著者
門廻 充侍 高橋 智幸
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_545-I_550, 2015
被引用文献数
1

2011 年東北地方太平洋沖地震津波(以下,東北津波)により我が国は甚大な被害を受けた.想定が過小評価であったことを踏まえ,新たに大すべり域および超大すべり域を考慮した断層モデルが様々発表されているが,位置や形状に関する標準的な考え方は定まっていない.門廻・高橋<sup>1)</sup>は大すべり域および超大すべり域の不確かさを多数津波シナリオに導入する汎用的なモデルを提案しているが,破壊開始点や複数の大すべり域および超大すべり域,地震規模の不確かさが考慮されていない.そこで本研究では,これらを考慮した新たなモデルを提案した.そして,南海トラフの巨大地震津波を例として,具体的なシナリオの設定手順を示した.また,多数津波シナリオの防災への適用例として,湾内での津波増幅や津波警報解除に関係する津波波源に起因する卓越周期を検討した.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.553, pp.18-23, 2012-10-08

数分おきに電車が通過するJR総武線の高架橋に、東京外かく環状道路のトンネルをくぐらせる工事だ。高架橋の杭を撤去しなければ、トンネルを造れない。電車の運行を止めずに、高架橋を受け替えて既設の杭や柱を撤去し、地下に函体を新設する難工事に挑んでいる。 施工者は、鉄建・オリエンタル白石JV。
著者
羽鳥 徳太郎
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.91-97, 1995-05-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
8

Accompanied with the Guam earthquake on Aug. 8, 1993 (epicenter: 13.0°N, 144.7°E, d=61km, Ms=8.0, USGS), a tsunami was observed at many tidal stations in Japan. Tsunami magnitude and the behavior of propagation are investigated, comparing with those of the 1990 Saipan tsunami (m=2). The travel times in West Japan were about 3.5 hours. The maximum double amplitude at Muroto and Tosa-Shimizu near the tip of peninsula reached 84cm with the wave-period of 8 minutes, and those in the Ryukyu Islands were relatively small. The distribution pattan of wave-heights is similar to that of the 1990 Saipan tsunami. By judging from the diagram of the attenuation of wave-height with distance, the tsunami magnitude on the Imamura-Iida scale was determined to be m=2.5. Although wave-heights of the present tsunami are about 1.5 times higher than those of the 1990 Saipan tsunami, the magnitude value is normal compared to earthquake with similar size in other regions.
著者
中村 重久
出版者
京都大学東南アジア地域研究研究所
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.18-24, 1993-06-30 (Released:2018-02-28)

Events surrounding the 1852 Molucca tsunami are reviewed and a historical evaluation is made of the report written by van Vliet in 1855. The first part of the report concerns spices and the geophysical conditions. The reliability of the report is confirmed by records of the event in existing tsunami catalogs. This report therefore provides new information on hazards near the coast in Southeast Asia.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.704, pp.72-75, 2013-05

事故は、2008年8月22日にN氏が自転車で自宅からオフィスに向かう途中で起きた。N氏は走行中に突如転倒し、重度の四肢麻痺を伴う後遺障害(第1級1号に相当)を負った。 N氏が使っていた自転車は、イタリアBianchi社(スウェーデンCycleurope社の1部門)ブランドのクロスバイク「BACKSTREET」だ(図1)。ただし、Bianchi社は設計・製造していない。
著者
田中 莉沙子 重國 聖羅 松田 清香 小林 千尋 森 晃 平田 孝道
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.380, 2017

<p>近年注目を集めているプラズマ医療は、多くがメカニズム不明のまま臨床応用されているのが現状である。そこで、本研究ではプラズマの創傷治癒促進作用に着目し、プラズマ照射による火傷部位の治癒メカニズム解明を目指す。先行研究では、大気圧プラズマは活性酸素種(ROS)を生成することや、軽度の酸化ストレスは細胞の増殖を促進することが報告されており、プラズマ照射が火傷の治癒を促すメカニズムには、酸化ストレスが大きく関与している可能性が示唆される。これらのことを踏まえ、本研究ではまず、ラットの背面に人為的に作製した火傷部位において、酸化ストレスマーカーであるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)活性を測定した。これにより、化学的に不安定で反応性が高いため生体内での測定が極めて困難であるROSを、半定量的に測定することが出来る。今回は、プラズマ照射時と未照射時それぞれについてSOD活性の違いを比較、検討した結果を中心に報告する。</p>
著者
伊永 隆史 田沼 絢子 森 勝博
出版者
総合危機管理学会
雑誌
総合危機管理
巻号頁・発行日
vol.3, pp.31-38, 2019

2018 年7 月の西日本豪雨に代表される緊急事態に、国民に危険情報を知らせ、避難を促すのが「全国瞬時警報システム(J アラート)」である。J アラートが発信されると、市町村が防災行政無線を起動し、屋外スピーカー等から警報が流れるほか、携帯電話にエリアメール・緊急速報メールなどが配信される。ところが、重大な危機が発生した直後、自治体が住民の生命財産を守るために行う警報や避難命令などを配信する「防災行政無線」が全国で機能不全に陥っていることが分かった。そのため、防災行政無線による市町村の住民に対するリスクコミュニケーション機能を補強する目的で、直接各家庭のテレビの地デジチャンネルに映像、音声、データ放送を送り込める「エリア放送」は地方自治体における防災・危機管理に欠かせない先進ツールとなりつつある。エリア放送による防災・危機管理の機能及び地域活性化に関する社会貢献活動について、総合危機管理の視点から展望する。
著者
熊谷 康文 佐々木 幹夫
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.37-41, 2012

2011年3月11日14時46分に三陸沖を震源とする深さ約24km,マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生。三菱製紙八戸工場では「震度5強」を記録,発生とほぼ同時に東北電力66kV送電線が停電し,県工業用水も断水した。14時49分に太平洋沿岸に津波警報・津波注意報が発令され,15時頃に従業員の避難を開始した。震源地から約330km離れている八戸港へは,15時30分ごろに津波の第一波が到達し,16時40分過ぎに最大規模の大津波が来襲した。<BR>防波堤のある八戸港内の津波の高さは6.2mであったが,湾外南東部の階上町では最大10.73mの高さを記録しており,八戸港の北に位置する八戸工場では8.4mの高さが測定された。<BR>現在も復興途上にあるが,今までに行なってきた作業を基に,<BR>1.地震・津波発生時の状況<BR>2.八戸工場の被害状況<BR>3.復興に向けた取り組み<BR>4.設備復旧の対応(土木建築関係,機械関係,パワープラント関係,電装関係,早期復旧のポイント)<BR>5.設備の復旧状況<BR>等について報告する。
著者
宇田川 真之 田中 淳
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会梗概集
巻号頁・発行日
no.26, pp.21-22, 2010-06

Tsunami information was announced with the Chile earthquake on February 28, 2010. In some municipalities, those information was delivered to the cellular phone together by using "Area mail" service of NTT DoCoMo. The evacuation order was announced to public for the first time by using "Area mail". We executed the local hearing investigation and the resident questionnaire survey.
著者
SUPPASRI Anawat 山下 啓 LATCHAROTE Panon ROEBER Volker 林 晃大 大平 浩之 福井 謙太朗 久松 明史 今村 文彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_1597-I_1602, 2017
被引用文献数
2

2016年11月22日にMw 6.9の福島県沖地震による津波が発生した.震源は福島県沖であったが,最大津波高は宮城県において観測された.宮城県では地震発生から約2時間後に仙台新港において水位1.4 mの第2波目の津波の観測により,津波注意報から津波警報に切り替えられた.本稿はその特徴を理解するために,津波数値解析と現地調査を行った.数値解析では震源から仙台湾に到達する津波伝播の様子を再現し,断層の走向と仙台湾の地形の影響によって生じた津波の屈折および反射等により仙台新港における津波が高くなることを説明できた.また断層走向が90度の場合でも,仙台新港における津波波形を比較的良好に再現できた.他方,現地調査では,宮城県東松島市宮戸地区で最大T.P.+4.0 mまで遡上したことが分かった.また,ドローン画像より,仙台市蒲生地区の津波浸水域を推定できた.
著者
岩男 昂
出版者
大分県海洋水産研究センター
雑誌
大分県海洋水産研究センター調査研究報告 = Bulletin of Oita Institute of Marine and Fisheries Science (ISSN:13430602)
巻号頁・発行日
no.3, pp.19-25, 2001-12

1)水温は表層では4~9月、底層では4~10月の間は沿岸部の方が、沖合部より高い水温となる。冬季は6~8℃台まで低下し、夏季は27~28℃台まで昇温する。また、半閉鎖的水域の水温は気温の影響を強く受けて変動すると思われた。 2)塩分は冬季は33台の高塩分水塊が灘奥まで侵入する。低塩分は7月に観測され、国東半島沿いにかなり沖合まで、低塩分域を形成する。冬季は32~33台、夏季は27~30台で推移する。変動は淡水の流入量の影響が大であると考えられた。 3)成層は8月に最も顕著となり、9月は崩壊へと進む。また、成層の形成には水温の方が塩分より強い影響をおよぼしているものと考えられた。 4)成層形成期に湾奥の水域にDINは7μM/L台、P04-Pは0.5μM/L台の高濃度域が出現する。 5)DINは1982年に最高値を記録した後、減少傾向にある。P04-Pは1980年を境に減少し、その後はほぼ横這い傾向で推移している。 6)栄養塩の減少に伴い植物性プランクトンの発生量は減少傾向にある。また、赤潮発生件数も減少傾向にあり、出現プランクトン組成にも変化が伺われた。
著者
ニャダワ モーリス 小葉竹 重機 江崎 一博
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.84-92, 1995

ケニアのAthi川は赤道直下の流域であるが,標高1500m~2000mの水源地帯から河口のインド洋まで,気候的には大きくは3つに分けられる流域である.首都ナイロビが位置する上流部の年降水量は1000mm前後で2回の雨期があり,沿岸部も1000mm前後ではあるが雨期は年1回である.その中間には年降水量500mm前後の半乾燥地帯が広がっており,雨期は上流と同じく2回ある.各地域の日雨量と日流量の年最大値に対して極値分布をあてはめて,その特徴を比較した.その結果,上流湿潤地域と中流半乾燥地域の年降水量は大きく異なるが,日最大雨量の確率分布はほぼ同じであり,大きな雨についてはほぼ同じ降り方をしていることが分かった.沿岸湿潤地域は上流湿潤地域と年降水量はほぼ同じであるが,日最大雨量は,沿岸部の方が大きな値となる.流量については3気候区についてそれぞれ異なった分布となるが,多くの流量観測点のある上流域については流域面積と年平均流量の間に一定の関係が認められ,少なくとも上流域は洪水流量については等質の流域とみなすことができる.
著者
加藤 進
出版者
石油技術協会
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.214-219, 2018-07-17 (Released:2021-01-09)
参考文献数
22

An outline of geological and geographical survey of oil fields in Japan from 1876 to 1879 is described.This survey was conducted by Lyman and his pupils as the first scientific geological survey for petroleum exploration in Japan. Contents and results of the survey are summarized using published papers.
著者
安成 哲三 関 祐治
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.177-189, 1992
被引用文献数
104

ENSOの時間スケールの地球気候システムの年々変動に果たすアジアモンスーンの役割を、アジアの夏のモンスーン、熱帯太平洋の大気℃海洋結合系及び中緯度の偏西風レジームの間の統計的、力学的な関係を調べることにより、考察した。<br>アジアモンスーンは、熱帯太平洋域での大気・海洋結合系と密接にリンクしており、モンスーン/大気・海洋結合系(略して、MAOSと仮称)とも呼べる一つのシステムをなしていることが明らかとなっている(Yasunari,1990a)。このMAOSは、準2年周期の振動特性を持っており、ある偏差状態は、アジアの夏のモンスーン頃から始まり、約1年持続するという季節性を示す(Yasunari,1991)。<br>このMAOSの偏差状態は、亜熱帯高気圧の強弱やロスビー波の伝播という機構を通して、北太平洋の亜熱帯・中緯度の夏から秋にかけての大気循環に、大きな影響を与えていることがわかった。即ち、モンスーンの弱い(強い)年には、(逆)PNAパターンが卓越する。そして、引き続く冬の半球スケールの偏西風循環は、この秋の大気循環の偏差が初期条件となったような波数1または2のパターンが卓越する。即ち、PNAパターンにより、北米東岸あるいは極東のトラフが発達し、ユーラシア大陸上はより帯状流的な流れのパターンとなる。反対に、逆PNAパターンでは、北太平洋から北米域がより帯状流的となる一方、ユーラシア大陸上のトラフが発達しやすくなる。<br>ユーラシア大陸上のトラフの発達・未発達は、さらに、そこでの冬から春の積雪面積の偏差の形成という物理過程を通して、次の夏のアジアモンスーンの偏差に影響することが示された。即ち、MAOSと偏西風レジームが結合したこの気候システムでは、弱い(強い)夏のモンスーンの後の秋には、(逆)PNAパターンが持続し、続く冬にはユーラシア大陸上に少(多)雪をもたらす循環場が卓越することにより、次の夏のモンスーンは、強い(弱い)状態になるという、2年振動的傾向を持つことがしめされた。このように、MAOSと中・高緯度の偏西風レジームを含む気候システムの準2年振動的変動の機構は、アジアモンスーンを媒介とした、熱帯と中・高緯度のあいだの、季節を違えた相互作用によることが強く示唆される。<br>さらに、現実のより非定常的なシステムの振る舞いと、ENSOのように上記の準2年振動が増幅された状態の物理的な理解には、ENSOとは全く独立な振動系として指摘されている北大西洋振動(NAO)の、このシステムへのストカスティックな強制が非常に重要であることを示唆する観測的事実も提示された。