著者
外村 中
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
東方学報 = Journal of Oriental studies (ISSN:03042448)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.280-205, 2018-12

The Buddha-avatamsaka-sūtra (also : Avatamsaka-sūtra or Flower Adornment Sutra) with the teaching about Buddha Vairocana is thought to have been compiled in Northwestern India or Central Asia by the end of the 4th century CE at the latest. At present there is no complete version of the original Sanskrit sutra available. On the other hand, two full versions of Chinese translations are still extant : one is the so-called 60 fascicle Huayanjing made in the 5th century CE and the other is the so-called 80 fascicle Huayanjing in the 7th century CE. In East Asia, the Buddha-avatamsaka-sūtra has been considered as one of the most fundamental Mahāyāna sutras. However, due to the fact that the essential information is extremely fragmented and dispersed over the pages of the long texts, up to the present the two Chinese versions' contents concerning the buddha body and the universe have not been clearly understood by modern scholars yet. In order to establish a working basis for comparative discussion in the fields of history of science, arts and culture as well as religious studies, relevant fragments of information were extracted from both versions, organized and analyzed for this paper, coming to the following result : Concerning the issues, the basic idea of the Buddha-avatamsaka-sūtra apparently was established around the beginning of the second century CE or earlier. The original Sanskrit sutra seems to have been the earliest Mahāyāna scripture that explained an idea of a full picture of the universe in relation to the twofold buddha body. The sutra showed that the dharma body, which embodies the human buddha body, pervades the whole space of the universe. It also described the universe as following : 1) existing as one, 2) having limitless space, 3) having limitless time, 4) having no absolute center (=Buddha Vairocana is preaching not at the center of the universe), 5) being pure, 6) including even the inside of the atmosphere of a planet (=a world with Mt. Sumeru), and 7) really existing as a whole. However, for the 5th century CE version, the issue listed under no. 4) was obviously not translated literally, but intentionally edited to propagate the idea that the universe has an absolute center, where there is a cosmic lotus flower, on which Buddha Vairocana is turning the wheel of the dharma. That being so, it could be said that the 60 fascicle Huayanjing should not be considered as a mere translation but rather understood as a sutra, that was newly created in East Asia with a particular agenda. This new interpretation and possibility would have to be taken into account, especially when analyzing works of East Asian Buddhist art with respect to cosmological context.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1947年07月31日, 1947-07-31
著者
長谷川 由香 村田 晶子 池田 幸弘 竹山 直子
出版者
法政大学
雑誌
多文化社会と言語教育 (ISSN:24362239)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.46-58, 2021 (Released:2021-05-10)

高等教育のグローバル化が進み、留学の形も多様化する中で、近年注目されているのが、1か月未満の短期留学プログラムである。短期の留学プログラムは経済的、時間的な負担が少ないために参加しやすく、その重要性は増している。短期プログラムは、学生の休みの期間に実施されることが多く、教室での勉強だけでなく、体験学習を組み込んだプログラムが実施されており、これまでプログラムレベルでの実践報告を通じて、具体的な実施例、効果や課題が明らかにされているが、その一方で文化体験の「テキスト」の開発に焦点を当てた報告は非常に少ない。そこで本稿では、こうした文化体験プログラムのテキスト開発について分析し、大学の短期プログラムを想定したテキスト開発がどのように変容していったのかを検討し、今後に向けたオンラインでの文化体験のアレンジ例の提案も行った。
著者
守口 剛
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.4-19, 2012-09-28 (Released:2021-01-05)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2
著者
植木 紘史 河岡 義裕
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.090-094, 2021 (Released:2021-03-25)
参考文献数
18

Influenza virus is a respiratory pathogen that causes pandemics and seasonal epidemics. The pathophysiological changes and in vivo dynamics of immune cells in influenza virus-infected lungs are poorly understood. Here, we established an in vivo imaging system that combines two-photon excitation microscopy and fluorescent influenza viruses of different pathogenicity. This approach allowed us to monitor and correlate several parameters and pathophysiological changes in the lungs of live mice. Our findings demonstrate the potential of this in vivo imaging system, which we termed two-photon IMPRESS (IMaging Pathophysiology RESearch System), to provide novel information about the pathophysiological consequences of influenza virus infection.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1319, pp.150-152, 2005-12-05

ライブドア社長の堀江貴文や楽天社長の三木谷浩史、M&Aコンサルティング代表の村上世彰らによるM&A(企業の合併・買収)攻勢が注目を集めている。日本の産業界を活性化したとの見方の一方で、東京・六本木の"IT(情報技術)長者"らのマネーゲームと見る向きもあり論議は高まるばかり。 実は、M&Aで業界を沸かせているのはITや投資会社だけではない。
著者
尾田 基 江藤 学
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.33-46, 2019-03-20 (Released:2019-06-16)
参考文献数
18

本論文は,近年の先行者優位の議論が,環境決定論的-企業適応的文脈に進んでいることを指摘し,先行者優位の議論に対して加藤(2011)の〈技術システムの構造化理論〉による接近を試みる.電動アシスト自転車の市場創造プロセスを探索することで,構造形成に携わった先行企業と,構造を所与として受け入れた後発企業では構造から受ける影響が異なることを示す.また,先行者優位の議論は非市場戦略の領域にも論点があることを示す.
著者
石田 葵一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.19, no.12, pp.603-609,618, 1966-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
95
著者
柳下 祥
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.113-116, 2017 (Released:2019-04-10)
参考文献数
11

精神疾患の多くは前頭葉や辺縁系といった脳部位および神経伝達物質であるモノアミンの異常の関与が考えられている。これら脳部位やモノアミンは環境からの感覚入力を元に価値づけや意欲・行動選択を生み出す神経基盤と考えられ,ヒトを含む動物の環境適応に重要な脳機能といえる。このため,前頭葉や辺縁系のシナプスとモノアミンの神経機構の機能理解は精神疾患における社会適応の障害を理解するのに役立つ可能性が高い。モノアミンは前頭葉や辺縁系における価値記憶の形成に関与し,その後,各脳部位の価値記憶は協調したり,拮抗したりしながら行動選択や意欲の制御をしているといった仮説モデルが考えられる。最近の光を使った実験技術の進歩によりこのモデルをシナプスレベルから行動まで対応づけて理解することが可能になってきた。このような神経シナプス機構を理解したうえで,シナプスに発現する精神疾患関連遺伝子の操作などにより,適応機能障害の一般的な理解が可能ではないかと考える。
著者
佐藤 安貴 正木 慎也 梅本 萌李 山本 浩貴 小山田 正人
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.90-102, 2021-04-01 (Released:2021-05-15)
参考文献数
35

【目的】摂食障害は,若年女子に好発する難治性の疾患で,治療の優先事項は栄養改善である。摂食障害の10~20%に自閉スペクトラム症が合併し,合併例は予後不良例が多く,治療では自閉スペクトラム症の特性に着目した対応が必要となる。摂食障害を発症し入院した自閉スペクトラム症女児2症例に,チーム医療の一環として自閉スペクトラム症の特性に着目した栄養指導を実施したので,報告する。【方法】対象は,摂食障害治療を目的に精神科病院へ入院した自閉スペクトラム症の15歳女児2名である。症例1は,体重管理の厳しい審美系スポーツの選手で,過剰な運動と食事制限から低体重となり入院した。症例2は,ストレス時に拒食反応を示す病態で,拒食による急激な体重減少で入院した。管理栄養士は,自閉スペクトラム症の特性に着目し,1)褒めて労う,2)視覚情報の利用,3)具体的説明の繰り返しを基本に栄養指導を行った。【結果】症例1は,1週間毎に増加する食事を全量摂取するとともに,活動量を減少させることにより,目標体重を達成した。症例2は,拒食が消失し目標体重を達成した。【結論】摂食障害と自閉スペクトラム症合併2症例において,自閉スペクトラム症の特性に着目した1)褒めて労う,2)視覚情報の利用,3)具体的説明の繰り返しを基本とした栄養指導の有用性が示唆された。
著者
木林 悦子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.53-63, 2021-04-01 (Released:2021-05-15)
参考文献数
30
被引用文献数
1

【目的】高校3年間の追跡調査により,食生活改善への準備性からみたセルフエフィカシーと行動変容ステージの学年比較及び関連を明らかにする。【方法】兵庫県A高等学校の2012年度入学生320名のうち,家庭教科専門科目選択者を除き,2014年の3年まで継続して回答が得られた225名を対象とした。セルフエフィカシーは,食生活改善ができるか否かを5件法より得た。セルフエフィカシーと行動変容ステージの学年比較はFriedman 検定,3年におけるこれらの関連は共分散構造分析後,セルフエフィカシーの信頼性を検討するために開発した12項目のセルフエフィカシー尺度を従属変数,性別を調整因子とした二項ロジスティック回帰分析をした。【結果】高校3年間で男子はセルフエフィカシーの「やや改善できると思う」及び「改善できる」者が減少し,行動変容ステージの前熟考期が増加したが,女子ではいずれも学年別に有意差はなかった。共分散構造分析では,セルフエフィカシーから行動変容ステージへの有意な正のパスが示された。ロジスティック回帰分析の結果,準備・実行・維持期を基準として,前熟考期におけるセルフエフィカシー低得点群のオッズ比が有意に高かった。【結論】高校3年間で,食生活改善への準備性からみたセルフエフィカシーと行動変容ステージの伴った,男子における低下と女子の変化なしの実態が明らかとなった。食生活を改善させるには,セルフエフィカシーを高める教育支援の充実が望まれる。
著者
小林 正佳
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.37-48, 2012
参考文献数
16
被引用文献数
1

交通事故などで生じる頭部外傷は、副鼻腔炎、感冒とともに嗅覚障害の三大原因のひとつであり、他の原因と比較して嗅覚の予後が悪い。本来嗅神経には他の脳神経よりも強い再生能力が備わっているにもかからわず、外傷性嗅覚障害の予後成績がよくないのはなぜか?これを突き止めるために外傷性嗅覚障害モデルマウスを用いて予後因子の探究と予後改善のための治療研究を施行した。嗅神経の確認が容易なOMP-tau-lacZマウスを用い、2種類のカッターを使い分けて嗅神経を切断して軽傷と重傷の外傷性嗅覚障害モデルを作製し、篩板-嗅球創部の傷害組織の所見、局所炎症の程度、嗅神経の再生度を比較検討した。その結果、外傷性嗅覚障害の予後は局所炎症の程度に依存し、外傷後早期に積極的な消炎治療を施行すれば、外傷性嗅覚障害の予後成績を改善できる可能性が示唆された。消炎治療薬として抗IL-6受容体抗体はステロイドよりも副作用が少なく、実際に臨床応用できる外傷性嗅覚障害の有効な治療薬の候補であると考えられる。