著者
福﨑 有希子 島 美倫 中井 里史 小宇佐 友香 浅木 麻衣子 小林 芳久 高橋 和清 國分 優孝 星 純也 坂元 宏成 後藤 有紗
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.92-99, 2020

<p>関東地方南部における光化学反応に大きく寄与している芳香族炭化水素、アルケンの発生源地域を推定するため、東京湾岸地域で2時間ごとの揮発性有機化合物 (VOCs) 集中観測を実施した。得られたデータを用いて、芳香族炭化水素と1,3-ブタジエンについて16方位別に全調査対象VOCs合計濃度に対する濃度割合を算出した。その結果と化学物質排出移動量届出制度 (PRTR) データから算出した16方位別距離加重排出量の傾向がおおよそ一致することから、東京湾岸地域の大気中VOC濃度および濃度割合は周辺の発生源と風向の影響を大きく受けていることが示唆された。各調査地点で調査対象VOCsに対するアルケンの濃度割合が最も大きい風向は川崎市および市原市沿岸部の方向であり、PRTRデータから確認できる1,3-ブタジエンの排出地域の方角を示した。このため、PRTR対象外のエチレンやプロピレンなどの主要なアルケン成分についても同地域から排出されていることが示唆された。</p>
著者
松浦 茂樹
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.37-69, 2015

埼玉県は,今さら言う必要もないが海無し県である。河川を通じて行なわれるその排水は,他都県を流下したのち海に放出される。河川は,利根川(流域面積16,840km2),その派川の江戸川,荒川(2,940km2),そして中川(811km2,うち埼玉県752km2),綾瀬川(176km2,うち埼玉県136km2)である。なかでも古利根川(182km2)・元荒川(209km2)などの埼玉平野東部低地部の洪水は,中川に落ちる。中川を通じて東京都内を流下したのち東京湾に流出(放出)される。中川が埼玉平野の洪水処理にとって実に重要な役割を持っており,ここの整備は埼玉県にとって死活問題といってよい。埼玉県にとってその整備は,長年の課題であった。本論では,中川およびその支川である古利根川・元荒川の整備を中心に,近代の埼玉平野の治水整備について述べていく。
著者
波戸岡 清峰
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.379-386, 1986-03-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17

ウツボ科魚類において顎歯の形態, 配列様式は重要な分類形質となるが, その顎歯に性的二型のあることがアラシウツボ属Echidna2種, ウツボ属Gymnothorax 1種において観察された.アラシウツボ属のクモウツボE.nebulosaとシマアラシウツボE.polyzonaでは歯の形態に差異が認められる.これら2種の雄は前上顎骨板周辺列の歯が鋭い.またクモウツボの雄ではこの部分の歯および下顎前部の歯に顕著な鋸歯状部を持つ。一方, 両種の雌は鈍い円錐状である.
著者
小久保 慶一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.50-51, 2009-03-06 (Released:2017-02-10)
参考文献数
2

溶液の組成などの工夫を行えば-2℃程度の気温の中,シャボン玉を凍らせる事ができることがわかってきた。シャボン膜に出来る結晶の形,その結晶が成長する様子や,凍ったシャボン玉が割れる様子などは神秘的で見る人に感動を与えてくれる。また,凍るシャボン玉が理科部の研究対象としてだけでなく,その研究成果が地域イベントなどへ還元されており地域貢献にもなっている。

1 0 0 0 OA 緊急警報放送

著者
伊藤 泰宏
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.761-763, 2007-06-01 (Released:2009-11-20)
被引用文献数
3 1
著者
時友 裕紀子 阿部 芳子 柘植 光代 松本 美鈴 坂口 奈央
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】山梨県の家庭で食べられてきた主菜について、魚料理を中心に、地域による特徴をまとめた。<br>【方法】「次世代に伝え継ぐ家庭料理」のガイドラインに沿い、山梨県の生活環境と家庭料理について平成25~27年に行った聞き書き調査を中心にまとめた。峡北(北杜市)、峡中(甲斐市)、峡西(南アルプス市)、峡東(山梨市)、峡南(南部町)、東部(上野原市)、富士五湖・富士山麓(山中湖村)を調査対象地とした。<br>【結果】山梨県では、富士川水系(笛吹川、荒川、塩川、早川など)や相模川水系(桂川、笹子川など)、多摩川水系、富士山の裾野の山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖(富士五湖)などの河川、湖沼、および水田や用水路から得られた淡水魚介類が食べられてきた。あゆ、やまめ、にじます、ひめます、うなぎ、こい、ふな、どじょう、わかさぎ、たにしなどが挙げられる。<br> 山中湖ではわかさぎ漁が盛んであり、わかさぎの素揚げの甘酢漬け、佃煮、てんぷら、から揚げ、塩焼きなど多様な料理があった。南アルプス市の甲西町ではふなやこいの甘露煮、どじょうの卵とじを食べた。富士川流域の南部町では、富士川とその支流で漁獲されたうなぎの蒲焼、やまめやあゆの塩焼き、もくずがにの塩ゆでまたはみそ汁が食べられていた。<br> 海産魚介類はいわし、さんま、身欠きにしん、するめなどを主な食材としてきた。米の収穫が終わった頃に、新米にさんまとしょうゆ、酒を入れて炊く「さんま飯」は、主食ではあるが、峡北地域の特徴的な魚料理である。山梨市の家庭ではほっけ、ますの焼き魚が日常の料理であった。現在甲府市で購入量の多いまぐろは昭和30年代から食べられていて、上野原市の市街地では生まぐろのブツ切りをよく食べていた。
著者
土屋 悟 松山 昌史 森 勇人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_355-I_360, 2019 (Released:2019-10-17)
参考文献数
9

火山活動に伴い発生する津波は,地震による断層運動を要因とする津波より発生頻度が低く,その実態はあまり明らかになっていない.また,火山活動に伴い発生した津波の国内外事例を対象に解析的検討が実施されているものの,発生過程は多様であり未解明な部分が多い.そこで本研究では火山活動に伴い発生する津波のうちカルデラ陥没に着目し,水理模型実験によりカルデラ陥没を想定した津波の発生機構を明らかにするとともに,数値計算により既往の検討手法の妥当性を検証した.その結果,水理模型実験によりカルデラ陥没に伴う津波の発生機構が確認できた.また,水理模型実験結果の再現計算により既往の検討手法による初期波形計算手法でカルデラ陥没に伴う津波の発生が表現可能である.
著者
青木 清
出版者
一般財団法人 アジア政経学会
雑誌
アジア研究 (ISSN:00449237)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.22-38, 2020-10-31 (Released:2020-11-19)
参考文献数
19

In October 2018, the Supreme Court of Korea ordered a Japanese company to pay four Korean men ₩100 million each as compensation for the damages from forced labor during World War II. In the next month, the Supreme Court ordered another Japanese company to provide compensation for the same kind of damages. They are called “Cho-yo-ko [forced laborers] Judgments” in Japan. These judgments have caused the Japanese Government to impose severe diplomatic actions upon Korea, i.e., restrictions of exports from Japan. Thereupon, the Government of Korea has carried out counter diplomatic policies toward Japan. As a result, it is said that the relationship between Japan and Korea has been the worst it has ever been since World War II.This paper deals with the “Cho-yo-ko Judgments,” which have given rise to this situation. In particular, it examines the Supreme Court judgment in October 2018 and the lower judgments on the case in which the defendant was Nippon Steel Co., because this case has often been reported on by the media and was considered one of the most famous in Japan.First, after giving the outline of this case, the paper introduces the judgments of the case that were delivered in Japan. Originally, two Korean men among the above plaintiffs brought a case forth in Japan against Nippon Steel Co. and the Japanese Government, but the case was dismissed. After that, the plaintiffs, in which two other Korean men joined in, brought a case forth in Korea against Nippon Steel Co. Although the trial court and the appellate court decided against the plaintiff on the grounds that the Japanese judgment should be recognized under the Korean Civil Procedure Act, in 2012 the Supreme Court overturned the lower court’s decision and sent the case back to Seoul High Court. The Supreme Court refused to recognize the Japanese judgments because of the order public of Korea and continuously held that the individual claims of the Korean men were not settled by the Agreement on the Settlement of Problems concerning Property and Claims and on Economic Co-operation between Japan and the Republic of Korea. Seoul High Court, which the case was remanded back to, ordered the defendant to pay compensation to plaintiffs in 2013. Finally, the Supreme Court confirmed the High Court judgment in 2018.This paper also deals with Korean judgments. Since there are many legal issues arising in the fields of Public International Law, Private International Law, Constitutional Law, Civil Law, and Commercial Law, it examines some of these legal issues and how the judgments affected the relationship between Japan and Korea.
著者
有川 太郎
出版者
中央大学
雑誌
国際的な科学技術共同研究などの推進 戦略的国際科学技術協力推進事業 J-RAPID
巻号頁・発行日
2019

2018年12月23日に生じたクラカタウ火山の噴火に伴う津波の発生により、津波の大きさとしては比較的に小さかったものの、多くの犠牲者が発生した。この津波は、火山の噴火時における山体崩壊により津波が発生したと考えられているが、そのメカニズムは明らかにされていない。また、そのような非地震性の津波に対する警報システムが無かったことが津波避難の遅れにつながり、多くの犠牲者を出したと推測される。そこで、本研究では、以下の3つを実施し、非地震性津波に対するメカニズムの解明、検知システムの構築並びに避難計画の策定手法の提案を行う。 1)クラカタウ島付近の海底地形探査 2)ビデオイメージを活用した海面監視の可能性 3)数値計算と合わせ、避難に有効につなげるための情報発信方法の検証
著者
Yoshiki HIRATA Yusuke KATSUKURA Yuka HENMI Ren OZAWA Sayaka SHIMAZAKI Akira KUROSAWA Yasushi TORII Hironori TAKAHASHI Hisataka IWATA Takehito KUWAYAMA Koumei SHIRASUNA
出版者
The Society for Reproduction and Development
雑誌
Journal of Reproduction and Development (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.257-264, 2021 (Released:2021-08-27)
参考文献数
42
被引用文献数
9

Advanced maternal age is a risk factor for female infertility, and placental dysfunction is considered one of the causes of pregnancy complications. We investigated the effects of advanced maternal aging on pregnancy outcomes and placental senescence. Female pregnant mice were separated into three groups: young (3 months old), middle (8–9 months old), and aged (11–13 months old). Although the body weights of young and middle dams gradually increased during pregnancy, the body weight of aged dams only increased slightly. The placental weight and resorption rate were significantly higher, and live fetal weights were reduced in a maternal age-dependent manner. Although mRNA expression of senescence regulatory factors (p16 and p21) increased in the spleen of aged dams, mRNA expression of p16 did not change and that of p21 was reduced in the placenta of aged dams. Using a cytokine array of proteins extracted from placental tissues, the expression of various types of senescence-associated secretory phenotype (SASP) factors was decreased in aged dams compared with young and middle dams. The aged maternal placenta showed reduced immune cell accumulation compared with the young placenta. Our present results suggest that models using pregnant mice older than 8 months are more suitable for verifying older human pregnancies. These findings suggest that general cellular senescence programs may not be included in the placenta and that placental functions, including SASP production and immune cell accumulation, gradually decrease in a maternal age-dependent manner, resulting in a higher rate of pregnancy complications.
著者
武内 伸夫
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.92-102, 1993-06-30 (Released:2011-03-14)
参考文献数
44
著者
高島 葉子
出版者
大阪市立大学
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.123-137, 2001

はじめに : 昔話や伝説に老婆の姿で登場する「山姥」は, 人を取って喰う恐ろしい妖怪であるが, 同時に, 作物の豊作や狩猟の獲物さらには食物や富など様々な恵みをもたらす豊饒の女神, あるいは福の女神でもある。このような豊饒の女神としての山姥が, 縄文時代に崇められていた古い母神の性質を受け継いでいることは, 吉田敦彦によって指摘されている。筆者も, 山姥の起源が遙か縄文時代の狩猟神にまで遡る可能性があることを別の機会に指摘した。本論では, 吉田があまり論じていない狩猟神としての山姥を対象とし, 狩猟民文化の伝統の強く残るシベリアや北米の北方諸民族の女神と比較することによってその原形を考察する。……
著者
相馬 幸博
出版者
横浜植物防疫所
雑誌
植物防疫所調査研究報告 (ISSN:03870707)
巻号頁・発行日
no.46, pp.85-88, 2010-03

サイロに収容した穀物の検疫処理には、臭化メチルやリン化水素などのくん蒸剤を用いるのが一般的であり、低薬量で効率的なくん蒸を実施するためにはサイロ内に投薬されたくん蒸ガスを短時間で均一化する必要がある。そのため、臭化メチル検疫くん蒸では、投薬後2時間以内にサイロ内のガス濃度を均一化できる循環装置を有することが条件となっている。そこで、臭化メチルと二酸化炭素を用い、現在使用している測定器具等を利用し、投薬後のサイロ内ガス濃度を調査、比較するとともに、二酸化炭素によるサイロ循環装置の調査基準を作成したので報告する。
著者
藤谷 厚生
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.66, pp.205-219, 2018-09-25

本稿は、華厳経の入法界品で、善財童子の悟りの完成のために普賢菩薩が説いたその行願(普賢行)の内容理解のための一研究ノートである。テキストとしては、不空三蔵訳(8c 中頃)の『普賢菩薩行願讃』(大正蔵経第10 巻880 上段以下)の62 頌を用い、足利惇氏先生の「普賢菩薩行願讃の梵本」(京都大学文学部研究紀要4 号[1956 年])や般若三蔵による同本異訳とされる華厳経(四十巻)の「入不思議解脱境界普賢行願品」(以下、四十華厳・普賢行願品と略)の普賢広大願王清浄偈などを参照しながら、できるだけ原本の意に即すように書き下し、邦訳としてここに翻刻した。特に四十華厳「普賢行願品」には、この普賢菩薩の十大行願については、 「 若欲成就此功徳門。應修十種廣大行願。何等爲十。一者禮敬諸佛。二者稱讃如來。三者廣修供養。四者懺悔業障。五者隨喜功徳。六者請轉法輪。七者請佛住世。八者常隨佛學。九者恒順衆生。十者普皆迴向」(大正蔵経第10 巻844 頁中段24 行目)とあり、本稿では便宜上これに随い、本文の内容を「礼敬諸仏」「称讃如来」「広修供養」「懺悔業障」「随喜功徳」「請転法輪」「請仏住世」「常随仏学」「恒順衆生」「普皆廻向」の十種とそれに付随する小見出しを附して区分し、それぞれの本文書き下し訳に、語註や解説ノートを加えて要旨を述べ、末尾には四十華厳「普賢行願品」の普賢広大願王清浄偈を書き下し邦訳して参考として付した。

1 0 0 0 作文と教育

著者
日本作文の会常任委員会 編
出版者
本の泉社
巻号頁・発行日
vol.50(6), no.615, 1999-05