著者
山尾 英一 森山 潤
出版者
一般社団法人 日本産業技術教育学会
雑誌
日本産業技術教育学会誌 (ISSN:02865580)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.223-231, 2016

<p>本研究の目的は,工業高校生の在籍時における職業に対する自己効力感の就職後の変容について事例検討することである。大阪市内のA工業高校工業化学科の卒業生15名(男子13名,女子2名)を対象に,卒業目前となる3月から就職後5ヶ月以上経過した8月から10月に個別面談による半構造化面接及び「工業高校生の職業に対する自己効力感尺度」11項目の調査を実施した。その結果,卒業生の「適応資質効力感」及び「専門性効力感」は,業種を問わず在籍時よりも実際の職業生活を経験しながら,なお維持・向上していく傾向が示唆された。また,就職後の「専門性効力感」の向上要因は,関連業種就職群では習得した知識,技能,資格の直接的な活用経験,非関連就職群では実践的な学習経験による自律性や忍耐強さ,責任感の強さなど汎用的な職務能力を発揮した経験によるものと推察された。</p>
著者
安部 明 岩田 博武 石川 正夫 西川 誠
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.29-50, 1971-03-01 (Released:2010-02-23)
参考文献数
6

昭和45年7月1日の集中豪雨によって, 千葉県の南部では, 山地の崩壊と流出土砂によるダムアップがもたらす河川災害が発生した。この報告においては, 山地の崩壊についての発生機構を現地における地形・地質の関連からあきらかにするとともに, 河川災害が河川の中~上流域に集中するにいたった, 河川災害の発生機構について推論するものである。
著者
原田紗希 西田承平 小林亮 鈴木昭夫 伊藤善規
出版者
医薬ジャーナル社
巻号頁・発行日
pp.687-692, 2017-02-01

医療過誤の減少に向けてさまざまな取り組みが行われており,薬剤師はその職能を生かして医療安全に貢献することがさらに強く求められている。薬剤に関連する過誤(メディケーションエラー)は最も典型的な医療過誤であり,指示伝達ミス等のコミュニケーションエラーは過誤の主な発生原因の一つである。実際に岐阜大学医学部附属病院において発生したメディケーションエラーを解析したところ,インスリンスライディングスケール(SSI)に関連する過誤の多くに,指示伝達ミス等のコミュニケーションエラーが関与していた。そこでSSIに関連する過誤の減少を目指して,薬剤部,糖尿病代謝内科および医療安全管理室が協働で院内統一の指示記載様式(テンプレート)を作成した。本報告ではSSIの院内統一テンプレート導入までの経緯と導入後の効果について紹介する。
著者
清水 郁夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.635-636, 2019-04-10

診療背景 卒後5年目の糖尿病内科医が担当した症例.症例 75歳男性.
著者
杉原 重夫 叶内 敦子 梅本 亨 竹迫 紘 小疇 尚
出版者
明治大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

平成4年度は、伊豆半島先端部の蛇石大池湿原において、深度40mまでのオールコア採取の機械ボーリングを行った。ここでは、深度35.3mまで池沼性の有機質堆積物が認められ、示標テフラの同定、^<14>C年代測定から最終氷期以降の堆積物であることが明らかになった。また花粉分析の結果、約5万年以降の植生変化が明らかになった。このほか東北地方南部から中部地方にかけての湿原(矢の原湿原など)においてシンウォールボーリングを行い、試料を採取して^<14>C年代測定などの分析を行った。平成5年度は、内陸の乾燥地域の湿原(長野県の八島ヶ原湿原)と、日本海側の多雪地域の湿原(福島県の大曽根湿原)においてボーリング調査を行った。八島ヶ原湿原では採取した約6mの試料全層について、微化石(花粉・珪藻)分析とテラフの同定・レスの検出を行った。大曽根湿原(福島県)では約3mの試料を採取し^<14>C年代測定と花粉分析を行った結果、完新世に形成された湿原であることが明らかになった。平成6年度は、日本海側の多雪地域の湿原(福島県苗場山山頂湿原・新潟県小松原湿原)においてボーリング調査を行った。これらの湿原の泥炭層から妙高系、浅間系のテフラが数枚検出された。湿原堆積物の花粉分析の結果、両湿原とも完新世に形成された湿原であることが明らかになった。本年度までに行った各地の湿原調査・研究の結果、湿原の形成年代や成因が明らかになった。また、湿原堆積物の花粉分析から最終氷期の寒冷化の開始時期について新たな知見を得て、湿原の気象観測結果と既在の気象データを整理し、実験的に山地の降雪現象をシミュレイトした。
著者
橋本 知幸 江口 英範 松永 忠功 紅谷 一郎 伊藤 弘文
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.65, 2011

ヒョウヒダニアレルゲン(Der 2)量によってダニ汚染度を簡易判定する「マイティチェッカー&reg;」の測定精度について、実際の室内塵を用いて検証した。室内塵は東京都1区内の幼稚園及び保育園より掃除機を用いて、1m<sup>2</sup>から1分間かける方法で、計101検体を採取した。室内塵は秤量して、マイティチェッカー&reg;の測定手順に従って、抽出・判定した後、その抽出液上清をELISA法によるダニアレルゲン量測定用に、残渣をダニ数カウント用に供した。マイティチェッカー&reg;の判定(4段階;-、±、+、++)は同一の反応結果を6人が干渉しないように同時に行った。アレルゲン量測定はIndoor Biotechnology社製測定キットを用いてサンドイッチELISA法によりDer p 1量、Der f 1量、Der 2量を測定した。 6人の判定が全員一致したのは101検体中44検体で、判定が「++」および「-」の時に一致度が高かった。また各スコアに対するDer2量の幅は、「-」が0~34.7ng/m<sup>2</sup>(平均8.43ng/m<sup>2</sup>)、「±」が8.22~479ng/m<sup>2</sup>(平均36.4ng/m<sup>2</sup>)、「+」が11.7~3,160ng/m<sup>2</sup>(平均353ng/m<sup>2</sup>)、「++」が27.5ng/m<sup>2</sup>~3,160(平均936ng/m<sup>2</sup>)であった。 ヒョウヒダニ数、ダニアレルゲン量、マイティチェッカー判定結果それぞれの相関性をスピアマン順位相関係数により確認したところ、いずれも高い相関(r=0.63~0.96)を示した。マイティチェッカー&reg;はDer2と特異的に反応するものであるが、実際の室内塵ではDer1量とDer2量の間にも高い相関が見られることから、ヒョウヒダニアレルゲン簡易検査法として有用であると考えられた。
著者
乾 隆帝 竹川 有哉 赤松 良久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_1417-I_1422, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

汽水域は,多種多様な汽水域特有の生物の生息場であるが,人為的環境改変の影響を受けやすい場所であるため,保全や自然再生が課題となっている.本研究では,汽水域において,環境指標として注目されているハゼ類に着目し,瀬戸内海に流入する河川の汽水域においてハゼ類の分布調査をおこない,そのデータを用いて相補性解析をおこなうことにより,保全上重要であると考えられる河川を抽出することを試みた.その結果,瀬戸内海全域を解析対象とした場合は,ランク上位47河川を保全対象に設定すれば,全種の生息地のうちの50%以上をカバーできることが示された.これらの河川に,地方別で解析した際に抽出された18河川を加えた65河川が,瀬戸内海における保全上重要な河川汽水域であるといえる.
著者
辻 恵 渡邊 肇子 井合 瑞江
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.266, 2015

はじめに短腸症候群は小児における小腸機能障害の最多原因である。小腸移植の対象であるが、我が国の移植医療の現状では未だ経静脈栄養を半永久的に必要とする病態であり、家族・本人の抱える負担は大きい。われわれは先天性多発小腸閉鎖術後に短腸症候群となった脳性麻痺児に長期経静脈栄養管理を行った例を経験し、発達支援と管理上の問題点について検討する。症例34週2870g、Apgar scor5/7で出生。臍帯損傷による重症貧血、DICを認めた。先天性多発小腸閉鎖の診断で日齢16に回盲部を含む小腸を大量切除し残存小腸は6cmであった。短腸症候群のため中心静脈栄養管理が開始された。脳室周囲白質軟化症、症候性てんかんを合併。2歳1カ月で在宅へ移行したが、自宅での養育困難となり3歳5カ月で当施設入所。入所時の発達レベルは定頸までで、発語なし、刺激による啼泣が多く情緒不安定さが見られた。この時点で中心静脈ルート入れ替えの既往がすでに5回あった。使用したすべての中心静脈に血栓形成を認め、入所後も感染と閉塞、入れ替えを繰り返した。6歳8カ月時、左鎖骨下静脈の血栓除去術と中心静脈カテーテル再挿入後、抗血小板薬内服を開始したところ消化管出血から出血性ショック、敗血症となり集中治療を要した。6歳10カ月現在、経静脈栄養主体で少量の経腸栄養と経口摂取を併用し安定が得られている。未だ移動運動は不可であるがあやし笑い、聴覚刺激に対する表情変化や上肢の探索行動がみられ緩徐ながらも知的発達が見られている。考察脳性麻痺に加え中心静脈ライン維持の困難さは、在宅養育の難しさを容易に想像させる。度重なるカテーテル感染の完全制御は困難でエタノールロックなどの特殊対応をせざるを得ず医療依存的な状態といえる。今後は残存小腸の延長術も検討されており、安定したエネルギー供給と発達促進が期待される。多臓器に障害を抱えた本児への包括的対応が発達発育支援に不可欠であると考えられた。
著者
阿部 東 工藤 貢次 近藤 格 斎藤 和夫
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.179-186, 1969

青森県内で採集されたクワガタムシ科(Lucanidae)の4属5種について雄の染色体を調べた.それらの種名, 染色体数および性決定様式を一括して第1表に示したが, 観察結果は次のように要約される.ミヤマクワガタLucanus maculifemoratusは染色体数がn=13(I, II)であつて, 第1分裂でXY対を識別できる(第1, 2, 3図).ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatusは2n=19, n=10(I), 10, 9(II)である(第4, 5, 7, 8, 19, 20, 21, 22図).この結果は利岡・山本(1937)の観察と一致する.第1分裂では, 一極に向つて先行する性染色体(X染色体)が認められる(第6, 19, 20図).アカアシクワガタNipponodorcus rubrofemoratusは2n=10, n=5(I, II)であつて(第9, 10, 11, 12図), 大型のV型染色体が精原細胞には一対, 第2精母細胞に一ケ含まれている(第9図のV, 第12図のV).またこの種でも第1分裂でXY対を識別できる(第11図).コクワガタMacrodorcas rectus(第13, 14, 15図)とスジクワガタMacrodorcas binervis(第16, 17, 18図)は染色体数は同じであつて共に2n=18, n=9(I, II)である.性染色体構成は雄がXYと推定される.従つてXO型であるノコギリクワガタはこれらのうちでは特異な種である.なお, 第1分裂でのXY対を比較すると対合様式はミヤマクワガタとアカアシクワガタがrod型であつてneo-XY型であるDorcus parallelopipedusと異つている.またアカアシクワガタとコクワガタおよびスジクワガタの染色体数の関係が注目される.
著者
久木田 英史
雑誌
国際人間学部紀要 = International human studies
巻号頁・発行日
vol.18, pp.67-102, 2012-03-31

L'Essay pour les Coniques, que Pascal publia en 1639 à l'âge de 16ans, est un des rares témoins de la grande œuvre réalisée par l'auteur des Pensées dans la domaine de la géométrie projective, œuvre don’t la presque totalité semble définitivement perdu. Révélateur d'un génie précoce, ce texte trés court, écrit dans un style extrêmement concis et obscur, tomba vite dans l'oubli et ne fut réédité qu'à la fin du XVIII siécle. Dans cet article,nous essayerons d'éclaircir les significations de chacune des propositions que Pascal avance sans fournir aucune démonstration, et de situer son projet d'une nouvelle géométrie dans l'évolution des pensées mathématiques du XVII siècle.Mots-clefs : Pascal, XVII siècle géométrie projective, mathématiques, histoire des mathématiques