著者
多ヶ谷 有子
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.126, pp.129-179, 2012

我が国の「甲賀三郎伝説」は、話型の国際分類であるAT301に属すると指摘されている。古英詩『ベーオウルフ』はAT301の元祖ともみなされるが、一方で、この話型に属するか否かの議論がある。本稿は、『ベーオウルフ』と「甲賀三郎伝説」とを話型で比較することを出発点として、AT301の話型が発達していく流れにおける両者の位置を見定め、両者の関連の態様を検討する。結論を言えば、「甲賀三郎伝説」はAT301の話型の流れにあって、ほぼ完成した形を示すのに対し、『ベーオウルフ』はAT301が完成する途上にあるといえる。しかし、両者ともその流れの中にあるという意味で関連している。
著者
角田 忠信
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.29-34, 1995-01-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
12

ツノダテストの概略を説明した.人の聴覚系は100Hz以上の音声帯域と99Hz以下の生物学的領域に大別される.中心脳には検査音の持つ純粋に物理的スペクトルによって左右の半球に振り分ける自動スイッチ機構があり, 音声帯域では言語音は左脳, 非言語音は右脳に選別する.スイッチ機構は生後6~9歳の言語環境によって, 日本型と西欧型に分かれる.日本型の特徴は持続母音は言語半球優位を示すことにあり, これが原点となって, 有機的な多くの自然音, 感情音, 邦楽器音なども左半球優位となる.一方, 非日本語圏の人はこれらが非言語半球優位となる.言語と情動の発達と固有の文化との間には密接な関係があると考えられる.99Hz以下には言語による差はないが, 40, 60系と年輪系という整然としたシステムが存在する.40系の特徴から, 人に根源的に備わった1秒の基本時間について論じた.
巻号頁・発行日
vol.第六拾五卷,
著者
清水 浩 小川 雄之亮
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.193-201, 1998-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
54

肺サーファクタントの絶対的欠乏による新生児呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome; RDS)に対する人工肺サーファクタント補充療法は,未熟児の救命率を飛躍的に向上させた。一方,肺サーファクタントが機能的に阻害された病態(胎便吸引症候群,肺炎,急性呼吸窮迫症候群,肺出血)に対しても,この補充療法が検討されている。また肺低形成では,RDS類似の肺の未熟性がみられ,出生後早期に人工肺サーファクタントを投与することによって,呼吸機能の改善が期待できる。最近,人工肺サーファクタント投与による免疫系細胞の機能抑制の問題が明らかにされており,また親水性肺サーファクタント蛋白質の肺局所免疫としての役割がクローズアップされて,次世代の人工肺サーファクタント開発にあたっての問題点を提起している。
著者
福元 和真 川崎 洋 小野 晋太郎 子安 大士 前川 仁 池内 克史
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.169-174, 2013

近年,車載カメラの普及に伴い動画サイトへの車載動画の投稿が普及し始めている.これらの映像を利用し,日常的に自由走行しながら撮影された様々なカメラ映像をつなぎ合わせることで,より広範囲にわたる地域で高い頻度での更新が実現できるが,位置情報の無い映像をプローブカーなどで得られた情報つき映像と対応付ける必要がある.そこで本手法では,まず時系列画像をから建物の相対的な高さ情報を保持するTemporal Height Image(THI) を作成し,それに対してAffine SIFT によりロバストな特徴を取り出す.得られた特徴をBag of Feature で表現し,効率のよいマッチングを実現する.実際に市街を撮影したデータで検証した.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
加納諸平, 神野易興 著
出版者
平井五牸堂
巻号頁・発行日
vol.後編(四之巻),
著者
山本 遼介 泉 岳樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

<b>1 </b><b>はじめに<br></b>東日本大震災の復興過程のアーカイブについては,NHKの「東日本大震災アーカイブス」の中での復興の軌跡や(独)防災科学技術研究所を事務局とする「東日本大震災・災害復興まるごとデジタルアーカイブス」(略称:311まるごとアーカイブス)をはじめとして,様々な取組がなされてきた.それらの中でも,Google社の日本法人が行っている「未来へのキオク プロジェクト」では,写真や動画の投稿プラットフォームとして既に6万1千件以上のデータがアーカイブされているだけでなく,ストリートビューという360度画像の閲覧サービスのデータを震災直後と震災後2年の2時点で取得し公開している(一部地域については震災前のデータ有).360度画像は,人の目線に近い視点から空間全体を記録しているので,臨場感があるだけでなく,町並みや景観の記録としての価値も高く,このデータを元に建物の3次元モデルを作成し町並みを復元する試みもなされている.<br>本研究では,このように利用価値の高い360度画像を取得できるMMSを用いて独自にデータ取得を行い,復興過程のアーカイブを試みる.その際,写真測量技術により複数の360度画像から画像内の地物の位置や高さなどを計測する機能の有効性についての検討を行う.<br><br><b>2 </b><b>研究手法<br></b><b></b>MMSによるデータ取得は,(株)トプコン製のIP-S2 Liteを用いた.このシステムでは,車両のキャリア上に6つのカメラ,GPS,IMUを備えたメインユニットを搭載し,車内に接続されたPCで動画撮影の制御とデータの保存を行う.このMMSはレーザースキャナを搭載していないが,撮影データの後処理により,動画内の地物の位置や高さを測定することができる.<br>対象地域は,被災地で最も早く防災集団移転事業が進んでいる宮城県岩沼市とした. <br>現地調査は,2012年8月4日~7日と2013年11月18日~19日に行い,津波の被害を受けた岩沼市沿岸部(仙台東部道路の東側)をMMSにより撮影した.<br>&nbsp;<br><b>3 </b><b>結果<br></b><b></b>2012年と2013年のデータを比較すると,以下の変化を見ることができた.(1)防災集団移転地において造成工事が本格化し,用水路の整備や地面のかさ上げ等が開始された.(2)「震災遺構」にもなり得た相の釜地区の水防倉庫が解体された.(3)「千年希望の丘」の造成工事が開始された.(4)海岸部にあった瓦礫等が撤去され,防潮堤の工事が本格化した.また,画像内の計測機能については,特徴点が抽出できるところでは概ね1m以内の精度で測定できることが分かった. <br>今後は,現地調査を継続的に行うとともに,変化の大きい場所について,位置や高さの測定など定量的な解析を行う予定である.
著者
後藤 致人
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.799, pp.64-73, 2014-12

1 0 0 0 ペスト病論

著者
山極勝三郎著
出版者
半田屋医籍
巻号頁・発行日
1900
著者
出口 達也 岡井 理香 金野 潤 渡辺 涼子 井上 康生 増地 克之 田村 昌大 石井 孝法
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.109_1, 2018

<p> 全日本柔道連盟では、平成29年度日本スポーツ振興センター「アスリートパスウェイの戦略的支援事業」において、平成29年全国中学校柔道大会優勝選手と指導者計13名に対して国際大会を利用した研修を実施し、事前事後調査および2か月度に実施したフォローアップ調査からその成果と課題について検証した。</p><p> 本研修は平成29年12月1日~4日までの3泊4日間の日程で実施し、グランドスラム東京国際大会および国際合宿の視察を行い、日本スポーツ振興センターによる目標設定プログラムを実施した。</p><p> その結果、「計画」、「実行」、「評価」、「改善」の各項目について、選手自身の自己評価では「計画」の1項目、指導者による選手の評価においては「改善」の4項目計が有意に向上した。また、研修で実施した各教育プログラムの内容が研修2か月後も「大いに活用できている」もしくは「活用できている」との回答が得られた。</p><p> 本学会では、研修内容と質問紙調査結果の詳細を報告するとともに、PDCAサイクルの習慣化に着目し、中学生アスリートがハイパフォーマンスを実現するための教育プログラムについて提案する。</p>