著者
松井 藤五郎 蔦木 宏斗 加藤 準平 後藤 卓
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.2L5GS1301, 2020 (Released:2020-06-19)

本論文では、株価時系列データを対象として、企業をクラスタリングする方法を提案する。企業の中には、事業を多面的に展開し、単一の業種には留まらないものもあるが、従来の業種分類ではいずれか1つの業種に分類されており、業種分類が実態とは乖離しているものが存在している。また、業種分類の中には本来は異なる複数の業種が1つの業種としてまとめられている業種もある。これまでに、投資信託のリターンを対象として同一ベンチマークのインデックス型投資信託をクラスタリングする手法が提案されている。そこで本論文では、業種ごとに企業をクラスタリングできるようにこの手法を拡張し、株価時系列データを対象として企業をクラスタリングする。また、提案手法を実際の株価データに適用し、その有効性を確認する。
著者
鶴田 一 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.723-730, 2017
被引用文献数
1

国内ではカジノ政策の成功例としてシンガポールが取り上げられる事が多いが、同国における合法化検討の歴史とそれに伴う観光政策、都市計画の歴史が同時に考察される事は少ない。同国では2005年にIRという概念の下、カジノが合法化されたが、本研究はその際に具体的な証拠を基に議論がなされたかを検証し、カジノ合法化過程を観光政策、都市計画の歴史と併せて分析することで、3つの要素が各時代にどのような関連性を持つのかを考察する。さらに2005年のリー・シェンロン首相の声明文との整合性を検証し、最終的にIRに関して、観光政策との関連を踏まえながら、都市計画上の知見を得ることを目的とする。分析の結果、シンガポールでは1965年の建国時から合法化を4回否決してきたが、第4回目以降の合法化検討過程において、シンガポールの都市計画、観光政策は類似した内容を打ち出し、実施していくという関連性が見られた。また声明文での、IRにより大型の都市開発を海外からの投資を得て自国の経済的リスクを負うことなく短期間で行えるとの言及は、観光政策と都市計画とを関連させて新しい観光資源を生み出していくという点で有益と考えられる。
著者
岩船 昌起
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p><b>【はじめに】</b>災害時の新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)対策が必要な中,「猛烈な」強さに発達が予報された台風10号が2020年9月6~7日に鹿児島県に強い影響を及ぼし,県内市町村で避難所が多く開設された。本発表では,岩船(2020,2021)を踏まえ,鹿児島県「避難所管理運営マニュアルモデル〜新型コロナウイルス感染症対策指針」(以下「県避難所COVID-19対策指針」)と照合しつつ,市町村での避難所運営実態を再検証する。</p><p><b>【「県避難所新型コロナ対策指針」の概要】</b>2020年6月1日に策定され,①避難所となる施設や敷地を事前にレイアウトして事前に空間利用を計画し,定員数等を定める,②受付での水際対策を徹底する,③「感染疑い者」等を認識する目安として,検温や体調の自己申告の他に,行動歴の任意提示も参考とする,④「感染疑い者」には別室での自主的隔離を基本として,非「感染疑い者」と生活空間を別にする,⑤安全確認できれば自家用車も「自主隔離空間」として活用する, ⑥定員超過の場合でも,感染死亡・重症化リスクが高い高齢者等を除き,リスクが低い者から身体的距離2mを短縮する,⑦またその同意を事前に得ること等の特徴がある。</p><p><b>【避難場運営の実態と今後の課題】</b>鹿児島市では, 2020年10月1日現在での市人口598,481名の0.8%に相当する4,854名が避難所に入所し,205施設中13施設で定員超過した。以前から「避難所が定員超でも入所希望する全員を受け入れる」方針であったため,感染リスクを恐れて避難所以外に「分散避難」した市民が多かったが,洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域等に立地する住家が相対的に多く,避難所となる公的施設も人口比で少ないことから,既存の避難所運営計画では十分に対応できなかった。また,HP「避難所における新型コロナウイルス感染症対策」の「避難者の十分なスペースの確保」を定員超過の避難所で実現できず,「県避難所COVID-19対策指針」上記 ⑥と⑦の対応を行わなかった。</p><p> 暴風圏内の屋外では暴風で人が死傷する恐れがあるが,COVID-19「致死率」は80代以上12%等を踏まえると(厚生労働省2020『新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き第4.1版』),特に「ステージⅣ(感染者爆発的拡大)」等の感染拡大の警戒基準時や,居住域が広範囲で被災した場合を見越しての対策が講じられるべきである。</p><p> 一方,瀬戸内町では,台風10号避難所入所者総数は176名であり,2019年4末現在で全人口8,941名の2.0%に止まった。117名の避難者が集まった「きゅら島交流館」では,結果として定員数を上回らなかったこともあり,「県避難所COVID-19指針」を参考に町保健師が事前に計画した避難所レイアウト案に沿って,避難者の空間配置を適切に行えた。しかし,台風進路に近い喜界町では, 2020年10月1日現在での町人口6,606名の14.7%に相当する973名が避難所に避難し,17施設中3施設で定員を超過した。「県避難所COVID-19指針」を参考に喜界町では人口密集地域の避難所レイアウト案を事前に作成したものの,想定超の避難者が押し寄せた避難所では,適切な空間利用に至らなかった。</p><p><b>【課題解決の動き】</b>奄美大島では,日本の諸地域と同様に,標高5m以下の沖積平野に居住域が広がり,スーパー台風時に5m高の高潮が発生すれば,避難所も含めた居住域が広く被災する。演者は,COVID-19対策も含めてこの災害想定時の対策づくりとして,地域コミュニティの住民一人一人の避難手段・経路・場所をパーソナル・スケールで検討するワークショップを行っている。例えば,宇検村では,モデル地区での村民アンケート調査を行い,スーパー台風時の個々の避難計画づくりに着手した。来年度以降に全村に活動を広げて村民2,000人の避難台帳づくりを予定している。</p><p><b>【おわりに】</b>鹿児島県内市町村での台風10号避難所運営では,地域性に応じて多少の混乱があった。これらを踏まえて,「県避難所COVID-19対策指針」改訂や,避難所運営計画も含めたコミュティでの地区防災計画立案にかかわる研修等を市町村で行い,課題解決につなげたい。</p><p><b><参考文献></b>・岩船昌起2020.鹿児島県市町村での2020年台風10号避難所運営の実態−新型コロナウイルス感染症対策も含めて.季刊地理学,72(3),ページ未定.※東北地理学会2020年秋発表要旨.</p><p>・岩船昌起2021.新型コロナ下における自然災害への備え−大規模化する災害へ対処するために.生活協同組合研究,540,11-18.</p><p><b><謝辞></b>本研究は科研費基盤研究(C)(一般)「避難行動のパーソナル・スケールでの時空間情報の整理と防災教育教材の開発」(1 8 K 0 1 1 4 6)の一部である。</p>
著者
三輪 全三 飯島 英世
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1.研究目的 : 現在小児における歯髄の生死は主として電気刺激などの侵襲的な刺激に対する反応によって判断されていることが多い。本研究では、小児の歯髄から透過光光電脈波(TLP)を記録し、この脈波の有無が歯髄生活テストヘ応用が可能か否かを検討した。2.研究方法 : 予備実験として成人を被験者とし、今までに報告されている透過光光電脈波法(井川ら1983)によって健全歯の歯髄から脈波が検出できることを確認した。次に小児の健全歯(幼若永久歯および乳歯)からも同じように歯髄脈波が検出できることを確認した。方法は被験歯の印象模型から製作した個歯アダプターの口蓋側に付けられた光ファイバーを通して、歯に緑色の発光ダイオード(LED、ピーク値525nm)を照射し、この透過光を唇側から採取した。透過光はCdS光電セル(ピーク値、550nm)に導かれ、透過光量は交流増幅器を通しTransmitted Light Photoplethysmography(TLP)として被験者の指尖脈波と同時に記録した。記録はうす暗い部屋で、遮光性の黒色ラバーダムを装着した場合としない場合とに分けて行ない、歯周組織脈波の混入の影響を確認した。成人被験者において、局所麻酔前後でのTLP振幅の変化を観察した。TLP信号は後で平均加算し、脈波振幅は信号処理ソフトを使用して求めた。3.研究結果 : 1)成人および小児の被験者の健全歯から、指尖脈波に同期したTLPが検出された。小児の被験歯では成人と比較してTLPの脈波振幅は大きく、波形も明確であった。2)電気刺激に反応しなかった脱臼歯においてもわずかにTLPは記録された。しかし、再植歯では明瞭な波形は検出されなかった。3)ラバーダムの装着により信号の有意な減少は生じなかった。4)局所麻酔よって、TLP振幅が変化することからTLPは歯髄の血流を反映してると思われた。本法は非侵襲的で痛みを誘発せず、客観的であるため、外傷歯や幼若永久歯などの歯髄診断に有用であり、小児歯科臨床における検査法として応用できる可能性が示唆された。
著者
名徳 倫明
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.237-242, 2018 (Released:2018-06-30)
参考文献数
14

ラン科植物の中のPaphiopedilum属 (Paph) は,様々な品種改良が行われ,現在では,花型が大きく丸く,色彩の鮮やかな整形交配種が多く誕生している.そこで今回はPaphの白色整形花の評価をJOGAのメダル審査にて入賞した1981年から2015年までの入賞個体を対象として,花形や大きさを調査した.また,白色整形花の改良に大きく貢献した2種のPaph. F. C. PuddleおよびPaph. Skip Bartlett交配系統に分類して集計した.30年の経過とともに,花径幅,花弁幅では15 mm程度大きくなり,花弁幅/花径幅では0.1程度上昇した.これらの値からも,白色整形花はより大きく丸く品種改良されていることが伺えた.さらに2000年前後から改良が大きく進み,特にPaph. Skip Bartlettの血統を引くS系交配が品種改良に非常に貢献し,今後もこれらの系統を使った交配親を用いることにより,大きく品種改良が進むであろうと考える.
著者
藤木 克洋 波多 英寛 藤原 和人 川島 扶美子 坂本 武司 稲尾 大介
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
スペース・エンジニアリング・コンファレンス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp._A1-1_-_A1-4_, 2013

Now, in order to elucidate phenomena of high velocity, high velocity launching equipment, such as single stage gas gun, powder gun, and two stage gas guns are used. Generally, powder gun and two stage gas guns can launch a projectile high mass compared with a single stage gas gun. But, the working hours for cleaning the inside of a launch tube are required after launching a projectile, and since gunpowder is used, the deterioration of equipment is large compared with a single stage gas gun. On the other hand, a single stage gas gun can prepare launching projectile in comparatively short time. Moreover, there is an advantage that equipment degradation is small. In this study, the single stage gas gun which can be launched to a portable type and all the directions is developed. And the experimental result which launched various projectiles using the single stage gas gun is reported.
著者
中沢 鴻一 隠岐 金蔵 田所 勲 本庄 美喜男 人見 弘 上柳 次三郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.296-299, 1954
被引用文献数
1

1) 我我は抗黴,抗酵母,抗植物病原菌物質を生産する放射状菌1545株を分離した.<br> 2) この菌株は<i>spreptomyces hygroscopicus</i>の1新変異株であると同定し,本菌株の生産する抗生物質を仮にHygroscopinと命名した.
著者
坂元 茂樹 Shigeki Sakamoto
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 = The Doshisha law review (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.815-856, 2019-05

2018年12月26日、日本政府は、国際捕鯨取締条約からの脱退を公表した。この脱退通告に伴い、日本は2019年7月から商業捕鯨を再開することが可能となった。しかし、日本が商業捕鯨を再開するや、国連海洋法条約の締約国が日本を相手取って、同条約第65条や第194条5項の違反を理由に、強制的仲裁手続に訴える国際訴訟リスクがある。日本としては同条約第297条3項(a)但し書きによって、管轄権を否認することになろう。本論文は、日本がIWC脱退に至った背景とともに、こうした海洋法条約上の義務の抵触の有無について検討する。論説(Article)
著者
草野 寿之 松井 藍有美 大川 周治 奥津 史子 松川 高明 豊田 有美子 根来 理沙 頼近 繁 濵坂 弘毅 眞木 信太郎 遠藤 舞
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.145-156, 2013
被引用文献数
2

本研究の目的は,純音ないし音楽による聴覚刺激が味覚機能,特に甘味と塩味に対する味覚の感受性に及ぼす影響を明らかにすることである.<br> 実験1では,被験者として健常有歯顎者22名を選択し,純音が甘味および塩味に対する味覚閾値に及ぼす影響について検討を行った.聴覚刺激に用いた被検音は10Hz,4,000Hz,20,000Hzの3種類の純音とし,音の大きさは50dBに設定した.味覚閾値の検査に用いる味質は甘味(スクロース)と塩味(塩化ナトリウム)の2種類とし,各味質の濃度は0.005M,0.010M,0.050M,0.100Mとした.聴覚刺激の負荷は15分間とし,味覚閾値の検査は全口腔法を用いた.<br> 実験2では,被験者として健常有歯顎者22名を選択し,音楽が甘味および塩味の味覚に及ぼす影響についてVASを応用して検討を行った.聴覚刺激に用いた被検音には,3種類の音楽(1)癒しのモーツァルトBEST,(2)refine 身近にできる音楽療法,(3)究極の眠れるCD を用いた.味覚閾値の検査は実験1と同様に行い,さらに自覚した味の強さをVASによりスコア化し,味覚の感受性として評価した.また,今回用いた音楽の嗜好に関するアンケート調査を同一被験者に行い,音楽刺激前と後との間における味覚VAS値の差を嗜好別に算出し,音楽の嗜好が味覚の感受性に及ぼす影響についても検討した.<br> その結果,純音による聴覚刺激では味覚機能への影響は認められなかったが,音楽による聴覚刺激では味覚機能,特に甘味における味覚の感受性に影響を及ぼすことが示唆された.さらにその音楽に対する嗜好は甘味における味覚の感受性に影響を及ぼすことが示唆された.