著者
高橋 静夫 ドムニング D. P. 斎藤 常正
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.141, pp.296-321, 1986-04-30
被引用文献数
3

1978年8月, 山形県西村山郡大江町を流れる最上川で, 異常渇水のため露出した河床に大型哺乳類の骨格が含まれているのを2名の小学生が発見した。河床の岩層は, 本郷層の橋上砂岩部層で, 初期後期中新世のDenticulopsis katayamae Zone (9-10.4 Ma)を指示する珪藻化石を産する。一節の長さ6〜8センチ, 直径14〜15センチの椎骨が140センチの長さに連なり, 長さ20〜90センチの大きく湾曲した肋骨が26本程度数えられた。骨格前部には長さ51センチの頭骨が, 口蓋を上に頭頂を下にした状態で保存され, 長さ41センチの一対の肩甲骨も認められた。骨格を砂岩からとり出すにつれて, この標本は体前半部の骨格がほぼ完全に揃った, 極めて良く保存された大海牛の化石であることが明らかになった。指・掌骨を含む右前肢は, 絶滅した大海牛類の前肢の構造を示す, 現存する世界唯一の標本である。骨格の特徴により山形の化石は, カリフオルニアから記載されたDusisiren jordaniに近似するが, 歯の大きさがjordaniのものの3/4と小さく, しかも咬合面の模様が単純で, 歯が著るしい退化を示す点で大きく異なる。歯の退化は, 大海牛の進化系列のもっとも際立った形質変化で, 大型の歯を備えた先祖型のDusisiren属から, 歯が退化して失われたHydrodamalis属への進化系列が北太平洋地域で確立されている。歯の特徴および肩甲骨, 胸骨, 手根骨の性質から, 本骨格はD. jordaniとHydrodamalis cuestaeを結ぶ, これまで未記載の中間型の種であることが判明し, ここにDusisiren dewana(和名 : ヤマガタダイカイギュウ)という新種を提唱した。H. cuestaeは, ベーリング海で1768年に絶滅したステラー大海牛(H. gigas)の先祖なので, 本新種の設定により, 中期中新世のD. jordaniにさかのぼる四代の大海牛の進化系列が明らかになった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.612, pp.62-67, 2004-11-01

すでに一部の企業は、2007年問題を意識したスキル継承に取り組んでいる。その具体策は、あの手この手の全方位作戦。継承の場となるプロジェクトを確保する、スキル継承を意識した組織体制を敷く、ベテランの経験をドキュメント化する、などさまざまだ。JTB、東京三菱銀行、富士通の挑戦を紹介する。JTBベテランがいるうちに再構築 『TRIPS- 開発の経過と反省』。
著者
鈴木 有美 木野 和代
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.487-497, 2008-12-30
被引用文献数
17

本研究の目的は,共感性の多次元的アプローチに従い,他者の心理状態に対する認知と情動の反応傾向をそれぞれ他者指向性-自己指向性という視点から弁別的に測定しうる多次元共感性尺度(MES)を作成し,その信頼性と妥当性を検証することであった。先行研究における概念定義の議論および既存尺度の構成を概観し,「他者指向的反応」「自己指向的反応」「被影響性」「視点取得」「想像性」の5つの下位概念を設定した。これらを測定する項目を作成し,質問紙調査を実施した。大学生871名から得られた回答について因子分析を行った結果,5つの下位概念に対応する5因子が得られた。α係数,I-T相関係数,再検査信頼性係数などの結果から信頼性を検討した。また,既存の共感性尺度および共感性との関連が予想される概念を測定する尺度との相関から妥当性を検討した。今後,自我発達との関連など認知・情動反応傾向の指向性を規定している要因の検討を進めることが,共感性に関する応用研究において有益と考えられる。
著者
後藤 亨 二瓶 武史
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.979-983, 1999-12-05

スーパーカミオカンデ実験の結果を用いて, 最も簡単な超対称SU(5)大統一模型における陽子崩壊を再解析した. 今回の解析の結果, これまでは寄与が小さいと思われてきた右巻き粒子が関与する有効相互作用 (RRRR型) が, 大きな寄与を与えることが示された. かつての解析では, 主要な項の間の干渉効果によって陽子崩壊の振幅を十分に小さくできると思われてきたが, RRRR型相互作用の効果でそれが不可能となり, 現在の制限からスクォーク(クォークと超対称多重項を組む粒子)の質量が2TeV以下のパラメータ領域が排除されてしまうなど, 陽子崩壊実験からのこの模型への制限は非常に厳しくなった.
著者
中山 一郎 岡田 稔枝 中川 みかほ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.610, pp.5-8, 1999-02-18
被引用文献数
1

これまで筆者らは、発声時に発声者自身が聴取する音声(自己聴取音)の音色を、自己聴取音に相当する音声を発声者がイコライザとアッテネータを操作して、自己聴取音と出来るだけ似かよった音声(シミュレート音)を作成する方法(遅延音帰還法)を用いて、周波数軸上で定量化してきた。しかしながら、自己聴取音は発声者本人しか聴取できないが故に、シミュレート音との類似性を客観的には評価できなかった。そこで本研究では、男性の話し声の母音/a/を対象に、1)自己聴取音とシミュレート音、及び、2)シミュレート音とその音色を実験者が意図的に変化させて作成した音声(加工音)、との2種類の類似度評価実験を行うことによって、自己聴取音とシミュレート音の類似性が原理的には客観的に評価できること、及びその類似性が十分に高いことを明らかにした。
著者
松井 彰彦
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.576-582, 2011-10-01
参考文献数
9

本稿では,筑波大学の金子守氏と筆者が創始した帰納論的ゲーム理論の枠組みを紹介し,その応用を考察する.まず第1節でゲーム理論のメタレベルでのアプローチ法について3類型を示したうえで,第2節では,具体的な社会問題に入る前に帰納論的ゲーム理論のエッセンスを「協調ゲーム」を用いてみる.第3節は障害者等の隔離と烙印の問題に帰納論的ゲーム理論を用いて切りこむ.第4節はいわれのないいじめの問題への応用を考える.第5節は帰納論の起源としてプラトンと仏陀に触れる.
著者
櫻井 義秀
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
no.9, pp.43-65, 2003-06-14

本稿では、統一教会信者の入信・教化過程をジェンダー論の視点から考察する。ジェンダー秩序の形成が女性信者の宗教実践、教団戦略とどのように関連しているのかを明らかにすることで、従来「マインド・コントロール」として告発されている心理的・社会的影響力行使の中身と意味が明らかになるのではないかと考えている。以下の知見を得た。未婚・既婚を問わず、女性信者の入信・教化の過程において、統一教会は自己啓発・運勢鑑定の装いの下に、統一教会独特の家族観を問題解決の方法として提示する。信者はこのようなイデオロギーを宗教実践において内面化し、最終的な救済財である祝福を目指す。信者が活動に熱心になればなるほど、現実の家族と教団が提示する「真の家庭」という理想の家族像に乖離、葛藤が生じる。教団はその克服を信者に促し、信者はそこに信仰の意義を見いだした。なお、本稿では世界基督教統一神霊協会の略称「統一教会」を用いる。
著者
藤岡 英嗣 糸山 景大 藤木 卓 上薗 恒太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.506, pp.7-12, 2001-12-08

本研究では言葉による笑いの一つとして、「謎かけ」を題材として取り上げ、「謎かけ」の構造と連続連想の構造とを比較し、「謎かけ」の構造を明らかにした。また、「謎かけ」の構造をテキストベースの構造とも比較し、文脈上の「価値」を共通項として見出すことが「謎かけ」につながることを見出した。