1 0 0 0 OA 歌枕秋の寝覚

著者
有賀長伯 著
出版者
中村芳松
巻号頁・発行日
1893
著者
張 厚殷
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.217, 2010

今まで韓国の地域産業政策の大部分は,中央政府の主導で行われ,その政策手段も中央政府から選定された各地域に等しく適用される方式で推進されてきた.しかし,最近韓国では,地方自治制度の復活と発展とともに,既存の産業政策の立案と推進過程に変化が現れ,地方自治体が,地域経済を活性化させるため,政策の決定や執行に主導的な役割を演じ始めた.本発表では,このような地域産業政策のパラダイムの変化に対応した韓国の地域産業政策の展開について大邱ミラノプロジェクトを中心に跡付けていく.<BR> 大邱広域市では,地域の繊維産業を対象とした'繊維産業育成方案(通称:ミラノプロジェクト)'を1999年からスタートさせ,現在は第3段階(2009~2012年)の事業を推進している.政策の目標は,大邱地域の繊維産業を先端高付加価値型の繊維産業に構造を改編し,最終的に世界的な繊維・ファッション産業のメッカとして育成・発展させることであり,イタリアのミラノ市を発展モデルとしている.大邱地域のミラノプロジェクトは,特定地域の特定産業を選定して集中的な支援を行う地域産業政策の最初の事例であり,その後全国的に推進された'地域産業振興事業'の先駆けとなった.<BR> ミラノプロジェクトは,金大中政府の新産業政策として出発した.事業推進の権限は,大邱広域市ではなく,中央政府の産業資源部が持っていた.また,ミラノプロジェクトは,大邱の繊維産業の育成のための独自事業として始めたが,以後,中央政府の決定によって4ヵ地域産業振興事業の一つという位置づけに変更された.第1段階のミラノプロジェクト(1999~2003年)は,17ヵ事業,事業費6,800億ウォンで,基盤造成のためのハード面の整備が事業の中心であった.基盤施設における集中的な投資を通じ,地域繊維産業の構造改善及び高度化のためのインフラが構築された.しかし,政策の企画・設立から多くの問題点を露出した.第1段階のミラノプロジェクトは,事業企画のための基礎調査と分析が不十分であり,全般的にずさんであった.そのため,事業企画に関する協議が不足し,企業間の有機的な協力がなく,また産業界以外の地域内外の主体の参加も不足していた.<BR> 2003年に発足した盧武鉉政府は,韓国の地域政策において画期的な変化をもたらした.盧武鉉政府は,国家均衡発展政策というフレームの下で積極的な地域政策を推進し,国家均衡発展特別法,特別会計,国家均衡発展委員会,国家均衡発展5ヶ年計画などを通じ、地域政策の制度的基盤を整備した.2004年から推進された第2段階の事業では,各地方自治体の企画案を土台とし,中央と地方自治体間の協議調整を経て,事業が設計された.また,第1段階とは,地域の特性を反映した戦略産業の追加,産業別・地域別に特性化されたプログラムに対する投資の強化,部門別事業間・地域間ネットワークと協力の強化,総合的な評価管理システムの構築などの違いがある. 第2段階のミラノプロジェクト(2004~2008年)は,16ヵ事業,事業費1,978億ウォンで,企業の研究開発のためのソフト面の整備に重点を置いた.企業側面から高感度・高機能性の繊維製品を開発する174の事業課題を支援し,人材養成,インフラの補強,融資事業を重点的に推進した.しかし,まだ産学研ネットワーク構造の脆弱,技術開発の活用と事業推進成果に対する評価システムの不備,事業費の有用と公金横領などの予算執行統制システムの不十分などが批判されている.<BR> 長い間,中央集権体制を維持して来た韓国で,地域自らが発展戦略を樹立するということは大きな制度的転換であるが,事業の成否の鍵を握っているのは地方自治体の政策企画能力と事業の運営能力である.いまだに中央政府と地方政府との分野別・政策間の役目分担は不明瞭であり,相互連携も不充分である.また地域産業政策がその地方自治体から立案されているにも関わらず,政策決定は中央政府の権限であるため,強い統制を受けている.
著者
原科 幸彦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.39, 2010

1.環境計画・政策への参加環境市民とは何か。市民とは公共的な立場で考え行動のできる人のことで、住民に対置されるものである。環境計画への参加には、計画策定への参加と計画実行への参加があるが、環境市民活動は往々にして後者の参加ととらえられている。特に我が国では、計画や政策の意思決定過程への参加が極めて限られていたが、計画・政策をどう作るかが最も重要である1) 効果的な計画・政策ができてこそ、それらの実行段階での参加が意味をもつ。廃棄物処理における焼却主義は、十分な検討がなされたかに大きな疑問がある。温室効果ガスの削減に原子力発電が有効とされるが、燃料や廃棄物処理の持続可能性を考えると本当に推進して良いのか。この政策決定に国民参加はほとんどない。また、従来、不合理な計画の提案がなされた例も多い。例えば、2005年愛知万博では当初計画に重大な問題があった。だが、計画段階でのアセスメントにより良い計画に変えられた。事業仕分けをより丁寧に行うには、評価過程の透明化のため、アセスが必要。2.参加の保証の制度設計2)我が国の参加の黎明期には、参加の障害を除くことが求められたので「参加の保障」と称したが、今は次の段階、参加を確かなものにする「参加の保証」の時代に。市民参加の5段階モデル1.情報提供 (Informing)2.意見聴取 (Hearing)3.形だけの応答 (Formal Reply Only)4.意味ある応答 (Meaningful Reply)5.パートナーシップ (Partnership)参加の保証のためには、レベル4の意味ある応答の参加を実現する条件を与えることが必要。そこで、フォーラム、アリーナ、コートという枠組みで捉える 公共空間での議論計画の策定段階における参加と、実行段階における参加、オーフス条約で提示された環境政策に国民が関与するための3つの条件 フォーラム(情報交流の場) 情報へのアクセス アリーナ (合意形成の場) 意思決定における参加 コート (異議申立ての場)訴訟へのアクセス 3.オーフス条約の3条件(1)環境情報へのアクセス2001年に情報公開法が施行されたが、かえって情報が出にくくなった。情報を早期に廃棄する例も。アメリカの情報自由法:情報提供あるいは裁量的公開の推進、会議情報の公開。重要な政策の選択は審議会などで議論:議事録は発言順に発言者名を公表すべき。(2)意思決定における参加レベ4「意味ある応答」の参加の実現、公共空間での議論が不可欠、計画の策定から実行までの参加を。事業段階からの参加では遅すぎる。戦略的な意思決定段階での参加が、戦略的環境アセスメント(SEA)。(3)訴訟制度へのアクセス訴訟制度へのアクセスが必須。行政手続法で説明責任を義務付けることが必要。政府の決定への国民関与は1993年の行政手続法の制定時にも議論。当時は時期尚早とされたが、時代は変わった。 行政事件訴訟法の改正社会システム構築のチェック機構として、公益性の観点から争えるようにする。2004年6月の行政事件訴訟法の改正により原告適格の範囲が拡大。法廷で争えれば、参加の結果が意思決定に反映される可能性は高まる。例えば、米国連邦政府レベルのアセス制度(NEPAアセス)は訴訟制度との連動により改善された。社会システムの(ソフト)インフラ整備が不可欠。
著者
水内 宏 李 潤華
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.55-62, 2006-02-28

中国の大学における日本語教育の発展を促進するためには,今後,明らかにせねばならぬ課題は多大にあると思われる。その課題の一つとして,本研究では,日本語教育のなかの「日本事情」教育に焦点をあて,日中の共同研究として大学での「日本事情」教育の抜本的改革のための新しい内容的・方法的視点を提起することを意図した。空論に陥らぬためにも,大学での実験的授業の実施など,研究手法上の工夫にもそれなりに腐心したつもりである。
著者
武村 健矢 畑中 拓 岡田 純弥 目黒 淳一
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.854-857, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
10

Virtual reality technology has become widespread and motion platforms have been developed. However, the relationship between motion and sensation in MP has not been fully evaluated. Therefore, in this study, we confirmed that front and back motion and continuous rotation synchronized to the video could affect the human sensation of rotation. Then, we experimentally estimated the threshold of rotational sensation that humans can perceive, and tested the relationship between MP motion and sensation. The experimental results confirmed that 75% of people could not perceive continuous rotation up to 25 [deg/s] and that it may not affect the physical sensation.
著者
岩坂 泰信
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.803-809, 2013-10
著者
長谷川 泉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.36-37, 1959-08-01

明治・大正・昭和の3代に大きな足跡を残した永井荷風の死は,その孤独の死にざまの故に世間を驚かせた.いや世間は驚かなかつたかもしれないが,注目はした.身内がひとりもいない死の床の戸外には,50人余のジヤーナリストがつめかけていた.これは荷風死後のある瞬間における,荷風家をめぐる現実の姿であつた.人つ子ひとりも通らないような山奥で,身もともわからない他殺死体が見つかつて,まずジヤーナリストがかけつけたといつた環境とは全く違うのである. 老残の荷風は,みとる人もなく,ひとりで死の床に横たわつていた.発見されたのは,通勤の老婆が翌朝出勤してからのことである.荷風は長く独身で,身辺に人を近づけなかつた.女には近づいたが,共に住まなかつた.女ばかりではない,荷風の嫌人癖は徹底していた.それが荷風の方針であつたから,死の床にだれひとりいなくても荷風はもつてひとり瞑することができたであろう,恐らくは,その生涯をかえりみて,死期の後悔もなかつたであろう.その方針を貫いただけである.死に伴う必然の肉体的苦痛はあつたかもしれないが,精神のいたみは全々無かつたであろう.荷風はそのように生き,そのような最後をも自ら読んでいたことであろう.
著者
畠中 岳 伊藤 良 小林 靖奈 山元 俊憲
出版者
昭和大学薬学雑誌編集委員会
雑誌
昭和大学薬学雑誌 (ISSN:18847854)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.85-90, 2012-07

東日本大震災の発生時は、電気・ガス・水道などのライフラインが寸断され、食料や医薬品などの物流も途絶えたため、孤立した地域が多く発生した。薬局業務では、ライフラインの復旧まで、被災を免れた医薬品を有効に活用する必要性に迫られた。また、長時間の停電のため、電子天秤による秤量が困難となった。さらに、飲料水の確保も困難で、限られた水量で調剤や服薬を維持しなければならなかった。被災者の中には、調剤や服薬における最低限の水量の確保、状態に応じた少量の散剤の秤量を必要とする患者がみられた。そのため、秤量が困難で、確保できる水量が限られた震災時には、服薬の継続ができなくなった患者の病状悪化が懸念された。本症例報告では、昨年の東日本大震災時、薬剤師の提案により、本来経管投与に利用される簡易懸濁法を経口投与で活用し、嚥下障害を有する患者に対して服薬援助が継続できたので報告する。(著者抄録)
著者
志尾 嘉洋 伊藤 博子 川村 恭己 河島 園子
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.143, pp.77-82, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

It is necessary to develop a system that reduces the load on the marine traffic control because its work is manual and heavy. In this study, we created a ship behavior prediction model using Recurrent Neural Network (RNN) to explore the possibility of marine traffic control and ship maneuvering support by machine learning. Specifically, we predicted the position and course of a ship that would go through the bend of the Uraga Channel from 5 items (length, width, course, speed and position) and displayed on a map. It shows that the effectiveness of ship behavior prediction by machine learning has been confirmed.
著者
高橋 正雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.862, 2002-09-10

昭和7年に発表された宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』は,主人公のグスコーブドリが,凶作を未然に防ぐために自らを犠牲にして火山を爆発させるという物語であるが,そこには,農民のために自己犠牲的な人生を生きた賢治自身の人生が投影されている.この作品は,火山局に勤める27歳の青年ブドリがさまざまな技術で農民の収穫を増やし,最後には自らの命を投げ出して冷害を防ぐという設定になっており,特に,両親を早く亡くして3歳年下の妹と二人だけが生き残る形にしていることには,農民を救う自らの晴れ姿を妹に見せたいという賢治の思いをうかがうことができる.賢治は,24歳で亡くなった2歳年下の妹トシのことを誰よりも愛していたのであり,グスコー・ブドリとネリという兄妹は,ミヤザワ・ケンジとトシという兄妹の相似形になっているのである.(ブドリとネリが10数年の別離の後に再会するという設定も,当時既に死の床にあった賢治の,10年前に亡くなったトシと来世で再会したいという願望の現れと見ることができる.)
著者
神沼 克伊
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.20-28, 1976-07

日本,アメリカ,ニュージーランド3国共同事業として,ドライバレー掘削プロジェクト(DVDP)が1971-1976年の夏のシーズン,アメリカのマクマード基地を中心に行われた.このプロジェクトの一環として, 1974-75, 75-76年のシーズンに微小地震の観測を行った.観測は,マクマード基地北東城のアライバル・ハイツで3週間,オブザベーション・ヒル北方麓で1ヵ月,ドライバレーのティラー谷で10日,バンダ基地で3週間,実施した.マクマード基地は火山島であるロス島の南西端に位置し,活火山エレブスの火口から30km離れている.マクマード基地付近での観測からは,1日に1個程度の頻度で微小地震が発生していることが明らかになった.また大陸にあるドライバレーでの観測では,2日に1個程度の発生頻度であった.この二つの事実からマクマードサウンド周辺の地震活動は,2日に1個程度の割合で微小地震が発生し,火山地域ではそれに重なりさらに同程度の割合で微小地震が起こるものと推定される.
著者
若林 和樹 黒崎 みのり 甲賀 英明 田村 勝
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.55-59, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
10

遺残環椎前分節動脈(PPPIA)は胎生期遺残動脈の1つであるが発生頻度が低いものと推定されている。今回我々はPPPIA1型に合併したperimesencephalic nonaneurysmal subarachnoid hemorrhage(PSH)の1例を経験した。症例は61歳男性で突然の頭痛、嘔吐で発症した。頭部CTにて脳幹周囲脳槽に強いくも膜下出血を認め、発症当日の脳血管撮影にて明らかな出血源を認めなかった。第4,14病日に脳血管撮影を再検したが出血源は同定されなかった。その後再出血なく、現在経過観察中である。一般にPSHの予後は良好とされるが、遺残動脈には脳動脈瘤合併の割合が高いとされ、また遅発性に脳動脈瘤新生の報告1)もあるため今後も注意が必要である。
著者
讃井 知 雨宮 護
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.858-863, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
23

特殊詐欺抑止において,市民が特殊詐欺と思われる事案に遭遇した場合に,その事実を迅速に他者に伝えることの有効性が指摘されている.そこで本研究は,詐欺電話等の接触があった際に,警察,行政,地縁組織,近隣住民に対する市民の情報提供意図を高める要因を明らかにすることを目的とした.特に,情報提供行動と平時における備えを検討するために,日常の地域や家族との関わりが情報提供行動を促進する可能性を検討した.特殊詐欺における情報提供行動が期待できる世帯類型である高齢者夫婦のみ世帯を対象とする質問紙調査を行い,874世帯の夫婦それぞれから回答を得た(n=1748).マルチレベルSEMによる分析を行い,情報提供の意図を高める心理プロセスのモデル検証した.その結果,平時におけるまちづくりへの参加意識が情報提供意図を高め,また夫婦間のコミュニケーションがまちづくりへの参加意識を高める可能性があることを明らかにした.
著者
足立 久男
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.41-57, 2018-01-25 (Released:2019-12-27)
参考文献数
69
被引用文献数
5

新生代においてフォッサマグナ地域の隆起は中期中新世末からはじまり,後期中新世には全般的隆起が進行している.この時期には隆起中軸部付近で激しい火山活動が生じ,多数の火山性陥没盆地群が形成されている.火山性陥没盆地群は一次的な配列と,それと斜交する雁行状の二次的な配列をなしている.これらは,溶融体の上昇による鉛直下からの地殻の突き上げによる引張場での雁行状の深部断裂の形成によって説明することが可能である.隆起中軸部には中新世の花崗岩類の活動,後期中新世の火山性陥没盆地群の発生,第四紀火山の活動などがみられ,現在もキュリー点深度は浅く,また,周囲より地殻熱流量も高い値を示しており,高温帯(火山-深成作用高温帯)を形成している.一方,地震分布・地震波速度構造・地震波トモグラフィなどのデータからも隆起中軸部の地下には溶融体の存在が想定され,深度30 ~50 km ないしは20 ~60 km には地震波の低速度層がみとめられる.これらは地表部から得られた火山性陥没盆地群の形成機構と調和的である.マントル内における部分溶融の発生後,地殻下部~最上部マントル付近への溶融物質の付加と蓄積,溶融物質の地殻内への上昇と迸入(群生マグマだまりの形成),地殻内の断裂に沿っての上昇などが想定され,隆起中軸部における隆起は,このような溶融体の形成とその活動からもたらされるマグマ活動に原因があると考えられる.