著者
星井 牧子 生駒 美喜 室井 禎之 生駒 美喜 室井 禎之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、日本語を母語とする学習者のドイツ語習得過程と学習環境との関係について、学習環境の異なるドイツ語学習者を対象にドイツ語でのインタビュー調査を行い、口頭コミュニケーション場面における言語行動を考察した。調査は38名に対して行なわれ、インタビューの文字化作業、分析の基盤となるデータベースの作成を行なった。コミュニケーション中心の少人数制授業を受けた学習者は、文法・語彙・音声・コミュニケーション行動の各側面において、ポジティブな変化をしていることが確認された。
著者
川元 佳子
出版者
兵庫県加古川市立陵北小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

教師の子どもに対する視点を理解することで担任教師の学級経営支援ができるのではないかと考えた。「教師用RCRT (Role Construct Repertory Test)」という方法を使い教師の「子どもに対する視点」を把握できることは先行研究(浦野,2001)により明らかであったが、従来の実施方法は高度なデータ処理や専門家によるコンサルテーションを必要としていた。そこで、専門的な知識を持たない教師であっても比較的簡単に実施し、結果を理解することができるような方法の改良・開発が必要であると考え、教師用RCRTの応用的な実施方法の検討を含めた支援介入プログラムを開発することを本研究の目的とした。プログラムにおいてQ-U(QUESTIONNAIRE-UTILITIES)で学級の状態をアセスメントした上で、教師用RCRTを実施した。その実施においては従来の教師用RCRTに教師の意図的方向付けを把握する川元版教師用RCRTを加えた。その結果、産出されたコンストラクト・抽出された因子の内容が二つの教師用RCRTにおいて違いがあった。また、教師内地位指数(順位)でも大きなズレを示す児童が存在することも確認された。分析データから教師自身の視点を把握、二つの因子分析の比較と教師内地位指数から学級の荒れを防ぐための方法を検討した。その結果、教師内地位指数の範囲外の児童及び気になる児童について継続観察をすることとなった。継続観察以後、Q-Uの学級生活不満足群が減少し学級生活満足群が増えるなど、教師内地位指数の差から抽出された子ども及び学級全体が良好な結果へと変化していた。また、教員の感想からも、自分の視点を知ることで教師としての視野が広まり学級経営がやり易くなったという意見が多く出された。
著者
梅田 克樹
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

イタリアの農業は、危機的状況に陥っている。厳しい環境下において農場を維持するために、生産コストの圧縮や農産物の付加価値向上、農外部門への進出などが図られている。イタリア中北部においては、アグリツーリズモや農場レストランと、農産物加工・販売とを組み合わせる事例が多くみられる。そのために必要なコンヴァンシオンを獲得するための手段として、地理的表示システムの活用や有機・減農薬農業への参入が相次いでいる。
著者
秦 兆雄
出版者
神戸市外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究はほぼ計画通り、先行研究の文献を購入、精読しながら、主に夏休みや春休みなどを利用した参与観察と聞き取り調査により、かつて調査した石川県及び千葉県の農村で親族と宗教儀礼に関する具体的な資料を収集した。また、必要に応じて北海道十勝地域の農場と阿寒湖のアイヌ部落、兵庫県の香住町と赤穂市及び愛知県の吉良町なども調査し、具体的な資料を収集してきた。これらの資料が先行研究や日中社会との比較研究などにおいて、どのような学術的な位置づけや意味をもつのかについては、既に日本と中国の学会などでの口頭発表や論文発表及び著書で公開してきたが、今後も国際的な学術誌などに積極的に発表していく予定である
著者
井上 純哉 足立 正信 石田 哲也 前川 宏一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

一般に局部変形の卓越する部材や鋼材が局部座屈する領域が内在する場合,すべての挙動を数値解析で追跡することは未だ困難である.そこで本研究では,実験によって代表させた領域での局所変形と力の関係に関する情報をそのまま構成則開発の検証データとするシステムの構築、並びに上記システムを構築する上で不可欠となる新たな解析手法及び設計手法の開発を目的とした.その結果,新たな知見として以下に列挙する研究成果を得る事が出来た.(1)解析-実験システム間の通信プロトコルの雛形の開発開発された通信プロトコルはデータ形式の拡張性・データの大規模化・分散/並列環境を考慮し,一般に広く用いられているDocument方式を採用した.開発された通信プロトコルを用い,小規模LAN内で通信試験を行い検証した結果,非線形性が小さい領域では概ね問題なく動作する事が確認された.(2)エレメントフリー確率有限要素法の開発材料の不確定性のみならず,複雑なRC構造物を容易にモデル化する事を可能にする事を目的に,エレメントフリーガラーキン法を摂動展開及びPolynomial Chaos展開を用いて拡張した確率有限要素法を開発した.開発された手法を様々な境界条件におけるモンテカルロシミュレーションの結果との比較により,その有効性及び効率性を示す事が出来た.(3)自己質量調整型仮想材料モデルの開発地中鉄筋コンクリート構造の接合部および隅角部に対して,自己質量調整型仮想材料モデルによって配筋を生成し,施工が前能で,しかも曲げせん断力を適切な裕度で伝達できる設計を提示した.本研究成果の特質としては,せん断破壊の寸法効果が顕著となる大型部材に対して特に有効である事が言える.
著者
撫原 華子
出版者
東京女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、18世紀初頭のジョン・ウェブスター改作劇を通じて、当時の劇場において女性観客が持っていた影響力の一端を浮かび上がらせることを目指した。中心として取り上げた劇は、ネイハム・テイト(1652-1715)作Injur'd Love ; or, The Cruel Husbandである。この劇は、イギリス演劇史上、女性を主人公に据えたごく初期の作家であるウェブスターの悲劇The White Devilの改作であり、1707年に初版が出版されている。この改作において、改作者テイトは原作には描かれていた暴力的描写を排除するか、緩和された形に書き換えている。本年度の研究では、女性観客の嗜好がその書き換えに影響した可能性を検証した。具体的には、このテイトによるウェブスター改作劇とその原作との異同を分析することから始め、そこに表象されている女性像の変容について、ひいてはその変容の社会的、演劇的背景、および女性をめぐる当時の言説が改作に及ぼした影響について考察した。その考察をする際、特に軸としたのは以下の点についてである。(1)Tateによる改作において暴力描写が排除あるいは緩和されていることが「女性観客の好み」に沿った結果であるとするならば、その裏には男性側の(あるいは当時の文化全体の)意図とはどのようなものだったのだろうか。(2)18世紀初期に、女性作家が暴力を描いた劇が(少ないながらも)存在することは何を意味しているのか。(3)ウェブスター改作受容史全体における暴力表象の変遷。17世紀から21世紀までの各時代性と、暴力表象の削減あるいは強調はいかに関わるか。以上の点を軸としながら、18世紀初めの男と女の間に存在していたせめぎ合いの状態について議論し、当時劇作家が作品を創作する際に女性観客が大きな影響を及ぼしていた可能性について探った。
著者
大内 憲明 粕谷 厚生 武田 元博 甘利 正和 河合 賢朗 櫻井 遊
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

抗癌剤の開発において癌の転移メカニズム並びにドラッグデリバリーシステムを理解することは非常に重要である。我々は非常に精度の高い分解能を持った生体内イメージングシステムを開発し、転移中のがん細胞における膜タンパクPAR1を追跡することに成功した。更に、薬剤の大きさと動態の関連の検討のため蛍光ナノ粒子を担癌マウスに注入し生体内イメージングを施行した。更に、抗がん剤内包高分子ミセルの構造的安定並びに抗腫瘍効果を評価する新たな方法を開発した。
著者
島田 照久
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

高解像度の衛星観測と気象シミュレーションデータを解析し、山形県庄内平野に吹き込む季節風は、ユーラシア大陸の地形の影響を受けつつ、日本海の海洋フロントによって段階的に気団変質を起こしていることを明らかにした。冬季季節風は、冬の日本海の海況や日本列島の気象に決定的に影響し、強い季節風が気象災害の原因となることもあった。本研究で明らかになった日本海における大気海洋陸域相互作用は、日本の冬の気象のさらなる理解に貢献する。
著者
植村 一広
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ロジウム挿入型白金一次元鎖(-Pt-Rh-Pt4-Rh-Pt-Cl-)の結晶構造をもとに, -Pt-M-Pt4-M-Pt-Cl-(M=異種金属)の繰り返し単位を有する,新規異種金属挿入型白金一次元鎖の合成検討を行った.検討の結果,Pt-Rh部位の補助配位子と架橋配位子を替えた新規ロジウム挿入型白金一次元鎖とロジウム挿入型白金八核錯体の合成,そして、その単結晶X線構造解析に成功した.また,興味深い電荷分布を持つ,新しい白金-異種金属多核錯体の合成に成功した.
著者
和田 修
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、各地方に残る民俗芸能のうち、近世初期の都市芸能が伝播したとみられるものを選び、その関連と変容について考察することを目的に掲げた。2004度以来3年にわたり、風流踊と古浄瑠璃人形を素材としてとりあげ、いくつかの地点を選んで調査、比較を行った。まず、長崎県対馬市に伝承される盆踊について、その民俗的な基盤、流入の経路、歴史的推移、現在の伝承状況とその変化などを調査した。対馬の盆踊は、近世中後期以降の盆踊とは異なるところが多いが、盆の風流踊であるという基盤は共通している。江戸時代初期から幕末・明治まで、本土で行われた各種の風流踊を受け入れ、重層的に今日まで伝承してきたところに歴史的な価値を指摘することができる。2004年度には対馬周辺地域および九州全域の風流踊を概観し、2005年度はそれにもとづき九州北西部の風流踊を重点的に調査した。さらに2006年度は九州南部の離島の風流踊を調査し、比較を試みた。とくに鹿児島県十島村には、対馬と類似の歌謡をもった風流踊が伝承されており、これを採録して、中央の歌謡書との比較検討を行った。また、その周辺の島々の風流踊についても調査し、歌謡を中心に比較を試みた。一方、古浄瑠璃人形については、新潟県佐渡市と鹿児島県薩摩川内市(旧東郷町)を中心に調査を進めた。佐渡では、文弥浄瑠璃の古い録音の整理と分析を行ったほか、現在では上演が稀になっている作品をノーカット収録し、基礎的研究資料の充実をはかった。東郷では歴史史料の調査を行い、伝来の時期と経路について考察した。また現在の伝承者からの聞き取りを重ね、近代以降の変遷についても、あらたな知見を加えた。これらの作業により、近世初期の歌舞伎・人形浄瑠璃などの舞台芸能が、予想されているより、かなり早い時期から、広い地域に伝播され、各地で享受されるとともに、独自の変容が行われた経緯の一端を明らかにすることができたと考えている。
著者
鳥山 祐介
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

18世紀ロシアの頌詩とギリシア・ローマ前年度に執筆した2本の論文を学術誌『スラヴ研究』『ロシア語ロシア文学研究』にそれぞれ発表した。また、ここで論じきれなかった問題を、ペテルブルクの国民図書館やヘルシンキのフィンランド国立図書館で収集した文献をも用いて新たに考察した論文を、北大スラヴ研究センターの雑誌に発表した。また、同様の趣旨で、日本18世紀学会において発表した。19世紀初頭のロシア文学と視覚文化ヘルシンキのフィンランド国立図書館、ペテルブルクの国民図書館にて、19世紀初頭のロシア社会における光学スペクタクルに関連する文献を収集し、それに基づいてプーシキンの小説『スペードの女王』における視覚的要素を論じた報告を研究会にて行った。目下論文化に取り組んでいる。また、18世紀の詩人デルジャーヴィンにおける絵画的要素に関する報告をロシア科学アカデミー・ロシア文学研究所(サンクトペテルブルク)において行った。
著者
狩俣 繁久 金田 章宏 仲原 穣 仲間 恵子
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

石垣島石垣方言、宮良方言、西表祖納方言、多良間島方言、宮古島平良方言の格の記述と、とりたて助詞の中で最も注目され、係り結びの機能を持つと言われてきたduを記述した。同時に石垣方言、平良方言、今帰仁方言、首里方言の係助辞の比較研究を行ない、duに焦点化の機能は存するが、係り結びの機能を持たないことを指摘した。八重山方言の中でも特に研究の遅れていた西表方言の文法記述を行い、全体の概要を把握した。石垣方言の自動詞と他動詞の派生関係のタイプを記述し、ヴォイスと深い関係があることを記述した。
著者
日合 弘 賀本 敏行 豊國 伸哉 福本 学 石本 秋稔 鶴山 竜昭 阿不江 ぱ塔爾
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本助成金を受けて、計画の大部分を達成するとともに、著明な進展がみられた。(1)リンパ腫好発系 SL/Khマウスの骨髄Pre-B細胞の一過性増殖は第3染色体上のQTLであるBomb1(Lef1)によることが示された。(2)リンパ腫DNAへのウイルス組込みホットスポットの多くがクローニングされ、Bomb1によるリンパ球分化異常とリンパ腫発生機構の関連に大きな手がかりが得られた。(3)4NQO誘発ラット舌癌については感受性に関与する5つの宿主遺伝子座をマップし遺伝様式を解明した。(4)化学発癌剤抵抗性DRHラットの肝発癌モデルで前癌病変であるGST-P陽性フォーカスの遺伝支配を研究し第1、第4染色体に高度に有意な座位をマップした。(5)遺伝的カタラクトRLCについては責任遺伝子マップ位置からPYK2が候補遺伝子で、RLCレンズで正常マウスを免疫するとPYK2のN端異常ペプチドに対する抗体が作られた。cDNA、genomicDNAについて、遺伝子構造を解析中。(6)NCTカタラクトはNa/K pumpに対する内因性抑制ペプチドの形成により発生する。1000頭の戻し交配系を解析し、マップ位置からBAC contigを作製中である。カタラクトのタイプ(pin head or diffuse)を決めるmodifier geneを第10染色体にマップした。この位置にNa/K pumpの一部がマップされていた。(7)PNUによるラット白血病の病型決定機構を解析するためF344とLE/Stmの間で育成されたRI系について、白血病を誘発して遺伝解析を行い、数個のQTLが関与している可能性を示した。これら一連の研究から内在性レトロウイルス、化学発癌剤、遺伝的変異による疾患も多くは多因子の宿主修飾遺伝子の影響を受け、発病の有無、重篤度、病型などが決定されることを示した。一部のものについては分子生物学的な理解に肉迫している。
著者
林 孝洋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究では,シュッコンアスター種の花序の構成・発達ならびに開花反応を客観的に表現できる形態モデルを開発するとともに,方向性を持った効率的な育種方法と合理的な草姿制御の方法を検討した.実績報告書の主な内容は以下のとおりである.1.生育の基本単位:シュッコンアスターにおいて,ファイトマー(葉,葉柄,節間,腋芽,節の一組)とモジュール(2/5互生葉序であることから,連続する5つのファイトマーを一組とする)を生長解析の単位構造とすれば,連続するモジュールはほぼ互いに相似形になっており,アスターの生長はモジュールが上に次々と連結することとみなせることがわかった.2.花序の構成:ある時点(n)の花序の構成(I)は,モジュールをmi(上から下に向かってi=1,2,3…)とし,頂芽をaとすると,a+m1+m2+…+mnであり,行列In=(a,m1,m2,…mn)で表すことができた.3.花序の発達:花序の発達は,上に新しいモジュールm1が形成され,各モジュールmiが一定の比率kで大きくなり,頂芽aが一定の比率kaで小さくなることとみなすことができた.花序発達の過程は,1次変換の繰り返しであり(In=Kn In-1),行列In=Kn-1…K1IO=Kn IOで表すことができた(IO:初期値).その結果,花序の構成と発達はパラメータk,kaによって記述できた.4.開花反応:着花量がモジュールの大きさに比例することから,開花反応は1次変換Kfが花序に生じたこととみなせた.行列を用いると,開花はIf=Kf Iであり,開花時の花序構成はIf=Kf Kn IOとして導かれた.5.モデルの普遍性:草姿の異なるいくつかの品種で検証を行った結果,本行列モデルは普遍性があり,数少ないパラメータで多種多様なシュッコンアスターの類別が可能であった.
著者
村上 正秀 ZHANG P
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

実験は、ステンレス薄膜(10ミクロン厚)に細いスリットを入れてジグザグに整形して作った。これは、事実上平面ヒータと見なすことが出来ることが確かめられた。沸騰中のヒーターの平均表面温度はその電気抵抗変化から求めることが出来、これより、周囲のHe IIの温度や圧力等のいろいろな熱力学条件下において、沸騰状態における熱伝達係数を求めることが出来る様になった。同時にヒーターのすぐ上方で、沸騰に誘起されて起こる温度と圧力の変動も測定された。測定データから、上記の温度と圧力の変動は高度な相関をもっており、さらにその変動は可視化画像に見られるほぼ周期的な蒸気泡変形、急激な膨張と収縮の繰り返し、等とも同期していることが確かめられた。その内、大振幅変動については、カオス解析の観点からも解析され、各測定値の相互関係が詳しく調べられた。膜沸騰状態下での熱伝達係数は、ヒーター上方で計られた温度と圧力の変動にも強く依存することが分かった。3種類の膜沸騰状態、ノイジー、遷移状態、サイレントの各膜沸騰、における熱伝達係数の測定からは、沸騰状態はヒータ位置の静圧(液面からの深さに比例)に依存してそのモードが明らかに変わるが、熱伝達係数はそのモードに余り依存せずに大体同一であり、殊にλ点に近い温度では修正されたBreen-Westwater相関式で統一的に良く記述されることが確認された。さらに、これら沸騰モード間の分布マップも、温度-静圧-熱流束からなる、3次元表現として求められた。これら沸騰モードの差異は、その状態、特に蒸気-液界面の安定/不安定性に起因することも分かった。
著者
二井 信行
出版者
東京電機大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

リコンフィギュラブルな微小流路を実現する系を、小型のピン・精密アクチュエータ・PCベースの制御系を組みあわせることで作成し、次年度の細胞を用いた実験の準備が整った。1流路の側壁を構成するピン・チップの設計製作リコンフィギュラブル微小流路の一実装として,表面実装電子回路のジャンパとしての利用を想定された金めっきピンの断面を並べ,微小流路の側壁とした.これらピンは、細胞との共存も可能であることが、培養実験により確かめられた。これらのピンを、ポートとしての穴をあけたガラス板ではさみ固定することでチップを作成した。ピン一つの形状は300μm×300μmの正方形であり、微小流体制御に十分な寸法精度をもつことが、チップ内で流路を組むことにより確認された。2流路側壁(チップ内ピン)制御系の設計製作まず、研究実施計画において示した、点図セルをベースとしてピンの駆動をする系の設計検討を行ったが、駆動系の規模と部品の加工精度が大きく、費用面で実施不可能と判断したため、市販の精密アクチュエータを組み合わせてXYZマニピュレータを構成し、これをPCベースのモーション制御・画像取得解析ソフトウェアと組み合わせる設計に変更した。結果、倒立顕微鏡下でピンの10マイクロメートル単位での変位制御が可能となった。
著者
田中 浩基
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

高効率かつ精度よく二次荷電粒子を検出する手法として、飛程の違いを利用した粒子識別方法を考案し、その原理実証のためのマルチワイヤ二次元ガス検出器の開発を行った。原子力機構FNS 施設において、アルミニウム薄膜ターゲットに14MeV 中性子を入射することにより発生する荷電粒子の放出角(飛程)とエネルギー情報の同時測定を実施した。本研究の飛程識別手法を用いることで高効率かつ精度良く二次荷電粒子を検出できることを実証した。また高速中性子の二次元イメージングが取得可能であるという、新たな知見を得ることができた。
著者
落合 謙太郎 近藤 恵太郎 北村 晃
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

核融合炉のプラズマ対向壁内のトリチウムは、その多くが表面付近に存在する。この様な表面のトリチウム密度分布を知ることは核融合トリチウムの安全評価の観点から重要である。それゆえ、固体表面のトリチウム保持量の絶対測定法が必要である。核融合炉のプラズマ対向壁表面のトリチウム保持密度深さ分布の高精度な測定法の開発として、DT核反応を利用した核反応分析法(DT-NRA)高精度化を実施した。昨年度課題であった実験室壁等から発生する散乱中性子成分の測定除去としてベリリウム体系による散乱中性子抑制法を検討し、抑制効果の検証実験を原子力機構核融合中性子源施設FNSで実施した。その結果、上記ベリリウム体系を用いることで、核反応分析法をDT核反応の放出粒子である3.5MeVアルファ粒子と14MeV中性子のコインシデンス測定に高精度に行うことが可能となり、NRAの中性子散乱抑制法としてベリリウム等の減速材抑制体系が必要であることが分かった。
著者
内田 澪子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では近世初頭前後の説話・縁起関係資料の禁裏伝来状況を調査し、以下等の結論を得た。・近世初頭の禁裏には畿内を中心とした社寺の、ある程度数の縁起が伝来した。但しその頃に伝えられていたものと現在に伝わるものとは、種類が異なる。万治四年(1661)焼亡後の文庫再建方針に起因すると思われた。・説話類も当該期には『古事談』『撰集抄』など、若干数が伝えられていたことが確認できる。但し12の例外を除いて現在には伝わらない。・当該期に禁裏伝来が確認できる『十一面観音縁起』『古事談』『十訓抄』等の個別作品研究を進めた。