出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1095, pp.42-47, 2017-05-11

プロジェクトを統括する日建設計設計部門の勝矢武之設計部長は「過去の継承と、新規の創造。この両極端を実現するバランスを探るため、現地人よりバルセロナに詳しくなる必要があった」と話す。コンペの正規メンバー30人弱は、最低1週間は現地で暮らした。
著者
菊地 良夫 KIKUCHI Yoshio
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
思想と文化
巻号頁・発行日
pp.385-401, 1986-02-05

ボーヴォワールSimone de Beauvoirのテーマとなるのは自由とか他者であり,この観念的テーマの分析には,実存主義の視点から検討されるのが一般的である。『招かれた女』L'invitee のテーマもまたそのタイトルの示すように「招待されたよその人,つまり他人」1)であることは明白であり,その上,題辞として使われたヘーゲル Hegel の「おのおのの意識は他者の死を求める」Chaque conscience poursuit la mort de l'autreという引用文が,この作品への接近法をますます実存主義哲学の視点へと向わせている。ところで本稿で注目したことは,鏡あるいは鏡像の使用が単なるエクリチュールの装飾にとどまっているのであろうか,という点である。ボーヴォワールが用いた鏡や鏡像の手法がどんな役割を果しているのかを追跡するのが本稿の目的である。スタンダール Stendhal の「小説,それは往来に沿って持ち歩かれる鏡である」 Un roman:C'est un miroir qu'on promene le long du chemin 2)に示されるように,鏡は現実の忠実な反映を示すものであったり,マニエリスムの鏡3)のように現実のゆがめられた反映であったり,その諸相は人間の歴史と共にさまざまな役割を果しつつ変遷している。時代をさかのぼれば,ギリシャ神話のナルシスは典型的な鏡のテーマを示すものである。ボーヴォワールと鏡については,オーデ Jean-Raymond Audet がナルシスムのテーマなどと一緒に鏡のテーマが,作品に見られることを指摘しているが,それは主要テーマではなく,副次的テーマであると言及するにとどめている4)。視線と鏡の役割を指摘したガニュバン5), あるいは,ムーニエ Emmanuel Mounier の援用によって,他者の視線のもつ「衝撃的視線」un regard bouleversant について語るジャカール6)等に見られるものは,ギリシャ神話のメドゥーサの視線が見る者を石化するというイメージに示される主体と客体との間に発生する物化現象についての実存主義的分析である。本稿の目的とするところは,実存的視線-見る-の行為に焦点をあてるのではなく,視線の反映-鏡-の役割についてである。メドゥーサの視線の興味深い点は,その視線それ自体で石化できるのではないこと,つまりメドゥーサを「見る人」がメデューサによって「見られる人」になったとき「メデューサ現象」すなわち石化が完成するところにある。これこそ鏡の本質ではないだろうか。鏡それ自体は無の作用である。鏡像があって,はじめて鏡はその機能を発揮する。そこでは「見る人」は「見られる人」という無限反復が繰返されている。
著者
許 俊鋭 朝野 晴彦 田邊 大明 上田 恵介 鈴木 義隆 宮本 直政 横手 祐二 関口 敦 見目 恭一 尾本 良三
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.354-358, 1997-04-15
参考文献数
7
被引用文献数
1

VAS治療例で透析施行ユ3例(透析群)と透析非施行6例(対照群)を比較した。1ヶ, 月生存は透析群5例(38%)・対照群3例(50%)、VAS離脱は透析群4例(31%)・対照群1例(17%)、生存退院は透析群2例(15%)・対照群1例(17%)で差はなかった。血液透析(HD)7例、腹膜透析(PD)3例、PDからHDへの移行(PD+HD)は3例で1ヶ月生存はHD例3例(43%)、PD例0例、PD+HD例2例(67%)でこの2例は長期生存した。Cr最高値はPD中7.8±2.3mg/dl、HD中4.9±1.6mg/dlで、透析関連合併症はHD中に3例(43%)に出血傾向、1例(14%)にポンプ感染、PD中に1例(17%)に出血傾向を見た。 (1) 透析群の成績は対照群に比較して遜色はなかった。 (2) PDの透析効率はHDに劣るが、透析関連合併症は少なかった。 (3) 初期にPD、安定期にHDに移行する透析法が望ましい。
著者
Totaro TAKEUCHI Kozo YAJIMA
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.281-286, 2019 (Released:2019-07-15)
参考文献数
25
被引用文献数
5 19

A total of 482 operated idiopathic normal pressure hydrocephalus (iNPH) patients were divided into those aged <80 years at the time of surgery (group A: 400 cases; and male-to-female ratio, 259:141) and ≥80 years (group B: 82 cases; male-to-female ratio, 43:39) and comparatively investigated based on the following variables: (1) temporal changes in shunt efficacy rates, and (2) temporal changes in each symptom, including the patient’s fall frequency and preoperative modified Rankin Scale (mRS) score and during follow-up at 3, 6 months, 1–4 years postoperatively. (1) The shunt efficacy rates at 3 months and 4 years postoperatively were 93% and 82%, respectively, in group A and 92.3% and 70.7%, respectively, in group B. This demonstrates a decrease in shunt efficacy at 4 years postoperatively, regardless of the persistence of shunt function or adjustments in setting pressure. This trend was particularly observed in group B. In group A, 41 (9.8%) cases had decreased efficacy rate, compared with 21 (25.6%) cases in group B, which occurred due to complications with an extracranial or intracranial disease. (2) Gait disturbance (G) and urinary incontinence (U) showed signs of improvement in the early postoperative stage, while dementia (D) and mRS score began to gradually improve from 6 months postoperatively. Patient’s fall frequency tended to become higher until 6 months postoperatively than the preoperative rate. In group A, symptom improvement was comparatively maintained until 4 years postoperatively, while in group B, all symptoms and mRS tended to gradually deteriorate beginning at 3 years postoperatively.
著者
桑原清耳
雑誌
日本医学写真学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.132-137, 1990
被引用文献数
2
著者
古家後 雅典 中田 健 角田 修男 森好 政晴 澤向 豊
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.1121-1124, 2008-10-25
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

日本のサラブレッド種雄馬(n=16)の精子形態を繁殖シーズン中に調査した.奇形精子の頭部と尾部,細胞質小滴付着精子,種雄馬ごとに観察した全標本の内メデュサ細胞が認められた標本の割合は,それぞれ3.9±2.1%,11.5±5.9%,2.4±2.6%,20.1%であった.精子頭部の面積,長径,短径,縦横率の値は,それぞれ12.54±1.34μm^2,5.93±0.40μm,2.69±0.21μm,0.46±0.05であった.メデュサ細胞を除いたすべての観察項目で,種雄馬間に有意な差が認められた(P<0.05).
著者
宇都口 直樹
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.106-109, 2005 (Released:2019-04-20)
参考文献数
6
著者
安食 貴史 大町 竜哉
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
設計工学・システム部門講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp._2502-1_-_2502-10_, 2013

On machine design, various knowledge and processes for design solution are needed. One of author has developed design support system to make it easy for design task. But developed design support system is restricted to support for certain design object and task In this research, we developed the design support system having two functions, named YU-PrOReS. One of function is proposing design object corresponding to designer purpose. Another function is reforming the design solution. YU-PrOReS is realized more widely support on mechanical design.
著者
貝原篤信<貝原益軒>//〔著〕
出版者
柳枝軒茨城信清
巻号頁・発行日
1713

貝原益軒著、吉野山の絵入名所記、正徳3年(1713)5月序、京都茨城柳枝軒刊、特大判の折本1帖。序は、益軒の『和州巡覧記』の桜の文を引用したもの。板元の刊語にいうごとく、本書は、益軒が吉野を巡遊した際に著し、自ら描いた絵を画工に模写せしめて秘蔵していたものを、板元が乞い得て板に付したものという。絵は、中程に、麓の六田から奥院までの百余町を俯瞰し、尾根伝いの参道に即して神社仏閣を横長に描き、沿道は桜の木が埋め尽くしている。さらに手前に吉野川また菜摘川の流れに沿って山・川・滝、寺社、村落などを描出する。画中に詞書があり、吉野山の名所について、諸文献に拠りながら、簡略な解説を施す。吉野山の景観を絵巻風の連続画面によって実現し、人気を博した。(鈴木淳)
著者
田中 久美子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.691-696, 2005-06-15
参考文献数
18
被引用文献数
1

近年ではPDAや携帯電話などの小型携帯端末が普及し、これに伴って文書入力システムが議論されるようになった。 入力デバイスとしては、キーボードを用いるものからセンサや音声認識などを用いるものまでさまざまに提案されているが、少数キーによる入力は、キーボードの発展形として注目を集めている。 少数キー入力の問題の本質は、言語の総文字数よりも少ないキー数を用いていかに文書を入力するかという点にある。 この問題に対しては、日本は漢字の入力方法として世界で最も早くから取り組んできている。 現在では、predictive text entryとして世界的に研究されるようになり、日本で発展してきた技術上の思想が世界中の言語へ広がりつつある。 本稿ではこの世界の流れの中で、予測入力を中心に少数キー入力を捉える。 少数キー入力は、最先端の機器類を通して発展してきたが、同時に高齢者や身障者とのコミュニケーションを広く支援するユニバーサルな道具としての可能性も秘めている。 従来のコンピュータは、フルキーボードという特殊な環境を前提としており、そこではタッチタイプの技能に通じた達人だけを対象としてきた。 しかし、計算機が日常に浸透するにつれ、ユニバーサルな入力技術が求められるようになり、その1つの解決策の鍵を少数キー入力研究が握っている。以下ではまず入力システムの一般モデルを示し、次にさまざまに提案されている少数キー入力について述べる。