
Nichibunken Newsletter (ISSN:09146482)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.7-9, 2014-12
著者
川島 拓也 渡邊 恵太
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.1483-1492, 2023-11-15

エンタテインメント性の評価は難しく,評価基準や実験手法が模索されている.エンタテインメントの本質を「心の動き」とすると,評価には体験中のリアルタイムな感情を観測する必要がある.そこで本研究では,リアルタイムな思考を観測する思考発話法を応用した,「あ」だけ発声する「あアラウド法」を提案する.あアラウド法は,実験参加者がタスク中に「あ」の大きさやトーンを変化させて感情を表現し,実験者が実験参加者の感情の強弱や種類を観測する手法である.「あ」は日常的に感動詞として使われているため,自然に感情を表現するのに適していると考察する.実験では「あ」が表現する感情の分析と,他の発声方法との比較を行い,リアルタイムな感情の観測手法としての有用性を調査する.実験結果からエンタテインメント性の評価への利用可能性を示す.
著者
Rémi Coulom
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2023論文集
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.66-69, 2023-11-10

While training deep-learning neural networks often requires considerable amounts of computing power, inference is efficient, and can be run on small devices. Cell phones are a typical example, but they are still rather powerful. The research presented in this paper takes the challenge to the extreme by running a Go-playing convolutional neural network on the 6809 CPU, an 8-bit microprocessor launched by Motorola in 1978. The software was implemented on a Thomson MO5 microcomputer, and reached a playing strength on par with GNU Go.
著者
赤澤 紀子 赤池 英夫 柴田 雄登 山根 一朗 角田 博保 中山 泰一 Noriko Akazawa Hideo Akaike Yuto Shibata Ichiro Yamane Hiroyasu Kakuda Yasuichi Nakayama
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.19-34, 2022-10-21

2022年度より,高等学校の「共通教科情報科」は,必履修科目の「情報I」と選択科目の「情報Ⅱ」が設置され,すべての高校生が,プログラミングなどを含む情報の科学的な理解を主とした「情報I」を履修することになる.また,2025年度入試から「情報I」が大学入学共通テストで出題されることが正式に決定された.これにより,各大学の個別入試においても入試科目に「情報」が設置される可能性が増してきた.大学入学試験として情報を出題するためには,大学など出題する側と,受験する高等学校側で,出題内容や範囲,用語などの共通な知識体系が必要となる.しかし現在はまだ,「情報科」の知識体系は明確に定められていない.そこで,本研究では,知識体系の明確化を目標として,「情報I」の教科書で用いられる用語から知識体系に関する考察を行う.