著者
松本 高太郎
出版者
帯広畜産大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

北海道十勝管内ののべ66 個体のエゾリスから、血液41 検体、脾臓29 検体、及び体表のノミ475 匹を採取した。エゾリスの血液及び脾臓からはリケッチア属細菌は検出されなかったが、種の同定が可能であったノミ342 匹のうち69 匹(20.2%)からリケッチアが検出された。4 種類の遺伝子の部分配列を決定し、これらは全てRickettsiafelisと近縁であった。また、ノミ15 匹からリケッチア属細菌の分離を試み、うち1 匹からリケッチア属細菌の分離に成功した。
著者
鈴木 天理 小松 崇志 角川 隆明 萬久 博敏 前田 明
出版者
日本水泳・水中運動学会
雑誌
水泳水中運動科学 (ISSN:18806937)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-12, 2021 (Released:2021-03-18)
参考文献数
15

The purpose of the present study was to evaluate the effectiveness of different step movement of relay starts with a back plate in competitive swimming. Twelve elite swimmers performed three different types of relay start and Kick Start. The start motions were recorded by six video cameras, and the 3D-DLT method was used to calculate the kinematic variables. As a result, there were no significant difference for male swimmers in the variables related to velocity and angle between No-Step and Single-Step, but the Advanced-Step attained a higher horizontal velocity at take-off. In female swimmers, there was no difference in all relay starts. In addition, Advanced-Step did not exceed the performance of the Kick Start. This fact shows that swimmers don't make the advantage that they don't have to make a pause in a relay start.
著者
鈴鴨 よしみ
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.12-16, 2015 (Released:2015-04-16)
参考文献数
15
被引用文献数
1

医療のアウトカムとして患者のQOLを測定・評価することは、1980年代から様々な分野で実施されてきた。研究の進展に伴い評価における課題も浮き彫りになったが、その一つがレスポンスシフトである。レスポンスシフト(response shift)は患者が報告するアウトカム(Patient-reported outcomes: PRO)に特異的な現象である。自分の健康状態を自己評価する際に、我々は自己内部にある基準を参照して判断するが、この内部基準が変化する現象をレスポンスシフトと呼ぶ。レスポンスシフトは、内的基準の変化(recalibration)、価値の変化(reprioritization)、意味の変化(reconceptualization)の3つに分類される。治療介入効果の検証のために介入前後でPROを測定し比較することはしばしば行われるが、このような経時的比較は、同じものさしで測定すること(基準が変わらないこと)を前提としている。しかし、健康変化や介入によってこれまでに体験したことのない状態を体験すると、自己評価の基準が変わってしまうことがある。この現象が起きると、本人が良くなったと自己評価していたとしてもPROスコアには変化が現れない、またはその逆に、本人は変化していないと感じていてもスコアには差が現れるという現象が生じ、介入の効果が過大・過小評価されてしまう。そのため、レスポンスシフトを検出し考慮したうえで介入効果を評価する統計的手法が検討されてきた。一方、レスポンスシフトは、環境の変化への適応として捉えることもできる。慢性疾患や障害の存在にも関わらず利益や成長を見出すことは、負の影響を軽減するための認知的戦略である。この視点において、レスポンスシフトはバイアスや交絡因子というよりは、それ自体が重要な健康指標であり介入のゴールであると考えることができる。QOL評価研究で培われたレスポンスシフトの検出手法を、行動医学における心理的適応の検出・評価研究に適用することで、さらなる知見が得られる可能性がある。
著者
高津 俊司 佐藤 馨一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.93, 2004

本研究は、開発者負担金による鉄道整備の事後評価を目的として、都市開発と一体的に整備が進められた臨海副都心線(りんかい線)を事例として、開発者負担金について開発者にアンケート調査を行い、開業後の輸送実績を元にして鉄道計画支援システム(GRAPE:GIS for Railway Project Evaluation)を用いて鉄道整備効果を分析し、開発者負担方式の評価と今後の課題を考察した。その結果、次のような知見が得られた。_丸1_事後アンケート調査によれば、鉄道に対する評価としては、広域、大量、高速などの特性を評価し、約8割の会社が「受益があるのである程度の負担はしかたない」と回答している。費用負担の額についても、計画時点より現時点の方が、「ほぼ妥当である」との回答が増加している。_丸2_りんかい線の整備による開発区域内の利用者便益(割引後30年集計)をGREPEで推定すると、開発者の費用負担金の額を上回った。_丸3_これらの結果から、鉄道整備の財源方式として、請願駅方式で駅周辺の開発者からの負担金を徴収する方式は、一定程度の妥当性があると想定される。
著者
小島 道裕
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.145, pp.317-347, 2008-11

京都とその周辺を描いた「洛中洛外図屏風」の内、室町期の景観を持つ「初期洛中洛外図屏風」四本は、大名上杉家に伝来した上杉本を除いて、制作事情が明らかでなかった。本稿では、屏風の中に「登場人物」と言える個人の像を検出することによって、その主題を明らかにし、初期洛中洛外図屏風全体についても統一的な理解を試みた。最も古い「歴博甲本」は、一五二五年に、室町幕府の実権を握っていた細川高国が、嫡子稙国への家督譲渡と新たな将軍御所の建設を契機として、自らの事績を描かせたものであり、作者は幕府御用絵師の狩野元信である。「東博模本」は、細川晴元の政権を中心主題として描いたものであり、「上杉本」は、細川氏の館を中心とする構図をそのまま用いながら、管領が細川氏から上杉氏に代わるというメッセージを表している。「歴博甲本」に始まる「権力者とその統治する都市」という主題の屏風は、その後も狩野派によって受け継がれていくが、「歴博乙本」にはそのような権力者を顕彰する主題は見いだしがたい。名所絵・風俗画として描かれたと考えられ、近世に量産される洛中洛外図屏風の先駆と位置づけられる。In the versions of "Rakuchu-Rakugai-Zu Byobu" (folding screens depicting scenes in and around Kyoto), except for the Uesugi version handed down in the Uesugi family of daimyo (feudal lords), the production background to the four early versions of "Rakuchu-Rakugai-Zu Byobu", which contain scenes of Muromachi Bakufu, had yet to be clarified. In this article, I clarified the works' themes by detecting within the folding screens the images of individuals that could be called "characters," and I have attempted to obtain a unified understanding of all early versions of Rakuchu-Rakugai-Zu Byobu.The oldest – the "Rekihaku A version" – was produced in 1525, when Hosokawa Takakuni, who was at the helm of the Muromachi Bakufu, had his achievements depicted by the Bakufu painter, Kano Motonobu, on the occasion of the transfer of responsibility for the family to his son Hosokawa Tanekuni, and the building of a new palace for the Shogun. The regime of Hosokawa Harumoto is depicted as the main theme in the "Tohaku replica," and in the "Uesugi version" and although the composition still has the Hosokawa residence at its center, there is an inscription stating that the office of the Kanrei (Shogun's Deputy) was taken over by the Uesugi family from the Hosokawa family.The theme of "the person in authority and the city ruled by him" first appears in the "Rekihaku A version" and was handed down in the Kano School; but themes that praise the authorities cannot be found in the "Rekihaku B version." The piece must therefore have been created as a landmark guide/genre painting, and can be identified as the pioneer of the Rakuchu-Rakugai-Zu Byobu commercially produced in early modern times.
著者
鈴木 堅弘
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.13-51, 2008-09

本論は、春画として最も有名な北斎画の「蛸と海女」を取り上げ、この画図を中心に春画・艶本表現における図像分析を試みた。まず具体的な図像分析に先駆けて、同種のモチーフが「あぶな絵」や「浮世絵」にも描かれている背景を追うことで、近世期の絵画表現史における「蛸と海女」の画系譜を作成した。そしてその画系譜を踏まえて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の図像表現のなかに、同時代の歌舞伎、浄瑠璃、戯作などに用いられた「世界」と「趣向」という表現構造を見出すことにより、春画・艶本分野においても同種の演出技法が用いられていたことを発見するに至った。また、こうした図像分析を通じて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の表現構造が、太古より連綿と続く「海女の珠取物語」の伝承要素や、江戸時代の巷間に流布した奇談・怪談の要素で構成されていることを読み解いたといえよう。 なお、これらの考察により、春画・艶本の性表現のみに注視しない、新たな見方を提示することができたに違いない。
著者
布施 明
出版者
日本医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

一次爆発損傷による頭部外傷は爆圧による損傷であることが知られており、従来の局所性/びまん性頭部外傷とは違うメカニズムによる病態である。従来とは違う新しい実験脳損傷モデルの作成が脳損傷の病態の多角的な検討に有用である。そこで、全く新しい実験脳損傷モデルを作成することを目的とした。マイクロ波照射による実験脳損傷モデルである。2.0~3.5kW/0.1secでマイクロ波を照射し、照射前後の生理学的な変化を観察するととともに、照射後の病理学的変化の検索、及びタンパク質網羅的解析を施行した。照射前後で照射強度が最大の場合以外では有意な呼吸状態の変動は認められなかった。病理学的にはMicrowave照射により脳組織に損傷がおきることが示された。3-3.5kW/0.1secでは早期から(3時間以降)で神経変性が認められた。また、照射強度が強いほど海馬CA細胞に早期に所見が発現した。二次元電気泳動では、タンパク質の発現がコントロール群と比較して照射群では変化が認められた。マイクロ波照射による脳損傷の病態把握にタンパク質網羅的解析が有用であることが示唆された。Microwave照射により脳組織に損傷が起きることが示された。今後、Microwave照射によって引き起こされる脳損傷の継時的な観察を行うとともに、本損傷の病態についてさらに詳細な検討をするため、より詳細な病理学的検索、タンパク質網羅的解析や行動実験などを用いた検討を行う必要があると考えられた。本モデルは、短時間で作成できるモデルのため、種々の検討が容易にできる簡便な脳損傷モデルとなりえる
著者
牧 和生 Maki Kazuo
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学 国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.6, pp.47-70, 2020-10

本論文は、2000年代(ゼロ年代)以降のアニメにおいて多数世に送り出され、現在においても一定の地位を獲得している「日常系アニメ」に焦点を当てた。さらに、本論文では日常系アニメの中でも、特に日常系4コママンガを原作とするアニメ作品を研究対象にしている。日常系4コママンガを原作とするアニメ作品は、その本数自体はアニメ全体の中でもわずかであるが、ほぼ毎年一定数が制作されるなど1つのアニメカテゴリーを成している。本論文では、これらの日常系4コママンガを原作とするアニメ作品が制作され続けていることに対する経済学的意味ついて、現代社会における閉塞感および視聴者側の心理的な側面に注目して検討したものである。
著者
飯野 秋成 飯野 なみ
出版者
一般社団法人 芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.42-49, 2017

本稿では、「第1期~第2期ウルトラシリーズ」の6_曲の主題歌について、1つの番組の主題歌に含まれるメロディのモチーフが、後続番組の主題歌のメロディに継承されている状況を、メロディ譜から考察した。さらに、メロディに含まれる音符の音価について、平均情報量による分析を行い、モチーフの継承による平均情報量の変化の特徴を示した。 まず、「第1期ウルトラシリーズ」の主題歌である「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」のそれぞれについて、作曲者の作風と、当時の各楽曲制作に求められた方向性を文献からリサーチした。「ウルトラセブン」は「ウルトラマン」の後継番組でありながら、主題歌の制作においてモチーフを継承する意図は確認されなかった。さらに、メロディ譜の分析により、「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」のメロディには、明確に共通といえるモチーフは見られなかった。 また、「第2期ウルトラシリーズ」の主題歌である「帰ってきたウルトラマン」、「ウルトラマンA」、「ウルトラマンタロウ」、および「ウルトラマンレオ」には、「ウルトラマンの歌」および「ウルトラセブンの歌」のモチーフが、それぞれ変形されながら継承されていることを確認した。 さらに、「第1期~第2期ウルトラシリーズ」の6_曲の主題歌について、メロディの音価と音高の平均情報量を求め、2次元空間に配置すると、楽曲間のモチーフが大きく変形することなく継承されている場合に近接することを示した。モチーフが大きく異なる「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」の2_曲が早期に生み出されたことにより、その後のシリーズにおけるモチーフ継承によって統一感を保持しながらも、多彩な楽曲群が生み出されることにつながっていることが示された。
著者
近藤 泉
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 言語・文化篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; LANGUAGE and CULTURE (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.37-72, 2021-03-31

本論文においては,犯罪映画・ミステリー映画について,日本と中国の作品の比較を行う。このテーマについては,日中いずれにおいても,先行研究が存在しない。調査対象は2010年~2018年の9年間の作品とする。日本・中国とも各年度の興行収入ランキング上位の計約40本の作品を調査対象として,日中計80本ほどのすべての作品について,58の項目についてそれぞれ該当するかどうか一つ一つチェックし,表を作成する。日本と中国の表を比較することにより,できるかぎり客観的に日中の作品の比較を行う。ページ数の都合により,論文は3回ほどに分けて発表する予定であり,1回目の前回は中国の作品に関する部分を掲載しており,2回目の今回は日本の作品に関する部分を掲載する。次回は,作成した表などを使いつつ,日中の比較をする予定である。これにより,日中の映画の比較ができることはもとより,両国の社会や人々の意識の違いをも見て取ることができるはずである。
著者
笹塚 諒 浜崎 活幸 團 重樹
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.e105-e107, 2019-08-01 (Released:2019-09-03)
参考文献数
3