著者
清 佳浩 飯塚 正男 秋久 俊博
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.309-316, 2005

脂漏性皮膚炎患者22例を対象に,ツバキ油およびツバキ油配合シャンプーの安全性と有用性について検討した。期間は4週間,使用頻度は週2回以上とした。紅斑,湿潤,鱗屑,痂皮,掻破痕,そう痒の皮膚症状について観察した結果,全ての皮膚症状に有意な改善が見られた(p<0.01)。有用性は,やや有用以上が95%,副作用は全症例に認められなかった。<BR>脂漏性皮膚炎の発症に関る癜風菌の菌数と頭皮脂質の分析を行った。菌数は試験終了後有意に減少しており(p<0.01),頭皮脂質は炭化水素群(炭化水素,スクワレン)と遊離脂肪酸量に有意な減少がみられた(p<0.05)。癜風菌数,遊離脂肪酸量ともに減少していた症例は18例中14例あり,皮膚症状の改善もみられた。<BR>以上のことから,ツバキ油とツバキ油配合シャンプーは脂漏性皮膚炎患者の頭皮・頭髪のケア剤として有用であると考えられた。
著者
熊野 七絵 川嶋 恵子
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.7, pp.103-117, 2011-03

今、世界中で日本のアニメ・マンガは大人気であり、日本語学習者の多くがアニメ・マンガをきっか けに日本語を学び始めると言われている。しかし、アニメ・マンガの日本語には、教科書や辞書には載 っていない表現も多く、アニメ・マンガを日本語で理解するのは難しい。そこで、関西国際センターで は、趣味から日本語学習への橋渡しとなるサイトをめざし、海外で人気のあるアニメ・マンガに現れる キャラクターやジャンルの日本語を楽しく学べるE ラーニングサイト「アニメ・マンガの日本語」を 開発した。海外の現状や学習者のニーズ調査に基づき、(1)アニメ・マンガと日本語学習をつなぐ(2) 学習者の好きなアニメ・マンガの世界観を生かす(3)楽しく学べ、自律学習につながるをサイト開 発の基本方針とした。サイト公開後、8ヶ月で168カ国から155万ページビューを超えるアクセスがあり、 ユーザーの声をサイト改善に生かしている。
著者
三浦 宏文
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:21896364)
巻号頁・発行日
no.38, pp.63-72, 2017

本稿では、明治期の哲学者・仏教学者・教育者であり、日本で初めて妖怪学を研究したという多彩な顔を持つ井上円了(1858~1919)の哲学者としての側面に注目し考察を加えた。円了の哲学は、民衆が極端な思想にとらわれることなく自らの頭で考え判断していくことを促すことをねらいとしていた。したがって、妖怪学研究も民衆の迷信を取り除くためのものであった。あくまで哲学を民衆とつながったものとしていく所に、円了の在野の哲学者としての真骨頂があったのである。
著者
ズルキフリー ムハマド 田野 俊一 岩田 満 橋山 智訓
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.771-783, 2008-03-01
被引用文献数
4

近年の情報技術の発展により,多くの人は文書を作成するためにワードプロセッサを用いている.しかし,日本語入力は仮名漢字変換に起因する問題点を多く抱えているため,メモ書きのように,素早い入力,及び高い集中力が要求される作業においては,キーボード入力より手書き入力の方が有効ではないかと考えられる.そこで,本研究では入力速度,及び認知的負荷に着目し,日本語メモ書き作業における手書きとキーボードの比較実験を行い,手書き入力の有効性を定量的に評価した.被験者としては,22〜30歳の情報系大学院生10〜15名である.実験結果から,まず入力速度に関しては,キーボードよりも手書きの方が速く入力できるということが分かった.また,あらかじめ記憶させた内容を思い出しながら入力するタスクでは,キーボードよりも手書きの方が記憶した内容を多く入力できるということが分かった.更に,ビデオ及び音声を視聴しながら,手書き及びキーボードでメモを取るタスクでは,キーボードで入力されたメモの方が内容が不十分であり,被験者のビデオ及び音声の内容に対する理解度も低いということが分かった.
著者
佐々木 暢子 京極 重智 ササキ ミチコ キョウゴク シゲトモ Sasaki Michiko Kyogoku Shigetomo
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
雑誌
大阪大学教育学年報 (ISSN:13419595)
巻号頁・発行日
no.19, pp.17-30, 2014

本研究の目的は、大阪大学人間科学研究科・教育人間学研究分野を中心に教育と福祉の理論家と実践家によって行ってきた共同研究、「教育と福祉のドラマトゥルギー」のこれまでの研究成果と課題を考察することによって、今後の共同研究のあり方を展望することにある。その際、本共同研究の共通の観点として用いた「舞台」概念に着目し、その概念が持つ意味の射程を明らかにすることを目指した。そのためにまず、本共同研究の理論的基盤であるゴッフマン理論から見た「集まり」の輪郭を明らかにする。次いで、本共同研究の成果の一つを事例として、これまでの共同研究において曖昧なままであった「舞台」概念を四つの層に分類・整理し、「舞台」概念の再定義を行う。そこから、ゴッフマンが「集まり」とその外部の関係を考察の対象とはしていなかったのに対し、本共同研究では「舞台」間の関係を動的に捉えるとともに、物理的・可視的空間だけでなく、仮想的空間をも射程に収めるという点に特質があることを明らかにする。以上の考察から、今後の我々の共同研究の中で、様々な位相に属する「舞台」同士がどのように影響を与え合い、それらがどのように変容していくのかを具体的な事例の中から明らかにしていく必要があることを示す。This article discusses the objectives and results of our joint research, entitled "The Dramaturgy of Education and Welfare" focusing on "the stage." This constitutes a key concept of this study because of its originality and employability as an analytical concept. However, because the stage has not been fully considered in our studies, its use remains ambiguous. Therefore, we fi rst clarify the implications of "gathering" in Erving Goff man's "Dramaturgy", which forms our theoretical base. Originally, Goff man's primary concern was to reveal orders of gathering, so his "Dramaturgy" did not consider the relational aspect of gathering that is the relationship between a stage and the outside world. However, our study regards the gathering concept as possessing a dynamic relation with the outside world. Second, we extend and classify the stage concept into four categories ranging in density, from abstract to concrete, by using one case study. This categorization is termed "Multilayered Structure of Stage", a concept that spans not only the physical and visible spaces but also the virtual and imaginary. Finally, we indicate that the problem of this joint research is to clarify on the basis of particular cases how stages in their diff erent phases interact and transform.
著者
矢野 純
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, 2004

耳鳴は全人口の15〜20%にみられる症状であるが, 耳鳴を苦にして治療を求める人は少数である. 耳鳴のもたらす苦痛, 睡眠障害, 情緒的反応, 職業や日常生活への影響などは, 患者により異なる. 耳鳴を訴える患者の多くは難聴を伴うが, 20%は正常聴力である. 耳鳴を測定すると, それぞれの聞こえの域値上, 5〜15dB程度の大きさにすぎない. 多くの人は耳鳴をかすかな, 注意を向けるに値しない音として認知するが, 耳鳴に悩む人には大きな不快な音として聞こえるのである. 耳鳴には, カウンセリング, 抗うつ薬, 抗てんかん薬, 抗不安薬, 局所麻酔薬, 血管拡張薬などの薬物や手術, マスキング法, 心理療法, バイオフィードバック, 針治療, 高気圧酸素室, 側頭下顎関節の治療などが行われているが, 満足できる結果が得られていない. 耳鳴再訓練療法(tinnitus retraining therapy;TRT)は1980年代に提唱され, 1990年に最初の報告がなされた. 耳鳴の神経生理学的モデルに基づいて, 耳鳴の知覚と耳鳴への反応に慣れを誘導し維持しようとする方法であり, 慣れは聴覚系と大脳辺縁系, および自律神経系を結ぶ神経の連絡の変容の結果として得られる. 耳鳴の神経生理学的モデルから, 治療に重要な点を挙げると以下のようになる. (1)耳鳴の患者では, 聴覚系に加えて大脳辺縁系と自律神経系が耳鳴に関連した, および音響に誘発された活動に関与している, (2)自律神経系の交感神経系の過剰活動の維持が耳鳴に誘発された行動に関与している, (3)脳のさまざまな系の間の機能的な結合は, 条件反射の原則でつくられる, (4)これらの条件反射に慣れをつくることで耳鳴による行動へのネガティブな影響を除くことができる. TRTはカウンセリングとTCI(補聴器と同じような形の音響発生装置)の装用の2つからなる. カウンセリングでは, 耳鳴の理解(情報の提供), 心理面のサポート, リラクセーション法の指導, TCIの装用の指導を行う. 重要な, 注意に値する音として認知されてしまう耳鳴に心地よいかすかな音を併用することで, 耳鳴を無害な, 注意するに値しない音としての認知に変えてしまうことが目標となる. すなわち, TRTは耳鳴を止める治療ではなく耳鳴に慣れて気にしなくなる治療である. TCIは持続的に心地よい音を鳴らし続ける装置で, 耳掛型の補聴器の形をしている. 音量の設定は, 周囲の環境音と耳鳴がわずかに聞こえる程度に設定する. 1日6〜8時間装用して効果が明らかになるには6ヵ月, 継続的な改善が得られるまでには, 12ヵ月が必要である. 80%の患者で改善が得られた. 改善の得られた例では, 過去12年間, 再発はみられていない. 結論としては, (1)TRTはあらゆるタイプの耳鳴と聴覚過敏に適用できる治療で80%に有効である, (2)TRTは聴覚過敏に治癒をもたらす可能性がある, (3)TRTは頻回の通院が不要で副作用もない, (4)効果が得られるには治療者のトレーニングが必要である.
著者
小谷 信行
出版者
金原出版
雑誌
小児科 (ISSN:00374121)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.375-382, 2012-03
被引用文献数
2