著者
海野 進
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

オマーンオフィオライトのシート状岩脈群の石基鉱物粒径の層序変化をもとに拡大軸直下における上部地殻の温度構造を推定した。マグマのリキダスを1150℃,シート状岩脈群最上部の平均温度を100℃と仮定すると,母岩温度は噴出岩層/シート状岩脈群境界からの深さ570mで180℃,990m で最高温度670℃,シート状岩脈群/上部ガブロ境界で530℃であった。また,シート状岩脈群下部330m の地温勾配は最大1.7℃/m と推定された。
著者
徳井 丞次
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

資本に体化された技術進歩の仮説は、資本財そのものの性能の向上がそれを投資して利用する部門の生産性上昇の要因となる可能性を示唆するものであるが、それは翻って投資が停滞する1990年代以降の日本経済の生産性低迷を説明できるかもしれない。本研究では、ミクロデータを使った実証分析を整合的になるように、中間投入を明示的に含む生産関数から資本に体化された技術進歩の枠組みを導出し、その枠組みに基づいて推計された資本に体化された技術進歩率をマクロに集計して、日本経済のTFP上昇率と比較し、資本に体化された技術進歩率が無視できない要因であることを確認した。
著者
林 徹 木村 英樹 西村 義樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中国語を中心に、日本語、日本手話、トルコ語、シベ語(中国)、ベトナム語、ラマホロット語(インドネシア)におけるダイクシス要素を詳細に検討した結果、ダイクシス要素の用法に影響する要因として、(1)話し手を基準とした距離や時間、(2)コンテクストの諸特徴(3)話し手のとる視点・態度、(4)地形に基づく空間軸、などを明らかした。また、ダイクシス要素の機能として発話を実際の場面に結びつけることが基本的であることを示した。
著者
BELLINCAMPI D.
雑誌
Plant Sci-ence
巻号頁・発行日
vol.51, pp.83-91, 1987
被引用文献数
11 37
著者
小川 百合子 大谷 敏嘉 児玉 公二 富岡 光枝 内潟 安子 平田 幸正
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.928-928, 1991-09-25

第2回スポーツ健康医学懇談会 平成3年3月2日 東京女子医科大学臨床講堂2
著者
長山 芳子
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

重曹は「人にも環境にもやさしい」洗浄剤として普及し始めたが、被服の洗濯に対する記載が少ない。本研究では、衣類の水系洗濯における重曹の効果について、湿式人工汚染布を用いた洗浄実験、モデル油性汚れを用いた乳化・可溶化実験、モデル固体微粒子汚れカーボンブラックに対する分散性実験を行った。その結果、 重曹は単独で用いるより、石けんと併用することにより、油性汚れおよび固体粒子汚れのいずれの除去に対しても洗浄効果を高めることが明らかとなった。
著者
山中 雅子
出版者
鈴鹿大学
雑誌
鈴鹿国際大学紀要Campana (ISSN:13428802)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.121-137, 2005-03-20

文致6(1823)年8月上旬に蜂起した「桑名藩文政一揆」は、藩主の国替により以前より開講していた助成講の講掛金返還をめぐる事件である。この事件を複数の史料から構築したのが当考察である。各史料が異なった立場から記されていることに着目し、一揆の背景から終息、事後処理をまとめたものである。桑名藩は助成講という講を開いていたが、文政6年幕府から武蔵国忍へと国替を命じられた。講に加入していた農民らは在方の講加入を勧めた役人らに講掛金の返還を要求したが、埓があかず訴願のため城下の役所へ詰めかけた。城下へ詰めかける農民が増長したため、藩では農民らと交渉の用意をしながら一揆の蜂起に備えた。8月6日から7日にかけて打壊しが始まり、一揆へと化した。農民らは武装し近隣村々の庄屋宅を襲撃した。このとき一揆鎮静に導いたのは、本願寺御坊輪番の寺僧・笠松役所及び桑名藩郡奉行らの説諭であった。町屋川原で農民の訴願を聞届ける旨を約束したため一揆は解体するが、一方領主側に召捕らえられた農民に因果を含めて開放し一揆を鎮めるという手段も模索された。一揆終焉後、国替は無事完了し入封してきた松平越中守家と、かつての領分の一部を忍領として残し国替となった松平下総守家との立会によって一揆に関わる吟味が行われた。そして、3名が死罪となる。また、笠松役所によって「聞届」を約束された要求の多くは叶えられなかった。領主側は「聞届」と「聞済」の語意の違いをもって農民らの要求は叶えたと主張する。が、農民らは異議を唱えることなく一件は落着した。以上の動きを複数の史料から紹介したものである。
著者
千葉 勝吾
出版者
東京都立大島高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

1 調査の概要質的調査として大都市と地方の下位ランク校6校の生徒及び卒業生20名に対する面接調査をおこない、高校における進路指導の効果と外部要因の影響について検討した。量的調査として大都市部の専門高校1校の3学年全員分の進路決定過程についてのデータを分析して、大都市の他の高校や地方の高校と比較し検討をおこなった。2 研究の成果(1)下位ランク校の生徒たちは、計画的に可能な限り少ない努力で楽をしながら、成績は低位であっても卒業して、フリーターも含めたなんらかの進路実現を果たすという「自己を充足させるメカニズム」を持つということが確認され、さらに調査から判明したことは以下の3点である。第1は、質問紙調査では高校入試において.実際に受験した高校が第1希望だったと回答するものの、実際のところは入試のランクを下げた結果の選択であり「潜在的」な不本意入学者という点である。第2には、生徒たちの学校生活を送る方策の方向性は、消費社会に引き寄せられたものとなっているものの勉強嫌いで何事にも意欲のない性格的な特性をもつわけではないことがあきらかになった。第3には、しっかりとした進路意識や進路選択の意志のないままに、進路決定に進まざるを得ない場面が少なくないとうことがわかった。(2)進路形成について、生徒一人一人の進路希望や進路指導の経過を逐一記載し、指導の状況を管理するためのデータを分析した結果、学校が提供する指導/支援は進路形成のチャンネルとして捉えることができた。具体的には、(A)「コーチング」実践と呼ばれる、教師がボランタリに課外のプログラムを設けて、生徒を支援しようとする特別な指導体制。(B)A商業高校における基本的な進路形成チャンネルである「全体指導」の枠組。(C)「個別サポート指導」というべき進路形成チャンネル。(D)「離脱」のチャンネルーの4つが確認された。
著者
山口 哲
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.822-826, 2006-11-05

AdS/CFT対応は重力理論と場の量子論の対応である.これを1/2BPSセクターに限った場合,非常に深い解析が可能である.この場合,場の理論はフェルミ粒子の系に帰着され,その状態は相平面上の「液滴」で表される.これに対し,AdS側の重力理論の解として,この液滴と1対1に対応する解がLin,Lunin,Maldacenaにより構成された.これにより,超重力理論の1/2BPSセクターがフェルミ粒子の系で記述されることが非常に確からしくなってきた.
著者
飯野 豐
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.D249-D278, 1929

從來「ぐりこげーん」含量ノ歳時ニヨル影響ニ就テハ多クノ業績ヲ見ルト雖モ更ニ一歩進ンデ含水炭素新陳代謝ト密接ノ關係ヲ有スル「あどれなりん」含量ノ歳時ニヨル影響ニ就テ報告サルルモノ甚ダ少ナク唯ダ僅カニ温血動物ニ就テ二三存スルモ未ダ一定セル結果ヲ示サズ是レ或ハ温血動物ノ生活現象ガ歳時ニヨリソノ影響サルヽコト少ナキニヨルカ將又副腎「あどれなりん」含量ガ他ノ諸種ノ條件ニヨリ歳時ニヨル影響ノ葢ハルヽ爲メユヨルカ.ソノ何レカナラン。茲ニ於テ余ハ之ガ解決ニ對シテハ歳時ニヨリ生活現象ニ劃期的變化ヲ有スルガ如キ動物ヲ選擇スルノ捷徑ナルヲ思ヒ特ニ冬眠動物ヲ選ビ其ノ副腎「あどれなりん」含量及ビ肝臟並ニ筋肉「ぐりこげーん」含量ヲ測定シ那邊セデ歳時ノ影響ノ存スルモノナリヤ否ヤ這般ノ關係ノ闡明ニ努メタリ。本實驗ハ平均體重二三五瓦ノ蝦蟇三三九頭(雄一六五頭雌一七四頭)ヲ使用シ千九百二十五年四月ヨリ千九百二十七年十一月ニ渉リ毎月十乃至十四頭ニ就テ副腎「あどれなりん」含量ノ測定ト同時ニ肝臟並ニ筋肉「ぐりこげーん」含量ヲモ測定シ尚ホ且ツ實驗當時ノ氣温並ニ一般生活状況ニ就テモ詳細ニ記載スルニカメタリ。勿論實驗動物ノ選擇ニ對シテモ充分フ注意ヲ用ヒタルノミナラズ凡ソ副腎「みどれなりん」含量及ビ肝臟並ニ筋肉「ぐりこげーん」含量ニ變動ヲ與フガ如キ動機ニ對シテハ嚴重ニ注意ヲ拂ヒ之レヲ避クルニ努メ可及的自然ノ状態ニ於テ實驗ヲ施行セリ。今實驗成績ヲ示セバ次ノ如シ。一。副腎總量ハ平均六四瓱(雄五六瓱雌七一瓱)ソノ大多數ハ三〇乃至九〇瓱ノ間ニ存在シ冬期ハ夏期ニ比シ一般ニ大ナリ。二。體重一瓩ニ對スル副腎重量ハ平均二七七瓱(雄二八四瓱雌二七一瓱)ソノ大多數ハ一五〇乃至四〇〇瓱ノ間ニ在リ。三。副腎「あどれなりん」總量ハ平均〇・一九六瓱(雄〇・一八四雌〇・二〇八瓱)ソノ大多數ハ〇・一〇〇乃至〇・三〇〇瓱ノ間ニ介在ス。四。副腎一瓦ニ對スル「あどれなりん」含量ハ平均三・三〇三瓱(雄三・四五九瓱雌三・一五五瓱)ソノ大多數八一・五乃至五・〇瓱ノ間ニ散在ス。五。體重一瓩ニ對スル「あどれなりん」含量ハ平均〇・八七九瓱(雄〇・九五一瓱雌〇・八一二瓱)ソノ大多數ハ〇・五乃至一・二瓱ノ間ニ存在ス。副腎「あどれなりん」總量ハ本動物ガ三月産卵スルト同時ニ著シク減少シタルモノガ五月ニ於テハ稍々増加ヲ示ス。六月ニ至レバ再ビ減少シ七月八月ニ於テ最低ヲ示ス(〇・一五一瓱)次デ九月十月ト次第ニ増加シ一月ニ稍々下降スルモ二月ニハ再ビ増量シ最高ニ達ス(〇・二六一瓱)而シテ三月ニ著シク下降シ四月ニハ益々下降ス。即チ最高ノ二月ハ最低ノ七月ノ實ニ一七〇%ニ相當ス。如斯副腎「あどれなりん」總量ハ後述スル肝臟並ニ筋肉「ぐりこげーん」含量ト同樣歳時ニヨリ明カナル動揺ヲ示スモノナリ。本動物ハ冬眠期ニ於テハ生活現象著シク沈衰スルニ反シ生殖腺ノ発達ハ益々加ハリ其ノ増加ト共ニ副腎「あどれなりん」含量モ亦タ益々加ハル。生殖行動開始ト共ニ又急速ニソノ含量下降ス。而シテ夏期覺醒期ニハ僅少ナル價ヲ保ツニ過ギズ。是レ恐ラク副腎「あどれなりん」分泌ガ冬眠期ノ生活現象沈衰ト共ニ強ク且ツ完全ニ停止サレ生殖期ニ於ケル準備トシテ貯藏サル丶モノノ如シ。六。肝臟總重量ハ平均七八瓦(雄七・四瓦雌八・二瓦)ソノ大多數ハ四乃至一〇瓦ノ間ニ在リ。七。體重一瓩ニ對スル肝臟重量ハ平均三二・三瓦(雄三四一瓦雌三〇五瓦)ソノ大多數ハ二〇乃至五〇瓦ノ間ニアリ。肝臟總重量並ニ體重一瓩ニ對スル肝臟重量ハ共ニ歳時ニヨリ明カニ動揺ヲ示シ冬期ハ夏期ヨリ大ニシテ三月ヨリ八月マデノ平均價ハ九月ヨリ二月マデノ價ノ約二分ノ一ナリ。八。肝臟「ぐりこげーん」總量ハ平均〇・五三五瓦(雄〇・五六三瓦雌〇・五〇八瓦)。九。肝臟「ぐりこげーん」%量ハ平均五・八八五%(雄六・一七六%雌五・五九九%)。十。體重一瓩ニ對スル肝臟「ぐりこげーん」含量ハ平均二・一一九瓦(雄二・四五五瓦雌一・七八八瓦)肝臟「ぐりこげーん」含量ハ一般ニ雄ハ雌ヨリ大ナルガ如シ。三月ノ生殖時期ヲ經過スレバ急激ニ減少シ四月ヨリ七月ニ至ル間ハ少量ナルモ九月ヨリ急速ニ増加シ二月ニ最高ニ達シ産卵期ト共ニ減少ス即チ肝臟「ぐりこげーん」含量モ亦明カニ歳時ニヨリ影響ヲ蒙リ一般ニ夏期ハ冬期ニ比シ常ニ少ナシ即チ肝臟「ぐりこげーん」總量ニ於テハ四分ノ一%量ニ於テハ二分ノ一而シテ體重一瓩ニ對スル肝臟「ぐりこげーん」含量ニ於テハ三分ノ一量ヲ示スニ過ギズ。十一。筋肉「ぐりこげーん」%量モ亦肝臟「ぐりこげーん」量ト同樣歳時ニヨル影響ハ著明ニシテ夏期ニ少ニシテ冬期ニ大ナリ、ソノ平均價ハ〇・九八一%(雄〇・九八一%雌〇・九八一%)ニシテソノ大多數ハ〇・三乃至一・五%ノ間ニ在リ,四月ヨリ七月マデハ〇・七%ナルモ八月ヨ・リ次第ニ増加シ二月ニハソノ最高(一・四三八%)ニ達ス而シテ三月ノ生殖期ニハ減少ス。以上述ベ來タリタル余ノ實驗成績ヲ綜合スルニ副腎「あどれなりん」含量ハ肝臟並ニ筋肉「ぐりこげーん」含量ト同樣ニ歳時ヲリ著明ナル影響ヲ蒙ルモノナリ。
著者
出口 智之
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

まず、「幸田露伴の歴史小説-「風流魔」の構想と成立に即して-」(『日本近代文学』平成20年5月)において、形式上の破綻を抱えている幸田露伴「風流魔」(明治31年)の成立過程を追跡し、露伴が本作で行った試行錯誤が、古人を題材に勝手な想像を展開すべきでないという自己規範に起因することを指摘した。次に、「幸田露伴「椀久物語」論」(『東京大学国文学論集』平成20年5月)で幸田露伴の「椀久物語」(明治32〜33年)を取上げ、上に指摘した露伴の歴史小説の方法的問題が本作にも見出せることを確認した。さらに、この作品のプロットが樋口一葉「うもれ木」(明治25年)の翻案であることを指摘し、孤立した作家と見られがちな露伴が、同時代文学と浅がらぬつながりを持っていたことを明らかにした。また、鴎外研究会(平成20年12月26日)において発表した「露伴史伝の特徴と方法について-「頼朝」を中心に-」では、これまで古典研究の成果とされてきた露伴の史伝「頼朝」(明治41年)に用いられた資料を特定し、本作が学術性を備えないフィクションであることを明らかにした。また、この作品の随筆に近い様式に、小説形式を捨てた露伴が新しく開拓した文学の可能性を見出した。さらに、「生活人露伴の誕生-幸田文「終焉」の方法を中心に-」(『相模国文』平成21年3月)では、露伴の死後に娘である幸田文が「終焉」(昭和22年)を初めとする一連の作品を発表するにおよび、日常生活に「格物致知」の精神を発揮したという露伴像が生れたことを指摘した。これは、彼女が露伴の日常生活を題材とし、しかも尊敬すべき父と不詳の子という構図を用いることで、父の偉大さを効果的に演出してみせたことに由来する。この研究により、これまで無批判に受入れられていた「生活人」としての露伴像を相対化し、露伴の<知>のありかたについて客観的に捉えなおすことが可能になった。
著者
藤野 義雄
出版者
金城学院大学
雑誌
金城学院大学論集 (ISSN:04538862)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.50-74, 1952-12-10
著者
香取 淳子
出版者
長崎県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

オーストラリアの映像コンテンツ政策について、(1)人材育成、(2)財政支援、(3)環境整備支援、3つの側面について、行政資料、統計データ、新聞雑誌記事、文献等を渉猟し、関係者への聞き取り調査をして検証した結果、その有効性が確認された。連邦政府の支援策が州政府、民間の支援策を生みだすといった連鎖反応を呼び、効果をあげており、オーストラリアがデジタル技術を駆使した映像コンテンツの領域で大きな存在感を示すようになっていることが判明した。