著者
中村 潤平 福地 伊芙映 立原 一憲 本村 浩之
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.123-128, 2020

<p>Two specimens (227.8–251.7 mm standard length) of the rare grouper <i>Cephalopholis polleni</i> (Bleeker, 1868) were collected off Okinawa-jima and Ishigaki-jima islands, Ryukyu Islands, the species having previously been known from scattered insular localities in the Indo-Pacific Ocean, including the Ryukyu Islands between the Amami and Yaeyama Islands. Although a single specimen of <i>C. polleni</i> had been previously obtained from a fish market in Naha, Okinawa-jima Island, its capture locality was unknown and the specimen is now apparently lost. All other Japanese records of the species were based solely on photographs. Accordingly, the present specimens of <i>C. polleni</i>, described here in detail, from Okinawa-jima and Ishigaki-jima islands represent important specimen-based records of the species from Japan, being the first with precise locality data. A review of previous distribution records of <i>C. polleni</i> from Japanese waters is also provided.</p>
著者
大槻 健太 金谷 文則 山口 浩 親富祖 徹 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.340-343, 2020
被引用文献数
1

<p>【目的】髄内釘(ナカジマメディカル社 ニューストレートネイル®)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】髄内釘を用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった75例75肩(男性21肩,女性54肩)を対象とした.年齢は35~91歳(平均70歳),骨折型は2-part 33肩,3-part 29肩,4-part 13肩,経過観察期間は6~53カ月(平均13.4カ月)であった.調査項目はX線学的評価,ROM(屈曲・外旋・内旋)とした.合併症,年齢,骨折型とROMについて検討した.【結果】平均ROMは屈曲119°,外旋39°,内旋4.2点であった.合併症発生率は20%(骨頭壊死6肩,大結節障害3肩,螺子骨頭穿破2肩,螺子逸脱・骨頭壊死と螺子逸脱の合併・内反変形各1肩)であった.年齢と屈曲・外旋角度で負の相関関係を認めた.骨折型は各part骨折間ではROMに明らかな有意差を認めなかったが,75歳以上の4-part骨折では有意に屈曲が低下していた.【結語】髄内釘の治療成績は比較的良好であったが,高齢者で術後ROMは低下していた.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 呉屋 五十八 森山 朝裕 大槻 健太 親富祖 徹 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.336-339, 2020

<p>【はじめに】近年,上腕骨近位端骨折に対して保存療法を推奨する報告が散見される<sup>1)2)5)</sup>.上腕骨近位端骨折に対する保存療法の成績を報告する.【対象および方法】保存治療を行った21例21肩を対象とし,内訳は骨折型2-part 9肩,3・4-part 12肩,年齢は49~87歳(平均69歳)(65歳未満:5肩,65~74歳:6肩,75歳以上:10肩),経過観察期間は6~81カ月(平均25カ月)であった.調査項目はX線学的評価,肩関節可動域:屈曲・外旋・内旋であり,骨折型(2-part,3・4-part)と年齢別での患健比(%)を検討した.【結果】最終可動域は屈曲132°,外旋57°,内旋5点であり,患健比(%)は骨折型別では2-part(屈曲87%,外旋88%,内旋93%),3・4-partで(90%,75%,81%).年齢別では65歳未満(88%,96%,93%),65~74歳(90%,71%,75%),75歳以上(90%,75%,91%)であった.【まとめ】3・4-part骨折と65歳以上で外旋制限を認める傾向があったが,保存療法の成績は比較的良好であった.</p>
著者
親富祖 徹 金谷 文則 山口 浩 大槻 健太 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.344-348, 2020

<p>【目的】上腕骨近位部骨折用DePuy-Synthes社製PHILOS<sup>TM</sup>プレート,(以下PHILOS)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】PHILOSを用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった65例65肩(男性16肩,女性49肩),年齢は20~87歳(平均64歳),骨折型(Neer分類)は2-part 27肩,3-part 31肩,4-part 7肩,観察期間6~64カ月(平均15カ月)であった.調査項目は自動肩関節可動域(屈曲・外旋・内旋:内旋のみJOAスコアに基づき点数化),骨癒合,合併症であり,年齢・骨折型と関節可動域に関する検討を行った.【結果】平均肩関節可動域は屈曲116°,外旋29°,内旋3.8点であった.合併症発生率は35%であった.年齢と屈曲・外旋可動域で負の相関関係を認めた.4-partでは屈曲可動域が有意に低下していた.【結語】PHILOS固定例では年齢と屈曲と外旋で負の相関関係を認め,4-part骨折では有意に屈曲が不良であった.</p>
著者
勝木 亮 大久保 宏貴 金城 政樹 普天間 朝上 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.376-380, 2020

<p>30歳,男性,アフリカ系アメリカ人,米軍の消防士.5か月前,バスケットボール中に転倒し,右手をついて受傷した.同日,右第2中手骨骨折の診断で,2か月間前腕ギプス固定を行われた.右手関節痛が持続し,手背部の骨性隆起を認めたため,当院を紹介された.第2中手骨基部及び手関節背側に圧痛を認めた.手関節背屈は可能だったが,抵抗を加えると疼痛が誘発された.握力は右10 kg,左42 kgと低下していた.単純X線像及びCTにて第2中手骨基部橈側の骨欠損と手関節背側に小骨片を認め,MRIで骨片に長橈側手根伸筋(ECRL)が連続し,陳旧性ECRL裂離骨折後偽関節と診断した.ECRL腱が付着した骨片を原位置に戻して骨移植を行い,tension band wiringによる偽関節手術を行った.術後4週間の前腕ギプス固定後に,関節可動域訓練を開始した.術後4か月で骨癒合が得られた.術後8か月で手関節可動域は制限なく,握力は47 kg(健側40 kg)に改善した.手関節掌背屈時痛や圧痛はなく,原職に復帰した.</p>
著者
島袋 全志 玉城 一 伊波 優輝 藤本 泰毅 仲宗根 哲 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.329-332, 2020

<p>髄内釘ASULOCK<sup>®</sup>は,ラグスクリューに加えて3本のピンやスクリューを近位骨片に挿入でき,近位骨片を強固に固定できる.今回,大腿骨転子部骨折に対してASULOCK<sup>®</sup>を用いた手術成績を検討した.対象は24例で男性5例,女性19例,平均年齢83歳(64~99歳),平均観察期間は24週(4~49週)であった.中野3D-CT分類TypeⅠの2-partAは4例,3-partAは5例,3-partBは3例,4-partは9例で,TypeⅡ は3例であった.手術時間は平均102分(61~134分),術後単純レントゲン像の正面像では外方型はなかったが,側面像で髄内型を3例に認めた.スライディング量は平均2.7 mm(0~12 mm)であった.遷延癒合を6例,ピンのカットアウトを1例に認めた.ASULOCK<sup>®</sup>使用例では,整復良好例でも合併症が多く,十分な整復による良好な骨性コンタクトが重要であると考えた.</p>
著者
藤本 泰毅 島袋 孝尚 山川 慶 金城 英雄 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.195-199, 2020

<p>【要旨】症例は39歳,女性.1年9ヵ月前より両下肢しびれ,2ヵ月前より右下肢筋力低下が出現し,他院を受診した.MRIにて胸椎硬膜内髄外腫瘍を指摘され当科へ紹介された.両鼠径部以下のしびれ・感覚鈍麻,右下肢腸腰筋以下にMMT3の筋力低下を認めた.MRIでT10/11高位に右腹側にT1・T2で等信号,ほぼ均一に造影される硬膜内髄外腫瘍があり,さらにその左背側には信号強度の異なる腫瘍を認め,脊髄は強く圧排されていた.手術はT10・11還納式椎弓形成を用いて腫瘍摘出術を施行した.術中迅速病理では右腹側は髄膜腫,左背側は神経鞘腫であった.肉眼的に腫瘍を全摘後,硬膜焼灼処置を行った.永久病理結果も術中迅速病理と同様であった.術後3ヵ月のMRIでは腫瘍再発を認めず,術後1年の現在は両下肢しびれ軽減し,下肢筋力も正常である.</p>
著者
翁長 正道 仲宗根 哲 石原 昌人 平良 啓之 金谷 文則 高江洲 美香 宮田 佳英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.223-227, 2020

<p>【はじめに】THAにおいてナビゲーションを使用できない施設では,正確なカップ設置のために工夫をこらしている.今回,仰臥位前方アプローチTHA(DAA-THA)において3次元術前計画を行い,術中カップ設置支援デバイスと術中イメージを用いたカップ設置精度を検討した.【対象と方法】DAA-THAを行った125例159関節,平均62歳を対象とした.3次元術前計画では,カップは外方開角40°,前方開角10°,15°,20°のいずれかとした.術中イメージでカップの内方,上方位置を確認し,カップ設置支援デバイスを用いてカップを設置した.【結果】カップ外方開角(平均±SD)は40.5±3.1°で,前方開角は16.1±3.6°であった.カップ設置誤差は外方開角2.4±2.1°,前方開角2.5±2.2°であった.内外,前後,上下の設置位置誤差は,それぞれ2.7±1.9mm,3.2±2.4mm,2.9±2.4mmであった.【考察】ノンナビゲーションでもカップ設置角度は正確であったが,カップ設置位置の誤差は大きかった.</p>
著者
伊波 優輝 金谷 文則 東 千夏 山中 理菜 比嘉 浩太郎 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.274-277, 2020

<p>65歳女性.3歳時に右下腿粉砕骨折を受傷(本人申告で詳細不明),12歳までに腓骨・腸骨移植を併用し数回の手術後に骨癒合した.30歳頃にvon Recklinghausen病を指摘され,53歳頃から右足関節の外反変形が増悪し装具や靴を作製したが,症状が増悪したため65歳時に当院へ紹介された.足関節の可動域は背屈/底屈:-10°/45°で,右足関節の外反動揺性が高度であったため,荷重時・歩行時に足関節内側が接地し内果後方に胼胝を形成していた.単純X線像で腓骨遠位が4 cm遺残し,外側遠位脛骨角は67°,踵骨外反は40°だった.CTで距骨下関節の関節裂隙は保たれていた.手術は全身麻酔下に外側アプローチで切除した腓骨遠位を骨移植し,距腿関節固定術を行った.術後4週免荷,その後は装具装着下に部分荷重を開始し,術後8週で全荷重を許可した.術後1年,疼痛は軽快し市販の靴を履いて独歩可能である.</p>
著者
仲宗根 哲 石原 昌人 翁長 正道 金谷 文則 高江洲 美香 宮田 佳英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.233-236, 2020

<p>【はじめに】転位の少ない骨盤輪・寛骨臼骨折に対するハイブリッド手術室の2D/3Dナビゲーションを用いた経皮的骨盤スクリュー固定術を検討した.【対象】対象は,49例(男性22例,女性27例),平均年齢66歳であった.全身麻酔後に術中CTを撮影し,既存の針生検用のアプリケーションでスクリュー軌跡の三次元術前計画を立てた.術中リアルタイムイメージ像にスクリュー軌跡を重層させ,軌跡に沿ってガイドワイヤー,スクリューを挿入した.【結果】平均手術時間115分(42~277分),出血量9.2 g(5~30 g),術中透視時間は平均15.5分であった.合計132本の経皮的スクリューを挿入した.血管,神経孔,関節内穿破はなかった.【考察】ハイブリッド手術室における2D/3Dナビゲーションによる経皮的骨盤スクリュー固定術は有用であった.一方,手術時間や放射線被爆に課題があると思われた.</p>
著者
大槻 健太 山口 浩 当真 孝 呉屋 五十八 宮田 佳英 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.127-131, 2020

<p>68歳,男性.2カ月前に転倒し受傷した.同日救急外来を受診し,単純X線像(以下,Xp)を施行されるも異常を指摘されなかった.その後も左肩痛が持続したため,受傷後1.5カ月で近医整形外科を受診し,左肩関節前方脱臼を認めたため当科へ紹介された.初診時,左肩関節の動作時痛,可動域制限,腋窩神経領域の感覚障害を認めた.左肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲45°,外旋-10°,内旋不可で,日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(以下,JOA score)は16.5点であった.術前Xpで肩関節前方脱臼,MRIで前方関節唇損傷・腱板大断裂を認めた.手術は前方関節唇および腱板修復を行い,術後8週間は外転枕固定を行い,術後早期より手指肘のROM訓練,術後3週より肩関節他動運動,術後6週より自動介助運動,術後8週より自動ROM・腱板訓練を開始した.術後早期にはXpで亜脱臼傾向認めたが徐々に改善した.術後12カ月で骨頭壊死を認めず,疼痛,ROM(屈曲140°,外旋60°,内旋L1),JOAスコア83.5点へ改善,MRIでは腱板連続性を認めた.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 呉屋 五十八 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.123-126, 2020

<p>症例1 40歳,女性,教員.12カ月前に右乳がんに対して乳房切除術,4カ月前にシリコンインプラントを用いた再建術を受けた.右肩関節痛と可動域制限のため紹介された.初診時肩関節可動域(以下,ROM)は,屈曲105°,外旋45°,内旋不可,徒手筋力テスト(以下,MMT)は,肩関節内旋のみ3レベルであった.リハビリテーション(以下,リハ)開始後12カ月でROMは,屈曲160°,外旋85°,内旋T10,MMTは,内旋は4レベルに改善,教職へ復帰している.症例2 42歳,女性,保育士.6カ月前に左乳がんに対して乳房切除術,2カ月前にシリコンインプラントを用いた再建術を受けた.左肩関節痛と可動域制限のため紹介された.初診時ROMは,屈曲120°,外旋20°,内旋不可,MMTは肩関節内旋のみ3レベルであった.リハ開始後6カ月でROMは,屈曲160°,外旋60°,内旋T10,MMTは,内旋は4レベルに改善,保育士へ復帰している.</p>
著者
入部 綱清 永井 邦憲 Md Mostafizur Rahman
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.20200007, 2020

<p>海岸工学分野では段波による波圧を評価することは,海岸構造物の維持管理に重要である。本研究の目的はMPS法における疑似圧縮型のソース項の改良を行い,圧力計算を安定的に行うことである。精度検証として静止した流体の静水圧の計算を行い,理論値と比較し良好な結果を得た。さらに海岸工学分野への応用として,段波の計算を行い,衝撃波圧と重複波圧の関係,重複波圧と護岸全面水位の関係,重複波圧と沖合波高の関係において,実験結果との比較を行い良好な結果を得た。</p>
著者
親富祖 徹 山口 浩 呉屋 五十八 当真 孝 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.101-104, 2020

<p>【はじめに】広範囲腱板断裂手術例(massive rotator cuff tear,以下m-RCT)は,肩関節可動域(range of motion,以下ROM)制限が主訴となることが多い.一方,ROMの回復に関して,術後患側と非手術側(以下,健側)とを比較した報告は少ない.本研究ではm-RCTの術後ROMとROM患健比を検討したので報告する.【対象および方法】m-RCTに対し一次修復術が可能であった29例29肩を対象とした.平均年齢は66.5歳,平均経過観察期間は46カ月であった.調査項目は健側ROM(屈曲・外旋・内旋:内旋はJOAスコアに基づき点数化)と術前後患側ROMとを調査し,術前後の患側ROM変化とROM患健比を検討した.【結果】平均健側ROMは屈曲153°,外旋61°,内旋5.6点であった.患側ROMは術前(屈曲88°,外旋38°,内旋3.9点)が術後(142°,52°,5.3点)と有意に改善した(各々,p<0.05).術後ROM患健比は屈曲93%,外旋85%,内旋95%であった.【まとめ】RCTに対する一次修復術後ROMの回復は,患健比の比較でも良好な結果であった.</p>
著者
島袋 美由紀 三嶋 啓二
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.89-92, 2020

<p>沖縄には「ユイマール」(相互扶助)という言葉がある。他にも「肝心(チムグクル)」(真心)や「イチャリバチョーデー」(一度会ったら皆兄弟)などがあり、これらは沖縄の人々が培ってきた社会観を表象している。しかし、現在は、個人の価値観やライフスタイルの多様化に伴い、プライバシーやプライベートが重視され、固定的で干渉される人間関係は疎まれるようになってきた。その副次的な現象として、多くの自治体では地域活動を担う人材が確保できず、住民間の紐帯が希薄になってきている。しかし、在住地域は暮らしの基盤であり、最も身近な社会である。安心安全な地域社会は、主体である住民自ら築くことが望ましく、その原動力となるのがシビックプライド(愛着や誇り)ではないだろうか。</p><p>本稿では、地域デジタルアーカイブの構築と活用を支援するNPOの活動を紹介するとともに、被支援地域におけるシビックプライド調査について報告し、その課題について明らかにする。</p>
著者
藤田 哲司
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.364-377, 1994-12-30 (Released:2009-10-13)
参考文献数
28

社会現象としての権威持続の中核は, 権威的指示の受容原理にあるものとして理解可能である。 そして, 本論文の目的は, 権威的指示の受容に関して敬意という要因を組み込んだメカニズムを想定し, 権威の安定を説明することである。権威の長期的安定 (権威的指示受容の長期的安定性) は, 1) 権威源泉の正統性にもとついて受容者個々人が自発的に受け入れるという側面と, 2) 受容者集団や社会圏内部で生ずる相互規制 (役割転換) によって受け入れを継続させられるという側面に分析できるが, いずれにおいても担い手に対する受容者の敬意が大きく関わっている。 つまり, 1) では, 二重の依存状態 (権威源泉-受容者, 担い手-受容者) の下で担い手が受容に関して何の期待もしないときに生じる敬意が, 源泉に対する正統性信念を喚起することによって, 受容を促進する要因となる。 2) では, 役割転換が受容継続を生み出すが, そこにも受容者個々人がいだく敬意がはたらいている。 受容者たちが自発的に逸脱者と敵対して受容圧力をかけるとともに, 通常時にも逸脱そのものを押さえることによって, 権威安定が結果する。 この権威の安定には, 自発性が深く関与するのに対し, 変化には源泉の優越的価値への合理的依存が関与している。 状況変化に伴う受容者期待分岐による役割転換の遅滞が, 権威現象変化の契機となる。
著者
堀 克弘 吉川 玄逸 平岡 誠司 松末 吉隆 村上 元庸
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.455-458, 2003-10-30 (Released:2012-11-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1

A rupture of the rotator cuff tendon may induce muscular fatty degeneration, which can be observed with computed tomography (CT) imaging. The purpose of this study was to examine the frequency of fatty degeneration in patients with a complete rotator cuff tear using CT images.Twenty shoulders in twenty eight patients (average age sixty point seven years old ) with a complete cuff tear were studied. Fatty degeneration was evaluated using CT images and assessed by Goutallier's classification. The diagnosis of rotator cuff tear was made by the examiner, after which the frequency of fatty degeneration was determined. Supraspinatus tendon ruptures were found in eleven patients, infraspinatus tendon ruptures in two, supraspinatus and infraspinatus tendon ruptures in six, supraspinatus and subscapularis tendon ruptures in eight, and all three tendons were found ruptured in three. The frequency of fatty degeneration in the infraspinatus tendon was 66.7%, while that in the supraspinatus and subscapularis tendons was 35.7% and 23.1%, respectively. Some reports have concluded that postoperative results for rotator cuff repair are inferior when fatty degeneration has occurred, thus, it is best if surgery can be performed prior to its appearance. From the results of the present study, we considered that fatty degeneration is more prevalent with the infraspinatus tendon. Therefore, when a rupture of the this tendon is suspected, an operation should be carried out as soon as possible.