著者
早川 裕美子 石田 亜里 岩瀬 恭子 小野 真知子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.51-60, 1986-03-01

高等学校「家庭一般」の教科書(12教科書)に記されている調理実習の調理品を対象に食塩濃度および食塩量を調べた.1.全調理品の食塩濃度は,改訂前で最低0.5%(カレーピラフ;S_1出版など),最高1.6%(ハンバーグステーキ;Kなど)であった.改訂後では最低0.3%(天ぷら;Sなど),最高1.6%(涼拌絲,G)であった.食塩濃度の分布は,改訂前0.7〜0.8%, 1.1〜1.2%(50.0%),改訂後0.5〜0.6%(31.1%)の範囲に高かった.2.食塩量は,改訂前で最低0.4 g(魚の照り焼き;S_1出版など),最高2.7 g(チキンピラフ;G)であった.改訂後では最低0.3 g(涼拌黄瓜; C),最高3.3 g(チキンピラフ;S)であった.食塩量の分布は,改訂前1.1〜1.5 g(35.8%),改訂後1.6〜2.0 g(27.5%)の範囲に高かった.食塩量が3.0g以上と高い調現品は,改訂後のチキンピラフ(S) 1種類であった.3.食味テストの塩味の結果は,改訂前において塩からいと感じた調理品は全体の57%,ちょうどよい25%,塩味が薄いと感じたもの18%であった.改訂後では,塩からいと感じた調理品が全体の45%,ちょうどよい0%,塩味が薄いと感じたもの55%であった.全体的にみて,塩からいと感じる調理品が多く,食塩濃度の高い調理品は塩からいと感じる傾向にあった.4.塩味以外の食味テストの結果は,うま味の項目でおいしいと感じる調理品は,改訂前68%,改訂後72%であった.外観がよい調理品は,改訂前36%,改訂後52%であり,テクスチュアがよい調理品は,改訂前57%,改訂後59%,分量がよい調理品は,改訂前25%,改訂後17%であった.5.調理品別の食塩濃度について改訂後の値が高くなったのは,ピラフ類(0.7%→0.8%)であり,改訂後の値が低くなったのは,和風汁物(1.0%→0.9%),天ぷら(0.7%→0.4%)であった.また,調理品別の食塩量において改訂後の値が高くなったのは,中国風汁物(1.6 g→1.7 g),魚の照り焼き(0.4 g→0,5 g)であり,低くなったのは,天ぷら(1.2 g→0.5 g),和風汁物(1.6g→1.4 g)であった. 教科書別の食塩濃度では,改訂後の値が高くなったのは,さわらの照り焼き(K出版;o.7%→0.9%),すましじる(S ;0.9%→1.0%)などであり,低くなったのは,チキンライス(C;1.0%→0.7%),天ぷら(S ; 0.5%→0.3%)などであった.食塩量において改訂後の値が高くなったのは,すましじる(S ; 1.4 g→1.5 g),さわらの照り焼き(K;0.4g→0.5g)などであり,低くなったのは,チキンライス(C ; 2.6 g→1.5 g),天ぷら(S ; 1.0 g→0.4 g)などであった.6.実教出版(改訂後)の全調理品の食塩濃度は,最低0.2%(カスタードプディング,フルーツサラダ),最高2.3%(酢みそあえ)であり. 0.9〜1.0%の範囲(22.9%)に多く分布した.食塩量については,最低0.2g(カスタードプディング,マドレーヌ),最高5.7 g (正月料理)であり,0.1〜0.5 gの範囲(25.6%)に多く分布した.実習例別における食塩量の最低値は1.6 g (実習6のスチームドフィッシュ他)であり,最高値は5.7 g(実習2のチキンピラフ他,実習14の正月料理)であった.
著者
宮内 雄志 荻野 貴司 秋元 俊成 松元 明弘
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp._1A1-E15_1-_1A1-E15_3, 2009

We are involved in the research into navigation of mobile robots for indoor and outdoor use. In order to localize the position of a mobile robot, 3D map rather than 2D map is preferred especially for outdoor application. In order to build 3D map of an unknown environment, we combined two laser scanners for different orientation, and obtained 3D environmental information .We applied 2D scan matching method for the horizontal scan information, and the other scan information is incorporated for 3D map building. We evaluated the performance of scan matching method for the translation and rotation motion of our mobile robot, and then conducted 3D map building experiments in the university campus and confirmed that 3D map was obtained in a quite enough resolution.
著者
荻野 貴司 秋元 俊成 友納 正裕 松元 明弘
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
IIP情報・知能・精密機器部門講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.88-89, 2008

For the future cohabitation of humans and robots, we are making research on home use robots, where human motion and environment must be precisely recognized. We used omnidirectional mobile robot with laser range sensor for this purpose, and made experiments on map building and human following. First, we adopted scan matching algorithm for the localization of mobile robot in the stable environment, and confirmed the map building capability by experiments. Next, we applied this algorithm to the mixed environment of human and robot, and succeeded to extract human motion and robot motion along with the map building at the same time. We confirmed the adaptability of scan matching algorithm to the human motion recognition which is the key to the human following by robots.
著者
石井 秀一 富田 一彬 水野 高伸 高田 恭良
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.145-148, 2018

<p>中小規模建物のダブルスキン建設費は大規模建物に比べて割高になり、ガラス窓負荷削減だけでは運転費削減効果が小さく費用対効果が小さい。この弱点を克服するため、ワンフロア・ワンスパンサイズで、かつ空調換気システムとリンクする「局所分散型ダブルスキン」を実際の建物に導入し、14ヶ月間に渡って省エネ効果を検証した。その結果、暖房シーズン5ヶ月の貫流負荷を窓面積当り平均2.74[MJ/(m2日)]、外気負荷を4.43[MJ/(m2日)]削減した。</p>
著者
Shinichi Takatsuki Yoshiyuki Furutani Kei Inai Tohru Kobayashi Ryo Inuzuka Tomomi Uyeda Mitsuhiro Kamisago Jun Muneuchi Masahide Kaneko Yasushi Misaki Hiroshi Ono Hitoshi Kato Eriko Shimada Tokuko Shinohara Kenji Waki Kenji Suda Yasunobu Hayabuchi Hirotaka Ohki Reina Ishizaki Jun Maeda Hiroyuki Yamagishi
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2270-2274, 2020-11-25 (Released:2020-11-25)
参考文献数
20
被引用文献数
5

Background:Although advances in cardiac surgery have led to an increased number of survivors with congenital heart disease (CHD), epidemiological data regarding the pregnancies and deliveries of patients with repaired CHD are scarce.Methods and Results:In this study, we retrospectively reviewed the clinical outcomes of pregnancies and deliveries of women with repaired CHD. Overall, 131 women with repaired CHD were enrolled and there were 269 gestations. All patients were classified as New York Heart Association (NYHA) Class I or II. The prevalence of cesarean sections was higher in patients with (CyCHD) than without (AcyCHD) a past history of cyanosis (51% vs. 19%, respectively; P<0.01). There were 228 offspring from 269 gestations and the most prevalent neonatal complication was premature birth (10%), which was more frequent in the CyCHD than AcyCHD group (15.7% vs. 5.6%, respectively; P<0.01). Five maternal cardiac complications during delivery were observed only in the CyCHD group (8%); these were classified as NYHA Class II and none was fatal.Conclusions:Delivery was successful in most women with repaired CHD who were classified as NYHA Class I or II, although some with CyCHD and NYHA Class II required more attention. Cesarean sections were more common in the CyCHD than AcyCHD group, and CyCHD may be a potential risk for preterm deliveries.
著者
染川 晋作 堀 大輔 前田 朗
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.128, 2009

【はじめに】<br> 近年、スポーツ現場における理学療法士(以下PT)の活動報告が多く紹介されている。我々も某大学アメリカンフットボール部に対し、2004年からトレーナー活動を中心としたメディカルサポートを行ってきた。2007年から当院の医師及び看護師にも協力を依頼し、当院での活動内容も徐々に増加している。現在では、怪我をしたほとんどの選手が当院を受診するまでに至った。そこで今回、我々の行っているメディカルサポートの報告と、当院のサポートシステムについて検討した。<br>【PTの活動内容】<br> 活動内容は、大学トレーニングルームにて行う練習後のメディカルケア(週1回)、春シーズン4試合・秋シーズン5~7試合の帯同、夏合宿(1週間)の帯同、当院でのリハビリテーション(チームに所属する当院PT2名が主となる)、監督・コーチとのミーティング(受診した選手の現状報告など)、サポートスタッフとのミーティング及び勉強会、選手・コーチへの傷害予防に対する教育などである。<br>【当院のサポートシステム】<br> 2007年から当院の医師及び看護師の協力のもと、受診する選手に対して、リハビリ処方箋の他にチーム専用のシート(以下連絡表)を使用している。連絡表では、受診した選手の診断名及び目安となる固定期間、ジョグ復帰可能、コンタクト以外復帰可能、コンタクト復帰可能時期など、選手のニーズに合わせた情報を医師に記載してもらう。連絡表は、運動療法適応外の場合でも医師に記載してもらう。診察後は記載された連絡表をもとに、チームに所属する当院PT2名が選手の状態を個別にチェックをして、受診した全選手の状態を把握するシステムを確立している。<br>【当院の受診数】<br> 2年間に当院を受診した選手数は、2007年が全選手数56名中41名(73.2%)、2008年が全選手数50名中42名(84.0%)であった。選手の当院受診(のべ新患)数は2007年が101件、2008年130件の総計231件であった。また、当院で手術を施行したものは10件であった。<br>【考察】<br> チームに対する院外でのメディカルサポートを行い、2007年より当院のサポートシステムを確立できたことで、2008年には当院を受診する選手の割合が増加した。診察時に連絡表を使用することで、選手のニーズに合わせた情報提供及び監督・コーチとの情報の共有が迅速となり、理学療法適応外の場合でも、PTが全選手の状態を把握することができた。しかし、PTによる選手の怪我に対する分析はさらに必要であり、今後の課題として、1)連絡表を見直し、怪我の状況(受傷機転やコンディション、グランド状態など)を詳細に評価すること、2)評価をもとに分析を行うこと、3)競技特性に沿ったより良いサポートシステムを確立することを検討中である。
著者
岩田 惠理
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.92-95, 2014-09-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
6

Fish is the vertebrate that first appeared on the earth. While it has been found that many fish species are highly social, their brain has less complex organization than mammals. Thus, studying social behavior in fish has a great advantage in understanding of emotion, which is common to all the vertebrates. Among all, Anemonefishes live symbiotically with sea anemones and form a social unit that consists of a breeding pair and several sexually immature individuals. The hierarchy of the social rank is strictly maintained in a group. Agonistic behaviors are observed frequently among the members of a group, which are essential for maintenance of the social structure, as well as for their sex determination. The differences in agonistic behavior according to social status were also detected directed at conspecific intruders. The aggressive behaviors were specifically directed at intruders of the same sexual status, not at those of the opposite sex. These results suggest that sexually mature resident anemonefish perceive intruders of the same sexual status as competitors for reproductive status.
著者
樫野 悦子 鯉沼 実佐江
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.122, 2005

目的 鮮明な赤色色素となる貴重な動物染料のコチニールは,カイガラ虫科エンジ虫の虫体に存在する色素で,中南米の砂漠に生育するサボテン等に寄生して成長するが,産卵前に採取して乾燥状態で輸出される。天然物であるため採取量は限定され,飼育拡大も困難であることから、その色素の有効な色素獲得の研究が望まれる。そこで,染色用染料としてのコチニールの有効な抽出の基礎データーを得るために、本研究ではコチニール抽出に及ぼす無機酸添加と加温時の影響をpH変換法を用いて検討を行った。方法 無機酸添加剤は,硫酸,硝酸,リン酸等を用い,希釈した各溶液にて初期値pH2.0,2.5,3.0,4.0にpH計を用いて調整した溶液50mlを容量100mlの二口フラスコにとり,冷却管を付けて電気定温湯煎器で25℃,40℃,60℃,80℃,90℃の各温度に設定後,田中直染料店より購入してデシケーター保管したコチニール乾燥虫体0.5gを加え,一定濃度で30分間抽出し,大気中で30分間自然冷却後,ろ別した抽出液の可視部吸光度測定により吸収スペクトル波長曲線と最大波長を求め,最大吸収波長が大きく異なる場合は,新たに同種の無機酸又は数種の塩基を加えて490nm付近でpH3.0又は525nm付近でpH7.0となるように調整しつつ,かつ50倍に希釈して,再度同様に測定した。結果 pH変換法でコチニール抽出液のpHをpH3.0及びpH7.0に変換すると,最大波長は490nm付近及び525nm付近となる。どちらの最大波長においても無機酸添加と加温によるコチニール抽出は初期値pH4.0の80℃,90℃抽出の場合に水のみの抽出よりも高い吸光度で添加効果が認められ,pH変換法による比較は異なる2種の最大波長で有効であった。
著者
山内 瑛一[編] ヤマウチ エイイチ
雑誌
井上円了選集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.495-668, 2001-05-20
著者
HOWELL Peter
出版者
広島大学外国語教育研究センター
雑誌
広島外国語教育研究 = Hiroshima studies in language and language education (ISSN:13470892)
巻号頁・発行日
no.22, pp.101-119, 2019

本記事は,アフリカ系アメリカ人シンガーを中心とした英語のスピーキングとリスニングのコースを作成するために選んだアクティビティやマテリアルの概要についてである。このフォーカスについての理論的根拠の簡潔な説明の後,筆者はコース内のそれぞれ11個のレッスンに共通するアクティビティについて記述する。いくつかの変種に加え,これらは筆者が以前「スリーブロックメソッド」として論述したものと同様のものである。そして,一覧表には,ジャズ,アコースティックブルース,エレクトリックブルース,ゴスペル,ソウル,クロスオーバーといった多岐に渡るジャンルから選択したマテリアルが用意されている。出演シンガーは,ビリー・ホリデイ,サラ・ヴォーン,エラ・フィッツジェラルド,レヴァランド・ゲイリー・デイヴィス,サン・ハウス,ハウリン・ウルフ,ビー・ビー・キング,オニール・ツインズ,アル・グリーン,レイ・チャールズ,ジェームス・ブラウン,サム& デイヴ,オーティス・レディング,ザ・スプリームス,マーサ& ザ・ヴァンデラス,アイク& ティナ・ターナー,マイケル・ジャクソンである。最後に,参加者が回答したアンケートの陳述を用い,筆者の本コースへの教育学上の意見を記述する。
著者
上野 真一
出版者
順天堂大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

パーキンソン病(PD)は構造異常を伴うα-シヌクレイン(AS)が伝播・凝集することで神経細胞変性を惹起することが想定されている。これまでAS凝集体は嗅上皮や腸管から神経回路を介して脳全体へ進展するという2経路が提唱されているが、全ての症例には当てはまらず、非神経系回路を介した伝播経路以外にAS凝集体が循環し全身に広がる可能性を考え、血液中に微量なAS凝集体を検出することに成功した。本研究では、血液からの進展様式および病態への影響を解明することを目的とし、その上で、血中AS凝集体除去による治療の可能性を模索する。
著者
辻野 彰 松本 武浩 前田 隆浩
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

遠隔医療への期待が高まっている昨今、ビデオカンファレンス方式による遠隔診療の診断精度や治療効果(質)に及ぼす影響については十分に検討されていないのが現状である。本研究では、専門医が不在の離島にカメラ付きスマートグラス(MOVERIO Pro:エプソン)を利用したDoctor To Doctor To Patient(D to D to P)のバーチャル専門外来を開設して、その有用性を質に重点を置いて検討するものである。本年度は離島の基幹病院にバーチャル神経専門外来を開設し、慢性神経疾患診療、特にパーキンソン病における治療効果に重点を置いて、D to D to Pの遠隔診療支援の有用性を検討する。専門診療介入前後でパーキンソン病の治療効果や診療満足度が向上するかどうかの評価を開始した。診察プロトコール:1ヶ月に一度の外来受診(年12回)を基本として、同意取得後の6カ月間は通常診療を行う。この期間の診療をコントロール期間として、その後に引き続いてバーチャル神経専門外来を実施する。通常診療時とは別の現地の専属医師が大学の専門医のアドバイスを受けながらパーキンソン病患者を診療して抗パーキンソン病薬の薬物調整を行う。評価項目:PD統一スケール改訂版(MDS-UPDRS)、ウエアリング・オフ現象のオンとオフ状態の時間、ジスキネジアの有無、PD特異的QOL尺度質問票(PDQ-39)、臨床的全般印象度の変化(CGI-C)、認知機能(MoCA)、レボドパ換算総薬物投与量、入院回数、併存合併症(骨折など)、慢性疾患患者ケアシステム評価(PACIC)、アンケート調査を開始前から3カ月ごとに評価する。
著者
境 健自 平田 和之
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.1311-1320, 2005

近年, マシンの高速化, 硫酸バンドの減少, 古紙比率の増加等の理由により, 濾水性歩留り向上剤の重要性はますます増大している。当社は, カチオン性ディスパージョンポリマー (DRシリーズ) とアニオン性ディスパージョンポリマー (FAシリーズ) を組み合わせて用いるツインズシステムを開発し, 多くの製紙工場でこの分野に実績を上げてきている。<br>このFAシリーズは, 水溶性ポリマー粒子を水系に分散させる当社独自のディスパージョン技術を用いたアニオン性のPAM系高分子であり, 抄紙プロセスにおいて, 良好な地合を維持しつつ, 灰分歩留りが高いという特徴がある。この特異的な凝集挙動は, アニオンポリマーFA-230の微粒子特性が関与していることがわかった。<br>当社は, その微粒子挙動の機能を解析し, 高速マシンに適用するために改良を加えた結果, 改良アニオン微粒子型ポリマーを開発することに成功した。このアニオンポリマーは, 分子レベルでの構造制御により, ポリマーでありながらより強い粒子性の側面を持ち, 溶解性, 分散性に優れる。<br>このアニオン微粒子ポリマーを, カチオンポリマーと組み合わせツインズシステムとして使用することで, 高シェアにおいても, 高い歩留り率を維持しながら, 細かい緻密なフロックを形成し, 高地合, 高濾水性, 低含水率を実現できた。この従来にない微粒子特性をフロッキーテスター, 動的濾水試験機DDA, および歩留り試験機DDJで証明した。