著者
渡邉 恭子
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2016-04-01

太陽フレアから放射されるX線や紫外線は地球電離圏に影響を与え、デリンジャー現象という通信障害を引き起こす。現在、デリンジャー現象の予報では軟X線強度(フレアクラス)が指標として用いられているが、実際は軟X線強度と比例していないデリンジャー現象が数多く見られる。どのような特徴を持つ太陽フレア放射がデリンジャー現象を発生するのか、その特徴を見積もるために、本研究ではまず、太陽フレアの多波長スペクトル(特にデリンジャー現象に影響すると考えられている紫外線放射)を観測データから統計的に見積もった。その結果、多くの紫外線放射は軟X線放射強度変化とほぼ同様の変動を見せたが、その紫外線放射を生成しているプラズマの温度によって変動に時間差が見られた。また、軟X線放射とは全く異なる硬X線放射と似た時間変動をする紫外線放射も多くあることが分かった。太陽フレアやそれを発生した黒点の幾何学的な様相が太陽フレアスペクトル変動に与える影響についても統計的に解析した。まず、フレア発生時の黒点の面積とその種類と、太陽フレアの規模や発生率との関係を調べたが、これらの間に明確な関係性は見られなかった。次に、フレアリボンの長さとリボン間距離について調べたところ、どちらも太陽フレア放射の継続時間に影響していることが分かった。以上の観測結果をもとに、太陽フレア放射を再現する数値計算モデルを構築した。フレアループが長い場合(ループ半長:52,000km)、短い場合(ループ半長:5,200km)、一般的な長さの場合(ループ半長:26,000km)について計算したところ、フレアループが長いフレアについてのみ、観測された紫外線放射の強度と時間発展をおおむね再現することに成功した。今後は、この数値計算モデルより、個々のフレアの放射スペクトルを再現可能なパラメータを導出し、得られた放射の地球電離圏への影響を検証していく。
著者
猪俣 朋恵 宇野 彰 酒井 厚 春原 則子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.208-216, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
30
被引用文献数
8 12

年長児の読み書き習得に関わる認知能力と家庭内の読み書きに関連した環境要因を検討した.年長児243名に対し,ひらがな1から3文字の音読と書取,音韻認識課題(単語逆唱,非語復唱),RAN課題,図形の模写と記憶課題,語彙課題を実施した.保護者には,家庭内で子どもが読書活動に従事する頻度,および家庭内で子どもに文字の読み書きを教える頻度について聴取した.重回帰分析の結果,RAN,単語逆唱,非語復唱の成績は音読成績を有意に予測したものの,環境要因に関する尺度は,音読成績に有意な貢献を示さなかった.書取については,RAN,単語逆唱,非語復唱,図形模写の成績,および家庭での書き指導頻度が有意な予測変数であった.年長児におけるひらがなの読み書き習得には,これまでに報告されている認知能力の貢献度が高い一方,書字の習得においては,家庭での文字指導頻度も関与している可能性が示唆された.
著者
嵯峨 隆
出版者
静岡県立大学国際関係学部
雑誌
国際関係・比較文化研究 (ISSN:13481231)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-19, 2012-09
著者
河内 卓彌 百足 勉 Jonathan A. Ellman
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.128-139, 2004-02-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
43
被引用文献数
7 10

tert-Butanesulfinyl imines are exceedingly versatile intermediates for the asymmetric synthesis of amines. Aldimines 15 and ketimines 16 are prepared in high yields under mild conditions by condensing enantiomerically pure tert-butanesulfinamide 10, either enantiomer of which is readily synthesized in large scale from inexpensive reagents, with a wide range of aldehydes and ketones. The tert-butanesulfinyl group activates the imines for the addition of many different classes of nucleophiles, serves as a powerful chiral directing group, and after nucleophilic addition function as a versatile protecting group of the amines, which is readily cleaved by treatment with acid. A wide range of highly enantioenriched amines, including α-branched amines, α, α-dibranched amines, α- and β-amino acids, 1, 2- and 1, 3-amino alcohols, and α-trifluoromethylamines are efficiently synthesized using this methodology.
著者
三嶋 孝 奥田 茂 大島 明 宋 桂子 平岡 力
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.1086-1093_1, 1979-09-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
18

早期胃癌を放置した場合どの位の時間でどのような進行癌に発育するかを知ることは重要なことであり,従来retrospective studyを中心に検討されてきた.しかしこの方法は初期変化が癌であるとの組織学的裏付けを欠いているためあくまで推定の域をでないといわざるを得ない.本研究は生検で癌と診断され,レ線,内視鏡で早期と推定されながら何らかの理由で6ヵ月以上経過が追跡された症例を収集し,早期胃癌から進行癌への発育進展をprospectiveに検討したもので次の結果を得た.(1)早期から進行への進展に要する時間をKaplan,Meierの方法で算出したところ36ヵ月を要することが推定された.(2)早期から進行への進展に伴う病型変化として次のコースを確認できた.(1)IIc ul(-)→Borr.II.(2)IIc ul(+)→Borr.III.(3)IIc+III→Borr.III.(4)III+IIc→Borr.III.(5)IIa→Borr.II.(6)I.IIc ul(-)→Borr.I

1 0 0 0 OA 恋愛革命

著者
山本宣治 著
出版者
アルス
巻号頁・発行日
1924
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.67-69, 2012-06

都内に3つの飲食店を構え、自らも接待を数多く受けてきたソムリエの田崎真也さんに、接待初心者に向けたアドバイスをもらった。 「有名な高級店に行くことがいい接待ではない」と田崎さんは言う。おいしいものを食べながらお互いに対する理解を深め、「大変楽しかった。これからも一緒にいい仕事をしましょう」と思ってもらう。それがいい接待だ。
著者
田中 哲司 大藪 哲也 井上 栄一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.315-321, 2014 (Released:2014-12-26)
参考文献数
29

トマトの栽培の省力化に有効な単為結果性品種を育成するために,単為結果性個体の効率的選抜法を検討した.受精しやすい春季および秋季において,柱頭切除法はこれまで行われてきた除雄法より作業時間を短縮でき,判定結果もほぼ同じであったことから,実際の育種場面において有効であると考えられた.また,放任管理下で受精しにくい冬季には,最低気温を8°C以上に管理し,低温処理開始後に開花・結実した果実で正常肥大かつ無種子のものを選抜すれば,単為結果性個体の選抜ができることを明らかにした.以上のことから,春季および秋季には柱頭切除法,冬季には低温を利用した判定法を用いれば,単為結果性個体を効率的に選抜できることが示唆された.
著者
伊藤 頌文
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科内『法学政治学論究』刊行会
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.115, pp.115-147, 2017

一 はじめに二 マルタを巡る地政学とイギリス (一) 東地中海におけるイギリスの対外関与の諸相 (二) イギリスのマルタを巡る関与とその歴史的展開 : 独立と依存の間 (三) 東地中海における英軍の関与見直しとマルタ三 マルタ政権交代と防衛協定更新問題の浮上 (一) マルタ政権交代と二国間問題のNATOへの波及 (二) 財政支出を巡るNATOとの不協和四 チェッカーズ会談と交渉の破綻 (一) ミントフ訪英とチェッカーズ会談 (二) 継続協議の停滞と頓挫五 新協定の成立とマルタからの撤退決定 (一) アメリカの懸念 (二) イギリスの逡巡 (三) 新協定の交渉と妥結六 おわりに
著者
品川 哲彦
出版者
關西大學文學會
雑誌
關西大學文學論集 (ISSN:04214706)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.A1-A26, 2021-03-18

本稿は、日本学術振興会科学研究費基盤研究(C)課題番号 17K02195 による研究成果の一部である。