著者
加藤 啓祐 大高 洋平 森田 光生 村山 俊樹 倉上 光市 三村 聡男
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.675-678, 2014-07-10

要旨:〔目的〕Balance Evaluation Systems Test(BESTest)を用いて地域在住中高年者のバランス機能を評価し,加齢による変化,転倒歴との関連について,検討を行った.〔対象〕市民祭りの健康ブースに参加した地域健常中高年者183名(平均67.1±6.1歳)を解析対象とした.〔方法〕中年群,前期高齢者群,後期高齢者群の3群間および転倒歴を有する群と有さない群の2群間において,総得点率およびセクションごとの得点率を比較した.〔結果〕全得点率では,中年群と前期または後期高齢者群それぞれの間において有意差が認められた.また,セクションごとの解析では,セクションⅢ(姿勢変化-予測的姿勢制御)とセクションⅥ(歩行安定性)においてどの年代間においても有意差が認められた.転倒歴の有無では総得点において群間に有意差が認められ,セクションごとの比較ではセクションⅢにおいて有意差が認められた.〔結語〕地域在住中高年者に対しBESTestを行い,加齢および転倒歴と関連するバランス要素を明らかにした.その結果,加齢および転倒,双方に関連するバランス要素として,予測的姿勢制御が抽出された.
著者
原 大地
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.140-154, 2007-09-20 (Released:2017-08-04)

Les premiers vers de Mallarme sont ceux d'un garcon qui remplit ses cahiers en revant qu'un jour il sera un poete fecond et rivalisera avec ses maitres romantiques. Sans doute connait-il ensuite Baudelaire, Poe et Banville et eprouve-t-il des crises intenses qui bouleversent sa vie litteraire et spirituelle ; il n'oublie pourtant jamais le destin et le devoir dont le romantisme charge les poetes. N'est-ce pas cette mission epique qui l'incite plus tard a pratiquer a sa facon l'interaction de l'ecriture et du siecle ou celle-ci est posee? Ce petit essai tente d'apporter une contribution a la recherche de cette lignee au moins inavouee sinon cachee : nous situons Mallarme dans la descendance de Hugo, qui l'a tant charme dans sa jeunesse et dont la mort lui a donne le sentiment que venait de s'ouvrir un <<interregne>>poetique. Partons du vers initial du poeme <<Les Fleurs>>, qui est un de ses premiers poemes publies : <<Des avalanches d'or du vieil azur [...]>>. Hugo avait ecrit un vers fort semblable dans La Legende des siecles : <<Des avalanches d'or s'ecroulaient dans l'azur>>. Ressemblance assez connue que nous reexaminerons a notre tour, en recourant aux concepts de fecondite et de sterilite. Cependant, notre intention n'est pas de reprocher a Mallarme un plagiat quelconque, mais de voir au debut de sa carriere une experience de sterilite, experiencce negative qui prepare pourtant la <<rarete>>de sa propre poesie. Nous determinerons ainsi le point qui separe non seulement les deux poetes mais aussi la poesie romantique et celle qui lui succede. Il nous sera necessaire d'etudier aussi le cas de Baudelaire, qui a approfondi l'imaginaire de la sterilite et l'a instaure au coeur meme de la poesie francaise moderne.
著者
長澤 勲 古川 由美子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.112-120, 1986-01-15
被引用文献数
2

現在 機械設計の現場では FORTRANなどでかかれた専用的な設計システムが実用されている.近年 多品種少量生産傾向が強まるとともに 保守性 拡張性 多目的性に優れた汎用設計システムの必要性が認識されてきた.このためには 設計の方法論に基づいた設計システムを開発する必要がある.筆者らは 先に 論理プログラミングを用いた拘束条件リタクション法とよぶ計算モデルを提案し これが設計計算のモデルとして優れた表現力をもつことを示した.本研究では この計算モデルを基礎に機械設計のうち基本設計とよばれている部分を対象とした汎用的機械設計計算支援システムを開発した.ここでは まず設計システムを実用化するうえでの問題点と解決策を示し 次に歯車減速機を例にとり設計システムのプログラミング技術について述べている.
著者
桃内 佳雄 小林 茂 宮本 衛市
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.812-820, 1983-11-15

基本的なプロタクションシステムにおいては プロダクションメモリは一様な構造をもつプロタクションルールの集合として構成され これはプロダクションシステムにおけるプログラミングのしにくさ 効率の悪さなどの一つの原因となっている.また プロダクションシステムは学習や問題解決のモデルの作成に広く応用されているが 一様な構造をもつプロダクションメモリでは学習や問題解決などのための構造的な知識を適切に表現することができない.さらに 学習や問題解決などのモデルの作成のためには 従来の適応プロダクションシステムがもつプロダクションルールの生成・付加機能に加えて プロダクションメモリヘの柔軟な動的アクセス機能の装備が必要である.本論文では おもな問題領域を学習や問題解決のモデルの作成とする適応プロダクションシステムAPSH について述べる.APSHのおもな特徴は プロダクションメモリのモジュール構造化機能をもつこと プロダクションルールの付加に加えてプロダクションメモリおよびワーキングメモリヘの柔軟な動的アクセス機能と情報付与機能をもつこと プログラムの作成・編集を支援するエディタやトレーサを内蔵し 柔軟なコマンド言語をもつ対話型プログラミングシステムであることなどである.プロダクションメモリのモジュール構造化は プログラムの作成・修正・理解 そして学習や問題解決などのための知識の表現を容易にする.
著者
溝口 理一郎 芥子 育雄 磯本征雄 角所 収
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.404-412, 1984-05-15

近年 マン・マシンインタフェースの問題が盛んに論じられている.本論文では 筆者らによって作成された音声データベース「SPEECH-DB」を例にとって実現した知的マン・マシンインタフェースについて述べている.本インタフェースは 日本語による検索要求を受けつけるJCSサブシステム エラーからの回復や利用者の疑間に答えるPSSサブシステムおよびシステム全体の制御の流れを管理するMONITORサブシステムの三つのサブシステムから成っている.知的マン・マシンインタフェースは 情報処理システムに関する専門知識を用いることにより問題解決を行って 利用者に対して知的な援助を提供するものであり ある種のエキスパートシステムとみなすことができる.そこで本インタフェースの作成においては 汎用DBMS INQとその親言語であるFORTRANによりプロタクションシステムを実現した後 それに種々の知識を埋め込むという方法を採用した.SPEECH-DBと同一のDBMS INQを用いることにより 柔軟性 拡張性に富んだシステム構成が実現されたわれわれのプロダクションシステムは 前向き推論と後向き推論の二つの推論モードとバックトラック機能をもっている.さらに 任意のFORTRANプログラムを呼ぶことができるため 既存のソフトウェアとの結合が容易であり AI的手法の現実的問題への応用に適したものとなっている.
著者
片岡 香子 中条 武司
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 = 地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.106, no.12, pp.897-900, 2000-12

Hyperconcentrated flow deposit, in the Ebisutoge-Fukuda tephra from Mie Prefecture, is thought to be deposited from dilution of the debris flow. Debris-flow deposit (facies A) is overlain by hyperconcentrated flow deposit (facies B). Typical hyperconcentrated flow deposit (facies B1;horizontal bedding Part) changes upward into diluted hyperconcentrated flow deposit (facies B2; scour and fill structure part). These facies characteristics indicate that the debris flow changed through hyperconcentrated flow into normal streamflow by dilution during flow traveling.
著者
荒井 啓 山本 明
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.31-37, 1977-03-19
被引用文献数
1

鹿児島県内数ケ所の公園, 街路に植えられたカナリーヤシ(Phenix canariensis Hort.et Chab.)に立枯症状が認められ, その原因を調べたところ, 以下のことが明らかにされた.1.本症状を呈する樹は, 鹿児島市, 指宿市, 揖宿郡喜入町, 鹿屋市, 垂水市, 曾於郡大崎町, 肝属郡佐多町などで認められた.2.病徴は主として下枝に認められ, 初期には葉身の片側半分が枯れるのが特徴である.やがて下枝全体が枯れ, 次第に上枝に進展する.最終的には樹全体が枯れ立枯症状となる.このような樹の葉身, 葉脚, 根の導管内に多数の菌糸が認められ, 導管周辺の細胞は褐変していた.このような現象は, 外観緑色で健全にみえるような部分にもしばしば認められた.3.罹病組織より, PDA培地を用いて菌の分離を行なつたところ, 葉身, 葉脚, 根のいずれからも, 白色綿毛状の菌叢の菌が分離された.この菌をカナリーヤシに接種したところ, 発病が認められ, 立枯症状を呈した.発病株より, 菌の再分離を試みたところ, 根および葉身より, 同種の菌が分離され, この菌が病原菌であることが確かめられた.病原菌の菌糸は隔膜を有し, 隔膜のない短かい担子梗を分岐し, その上に無色単胞楕円形の小型分生胞子(2.5〜5×4〜10μm)を擬頭上に多数形成していた.時には, Fusarium菌特有の大型分生胞子(3〜5×10〜35μm, 4〜5胞)が認められた.培養過程でスポロドキアが高頻度に観察され, 古くなると, 厚膜胞子(径7.5〜10μm)や菌核の形成が認められた.このような培養所見から, 本菌はFusarium oxysporum Schl.emend.Snyd.et Hans.と推定された.4.病原菌の寄主範囲を調べるために, 分離菌を12科26種の植物に"ふすま"を用いて土壌接種したところ, カナリーヤシとナツメヤシに立枯症状が認められた.以上の結果から, カナリーヤシの立枯症状は, Fusarium oxysporumによる病害であることが確かめられた.このようなカナリーヤシの立枯症状は, わが国では報告がなく, 本病を「カナリーヤシ立枯病 : Fusarium disease of Canary Island date palm」と命名した.
著者
甲田 烈
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第54回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.A03, 2020 (Released:2020-09-12)

本発表では、比較思想の方法により、日本の近・現代哲学に着目し、仏教と通底するアニミズムの思想的可能性について考察する。そのさいに参照するのは井上円了(1858-1919)における「活物」の概念である。それは人間もそれを分有する世界そのものの働きを意味し、また生きとしいけるものの往還を意味することから、現代の哲学・人類学におけるアニミズムの再評価と重なるであろう。ここから、「往還存在論」を構想することができる。
著者
今 絵理佳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb0742, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 腰痛治療に用いられる腰痛体操については数多くの研究がされているが、その多くは背臥位や腹臥位で行うストレッチや筋力強化運動である。従来からの腰痛体操による体幹筋力強化法は主に表在筋を鍛えるものであり、疼痛の強い者や脊椎の変形が高度な高齢者では運動肢位を取ることが困難であり負荷量も強いため、実際の臨床現場では実施に難渋する例が多い。近年では、腰痛患者においては多裂筋の筋萎縮や機能不全が発症早期よりみられることが示されており、多裂筋など深層筋による脊柱の支持性を向上させる目的とした腰部脊柱安定化エクササイズ(以下、安定化エクササイズ)が幅広く実施されている。安定化エクササイズの中で、高齢者でも実施可能なものとして四つ這い位でのエクササイズが推奨されており、その体幹筋活動量について多くの報告がなされている。しかし、何れも健常成人における結果の報告であり、高齢者を対象とした安定化エクササイズ中の筋活動量については一定の見解は得られていない。本研究では、健常成人と健常高齢者を対象として、四つ這い位で行われる従来の安定化エクササイズ中の体幹筋活動の関連性を比較検討し、高齢者に対するより効果的な多裂筋の筋力強化方法を明らかにすることを目的とした。【方法】 腰部に整形外科的異常を認めない健常成人男性20名(平均年齢22.0±2.5歳)、健常高齢男性10名(平均年齢69.8±5.1歳)を対象とした。表面筋電計Noraxon社製Myo-Research-XPを用い、安定化エクササイズ中の多裂筋部(L5)、上・下部脊柱起立筋部(Th12、L3)の筋活動量を測定した。なお、予備実験により本研究で得られる筋活動量には左右差が無いことを確認し、全て右側の筋活動量を1,000Hzで導出した。運動課題は、被験者には四つ這い位の上下肢挙上、上半身をベッドで支持した四つ這い(以下、支持四つ這い)での下肢挙上をそれぞれ3回ずつ5秒間行わせた。各筋からの筋電位を導出し、整流化した後、波形の安定した中間の1秒間について積分しIntegrated Electromyography(IEMG)とした。IEMGは、Danielsらの徒手筋力検査法のNormalの手技を各筋の100%MVCとし、各エクササイズ時の%MVCを算出した。統計学的処理は、各エクササイズ時の%MVCの比較には分散分析、健常成人と高齢者との比較は差の検定を用い、全て有意水準を5%として検討した。【倫理的配慮、説明と同意】 研究の目的と内容を対象者に説明し、文書により同意を得た。また、収集したデータは個人が特定されないよう配慮した。なお、本研究は埼玉県立大学倫理委員会の承認を得て実施した(第23712号)。【結果】 健常成人において四つ這い位では右下肢挙上や左下肢と右上肢の同時挙上と比較し、右下肢と左上肢の同時挙上の方が多裂筋の高い筋活動が認められた(p<0.05)。 健常成人の上部脊柱起立筋においては右下肢挙上と右下肢と左上肢の同時挙上の方が左下肢と右上肢の同時挙上より低い値を示した(p<0.05)。一方高齢者においては多裂筋、脊柱起立筋部ともエクササイズによる有意差は見られなかった。また、通常の四つ這い位での右下肢挙上と比較し、支持四つ這い位での右下肢挙上の方が、健常成人、高齢者ともに多裂筋部の高い筋活動が認められた。通常四つ這いでは健常成人43.7±17.5%、高齢者53.3±15.7%であり、支持四つ這い位では健常成人55.8±19.2%、高齢者64.0±17.6%であった(p<0.05)。健常成人では上部脊柱起立筋部において支持四つ這い位での右下肢挙上の方が有意に低い値を示した(p<0.05)。一方高齢者ではエクササイズによる有意差は見られなかった。【考察】 先行研究においては、健常成人の多裂筋部の四つ這い位での右下肢と左下肢の同時挙上は約30~48%MVCとされており、本研究で用いた支持四つ這い位ではそれ以上の高い筋活動が示された。 このことは、上半身を支持することで、脊柱起立筋の活動が抑えられ深層筋である多裂筋がより選択的に収縮することにより、安定性を一層高めることが可能であると考えられる。この結果は、姿勢が安定することにより目的とした深部筋活動がより発揮し易くなることが複数幾つかの研究でも示されており、表在筋による支持が減少した分、深層筋である多裂筋部の活動が高まったためと考えられた。【理学療法学研究としての意義】 高齢者では上半身を支持することで姿勢を保持することが容易となり、表在筋である脊柱起立筋の活動が抑えられて深層筋である多裂筋の筋活動が高められ、安全で効果的な安定化エクササイズが実施可能となる。
著者
黒野望 勝崇 中道上 青山幹雄
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.373-374, 2011-03-02

クラウドサービスの利用が普及している.クラウドサービスにおけるユーザ毎の違いは構成メタデータで表現している.しかし構成メタデータの構造は一般的に示されていない.本稿では構成メタデータのバリエーションモデルの提案を行い、構成メタデータの可変部分の構造を示す.構成メタデータを操作するAPIに着目し,ユーザの操作による構成メタデータの変動の構造を示す.プロダクトラインに基づく可変性の概念を導入し構成メタデータの可変性を定義し、OVMによるモデル化を行う.モデルにより共通部と可変部を表現することで、構成メタデータの変動の範囲を示す.提案したモデルをSalesforceへ適用し、妥当性を評価する.
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[34],
著者
Atsushi Okazawa Takatoshi Wakabayashi Toshiya Muranaka Yukihiro Sugimoto Daisaku Ohta
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.230-237, 2020-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
48
被引用文献数
5

Orobanchaceae root parasitic weeds cause serious agricultural damage worldwide. Although numerous studies have been conducted to establish an effective control strategy for the growth and spread of root parasitic weeds, no practical method has been developed so far. Previously, metabolomic analyses were conducted on germinating seeds of a broomrape, Orobanche minor, to find novel targets for its selective control. Interestingly, planteose metabolism was identified as a possible target, and nojirimycin (NJ) selectively inhibited the germination of O. minor by intercepting planteose metabolism, although its precise mode of action was unclear. Here, transcriptome analysis by RNA-Seq was conducted to obtain molecular insight into the effects of NJ on germinating O. minor seeds. Differential gene expression analysis results suggest that NJ alters sugar metabolism and/or signaling, which is required to promote seed germination. This finding will contribute to understanding the effect of NJ and establishing a novel strategy for parasitic weed control.