著者
喜多村 尚 小原 郁夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.79-85, 2010 (Released:2010-06-02)
参考文献数
31
被引用文献数
3 5

唾液分泌と月経周期との相互関係については明らかにはなっておらず, さらに, 月経周期各期における唾液成分の日内変動に関する報告はない。本研究では, ヒトの月経周期による唾液分泌量および唾液成分の変化に着目し, 月経周期におけるこれらの日内変動について検討した。11名の健常女子大生の唾液採取を9時から20時まで1時間おきに12回行った。このとき採取した唾液を用いて, 唾液分泌量, 唾液タンパク質分泌量, 唾液アミラーゼ活性および唾液pHの日内変動を測定した。唾液分泌量はすべての周期で, さらに唾液タンパク質は卵胞期および黄体期のみで, 午前, 午後, 夕方にかけて上昇する日内変動がみられたのに対し, 唾液アミラーゼ活性および唾液pHは日内変動が観察されなかった。月経周期別においては, 唾液分泌量および唾液アミラーゼ活性は黄体期で有意に高い値となったが, 唾液タンパク質および唾液pHは黄体期で有意に低い値となった。これらのことから, 唾液分泌および成分の日内変動があることが観察され, また月経周期によってこれらが変動することが示唆された。
著者
郷間 英世 吉田 高徹 牛尾 禮子 池田 友美
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.199, 2017

目的 特別支援学校に看護師が配置され医療的ケアを担うようになったものの、看護師と教員の立場の違いによる連携の困難さを感じることが少なくない。そこでその問題点や課題について調査を行った。 方法 対象は近畿地方A県の「医療的ケア」を実施している特別支援学校30校の教員各3名および看護師各2名である。質問内容は「情報交換が十分かどうか」、お互いに「望むことや、理解してほしいこと」などであった。回答は、選択式質問はχ2検定を、記述内容はコード化しカテゴリーに分類した。 結果 18校(60.0%)から回答があり、教員45名看護師33名分を分析した。障害について情報交換が十分と回答したのは教師42名(93.3%)看護師16人(48.5%)、ケアの手技について情報交換が十分と回答したのは教師37名(82.2%)看護師14人(42.4%)と看護師は教員より低値で有意差(いずれもp<0.01)を認めた。記述内容では、教員は看護師に対し『十分コミュニケーションが取れている』という記述もあったが、「最大限活動に参加させたい教員の気持ちを尊重してほしい」「安全第一で守り過ぎないように」など『教育活動の理解』や「看護の立場からの考えや方向性を教えてほしい」「教育の場での医療的ケアについて共通理解をしたい」など『看護の考え方の理解や話し合いの必要性』を望む意見もみられた。看護師から教員に対しては「生育歴や内服薬など」「保護者と教員のやり取りの内容」など『ケア以外の情報の伝達や共有』、「安全への意識」「身体的な問題の基本的な理解」など『教師の医療的考えの理解不足』、「教育計画を立てるときの相談」「打ち合わせや話し合いの時間」など『コミュニケーション不足』について多くの記載が認められた。 考察 医療的ケアが必要な子どもに関わる教員と看護師の考え方の違いが認められ、お互いの立場の理解や連携のあり方についての方法の検討が必要と考えられた。
著者
林 健司 原 祥子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.91-97, 2014

本研究の目的は,大腿骨骨折により手術を受けた高齢患者の排泄行動において,見守りを止めて良いと判断した看護師の着眼点を明らかにすることである.大腿骨骨折手術を受けた高齢患者への看護に3年以上携わった経験がある看護師14人を対象に,「見守りを止めて良いと判断した看護師の着眼点」について,フォーカス・グループ・インタビューを行い,質的記述的に分析した.その結果, 15のサブカテゴリーが抽出され, 6つのカテゴリー【活力が蓄えられている】【自立へと気持ちが向かっている】【看護師と意思疎通が図れている】【自分のペースを調節できている】【注意力が高まっている】【動作にしなやかさがある】に集約された.これらのカテゴリーは,日常生活全般のケアを通してとらえられる患者の状況を判断材料にしたものであり,新人看護師をはじめとする看護師にとって,大腿骨骨折術後の高齢患者において排泄行動の見守りを止めて良いかどうかを判断する際の指針になり得るものと考える.
著者
古澤 照幸
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.4, pp.25-34, 2004-12

スリル構造についての考察を行った。153名の大学生に「あなたにとってスリルとはどのようなものか」「スリルと考えられる事態にはどのようなものがあるだろうか」という質問をし、自由記述文を得た。各文章を形態素解析し、各文章中の形態素の共起度を計算し、共起度をもとに「キーグラフ」によって2次元グラフを得た。また、形態素の出現頻度の結果を総合すると、スリル感は「安全」に守られた中で生起する、というApterの考えと合致するものも結果の一部として、確認することができた。
著者
宮崎 泰夫
出版者
日本テレワーク学会
雑誌
日本テレワーク学会誌 (ISSN:13473115)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.14-17, 2016

2008年5月、リゾートオフィス研究部会が訪問した和歌山県白浜町について、再訪の機会を得た。ほぼ8年後となる2016年1月25日、訪問先は白浜町役場、町営施設である白浜町ITビジネスオフィスに入居するセールスフォースドットコム社、企業保養所を活用し地元でのシステム開発を進めるエスアールアイ社の3ヵ所であり、8年前と同じ場所の訪問となった。この間に、変化したものとそうでないものがあり、二法人は企業としてのIターンとUターンを象徴している。
著者
藤井 興年
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1423-1451, 1965 (Released:2008-03-19)
参考文献数
39

1) Amoung the earlier studies on the directional hearing, there have been few on the discrimination ability of the sound from front and rear sources(DFR).Foundamental study on this ability was performed to establish the test method, and various kinds of hearing disorders were tested. 2) The method was as follows: Two loudspeakers were set in front of and in the back of the subject at the same distance. Pure tone, white noise and bandpass-noise of the same loudness were given from the two speakers.The subjects were told to answer where the sounds came from. 3) When a subject kept his head still. i) The wider the frequency range of the testnoise, the better the DFR. ii) To elicit good DFR, the duration and the intensity of the testnoise should be more than 0.25sec and 40db(SL) respectively. DFR was not significantly influenced by the rise and decay time of the testnoise. iii) Concerning the azimuth of the sound sources, the best DFR was obtained when the sources was 30° to 45° apart from the median sagittal plane. iv) When earplugs were inserted in the both earcanals, DFR was disturbed, but the effect of auditory fatigue was not so remarkable as earplugs. 4) When the head of subject was moving, narrow bandpassnoise was also well discriminated as whhite noise. 5) DFR of the subjects with hard deafness was oor in proportion to the degree of hearing loss. 6) DFR was poor in the presence of central disorders, even when the hearing was normal. The last result indicates the possible usefulness of he test as a diagnostic aid of central disorders.
著者
小原 謙一 吉岡 史晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.801-804, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕インソールによる足底刺激部位の違いが,静止立位時の足圧中心動揺に及ぼす影響を明らかにすることとした.〔対象〕下肢機能に疾患のない健常人40名とした.〔方法〕足圧中心動揺の測定には,重心動揺計を用いた.足底刺激として凸部のあるインソールを採用し,刺激部位の異なる4つの群(全足底刺激,前足部刺激,踵部刺激,刺激無し)間で足圧中心動揺の程度を比較した.〔結果〕足圧中心動揺の外周面積と矩形面積において,前足部刺激群は刺激無し群と比較して有意に低値を示した.〔結語〕インソールによる前足部への刺激は,足圧中心動揺をより減少させ得る.
著者
岡本 充洋
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.197, pp.106-111, 2009-09

岡本 充洋セールスフォース・ドットコム アライアンス事業本部 Force.com Developer Programs / AppExchange スペシャリスト Force.comとは,米Salesforce.comが提供する「PaaS(Platform as a Service:サービスとしてのプラットフォーム)」です。CRM(Customer Relationship Management)などの既製アプリケーションをインターネットを介して提供するサービスを「S…
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.650, pp.48-51, 2006-04-17

従来のASPは、中堅中小企業向けや特定業務のアプリケーションを中心に扱っていたため、大手パッケージ・ベンダーとはすみ分けができていた。しかし、Salesforceのように、カスタマイズ機能やアプリケーション連携機能を備えたSaaSの勢力は、パッケージ・ベンダーの主戦場である大企業ユーザーにまで広がり始めている。この勢いに、大手パッケージ・ベンダーが危機感を抱いている。
著者
山本 幸生 飯國 芳明
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.88-93, 2014

中山間の条件不利地域では人口減少により,都市に在住する相続人に土地の所有権が移転し,相続人が山間部にある土地の状況だけでなく,所在すら認識できない事態が頻発している。こうした状況は所有権を有していながら,その管理を放棄するいわば権利の空洞化が進んでいることを示している。所有権が空洞化すれば,現在の集落での起業や経営規模の拡大などの土地の有効利用や環境整備の機会が失われるだけでなく,将来にわたって森林等の資源の有効利用や環境整備の機会が失われていく。本稿では中山間地域での土地所有権の空洞化対策の取組の方向性を検討するため,(1) 土地所有情報の構造の整理,(2) GISによる可視化,(3) これらの情報を元にして筆界確定や相続登記について経費の推計を行うなどの基礎的作業を行うことを課題とした。調査地の高知県大豊町は,全国に先駆けて人口減少や高齢化が進み,大野晃(2005)が限界集落を概念化する際にフィールドとした地域のひとつである。