著者
横井 軍平
出版者
文芸春秋
雑誌
文芸春秋
巻号頁・発行日
vol.74, no.13, pp.372-380, 1996-11
著者
覚知 亮平
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.550-560, 2015-09-25 (Released:2015-09-25)
参考文献数
78

本報は,有機反応の精密設計に基づく新規高分子反応に関する検討をまとめた.有機分子触媒を活用したアシル移動反応により,安定エステルを有するポリマーとアミンとの高分子反応に成功した.さらに,活性化エステル含有モノマーの精密設計により,熱刺激による反応性変化や高分子鎖の局所的修飾反応も達成可能であった.活性化エステルのみならずさまざまな新しい反応を活用した高分子反応の開発に関しても詳細に検討した.角田試薬を用いた光延反応を高分子反応に適用することで,連続的高分子反応やポリアミン合成など新たな合成戦略の提案に成功した.また,Kabachnik-Fields反応などの多成分連結反応による高分子反応により,モノマー単位当たり2個以上の官能基が導入可能であった.
著者
橋本 政亘
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.289-329, 2008-12

江戸幕府により寛文五年(一六六五)七月十一日付で出された「神社条目」により、卜部吉田家はこれをテコに諸国の神社・神職を支配下におくべく、神道裁許状の交付、官位の執奏等を通してその推進をはかった。そしてその根拠としたのが、第三条および第二条であった。しかし第二条の条文には吉田家が格別の位置にあることが記されてはいなかったことからくる限界もあった。そこで、吉田家では、諸社家の官位執奏権を公認されるよう寛文八年十月出願するにより、幕府は京都所司代をして朝廷の評議を要める。かくて時の関白鷹司房輔と吉田家に肩入れする武家伝奏飛鳥井雅章との問で激しい論争が展開されることになるが、朝廷内の意見は一致をみないまま、翌々年八月幕府の裁許に委ねられることになる。そしてそれより四年後の延宝二年(一六七四)に至り幕府の結論が出される。「寛文九年吉田執奏一件争論」といわれるものがこれであり、幕府は儒者林春齋(弘文院)にこの一件に関する勘文を上呈させ、『吉田勘文』として纏められている。本稿は、『吉田勘文』を具体的に検討し、執奏一件争論の実態を明らかにすることを通し、吉田家の諸社家官位執奏運動の方針、朝廷や幕府の対応の在り方を明らかにし、「神社条目」の理念について改めて考察するものである。この一件につき、京都所司代を以て幕府の裁許が示されたのであるが、これは吉田家の望みが全くは否定されたものではなく、幕府の方針の転換であったともいえる。一方、吉田家でも諸社家の官位執奏問題はその後も主張を継続していき、幕府もその対応を微妙に変えていく。最後に、幕末までの大きな流れに基軸をすえ見ておいた。
著者
山本 賢太 井上 昂治 河原 達也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.09-14, 2021-11-20 (Released:2021-11-20)

ロボットなどの音声対話システムにおいて人間らしい対話を実現するために重要な要素としてキャラクタ表現がある.状況やユーザに応じてキャラクタを使い分けることで,ユーザの対話に対する満足感が向上することが期待される.先行研究では,システムのキャラクタは事前に設定されている.本研究では,ユーザのパーソナリティに応じてシステムのキャラクタを使い分けるユーザ適応の実現を目指す.キャラクタはパーソナリティ尺度を用いて定義する.はじめに,WOZ法で収録したロボットと人間との1対1対話のデータに対する印象評定実験を実施した.対話動画を視聴して,ロボットと人間に対してそれぞれのパーソナリティと両者の相性の印象評定をしてもらった.パーソナリティの評定結果をクラスタリングし,分類結果と相性評定結果との関係を分析した.その結果,ユーザのパーソナリティに対して相性のよいキャラクタの組み合わせがいくつか確認された.
著者
戸塚 理紗 村木 美貴
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.498-504, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
33

東京都における中小ビル街区は、中小企業等が集積する業務集積地であることから、非常時の業務機能継続に資するエネルギー面での対策が求められている。これを受けて国は、自立分散型電源の整備を推進しているものの、中小ビル街区における整備のあり方は明らかでない。そこで本研究は、市街地更新を考慮した中小ビル街区における自立分散型電源の整備のあり方を明らかにする。市街地更新に合わせた自立分散型電源の整備を検討し、防災性と事業性の観点からその有効性を評価した結果、中小ビル街区における自立分散型電源整備は供給時間により一定の業務停止回避効果があること、事業性確保のためには経済的な支援施策が必要であることが明らかとなった。
著者
樋口 光徳 郡司 崇志 鈴木 弘行 櫛田 正男 矢内 康一 管野 隆三 大石 明雄 薄場 彰 井上 仁 元木 良一
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.34-39, 1997-01-15 (Released:2009-11-10)
参考文献数
28
被引用文献数
4 2

検診で胸部異常陰影を指摘され原発性結節性肺アミロイドーシスと診断された48歳の男性を経験したので報告する。胸部X線写真およびCT上, 両側肺に石灰化を伴う多発性の結節影 (2~20mm) を認めた.術前, 気管支鏡下検査で確定診断が得られず, 胸腔鏡下に最も大きな左肺S9の腫瘍 (20×18×15mm) を切除した.組織学的検索でAA型アミロイドーシスであることが判明した。術後の全身検索では他臓器にアミロイドの沈着を認めず, 原発性肺アミロイドーシスと診断した.退院後16ヵ月の現在も特記すべき症状の変化もなく経過良好である.原発性肺アミロイドーシスは術前に診断を確定することは困難であるが肺癌との鑑別および確定診断のため胸腔鏡検査は有用である.また, AA型アミロイドーシスは, 結合織疾患や原発性マクログロブリン血症, あるいは悪性リンパ腫などを併発することがあり, 長期にわたる経過観察が必要である.
著者
嶋田 光佑 廣井 慧 梶 克彦 河口 信夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.150-167, 2018-01-15

モバイル端末を用いて歩行者にルートガイダンスを行うサービスは広く普及しているものの,このようなサービスを利用しながらも道に迷う人が存在する.これは方向感覚や距離感覚,地図の読み解きなどの空間認識能力の個人差による,案内理解の程度の差が一因としてあげられる.本論文では,将来的に個人の空間認識能力を考慮したルートガイダンスを提示するナビゲーションシステムの実現を目指し,空間認識能力として移動中の行動,移動軌跡から個人ごとの特徴を定量的に計測する手法を提案する.はじめに,仮想空間上に都市環境を再現し,ルートガイダンスなど様々な提示情報,および情報提示手法を設定できる計測システムを開発する.次に,計測システムを利用し,道に迷う人と迷わない人の特徴の差を検討したうえで,計測手法を設計する.本論文では,(1)地図上での自己位置把握,(2)目的地の方向把握,(3)音声案内の記憶の定着の3つの計測手法について設計し,計測実験を行った.実験データを取得,分析したところ,(1)と(2)については,把握の正確さや早さ,(3)については,音声案内を聞き直す回数や聞き直すまでの時間を評価基準として,被験者ごとの行動に特徴的な差が確認できた.最後に,本計測手法の有用性を分析する目的で,自己評定との違い,実空間との違い,再現性のための再実験の3つの項目について,計測システムを用いた実験を行い,それぞれ75%,60%,71%の被験者が,本システムでの計測と自己評定,実空間での計測,再実験での計測に大きな差はみられないことを確認した.
著者
近藤 泉
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 言語・文化篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.15-47, 2020

本論文においては,犯罪映画・ミステリー映画について,日本と中国の作品の比較を行う。このテーマについては,日中いずれにおいても,まだ先行研究が存在しない。調査するのは2010年~2018年の9年間の作品とし,日本・中国とも各年度の興行収入ランキング上位の計約40本の作品を調査対象とし,日中計80本ほどのすべての作品について,「探偵が登場する」「犯人の善良な面を描いている」「警察組織の問題点に触れている」など58の項目について一つ一つチェックし,該当するものには〇,該当しないものには×,といったように印をつけ,表を作成する。日本と中国の表を比較することにより,できるかぎり客観的に日中の作品の比較を行う。ページ数上の都合により,論文は3回ほどに分けて発表する予定であり,1回目の今回は,中国に関する部分を掲載する。これにより,日中の映画の比較ができることはもとより,両国の社会や人々の意識の違いをも見て取ることができるものともなるはずである。
著者
大歳 恒彦 塩見 哲也 戸村 健児 橋本 芳一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.620-625, 1976
被引用文献数
1 3

中性子放射化分析の多元素同時分析における標準試料の簡易調製法及び,その保存性について検討した.大気中浮遊粒子状物質の非破壊分析に用いる標準試料を例として,短寿命核種の11元素及び長寿命核種の24元素について,そのグルーピングによる調製の簡易化をはかるとともに,約半年間の期間における各々の単一元素標準溶液(単一標準液)及び多元素混合標準溶液(混合標準液)の保存性を調べた.その結果,i)混合標準液の保存性は単一標準液と差異が認められない.ii)22元素(銀,アルミニウム,金,バリウム,臭素,カルシウム,塩素,コバルト,クロム,セシウム,ユウロピウム,鉄,ガリウム,インジウム,カリウム,ナトリウム,ニッケル,スカンジウム,サマリウム,チタン,タングステン,亜鉛)については約6か月にわたって濃度が不変であった.iii)11元素(ヒ素,セリウム,銅,ハフニウム,ランタン,ルテチウム,マグネシウム,マンガン,セレン,トリウム,バナジウム)についてはわずかではあるが濃度が減少した.iv)アンチモンについては標準液の保存は不適当であることが結論された.又,混合溶液の使用によって,これまで標準溶液の調製に必要とした延べ人員約10人日の労働力が(2~3)人日に減少した.