著者
丹藤 博文
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.2-9, 2005

森鴎外『高瀬舟』を授業で扱った。私の予想に反して登場人物「喜助」に強く印象づけられている読者が多かった。教室の読者に促されるようにして再読し、このテクストの語りの関係性を検討してみたところ、喜助の超越性に読者の思いが向くように仕掛けられており、そのレベルにこそ批評性があることが明らかになった。喜助という他者を読むことがこのテクストの読みである。メディア社会といわれ自己中心的な言説が横行する今日こそ、<読み方>を問題とし、文学作品を深く読むことによって、他者性の衝撃に撃たれることがいっそう重要になることを論じた。
著者
丸岡桂 訂
出版者
観世流改訂本刊行会
巻号頁・発行日
vol.下巻, 1926
著者
加納諸平, 神野易興 著
出版者
平井五牸堂
巻号頁・発行日
vol.後編(五之巻),
著者
三浦 克之
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.140, 2021

予想外の結果が出ることで研究の面白さを感じることがある。ここでは山中伸弥先生が大学院時代、研究指導をしていた私の予想とは全く逆の予想外の実験結果に遭遇し、研究への情熱が高まったというお話。私の仮説は血小板活性化因子による血圧低下作用はトロンボキサンA2を抑えると消失する。仮説自身、意味不明と思われるかもしれない。しかし、結果は想定外の降圧反応の増強。何が起こっていたのかを解説したいと思う。
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.473, pp.69-76, 2013-10

多くの飲食店で、人材確保が難しいという声を聞くようになりました。しかし、飲食業界の人手不足は最近始まったことではありません。景気回復でお客様が少しずつ増えて現場の負荷が高まり、スタッフの不満の声が今までより大きくなってきたのです。
著者
吉開 多一
出版者
国士舘大学法学会
雑誌
國士舘法學 = Kokushikan law review (ISSN:02868911)
巻号頁・発行日
no.51, pp.119-156, 2018

【目次】I はじめにII 無期刑の種類III 最低拘禁期間 (以上国士舘法学49号)IV 施設内処遇V 仮釈放VI 運用状況 (以上国士舘法学50号)VII 歴史的展開 (以上本号)VIII 考察IX 結びに代えて
著者
川野 常夫 福井 裕
雑誌
摂南大学 融合科学研究所論文集 = Bulletin of the Transdisciplinary Science Research Institute, Setsunan University (ISSN:24325031)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.109-115, 2016-10-31

There are individual differences in human body sizes. When designing products, it is important to remember that people come in many sizes and shapes. For example, if we design a doorway, we would need to design using dimensions of the widest and tallest people to ensure that everyone could walk through normally. Furthermore, if we design a chair, we should make the height of seat adjustable so that many individuals could use it comfortably. This paper describes ergonomic design methods considering individual variation in human body sizes focusing “percentiles” which are statistical measures of distribution. It is common practice to design for the 5th percentile female to the 95th percentile male. The 5th percentile female value for a particular dimension usually represents the smallest measurement for design in a population. Conversely, the 95th percentile male value may represent the largest dimension. The 5th% to 95th% range accommodates approximately 90% of the population.
著者
松本 美予
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.100072, 2011

レソト王国は南部アフリカ・ドラケンスバーグ山脈の中心部に位置し、四国の1.4倍程の面積しかない山岳国である。地域の経済大国である南アフリカ共和国に国境線を囲まれるという地理的特徴を持ち、1900年代始めから南アフリカ鉱山への出稼ぎ労働が主要な生業の一つであった。国土の東半分を占める山岳地は人の移住が1890年代より始まり、農村社会の形成初期から出稼ぎ労働は生計の柱であった。現金収入と共に形成された生業形態は1980年代まで続くが、アパルトヘイト政策が撤廃された隣国南アフリカの政治経済変化を受け、大きく変化する。本研究では、レソト山岳地において、出稼ぎ労働による現金収入を中心とした複合的農牧業が、南アフリカの政治経済変化によってどのように変化したのかを明らかにする。<br><b>出稼ぎ労働の最盛期(~</b><b>1970</b><b>年代) </b><b></b>現金収入は農耕と牧畜に投資され、出稼ぎ労働を柱とした複合的な生業形態が実施されていた。農耕では、種・農具・留守の男性労働力を補うための人件費などへ現金が投資された。そして牧畜では、多くの家畜(牛・羊・山羊)が購入され、それらは出稼ぎ労働引退後の備えとなった。&nbsp;<br><b>出稼ぎ労働の減少(</b><b>1980</b><b>年代~現在) </b><b></b>80年代以降、反アパルトヘイト運動が激化し、南アフリカ国内の黒人へ労働市場が開放されていった。それに加え、金価格の下落や、出稼ぎ労働者が担っていた単純作業の機械化などの要因が重なり、レソトからの出稼ぎ労働者は鉱山労働より締め出された。新規採用はなくなり、契約の更新もされなくなった。また、同時期に家畜泥棒が増加し、農村における牛や羊の頭数が減少した。つまり、多くの世帯では出稼ぎと家畜という二つの主要な現金収入源を同時に断たれてしまったのである。その結果、残された農耕への依存が高まり、自給レベル以上の労力を投入せざるを得なくなった。栽培作物が換金作物にシフトするなど、現金収入源としての重要な位置づけになったのである。また家畜泥棒による家畜の減少は、燃料の収集にも影響を与えたと考えられる。農村部では牛フンを燃料として利用しているため、牛の減少は燃料の不足を意味する。調査村においても、牛フンに代わる燃料となる潅木の採集場所が拡大していた。現金収入の減少は、地域の自然資源に強く依存した生活を農民に強いることになり、今後、耕作地や植物資源への負荷がますます高まっていくことが危惧される。
著者
当 智
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
文化交渉 : 東アジア文化研究科院生論集 : journal of the Graduate School of East Asian Cultures (ISSN:21874395)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.65-82, 2019-11-30

The first pagodas were erected in India. In Tibet even before the introduction of Buddhism, stone and clay pagodas were evident. Once Buddhism has spread to Tibet two prime religions have united. These were Indian Buddhism and Tibetan Bonnism. Bonnism is one of the primitive religions in Tibet. As a result of this merger Tibetan style pagoda (chorten) has been erected. It can be inferred that Tibetan pagoda is the combination of elements from both Buddhism and Bonnism. It is highly symbolic of Tibetan culture, and is characterized by the unique architectural form of Tibetan Buddhism features. In my opinion the religion and the architecture have a mysterious bearing on research. In other words we need to consider the Tibetan Pagoda together with each element and symbol of its structure. The cultural impact of Tibetan Pagoda will be presented in the final conclusion of this essay.
著者
大沢 綱一郎
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.227-238, 1958
被引用文献数
3

東支那海殊に九州西方海上で寒候季に起る突風は,温暖で静かな海面を急に襲うもので従来小さい漁船の脅威のまとであった.昭和30年の始めに多数の船舶の協力をえて協同観測を実施した結果,アメリカ合衆国でしばしば観測されるタツマキを伴う不安定線と同一と見られるものが東支那海にも存在し,雷雨を伴う発達した不安定線に.強烈な突風が伴うものであごるとがわかった.<br>また,暖候季殊に梅雨末期によく局地性豪雨があり,これも雷雨を伴うことが多いが,その場合雷雨細胞が一線上に並ぶ場合が多いものである.この雷雨細胞が一線上に並んだものの東縁を結んだものが不安定線である場合が多い.不連続線は寒暖両気塊の境界であるが,不安定線はそれとは別の場所で同一気塊内の対流現象の起る線であり,不連続線とは性質を異にする.<br>過去における長崎県のタツマキの数種も不安定線に伴うものであることがわかった.<br>不安定線通過に際しては,気象要素の急激な変化を伴うもので気圧の急上昇,気温の急降下,湿度の上昇,風速の急増(突風),風向の急変,雷雨現象(タツマキ)などが認められ,亦線の背後に雷雨高気圧とよばれる寒冷域が表現せられるのが普通であるが,之等を三つの実例,(1)昭和30年1月30日の突風(2)昭和31年8月27日のタツマキと雷雨,(3)昭32年7,月25日の豪雨と洪水によって示した.<br>昭和30年1月30日の冬の突風の例では,電光・雷鳴・ヒヨウ・アラレなど雷雨現象がもっとも発達した玄海灘で突風がもっとも強烈であったことから見ても冬の突風は雷雨現象と関連していることがわかる.この例では寒冷前線の前方約160キロメートルの処に寒冷前線にほぼ平行に不安定線が表現せられた.昭和31年8月27日の雷雨の場合には,佐世保で1時間の雨量102ミリという強烈のものでタツマキを伴ったものであるが,之等は不安定線に伴ったもので,その背後約70キロメートルの処に表現せられる寒冷前線上には著しい雲は認められないことが,運転を開始したばかりの背振山のレーダー写真に依って確認された.昭和32年7月25日の諫早方面の豪雨と洪水の場合には1時間100ミリ以上という強い雨が3時間以上も続いたものであるが,これは気象状態に地形の影響が加わって,はじめ対馬暖流にそうて走っていた不安定線がしだいに東西方向に傾いてついに停滞前線(梅雨前線)と一緒になり長い間動かなかったことに依るものである.<br>これら三例とも,いずれも雷雨高気圧が不連続線と不安定線の間または不安定線の背後に表現されている.対馬暖流上では平常は気温は周囲よりも高温であるのが普通であるが,対馬暖流上で雷雨高気圧が発達する場合には気温は周囲よりもかえって低く表現せられる.雷雨高気圧の寒冷部分は上層からの吹きおろし(Downdraft)によって生ずるものであり,上層の強風がDowndraftにより吹きおろされたものが突風であると推定される.不安定線は,対馬暖流以西の海上で発生しはじめ,対馬暖流上にきてもっとも発達することが多いのは暖い海面の影響に依る所が大きいのであろう.冬の突風の場合には,対馬暖流上で発達した不安定線はその勢力をしばらく維持して九州西沿岸を襲うが内陸に入ると地面摩擦のため,また冷却のために衰弱する.一方,夏の雷雨の場合には,九州の内陸に入り益々発達する傾向があるのは,夏の内陸の加熱作用と地形の影響による所が大きいためであろう.殊に第三の例では,Downdraftによる寒気が地形の影響を受けて不安定線を発達停滞させ諫早大水害のような惨事のもととななったことは特筆に値する.
著者
櫻井 義秀
出版者
北海道大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-04-01

櫻井班の目標は、①カルト被害からの回復にかかる臨床的貢献ということで事例研究を研究会で行うこと、②カルト相談の実務家研修の開催と一般市民対象の啓発的公開講座等の開催、③「カルト被害からの回復」に係る書籍の刊行である。研究代表者の櫻井が、2013年8月から2014年2月まで香港中文大学にてサバティカル研修を行っていたために、約半年間研究会等を実施することができず、研究協力者に任せることになった。そのため、①については1回程度、②についても1回程度の実施回数の不足があった。しかしながら、③については、研究会における講演者に原稿を依頼し、代表者の櫻井の分と合わせて3本の論文、研究協力者によるカルト臨床の専門家インタビューに基づく事例集が数本完成予定であり、2014年中の原稿集約を目指している。なお、研究代表者による単著『カルト問題と公共性-裁判・メディア・宗教研究はどう論じたのか』北海道大学出版会、A4全334頁を2014年2月に刊行した。2年目の総括として、臨床家や実務家による研修・研究会の開催は非常に有意義であり、カルト問題の解決は裁判による司法的解決に加えて、臨床家によるカウンセリング・自助グループによるケアの重要性が再認識された。また、精神科医、学生相談の臨床家の事例研究から、「回復への足がかり(resilience)の多様なあり方を直接的に学べたことは大きな収穫だった。また、これは類型化や定式化を目指す社会科学と個性記述的・問題解決的な臨床的実践との差異をも自覚するものとなり、研究者と実務家の連携の重要性を再認識することになった。
著者
黒田 友貴
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.281-284, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
11

本研究では,STEM人材の養成の特徴的な教育事例から,ポリシー策定やプログラムにより目指すべき方向性に関する考察を行なうことを目的としている.事例のクイーンズランド工科大学の教学マネジメントの特徴は,University-wide STEM strategyが,6項目にまとめられており,初中等教育を含むSTEM教育全体に積極的に関与すること,社会にどのような貢献をSTEM分野で行なうのかを明記していることが挙げられる.また,STIMulateプログラムが提供されており,専門分野の文脈を踏まえた移行支援プログラムの展開がされており,大規模大学であっても在学生を活用したピアエデュケーションが多用されていることが明らかになった.今後の課題として,学生に対するインタビュー調査やアンケート調査などを実施し,教学マネジメントによるプログラム運用による教育効果を検討することが挙げられる.
著者
田中 裕
出版者
神戸山手大学
雑誌
神戸山手短期大学紀要 = Journal of Kobe Yamate College (ISSN:13496808)
巻号頁・発行日
no.49, pp.67-77, 2006-12-20

「読書百遍義自ら見る」という言葉が正しいかどうかを短大生活学科の新入生28名対象にデカルトの方法序説を30回読むことによって確かめた。一段落読む毎に5段階評価の理解と読みのスムーズ度とコメントを記録してもらった。正しいというのが結論である。