著者
越後 宏紀 呉 健朗 新井 貴紘 富永 詩音 小林 稔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.86-95, 2023-01-15

CG技術の発達により,配信者は顔出しをせずに2D CGまたは3D CGのアバタを利用して配信を行うことが可能となっている.アバタを利用した配信者,すなわちVTuberはCG技術の発達とともに活動の幅が広がっており,顔を出して配信しているYouTuberと遜色がなくなってきている.動画配信サイトでは様々な動画カテゴリが存在するが,動画カテゴリ別によるYouTuberとVTuberの配信スタイルに対する視聴者の印象の違いについてはこれまでほとんど調査されてきていない.そこで本論文では,実写の顔出しの動画と2D CGアバタ,3D CGアバタを利用した動画を用意し,視聴者の印象の違いを調査した.比較実験を行い,動画カテゴリによって配信スタイルに対する視聴者の印象が異なることを確認した.
著者
齋藤 道彦
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.539-561, 2015-11-30

琉球革命同志会・台湾省琉球人民協会・琉球国民党などの組織は,中国国民党/中華民国政府の意を受けた「琉球」吸収工作機関だった。本稿では,中国国民党・中華民国政府による1948年から1971年までの琉球/沖縄吸収工作を検討する。検討対象資料は,「喜友名嗣正(中国名:蔡璋)1948年8月22日付け葉次長閣下あて文書」,「琉球革命同志会工作報告」・台湾省琉球人民協会「工作報告(8,9月分)」(1948年10月付け),琉球革命同志会1949年12月「備忘録」,蔡璋「琉球国徽の由来琉球『万暦の役』の惨痛」(1949年2月25日『中華日報』)「琉球革命同志会・琉球人民協会」名「籲議書」(日付け不明),「中国国民党中央改造委員会から葉公超部長あて1951年2月20日付け代電」,「中国国民党中央委員会第 組から外交部葉公超部長あて1952年7月14日付け書簡」ほかの中華民国中央研究院近代史研究所檔案館所蔵の外交部檔案電子資料である。
著者
森 真誠 深井 貴明 山本 啓二 広渕 崇宏 朝香 卓也
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-59, no.7, pp.1-8, 2022-09-06

近年,爆発的に増加するデータを処理するために,多くのソフトウェアが利用されている.これらを共用 HPC システム上で利用する需要はあるものの,現在の共用 HPC システムはユーザが管理者権限を使用 (以後,root 化) できず,これらソフトウェアの導入に多くの労力を要する.また,システムレベルの最適化も root 化ができないため共用 HPC 環境では困難である.一方で共用 HPC 環境で単に root 化を許可すると,ハードウェアへの恒久的な変更などセキュリティや運用上で問題ある操作を防げない.また,ユーザのジョブがシステムの設定を変更できるため,ジョブの実行毎に設定変更の影響を取り除くためのマシン再起動が必要となるものの,再起動処理には多くの時間を要する.仮想計算機を用いるとこれらを解決できるものの,仮想化処理による性能劣化があり HPC システムには適さない.本研究では,上記課題を解決しユーザの root 化を可能とするシステムを提案する.提案システムは軽量なハイパバイザによって (1) ハードウェアの恒久的な変更を防ぐ機能と (2) ジョブ実行後マシンの再起動なしにシステムを既定の状態へ戻す機能を提供する.本手法を富岳と同系統システムで評価するため,Arm プロセッサで動作する軽量ハイパバイザ MilvusVisor と上記 2 つの機能を設計および実装した.本実装による実験の結果,メモリ性能における性能劣化について 2% 以下で上記機能を実現できることを確認した.
著者
平岡聖也 奥村紀之
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.159-160, 2014-03-11

現在,推理小説には多くのジャンルが存在し,読みやすさという観点からの難易度も非常に幅が広い.推理小説を読もうとしても,読み慣れた人とそうでない人では読んで面白いと感じる難易度に差が出てしまう.推理小説における難易度は,トリックを暴いて犯人を当てる難易度と直結している.そこで,文脈解析を用いて推理小説を解析し難易度を判定することができれば,読み手の小説の取捨選択を支援することができる.本研究では,青空文庫の推理小説を対象に文脈解析を行い,犯人推定やトリックの解析結果から小説の特徴や難易度を判定する.加えて,読み手の求める条件から推理小説をランキングする手法を検討する.
著者
戸田 三三冬
出版者
文教大学
雑誌
文教大学国際学部紀要 = Journal of the Faculty of International Studies Bunkyo University (ISSN:09173072)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-25, 2004-07-01

This paper attempts to give some information on the study of anarchist ideas of Errico Malatesta in his early days. Malatesta entered in the Italian republican movement when he was a middle high school boy. When he studied medical science at the University of Naples, in 1871, under the influence of Paris Comune, participated the socialist activities in the Neapolitan section of the First International. Being one of the most active members, he taught workers' children in the evening school of the International, and became one of the editors of its organ,<<La Campana>>(bell). His necrology for Giuseppe Mazzini, the former Maestro, shows how deeply he was influenced by the sincerity of his old teacher. Even though he has changed his ideology, still remains Mazzini's teachings of love and duty in his heart. After the fall of Paris Comune, the International Working Men's Association was devided into two camps, Marxist and Bakunist. The latter formed so-called Anti- Authoritarian International at St. Imier, a small town in Giura, Switzerland. There Malatesta participated, and in this occasion, met Michel Bakunin for the first time. Bakunin called Malatesta with given name"Benjamin". Malatesta will be faithful to Bakunin's soul all through his life, although he modified some of the ideas of the teacher. The paper covers roughly up until 1891, the year of the publication of his pamphlet, Anarchy, in London. The work, which he began to write in 1884 on his paper<<La Questione Sociale>>(social problem) at Florence, was continued to write on his paper with the same name, in the days of his exile in Argentina. The focus is not on the analysis of the contents of Anarchy, but on the understandings of the material situation on his activities which have guided him to write and condensed his own theory, on Anarchy and Anarchism.
著者
小川 功
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF MANAGEMENT (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-24, 2010-03

旅館主が地域振興に大きく貢献した例は別府の油屋熊八など全国に数多く存在するが,油屋など一\n部の例外を除き必ずしも伝記等で事跡が解明されているわけではない。その背景には旅館業の多くが家業として個人経営の形態で運営され情報公開されることも少なかった事情もあろう。\n今回取り上げた日本三景の一・松島の旅館主・大宮司雅之輔の場合,ご子孫が遺品たる書画骨董等\nの一切を瑞巌寺宝物館ほかに寄贈され,学術的な調査を経て数次にわたり同館で特別展を開催されて来たという希有な事情にあった。本稿では同館のこれまでの研究成果や『松島町史』等に依拠しつつ,大宮司が地元の観光振興を願って運輸業を中核とする地元企業の多くに役員・大株主等として積極的に関与した企業者史的側面を明らかにしようとした。\nまず松島軽便鉄道では執行役員による仮装払込が発覚して免許失効,次に松島電車では経営不振の\nため債権者に軌条・車両等を競落され運行停止に陥るなど,彼が関与した企業の多くは期待された成果を生まなかった。相次ぐ不首尾にもかかわらず,彼はその後も松島を中心とする陸海の各種運輸業への関与を止めようとしなかった。一面で浮世絵等の収集家でもあった彼は独自の考え方に基づいて美術商から大量の書画を買い続けたという。関与した松島軽便鉄道,松島電車等はいわば習作の部類に入るわけだが,最後に本命視した宮城電気鉄道(現仙石線)は仙台と直結する本物の観光路線として成功を収めた。彼が損失も覚悟の上で最後まで地域の公益企業に関与をし続けた根底には明治末期宮城県から松島公園の委員を嘱託された際に開陳した彼の宿願たる松島振興策があったものと考えられる。なお地元銀行の再生等に私財を投じて尽力した大宮司の銀行家としての今一つの重要な側面の解明は別稿にゆずりたい。
著者
吉野 政治 YOSHINO Masaharu
出版者
京都
雑誌
総合文化研究所紀要 = Bulletin of Institute for Interdisciplinary Studies of Culture Doshisha Women’s College of Liberal Arts (ISSN:09100105)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.152(1)-138(15), 2011-03-31

Every culture systematizes natural phenomena in its own way. Consider the number of colors of rainbow. Before the early Edo period, Japanese belived the rainbow had either 3 or 5 colors, depending on wether the Chinese theory of "Inyo-Gogyo-Setsu" or the old European astronony was applted. Following Newton's theory on the 7 color rays of sun, though, the Japanese bigan to see 7 color bands in the rainbow.
著者
小林 敬明 森口 聡子
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.42-57, 2018-12-20

本研究の目的は,ITプロジェクトマネジメントにおけるスケジューリング作業の効率向上によるプロジェクトマネージャの負荷軽減である.一般にプロジェクトの納期とコストはトレードオフの関係にあり,優先度はプロジェクトがおかれた環境や状況次第で変化する.そこで本研究では,(1)納期,(2)要員の重複タスク日数,(3)要員数の3式の目的関数を最小化するための多目的遺伝的アルゴリズムを用いた自動スケジュール生成ソフトウェアを提案する.メタヒューリスティクスを用いたプロジェクトスケジューリング手法に関する多くの先行研究があるが,本研究ではITプロジェクトスケジューリング特有の目的関数と制約条件に着目する.本研究のモデルでは,パレートフロントの一部を厳密解として少ない計算量で得ることができ,それらを初期集団に組み込むことで探索効率を向上できることを示す.プロジェクトマネージャは,提案するソフトウェアで生成された複数の準最適解のなかから,プロジェクトの状況にあったスケジュールを選択することができる.提案するソフトウェアは,一般的なPCを用いて現実的な時間内でスケジュールを生成する.数値実験およびインタビューにより,提案するソフトウェアがプロジェクトマネージャの負荷軽減に有効であることを示す.
著者
堀田 龍也
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.72-79, 2017-12-15

平成28年(2016年)12月の中央教育審議会答申および平成29年(2017年)3月に告示された新学習指導要領においては,情報活用能力が「学習の基盤となる資質・能力」と明記されるなど,情報教育の重要性がより高まっている.本稿では,中央教育審議会答申から新学習指導要領にかけての情報教育に関連する審議等について,その経過を踏まえて解説する.まず情報教育が学習における方法知として期待されてきたことを示した上で,新学習指導要領における情報活用能力の位置づけ,各教科等との関連,特に小学校段階におけるICTの基本的な操作スキルやプログラミング教育,今後の研究の必要性などについて説明する.