- 著者
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桐野 豊
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.139, no.5, pp.215-218, 2012 (Released:2012-05-10)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
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レギュラトリーサイエンス(RS)は1987年に内山 充 博士によって提唱されたが,その重要性は最近まで広く認識されるには至らなかった.しかしながら,21世紀に入って徐々に重要性が認識され,2011年にはRSは国の科学技術政策の中で最も重要な科学の一つと認められた.これは,科学と社会の関係に関する議論が深化したことに加えて,科学と社会の関係を最適に調整することこそが,新しい医薬品・医療機器の開発を推進する基盤であることが認識されたことによる.期せずして2010年に設立されたRS学会は,RSを実践する活動を開始したところである.RSの発展・推進に薬理学が貢献すべきところは多い.医薬品・医療機器の安全性の確保において極めて重要な「市販後調査」は,医薬関係者のみならず,全国民に関係する課題である.