著者
大堀 壽夫
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.1-17, 2005

文法化の典型例を「自立性をもった語彙項目が付属語となって、文法機能をになうようになるケース」すなわち脱語彙化と規定し、その基準として、意味の抽象性、範列の成立、標示の義務性、形態素の拘束性、文法内での相互作用を挙げる。そして拡大したケースとして、元々自立形式でなくても、使用範囲が広がって機能の多様化が起きる多機能性の発達、および特定の語形に限定されない構文の発達を検討する。とりわけ後者においては、談話機能が重要な役割を果たす。文法化の道筋は多くの言語において共通性が見られる。その動機づけとして、具体的領域から抽象的領域への概念拡張としてのメタファー、および同一領域における焦点化のシフトとしてのメトニミーという二つのメカニズムを考察する。加えて、意味変化における一般的制約についてふれる。
著者
小川 文秀 佐藤 伸一
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.349-358, 2006 (Released:2006-12-31)
参考文献数
49
被引用文献数
7 7

我々の皮膚は常に外界からの様々な刺激にさらされている.その刺激の代表的なものとして太陽光線中の紫外線があげられる.紫外線は皮膚癌の発生の誘因となる他に,紫外線の曝露により皮膚には光老化と称される変化が生じてくる.光老化の特徴的な変化として皮膚表面のびまん性の色素沈着と深い皺があげられるが,その変化を特徴づけるものとして皮膚真皮におけるsolar elastosisと称される膠原線維・弾性線維の変化がある.この皮膚光老化には紫外線による酸化ストレスが深く関与していると考えられている.一方,酸化ストレスが関与する全身疾患の一つとしてとして全身性強皮症(systemic sclerosis ; SSc)があげられる.SScは全身の皮膚硬化を主徴とする膠原病であるが,レイノー症状をはじめとする血管障害も病態形成に深く関与していると考えられている.本稿では,酸化ストレスが皮膚に与える影響を光老化とSScに関して我々の研究結果とこれまでの研究知見を中心に概説する.
著者
佐藤 和夫
出版者
弘前大学國史研究会
雑誌
弘前大学國史研究 (ISSN:02874318)
巻号頁・発行日
no.84, pp.22-37, 1988-03-30
著者
島倉 大輔 田中 健次
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.104-112, 2003-07-15
被引用文献数
4

医療業界では,組織事故と考えられる医療事故が多く発生している。組織事故を防止するために,医療現場では医師や看護士など人間による防護の多重化が行われている。しかし,事故原因を取り除くために実施された防護が,新たな事故を誘発したり,防護作業を行う作業者が多重化に安心して抜きを行う恐れがあり,多重化はかえって事故を招く危険性がある。本研究では,医療現場など人間による防護の多重化の有効性に着目する。人間による防護の多重化は,複数の人間が同質の防護作業を行う同種防護の多重化と,複数の人間が異なる作業を行う異種防護の多重化に分類される。本研究では,同種防護と異種防護の多重化に相当する模擬実験により,人間による防護の多重化の有効性の検証を試みた。結果として、同種防護を多重化する場合,防護の二層への絞込みがもっとも事故防止に有効であること,通常事故防止に有効であると考えられている三層以上の多重化は逆効果であり,むしろミスの発生率が下がる可能性があることが明らかとなった。一方,異種防護を多重化する場合は,防護を多重化するほど,事故防止に有効であることも明らかになった。
著者
佐々木 丞平 淺湫 毅 降矢 哲男 末兼 俊彦 浅見 龍介 羽田 聡 上杉 智英 呉 孟晋 福士 雄也 降幡 順子 井並 林太郎 大原 嘉豊 伊藤 嘉章 池田 素子
出版者
独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

河内地域は大阪府の南部に位置し、古代より継続的に仏教文化が花開き、由緒ある古寺にもめぐまれている。四天王寺など、聖徳太子にゆかりの寺院も多く、本調査ではそれら聖徳太子ゆかりの寺院の中から、教興寺をえらび本尊弥勒菩薩像を中心に調査をおこなった。また、この地域は、南が和歌山県と境を接することから、高野山金剛峰寺とも近く、弘法大師空海およびその弟子たちによって開かれた真言寺院も多い。その中から、河内長野市の金剛寺と観心寺という二つの大きな寺に焦点をあて、悉皆調査をおこなった。その結果、金剛寺では重要文化財『遊仙屈』と一連のものとみられる未知の作がみつかるなど、多くの成果を上げることができた。
著者
武本 俊彦
出版者
地域生活学研究会
雑誌
地域生活学研究 (ISSN:21869022)
巻号頁・発行日
vol.07, pp.42-50, 2016 (Released:2018-05-01)
参考文献数
8

日本の農山村では、メガソーラーバブルが起きている。その主な原因は、固定価格買取制度(FIT)の導入に加え、日本の土地利用制度が、土地所有権の絶対性の観念が優越し、公共の福祉の観点から制定されたルールに基づいて利用させるシステム(欧米の制度のように、地域全体の土地が、「計画なくして開発なし、建築不自由の原則」の下に置かれ、地域の制定したルールに基づく場合に限って開発・建築が認められること)になっていないことによるものである。日本の土地利用制度が、このような欧米の制度とは異なった形で成立したことを歴史的に分析し、パネル設置などの地域における今後の開発行為に伴う紛争を回避するための制度のあり方を提言する。すなわち、必要な法改正への取り組みが基本であるものの、ただちに実現できるかどうかが不確実であることから、当面、分権改革によって与えられた「自治体の法令解釈権」を活用していくことを提言する。
著者
横田 恵理子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

昆虫忌避剤 DEET や、ピレスロイド系の防虫・殺虫剤は家庭・地域において日常的に使用されている。これら化合物は化学物質過敏症や炎症性疾患発症への関与が考えられているが、その詳細な作用機序については不明である。DEET は、ラット好塩基球性白血病細胞株 RBL-2H3 細胞での抗原依存性脱顆粒に対し抑制作用を示す一方、持続性のERK 活性化を示した。ピレスロイド系化合物のアレスリンは、抗原非依存性に脱顆粒と ERK活性化を引き起こした。また、これら化合物は、ヒト肺胞上皮由来 A549 細胞においてサーファクタントタンパク質 SP-A の発現を増強し、 ERK 活性化も引き起こした。 DEET およびピレスロイド系化合物は、細胞のシグナル伝達系に影響し、免疫応答に関わる細胞機能を修飾することが示唆された。
著者
後藤 致人
雑誌
岩手県立大学盛岡短期大学部研究論集 = Bulletin of Morioka Junior College Iwate Prefectural University (ISSN:13489720)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.57-68, 2000-03-26

Although it is generally said that the Emperor Showa did not engage in politics in the post-World War II period, this widespread view is grounded not on the verification of the actual political form but on the argument which derives from an interpretation of the Constitution of Japan. In recent years several important records and diaries have been published, for example The Diary of Mamoru Shigemitsu, The Diary of Hitoshi Ashida, The Diary of Eisaku Sato and The Diary of Sukemasa Irie. These writers were at the center of the postwar politics. In this paper, using the documents cited above I demonstrated that both "naiso" and "gokamon" were frequent between the Emperor and the cabinet even in the postwar period. Based on this demonstration, I considered the following: 1) why "naiso" and "gokamon" were able to continue in the postwar politics, given the Emperor's intervention in politics, and 2) how they influenced the postwar politics. Furthermore, I examined the position of the Emperor Showa in the post-World War II politics.

8 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1948年08月14日, 1948-08-14

8 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1950年08月30日, 1950-08-30
著者
屋名池 誠
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.46-57, 2004-08-31 (Released:2017-08-31)

In this paper, I describe the accent on predicates in the Kyoto dialect in the Heian era. This paper focuses on verbs with affixes which have not been discussed comprehensively in previous studies. By including them, I attempt to describe all the pitch patterns of predicates. The accent on predicates in this era are not very useful for distinguishing between predicate forms. They have mainly a delimitative function.
著者
原 やす子 和泉 澤真紀 石井 久美子 阿部 晃久 大橋 英治 丸山 務
出版者
Japanese Society of Food Microbiology
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.63-67, 2003-07-31 (Released:2010-07-12)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

国内で市販されている鮮魚介類およびそのまま食されるいわゆるready-to-eat水産食品におけるListeria属菌およびL.monocytogenesの汚染実態調査を行い, 以下の結論を得た.1.調査した35品目394検体中, Listeria属菌は7品目40検体, L.monocytogenesは6品目23検体から検出され, ready-to-eat水産食品からの検出率が高率だった.L.monocytogenesが検出されたready-to-eat水産食品はネギトロ, スモークサーモン, スジコ, 明太子, 加熱済みタコであった.2.L.monocytogenesの汚染菌量はスモークサーモン (1検体) の4.3cfu/gと加熱済みタコの1.5cfu/g以外はすベて1.0cfu/g以下であった.3.分離されたL.monocytogenesは6血清型に分類され, そのうち最も多かったのは1/2aであった.

8 0 0 0 OA 戦争ト契約

著者
穂積重遠 著
出版者
有斐閣書房
巻号頁・発行日
1916