著者
延山 英沢
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.131-139, 1995-02-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
13
被引用文献数
2
著者
藤田 和史
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

I はじめに<br> 国内における家庭用品産地は,主として東京城東地域など大都市圏に展開してきた.国内における地方産地の一つに,海南産地がある.海南産地は,シュロ産業から発展したたわし生産を基礎に,非金属系家庭用品を中心に産地を形成してきた.しかしながら,家庭用品は途上国での生産が台頭し,国内の産地においては縮小傾向が続いている.海南産地も例外ではなく縮小傾向が続いているが,反面国内外の展示会への参加や企業同士の組合活動での協調など多様な活動を展開している.この中で,新製品開発や多角化など,個別企業の変化もみられるようになってきている.これらは他者とのネットワークによる活動であり,産地の革新を支えるネットワークでもある.これらの活動・ネットワークがいかなる特性を持つのかを検討することは,今後の地場産業産地を考察する上で重要と考えられる.<br> 本報告は,海南産地に展開する家庭用品産業を事例に,近年活発になりつつある製品開発や販路拡大などの活動における企業間ネットワークの役割とその空間性について検討することを目的とした.<br><br>II 海南産地の形成過程<br> 海南産地の起源は,市域北東部の旧野上村を中心とする野上谷で発達したシュロ産業である.野上谷を中心として,和歌山県内の旧海草郡から有田郡の山中は,第二次世界大戦後まで全国一のシュロ皮の産地であった.シュロは,弘法大師が唐から持ち帰ったともいわれているが,この地域では文永年間に阿氐河庄(現在の紀美野町清水)に山中に帰化自生していたものを観賞用として植栽したものが起源といわれている.シュロが明確な作物として栽培されるようになったのは弘和年間といわれているが,記録よって確認できるのは江戸時代以降である.『毛吹草』,『紀伊続風土記』,『紀伊国名所図会』などにシュロの栽培・樹皮の生産の様子が記録されており,江戸後期に不足した竹皮の代替材料として樹皮を江戸や大阪に出荷したとの記録が残っている.<br> 海南産地が,シュロ産業から家庭用品へと展開していったのは,主として戦後のことである.明治期以降,海南産地ではシュロ繊維を利用して箒,漁網や縄類が生産されていた.その後,戦中にタワシ材料として利用されていたパーム繊維の輸入が途絶えために,代替材料として東京のメーカーがシュロに着目したことで利用価値が高まった.戦後にパームの輸入が復活してからは,主として地元の業者がシュロタワシの生産を始め,ブラシや化繊タワシの生産,その他の製品へと拡大していった.<br><br>III 家庭用品生産の生産構造と産地の変容<br> 海南産地の生産業者は,素材やコンセプトを変えながら家庭用品の生産を行ってきた.現在,産地全体としての主な製品群は①タワシ・クリーナー類,②浴用関連小物・バス用品,③キッチン小物,④ランドリー用品,⑤トイレタリー用品である.かつては,シュロ敷物などから派生した布巾・ドアノブカバーなど繊維小物も多くを占めたが,現在では縮小している.これらの製品は差別化が図りにくいものが多く,かつ陳腐化しやすいという商品特性を持っている.そのため,各企業とも開発競争は過酷である.また,煩雑な製品も多い一方で,価格は低くなるという製品特性も有している.ゆえに,ランドリー用品等を中心として,プラスチックを利用した多工程製品は30年ほど前から海外での生産が増加し続けている.その一方で,国内ではスポンジタワシなど一部の製品の生産が継続されている.しかし,企業によってその比率や海外生産の形態は多様である.報告では,地域内の大手製造卸への聞き取り調査等をもとに,産地の変容と企業の対応を紹介していきたい.
著者
菅原 龍幸
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.111-118, 2000-03-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
23
被引用文献数
1
著者
一橋大学法学部法学教育課程シンポジウム準備委員会
出版者
日本評論社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.p767-776, 1977-12

論文タイプ||資料(特集 法と国制 = Law and Constitution)
著者
赤澤寿美 木下 みどり 川手 亮三 山村 安弘
出版者
広島大学医学出版会
雑誌
広島大学医学雑誌 (ISSN:00182087)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.119-129, 2001-10-28
被引用文献数
1

しびれは患者には苦痛で不安な症状であり, 医療者側にとっても病気の診断と経過観察の上で見過ごすことができないものである。しかし, しびれに関しては神経医療分野以外で研究対象に取り上げられることは少なく, 患者がしびれを訴えた場合にも, それに対処する医療者の姿勢はともすれば消極的になりがちである。その理由の一つは, しびれが他者にとっては把握しにくい自覚症状であるからである。本研究では, 糖尿病患者726名で, しびれの客観的把握と看護支援の検討を試みた。アンケートは第1段階でしびれの有無ごとの分類, 第2段階でしびれ無群(I群), 現在しびれ有群(II群), 過去にしびれ有群(III群)の3種類に区分した.有群281人(II, III群)のうち, しびれと, それに伴った自律神経障害, およびそれらによる不快感や日常生活支障を感じた者は194人で, 有群の69.0%, 対象者全体の26.9%を占めた。しびれの強度と日常生活支障項目(25項目)数は有意に相関しており, 精神的支障は約4割, 身体的支障は約6割であった。支障項目のうち, 手指を使用する項目と上肢のしびれ感との関連が有意であり, 特に利き手の可能性が高い右上肢にその傾向が顕著であった。25項目中, 頻度の高い上位14項目で精神的支障項目, 全身・下肢支障項目, 上肢支障項目に分類し, 全身・下肢支障項目+上肢支障項目を身体的支障項目とすると, しびれの強度が強いほど精神的支障が占める割合は増加し, 身体的支障が占める割合は減少し, 身体的支障は精神的支障に影響を与え, 精神的支障の背景には強度のしびれとそれに伴う身体的支障が存在している可能性が高かった。看護者は, 身体的支障への支援だけでなく, しびれという「体験」を認識・理解し, 個々人にあった精神的支援を行うことが重要だといえる。
著者
榊原 敏之
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.451-458, 1990-07-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
34
被引用文献数
1

Of the hydrophilic groups functioning as surface-active agents, sugar esters of the higher fatty acid have long been known. Recently, alkyl glycosides have been found to be similar surface-active agents, and are being applied domestically as detergents for kitchen and so forth.Several properties have been observed which have lead to the use of alkyl glycosides. They are nonionic surface-active agent, with high stability and good lathering. They are also low in toxicity, low in skin irritability, and is biodegradable. Alkyl glycosides are not just surface-active agents, however. They can be used in cellulose processing, are enzyme stabilizers, have applications in the biochemical field, and are components used in artificial cell (liposome). In the future, it is to be supposed, functional compounds containing sugar components, such as alkyl glycosides, will see increasingly wide-spread use.
著者
後藤 勝洋 五関 俊太郎
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.97-106, 2020-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
16
被引用文献数
2

本研究では,理科学習での実験計画の検討時に,クリティカル・シンキング能力を引き出すために,フローチャート型の実験計画表を作成して,互いに検討しあう活動を取り入れた指導法を考案した。この指導法の効果を検証するために,小学校6年生96名を対象に,「水溶液の性質」の単元で授業実践を行った。実践では,初めに,実験の手順や,実験の安全性,実験器具を明記したフローチャート型実験計画表を作成させ,次に,実験計画をグループで合意形成した後,その妥当性を,他のグループと検討する活動を行った。フローチャート型実験計画表の記述や話し合い時の批判的記述を分析した結果,実験計画力とクリティカル・シンキングが引出されることが見出された。さらに,質問紙分析により,クリティカル・シンキングの態度的側面の向上も見出された。
著者
飛田 篤子 吉本 照子
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.87-96, 2020-08

[要旨] 在宅終末期がん療養者(療養者)が他者との関係性の中で主体性を発揮していく過程を支える訪問看護モデル(モデル)の有用性・実用可能性の検証を目的とした。二つの研究で構成し,研究1では熟練訪問看護師10名の語りからモデル原案を作成し,終末期ケアに関する実践・研究実績を有する訪問看護師,研究教育者5名による専門家会議で精錬した。モデルは,療養者の主体性発揮の状況として「療養者の主体性発揮の変容過程」7局面,各局面の下位29項目,看護支援の手がかりとして「各局面での看護支援」の看護支援の目標(大項目)7項目,看護支援の下位目標(中項目)22項目,下位目標を達成するための思考と行動の例示(小項目)53項目で構成した。研究2ではモデルを試用して訪問看護師(看護師)が療養者を支援し,有用性と実用可能性を検証した。3つの訪問看護ステーションにおける自立して訪問看護を提供しうる看護師8名が,療養者4名を支援した。看護師は医療者の判断と異なる療養者の意思等に対し,療養者の言動から能動的に主体性発揮の状況を捉えるように変化し,療養者の主体性発揮を支持し,全療養者から協働者と認められた。全療養者の主体性発揮の局面の進展がみられ,治療や生活に対する意思を表出した。看護師はチーム内でのケア方針の統一,療養者とのコミュニケーションの促進等へのモデル活用の意思を示した。以上より,有用性,実用可能性があると判断した。
著者
小池 寿男
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.981-984, 1973 (Released:2011-03-04)
著者
謝 文陽 清水 潮 丸山 芳治
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.853-857, 1989-05-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
13
被引用文献数
3 4

Nitrogenase activity associated with the seagrass Zostera marina (eelgrass) was examined by the acetylene-reduction assay method. Most of the rhizome-root complex samples showed significant levels of nitrogenase activity after an initial lag period of 8 to 12 hours under aerobic or anaerobic conditions. However, separated rhizomes and roots rarely showed significant nitrogenase activity. Glucose addition had little effect on the activity of rhizomes but remarkably enhanced the activity of roots, which suggests that heterotrophic nitrogen-fixing bacteria are predominately associated with the roots rather than the rhizomes and also that the rhizome-root complexes show significant nitrogenase activity only when the rhizomes contain adequate energy source the for root-associated nitrogen-fixing bacteria. Most of the root-associated nitrogen-fixing bacteria were probably distributed on the surface and not inside the roots.
著者
柏端 達也
出版者
京都大学哲学論叢刊行会
雑誌
哲学論叢 (ISSN:0914143X)
巻号頁・発行日
no.46, pp.44-56, 2019
出版者
日経BP社
雑誌
D&M日経メカニカル
巻号頁・発行日
no.578, pp.129-133, 2002-11

1996年,銀座の日産自動車での開発役員会議の席だった。水野和敏は,役員からの容赦ない「口撃」にさらされていた。 そういえば,同じようなことがあったっけ。数年前の記憶がよみがえる。あのときと,何も変わらない。いや,セリフは全く逆だったけど。 それは,水野が市販車部門からレース部門に異動したてのころだった。「ちょっとピット裏のトイレまで来い」。
著者
林 林 Lin Lin
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.75-87, 2007-10-31

初級日本語教育における文型指導は、文の構造理解と生成能力の獲得のため、語彙教育と並んで中心的な位置を占めるものである。従来、「~に(は)~がある/いる」と「~は~にある/いる」という文型が、いわゆる存在文型のペアとして定着している。しかし、それを導入する際、ほとんどの教科書では単に動詞の「存在」と「所在」という意味合いに着眼点を置き、そして文型間に無関係の語彙を代入して練習するに止まるといえよう。文型の意味づけと、「は」、「が」または「に」を含む名詞句とのかかわり、また文型の提出順序と名詞句との関連性によるアプローチが不充分であり、単なる動詞からの捉えでは、初級学習者の習得には明らかに十分ではないと考えられる。本稿では、主として文の発話前提と名詞句の役割との関係について、変形文法の記述から議論することによって、この二つの文型の意味づけにおける名詞句の関与を考察する。これを踏まえて、文型導入際の文型の提出順序を提案し、教室現場の文型指導に値する手口を探ることを試みたい。