著者
松尾 一彦 中山 隆志
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.610-618, 2019 (Released:2019-08-09)
参考文献数
8

要約:様々な機能的サブセットから構成されているリンパ球は,特定のケモカインとケモカイン受容体によって,それぞれの生体内における移動と特定組織微小環境へのホーミングが制御され,生体における免疫システムの形成および恒常性維持に関与している.また,生理的あるいは様々な病的状況下において異なるケモカインの発現誘導が見られ,それによって起こるリンパ球などの遊走が病態形成に密接に関わっている.本稿では,それぞれのケモカイン受容体と白血球,特にリンパ球サブセットの関係について最近の知見を交えて概説する.
著者
岩塚 守公
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.56-62, 1952
被引用文献数
1

In the marginal place of Kanto mountainland, and in the hills adjacent to Kanto mountainland, there are several erosional surfaces that are shown by the flatness of ridges and spurs. Especially in Tama hills, we find four erosional surfaces. The upper most erosional surface in Tam hill is correlated to the pediment-like erosional surface which exists in the southern slope of Mt. Ogi, and to the flat spurs which exist in the north-eastern slope of Mt. Sekiro, the neighbourhood of N akano Town and the southern slope of A, It. Ogura.<br> Upon finding those erosional surfaces, it is inferred that the T plane or the Di plane, an old name for the to pographic plane made at the beginning of the dilubial period, in separated into several erosional surfaces and is extended in the Katsura river basin.<br> Also, the above results show that the intermittent uplift . took place after the intensive tectonic movement which took place at the end of the Tertiary period.

1 0 0 0 方言と土俗

出版者
橘正一
巻号頁・発行日
1930
著者
藤本 優希
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.353-360, 2016 (Released:2017-03-31)
参考文献数
15

ドイツの哲学者M.ブーバー(Martin Buber, 1878–1965)の「教育論」(1916)を手がかりに,知覚されたものと制作者との間の「関係」から,芸術行為の構造を明らかにする。ブーバーの主著「我と汝」(1913)では,〈われ-なんじ〉〈われ-それ〉という二つの「関係」の形式が示される。〈われ-なんじ〉とは,相互承認的な「関係」である。また〈われ-それ〉とは,対象を客観的に観察し利用する「関係」である。いずれの「関係」をもって造形活動にあたるかによって,造形活動がもたらす人間性への影響は異なる。「関係」の概念によって造形活動を論じることは,H.リードにも通じる「芸術による人間教育」という視座を導く。本論では,「関係」の概念を解き明かしながら,「教育論」で示される「創始者本能」と「結びつきの本能」という二つの概念を用い,造形活動の構造を考察することによって,造形活動の人間性への関連を論じることを目的とする。
著者
平 真木夫
出版者
宮城教育大学教職大学院
雑誌
宮城教育大学教職大学院紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education Graduate School for Teacher Training
巻号頁・発行日
no.2, pp.29-35, 2021-03-31

本論文では各発達段階(小学校,中学校,高等学校)においてどのような勉強をしていたのか,被験者たちに自由に記述するよう求めた。そして,受験勉強によって獲得された知識とはどのようなもので,どのように残ると考えられているのか,被験者たちに自由に記述してもらった。本論文はそのような質的な記述をテキストマイニングの手法を用いて可視化したものである。
著者
福島 康博
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1038, pp.105-107, 2000-04-24

家庭用ゲームソフト、ドラゴンクエストシリーズで知られるエニックスは、2000年3月期の売上高を当初予想と比べると49.1%減となる188億7000万円に下方修正しました。これに伴い、経常利益も72.8%減少して41億円となります。 今年3月に予定していたシリーズ7作目「ドラゴンクエスト7」の発売を約2カ月延期したのが原因です。
著者
水野 卓 井出 範男 Sunee Sirivichayakul Praphan Phanuphak Kiat Ruxrunghh Mena Chueyam Sasiwimol Ubolym Supranee Buranapraditkum Somsong Teeratakulpisarn
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本応用きのこ学会誌 (ISSN:13453424)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.55-64, 1998-07-31 (Released:2018-04-12)
参考文献数
16

タイ国のHIV-患者10名に対して,"微粉末霊芝"(日本産)の投与臨床試験を6ヶ月間実施した.その結果,本試験の現段階では,HIV-患者に対する霊芝の明確な有効性や効果は認められなかった.しかし,この治験に協力された10名の患者は全員存命であり,霊芝による顕著な有効性は認められなかった反面,現在(1996年12月),患者の病状に進展は認められていない.それ故に,今後は,霊芝から単離したテルペノイド類や免疫活性を示すβ-グルカンなどの多糖類などの活性成分についての臨床試験が望まれる.霊芝の熱水抽出エキスには,in vitoroでの免疫調節効果が認められ,軽度の免疫不全患者に対して免疫機能修復を示した.この効果は,T細胞表現型の変化またはT細胞機能の賦活によって達成されたものと思われた.ガンやHIVに感染した患者のような免疫寛容の起きた個人に対しては霊芝から分離された有効成分について試験すべきことを示すものと思われた.
著者
宗像 祥久 柴原 秀典 植田 愛美 川原 玲香 白砂 孔明 桑山 岳人 岩田 尚孝
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.111, pp.AW1-5-AW1-5, 2018

<p>【目的】卵胞液(FF)は卵子と顆粒層細胞(GC)の共通の環境である。我々は卵子の発生能力とその個体のFFの卵子成熟・発生支持能力の間に高い関係性があることを見出している。FF中にはエクソソームなどの細胞外小胞(EV)が存在しており,近年FF中EV内のmiRNAが卵胞内の細胞に影響するという報告があるが詳細は未だ明らかになっていない。本研究では卵胞発育に関与するFF中EV由来のmiRNAの探索およびその影響について検討した。【方法】(実験1)食肉センター由来ブタ卵巣の卵胞(直径1–3 mm)からFFを採取し,EV除去FFと対照FFを作成した。対照FF又はEV除去FF10%添加培地で卵子卵丘細胞複合体(COCs)を培養し,成熟率と発生率を評価した。(実験2)小(直径1–3 mm)又は大(5–7 mm)卵胞のGCのRNA-seqデータを用いて発現変動遺伝子群のIPA解析から上流因子であるmiRNAを推定した。又,大小卵胞FFからEVを抽出しsmall RNA-seqから得られたmiRNAとの比較で候補miRNAを推定した。(実験3)良好(GC数が多く卵子が高発育)と不良(GC数が少なく卵子が低発育)個体の卵巣からGCとFFを回収し,実験2と同様に候補miRNAを推定した。(実験4)対照FFとEV除去FF添加培地でCOCsを培養し,その卵丘細胞をRNA-seqに供して発現が異なる遺伝子群から上流因子であるmiRNAを推定した。(実験5)実験2–4の候補miRNAから共通miRNAを選抜し,そのmiRNAをEV除去FF添加培地に添加し卵子の能力に及ぼす影響を検証した。【結果】(実験1)EV除去FFに添加により卵子の成熟率と発生率を低下させた。(実験2–5)それぞれの結果の比較からmiR-27b,miR-17,miR-145を候補miRNAとして推定した。成熟培養へのmiR-27b添加は発生率を有意に向上させた。一方miR-17とmiR-145については胚発生率への影響は観察されなかった。</p>
著者
西原 和久
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.666-686, 2007-03-31 (Released:2010-04-23)
参考文献数
58
被引用文献数
1

本論文ではまず, 理論の意味が考察され, 社会学における理論が, 基層理論, 中範囲理論, 理念理論からなることが提示される.ついで, (現象学的社会学の) 発生論的相互行為論の立場から相互行為と身体性ないし間身体性を含む問主観性論が論じられ, あわせて現代社会の基本構造, つまり科学技術社会, 知識情報社会, 高度消費社会, 国際競争社会が示される.さらにそこから筆者は主に, 「界」の概念に着目して国家の問題へと至る議論の道筋を提示する.そして本稿では最終的に, グローバル化時代における社会理論としての社会学理論において, 身体性および/あるいは間身体性の問題と脱国家的志向とが社会学的課題の主要なものとなるべきことが提示される.
著者
和泉 司
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.13-23, 2013

<p>総合誌『改造』が〈戦前〉に実施していた『改造』懸賞創作と、その当選者たちの当時の〈文壇〉及び現在の日本近代文学史上における存在意義を問い直すことを目的として、その当選者の一人である芹沢光治良に注目した。芹沢の〈作家〉デビューから〈文壇〉における立場を確立させるまでの過程から、〈戦前〉における〈文学懸賞〉とその当選者である〈懸賞作家〉たちの状況を考察し、〈文学懸賞〉である『改造』懸賞創作が現在の〈文学賞〉の発展の基礎となったことを指摘し、その研究の重要性を訴えた。</p>