著者
高屋 むつ子 後藤 美代子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.54-59, 1987-03-20
被引用文献数
1

胡瓜漬の亞硝酸塩、硝酸塩の消長並びに、市販漬物中の亞硝酸塩、硝酸塩、pH、ニトロソアミンについて検討を試みた。1) 胡瓜漬の亞硝酸塩、硝酸塩の消長を知るためにホウロウ容器を用い、5%食塩水に胡瓜を漬け込み、25℃に保存し、経日的に胡瓜漬と漬汁の亞硝酸塩、硝酸塩を定量した。その結果、漬け初期で多量の亞硝酸塩が生成された。2) 次に市販漬物について検討したところ、市販漬物中には硝酸塩、亞硝酸塩が多く、なかでも葉菜類が最も高く、次いで根菜類、果菜類の順であった。亞硝酸塩が浅漬に多く、酒粕漬、味噌漬、醤油漬、酢漬では僅かであった。亞硝酸塩生成量とpHとの関わりは大でpH6.8〜5.0の漬物から亞硝酸塩は多量に検出され、pH5.0以下の漬物では僅かであった。3) 漬物に含まれるニトロソアミンはNDMAが殆どで、NDEA、NDPA、NDBAは検出されなかった。なかでもNDMAは大根と白菜の漬物に多く含まれ、亞硝酸塩の多い野沢菜漬、せいさい菜漬、高菜漬からは殆ど検出されなかった。なお、本研究の一部は第39回日本家政学会年次大会で発表したものである。
著者
田中 まさ子
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 人文・自然科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850056)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.13-32, 2017-01

保育とは,養護と教育の一体的な作用であるとされる。では,この考え方はどのように形成されてきたのか,これを明らかにするのが本研究の目的である。この目的のため,戦後の保育所形成期に着目し,当時の文献から論考した。論考の結果,保育所形成期において児童福祉法,保育要領,児童福祉施設設置基準及びその解説書等を通して,保育が保護と教育の一体的作用であるという認識が浸透していったことが分かった。それはまた,戦前から保育所に対して要望があった「教育的保護」の実現に向かう過程であった。その一方で,この時期に「養護」の語は,児童福祉法において特定の施設の機能を表す語として規定され,学校保健に由来する養護とは別の語概念が生じたことが分かった。
著者
市野 隆雄 栗谷 さと子 楠目 晴花 平尾 章 長野 祐介
出版者
国際環境研究協会
雑誌
地球環境 (ISSN:1342226X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.71-78, 2014

温暖化によって,高山植物は将来的に消失の危機にさらされるだろうといわれている。一方,高山植物だけでなく,その下方に位置する山岳植物も「高地型」と「低地型」に分化し,それぞれが独自の遺伝的固有性をもつ「保全すべき単位」である可能性がある。そこで筆者らは,高地型と低地型の間で遺伝的分化があるか,また高地型と低地型の生殖隔離に関与する花形質が生態的に分化しているかどうかについて,3種の草本植物を対象に検討した。本稿では,これらの個別研究の成果をまとめて紹介する。サラシナショウマは,遺伝的にも生態的にも標高間で3 つの送粉型に分化していることが明らかになった。ヤマホタルブクロおよびウツボグサでは,標高が上がるにつれて花サイズがおおむね小型化していたが,この小型化は標高そのものに影響されたものではなく,分布する送粉マルハナバチ類のサイズに適応した生態的分化の結果であることがわかった。これらの結果から,温暖化にあたって保全すべきなのは,これまでひとくくりにされていた山岳植物「種」とは限らず,より細かく分化した「生態型」である可能性が示唆された。
出版者
群馬県蚕業試験場
雑誌
群馬県蚕業試験場研究報告 = Bulletin of the Gunma Sericultural Experiment Station (ISSN:13412981)
巻号頁・発行日
no.7, pp.29-32, 2001-03

染料を混合した壮蚕用生桑葉ペースト飼料を5齢期に給与することにより、多様なカラー繭を作出することができた。有効な染料はニュートラルレッド、ローダミンFB〓、チオニン、ダイロンネイビー〓、ダイロンディープブルー〓、ダイロンエメラルドグリーン〓であった。色繭品種を用いると染料との混合色を得ることができた。カラー繭の繰糸により繭色に応じたカラー生糸を得ることができた。
著者
三宅 一郎
出版者
立命館大学産業社会学会
雑誌
立命館産業社会論集 (ISSN:02882205)
巻号頁・発行日
no.40, pp.p63-74, 1984-06
著者
藤森 かよこ
出版者
福山市立大学都市経営学部
雑誌
都市経営 : 福山市立大学都市経営学部紀要 = Urban management : bulletin of the Faculty of Urban Management, Fukuyama City University (ISSN:2186862X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.113-128, 2013

1930年代ニューディール(New Deal)政策の社会主義的,統制経済的政策は,アメリカ精神の劣化をもたらしたと考えた人々は,アメリカのソ連化を阻止するべく結集し,保守主義陣営を結成した.彼らは,ソ連からの亡命者アイン・ランドの作品がアメリカ的価値観や自由放任資本主義を祝福するものであったので,彼女を大いに歓迎した.しかし,それもランドが1957年に『肩をすくめるアトラス』(Atlas Shrugged)を発表するまでのことだった.アイン・ランドをアメリカの主流保守言論界から追放し,かつ文化左翼リベラル系知識人をしてランドを蛇蝎視させることになった『肩をすくめるアトラス』は,アイン・ランドが「客観主義」と名づけた哲学を基礎としている.「客観主義」は,形而上学的には客観的現実(Objective Reality),認識論的には理性(Reason),倫理的には自己利益(Self-interest),政治的には自由放任資本主義(Laissez-faire Capitalism)の立場を採る.ランドは,地上のことは,人間の有能さと努力と創意工夫が解決するべきものであり,人間に責任があることを指摘した.その意味での人間の英雄性を肯定し,無神論を支持した.また,利他主義の欺瞞性を指摘し,個人の長期的視野に基づいた徹底した利己主義の発露こそが,個人の集積である社会に平和と秩序をもたらすと主張し,その文脈から自由放任資本主義を唯一の道徳的体制として支持した.『肩をすくめるアトラス』は,出版以来,アメリカの草の根の国民文学であり続けている.
著者
木村 隆夫
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.135, pp.77-109, 2016-09-30

筆者は,本論集134 号で「非行克服支援プログラム試論1-子ども・若者支援編-」(以下試論1とする)を発表した.試論1は,わが子の非行・問題行動に対して,支援者と親・家族が協働し,あるいは,親・家族が対応できる非行克服支援プログラムを意図して執筆したものである. 一方,子どもが非行・問題行動を起こすと「世間」は,当事者である子どもだけではなく,その親や家族までをも攻撃の対象としてしまうことが多く,逃げ場のない親や家族はわが子の非行・問題行動に振り回されるとともに,「世間」の白眼視や攻撃にさらされるという,二重の苦しみを受けることが多いので,親・家族の支援も重要な課題である. 試論2は,苦しむ親たちに伴走者として支援する支援者が活用することを想定して,親たちが二重の苦しみから抜け出し,荒れるわが子と向き合うことができる力を取り戻すための支援技法等について考察したものである.
著者
長谷川博 井上雅好
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.301-308, 1980
被引用文献数
6

アジ化ナトリウム(NaN<SUB>3</SUB>)はオオムギにおいて強力な突然変異誘起効果が確かめられているが,一方その然変異誘起効果が認められない植物も知られている。本報告は水稲品種「日本晴」の休眠種子および浸漬種子(0~54時間)に,PH3のリン酸緩衝液中において,アジ化ナトリウムを処理(0~10-1M,1.5~24時間)し,その処理障害および突然変異誘起効果を明らかにしたものである。休眠種子処理における幼苗期の処理障害の指標として,処理後10日目における発芽率,幼苗草丈を調べ,さらに発芽遅延日数についても調査した。処理障害は濃度および処理時間の増加とともに増大した。ことに,幼苗草丈および発芽遅延日数については著者らが前報(HASEGAWA and INOUE 1980)において示したアジ化ナトリウムの``dose"(濃度×処理時間)反応曲線が得られた。M<SUB>1</SUB>種子稔性は各処理区において著しい低下は認められなかった。この結果はアジ化ナトリウムは染色体異常を生じたいという報告を支持するものである。最高葉緑突然変異率はM<SUB>1</SUB>穂あたり11.1%,M<SUB>2</SUB>個体あたり1.22%であり,イネにおけるアジ化ナトリウムの突然変異誘起効果はオオムギにおける効果よりも低いことが明らかになった。M<SUB>2</SUB>代における農業形質の変異もあわせて調査した結果,晩生,短稈,優性,不稔等の変異が多く見い出された。
著者
山家 優理子 篠宮 聖彦 古田 俊之 金崎 克己
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.65-66, 2019-02-28

古くから日本には早口言葉や俳句や川柳のような、口遊み(発音)を通じて言葉を嗜む文化が存在する。また言葉により購買行動を促進する活動にコピーライティングがある。現代人の購買行動には製品それ自体よりもそれにより得られる体験価値を重視する傾向があり、コピーライティングにおいては端的な製品説明に加え、体験価値を消費者の印象に残す手腕も求められている。そのような経緯から高まってきたフレーズの多様な表現の可能性を生かし、製品の印象をさらに強める手段として、我々は古くから親しまれてきた文化に倣い、口遊みに着目した。そこで本稿では口遊みやすさを考慮したフレーズ生成手法の検討内容について報告する。
著者
善積 京子 ヨシズミ キョウコ
出版者
追手門学院大学地域創造学部
雑誌
追手門学院大学地域創造学部紀要;Bulletin of the Faculty of Regional Development Studies, Otemon Gakuin University (ISSN:24238449)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.179-207, 0000

家族政策 / 家族政策研究 / 子育て政策 / 日本型福祉 / 男女共同参画社会
著者
中里 まき子 NAKAZATO MAKIKO
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテスリベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.85, pp.69-88, 2009-12

ジャンヌ・ダルクについては,500年以上にわたって数多くの文学作品が創作されてきた。すでに15世紀に,クリスティーヌ・ド・ピザンとフランソワ・ヴィヨンによって少女の功績が詩の中に記されたが,ジャンヌを素材とする作品が増え始めたのはフランス革命以後である。その一部を挙げると以下のようになる1)。シラー『オルレアンの乙女(1801)』,シャルル・ペギーの『ジャンヌ・ダルク3幕劇(1897)』と『ジャンヌ・ダルクの愛の神秘(1910)』,アナトール・フランス『ジャンヌ・ダルクの生涯(1908)』,バーナード・ショー『聖女ジャンヌ(1924)』,ジョルジュ・ベルナノス『戻り異端で聖女のジャンヌ(1929)』,ポール・クローデル『火刑台上のジャンヌ(1939)』,ベルトルト・ブレヒト『ルーアンのジャンヌ・ダルク裁判1431年(1954)』,ジャン・アヌイ『ひばり(1953)』。文学における特権的な素材である以前に,歴史的人物として,キリスト教の聖女として,ジャンヌ・ダルクは世界中で知られる存在となっている。ジャンヌが後世に残したもの,またそれに対する反響の大きさにひきかえ,彼女の生涯は短く,はかないものであった。
著者
前川 友香里 鈴木 馨
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-11, 2017

エキゾチックペットとして広がりつつあるデグーは粗食に適応した草食齧歯類であり、飼育下での高栄養食給餌は糖尿病や脂質異常症の発症などが危惧されている。本研究では、デグーとのコミュニケーションをはかるための高嗜好性食物の検討とそれらの食餌による血糖への影響を検討した。臨床的に健康な成熟個体(n=6)を用いて、あらかじめ空腹時血糖値(64.2±2.2mg/dl、平均値±標準誤差)を測定後、通常食(ペレット)、高繊維質食(チモシー)、高糖質食(乾燥パイン)、および高脂質食(ヒマワリの種)の嗜好性、ならびに給与後の食後血糖値変動を調べた。17時間絶食後の摂食量は最も多いものから、高脂質食(2.7±0.2g、平均値±標準誤差)、高糖質食(2.4±0.2g)、高繊維質食(1.6±0.3g)、通常食(0.6±0.1g)の順序であった。食後血糖値は、高糖質食で最もピーク値が高く(91.8±7.8mg/dl)、高脂質食で最も低かったが(68.7±3.9mg/dl)、いずれも生理的変動の範囲内であり、150分以内で空腹時血糖値付近に戻った。以上より、常用・長期の場合は除き、高嗜好性食物の利用がデグーの健康に直ちに悪影響を及ぼす可能性は低いことが示唆された。