著者
吉田 樹
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.123, no.2, pp.233-248, 2014-04-25 (Released:2014-05-16)
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

This paper describes the history of regional and transport planning in the Tokyo Metropolitan Area, and considers the relationship between urban structure and transport planning. The network of major roads in Tokyo has been shaped by revitalization planning since the Great Kanto Earthquake of 1923 and the Pacific War. However, because of financial difficulties, some roads in the urban plan remain incomplete to this day. On the other hand, the Metropolitan Expressway network was planned around 1950, and about 940 thousand vehicles use the expressway every day. The railway companies around Tokyo, notably Japan National Railways, faced problems of overcrowding because the population of the Tokyo Metropolitan Area had increased and suburbs were created during the high economic growth period from the mid-1950s. Japan National Railways and Council for Transport Policy planned construction of new lines and the congestion rate of railways tended to decrease. Urban structure planning of Tokyo Metropolitan aimed to have a multipolar pattern during the tenures of former Tokyo Governors Shun-ichi SUZUKI and Yukio AOSHIMA. However, around a year after taking office, the former Tokyo Governor, Shintaro ISHIHARA, suggested the concept of a “ringed megalopolis,” which is invested in central Tokyo including subcenters for improving international competitiveness. Even with the different strategy for reconstructing an urban structure, road and railway planning has not changed. Transport planning in Tokyo metropolitan area has depended on urban planning that is designed not to interfere with the placement of urban functions, but follows and satisfies demand resulting from suburbanization. However, because an urban structure with a compact city has become more important, urban structure planning is required to be coordinated with transport planning.
著者
松尾 眞砂子 人見 英里
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.330-334, 2008-03-30 (Released:2008-05-09)
参考文献数
11

本研究は, 味噌の摂取により健康を維持増進する研究の一環として, ニンニク, ダイコン, ゴボウ, タマネギ, 白ネギ, 葉ネギ, チンゲンサイ, ブロッコリー, ナスとピーマンを用い, 野菜が味噌の抗酸化力に及ぼす影響をin vitro系とex vivo系で調べた。in vitro系では, 野菜の味噌煮液がSOSAに及ぼす影響を調べた。ex vivo系では, ラットの摘出肺のホモジネート抽出液に野菜の味噌煮液を加え, SOD様活性, GSH-Px様活性への影響を調べた。また, 還元力を確認する他の方法として肺ホモジネートに野菜の味噌煮液を添加し, 12-HETEの生成量への影響を調べた。  ニンニク, 葉ネギ, チンゲンサイとブロッコリーの味噌煮液は味噌のSOSAを増大した。しかし, このin vitro系におけるSOSAへの影響は必ずしもex vivo系におけるSOD様活性への影響と一致しなかった。ex vivo系のデータを重視すると,実験結果から次のことが示唆された。ニンニク, 白ネギ, 葉ネギ, チンゲンサイやピーマンの味噌煮液は活性酸素消去力と過酸化物還元力の両方を増強し, タマネギの味噌煮液は活性酸素消去力を増強し, ダイコン, ゴボウやナスの味噌煮液は過酸化物還元力を増強することによって味噌の生体内抗酸化作用を増強するであろう。したがって, 上記野菜類を味噌汁の具に活用すると, 味噌の生体内抗酸化力は増強される可能性があると推測される。
著者
堀越 昌子
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.6, pp.389-394, 2012-06-15
参考文献数
9
被引用文献数
2

なれずし(馴れずし・熟れずし)は,コイやフナなどの川魚に米飯を混ぜ,重石をして数ヶ月から数年かけて保存する。この間,乳酸菌の作用でpHが下がり,雑菌の繁殖を抑えつつタンパク質の分解により旨み成分が増加するが,独特の香りを持っている。琵琶湖の「鮒ずし」や東北・北海道の「いずし」を始め,各種のものが知られている。そこで筆者に琵琶湖のナレズシを中心に,文化・栄養・製法・位置づけ・抗菌性について解説して頂いた。
著者
松島 文子 板倉 一枝 横山 弥枝 石川 行弘
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.155, 2004

【目的】山陰沖は暖流と寒流が入り交じり鳥取県では四季を通じて様々な魚種が水揚げされる。鳥取県における魚介類の調理・加工の実態と調理文化の特性を明らかにすることを目的として、魚介類の利用状況について調査した。今回は地域独特の魚介類と食べ方の特徴、行事や地域特性との関連、共通する魚介類の食文化などを中心に検討した。<br>【方法】調査地域は日本海沿岸地域の県東部岩美町、県中部赤碕町、県西部境港市および県東部山間地域の智頭町の4地域を選定した。平成15年11月から平成16年4月にかけて、総数63世帯の調理担当者(30歳代から70歳代)を対象に、日常食・行事食に用いる魚種、調理方法などを項目とするアンケート調査ならびに聞き取り調査を実施した。<br>【結果】よく食される魚介類は、いか・えび・あじ・いわし・かれい・かに・さばであり、県内漁獲量の高い魚種が多く見られた。智頭町では、鮮魚が入手しにくい山間地域に伝わる魚の保存食として、さば・さけ・しいら・あゆなどの塩魚とご飯と米糀を用いたなれずし、糀漬け、柿の葉ずしなどが伝承され、川魚利用の工夫も認められた。正月・祭り・祝事の行事には、たい・ぶり・いか・えびのさしみ、かれいのこまぶり、松葉がにの塩ゆで、はぜの昆布巻などが用いられていた。地域間に共通する調理文化として親がにのみそ汁・いかの糀漬け・あご団子・かに飯などが確認された。
著者
久保 加織 立石 真由子 酒井 景
出版者
滋賀大学教育学部
雑誌
滋賀大学教育学部紀要. 3, 自然科学 (ISSN:13429272)
巻号頁・発行日
no.61, pp.1-7, 2011

滋賀県朽木の特産品であるさばなれずしの化学成分を調べた。さばなれずしには、カルシウムと鉄が豊富に含まれていた。一方、6ヶ月以上という長期間の発酵工程を経て製造されるにもかかわらず、脂質はほとんど酸化されておらず、脂肪酸組成にも変化がみられなかった。製品化されたさばなれずしを真空包装して冷凍庫(-20℃)で数ヶ月間保存した後も、脂肪酸組成に変化はほとんどみられず、脂質の酸化も非常にゆっくりにしか進まなかった。さばなれずしの官能評価の結果、なれずしを食べた経験の有無でさばなれずしのおいしさに対する評価に違いがあり、なれずしを食べたことのある人の方がおいしいと評価していた。
著者
三浦 加代子 川島 明子 橘 ゆかり 川原﨑 淑子 青山 佐喜子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】日本調理科学会平成21・22年度特別研究で和歌山県の行事食の調査から,伝統的な行事食が伝承されていない傾向にあることが明らかになった。しかし,調査では地域による食文化の違いが残り,特にすしの多様性が示唆された。一方,全国的には回転ずしが広まり,今後地域性のあるすしの食文化が消失される危惧がある。このような背景から,和歌山のすしに関する食文化の現状を把握することを目的とした。<br> 【方法】調査は,平成24年11~12月にすしに関するアンケート調査を郵送法により行った。先の全国調査の際に今後も調査協力できると同意が得られた198名を調査対象者とした。回収率は71.7%であった。<br> 【結果】すしは,巻きずし,握りずし,散らしずし,押しずし,なれずし,目はりずし,柿の葉ずしの7種類に分け,行事におけるすしの喫食状況について調べた。行事で巻きずしを食べる習慣があるのは,節分が76.1%と最も多く,正月(36.6%),法事(31.0%),葬儀(25.4%)であった。握りずしを食べる習慣があるのは,法事(28.9%),葬儀,正月,大晦日の順であった。散らしずしでは,上巳(48.6%),法事,葬儀が多かった。押しずしは,祭り,法事,正月があげられた。なれずしは,祭りと正月が,柿の葉ずしでは,祭りがあげられた。一方,普段の食事でのすしの喫食状況を調べると,半数以上が散らしずしをあげ,普段からすしを食べている状況が伺えた。また,地域に特徴的なすしがあると答えたものが約40%であったが,すしの作り方を次の世代によく伝承していると答えたものは約20%にすぎなかった。
著者
岩宮 眞一郎 渡邊 正智 高田 正幸
出版者
公益社団法人 日本騒音制御工学会
雑誌
騒音制御 (ISSN:03868761)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.425-436, 2008-12-01 (Released:2020-01-29)
参考文献数
7

オートバイの排気音に関するアンケート調査及び音質評価実験を行い,通常オートバイを利用するライダーと利用しない非ライダーの排気音に対する意識の違いを検討した。ライダーは,力強い走りを連想させる低音域が優勢で迫力感あふれるアイドリング音,音量が大きく高音域が優勢な走行音を好む。ライダーの評価には,音から連想されるオートバイのイメージの影響がみられた。非ライダーの評価にはそのような影響はなく,排気音全般に対して不快な印象を持ち,音量が大きいほど排気音を嫌っていた。ライダーが理想とする排気音と非ライダーが不快感を覚える排気音の擬音語に共通の表現がみられることからも,両者の意識の違いが分かる。
著者
渡辺 弘之 本間 弘行
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
看護研究交流センター事業活動・研究報告書
巻号頁・発行日
vol.15, pp.89-90, 2004-06

「こころの病い」は現代におけるキーワードの一つである。こころの病いから生じる生きにくさをどう捉え,受け入れているのか.回復まで過程において,自己の経験をどう客観化することは,自分にとっての病いの意味を考えるだけでなく,自分自身を知る手がかりともなる.「語り」を通した体験の共有化や,内面的世界を表現することは,病いを通して自己を捉える作業が回復の手がかりとなりうる.
著者
高橋 了造
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.330-339, 1930-03-24 (Released:2011-05-24)
参考文献数
9

Verfasser untersuchte das Verhältnis der Alt-tuberkulinintrakutane Reaktion zur Tuberkulose der Meerschweinchen, welche sich verschieden entwickelt und gewägt hatten, und hieraus ergab sich folgendes:Häufigerer negativer oder geringgradi ger Ausfall der Reaktion findet sich bei den unter 200 g. gewägten jungeren Tieren, obgleich sie deutliche tuberculöse Affektion bei der Obduktion zeigen; dagegen beobachtet man ausnahmslos positives Ausfall bei den vollgereif ten.Somit ist es unzweckmässig, dass jungere, unter 200 g. gewägte Meerschweinchen zur Alt-tuberkulin-intracutane Reaktion, urn damit derren tuberculöse Affektion zu diagnostieren, angewandt werden.
著者
木藤 伸宏 島澤 真一 弓削 千文 奥村 晃司 菅川 祥枝 吉用 聖加 井原 秀俊 三輪 恵 神谷 秀樹 岡田 恵也
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.86-94, 2004-02-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
27
被引用文献数
10

本研究は,3軸の加速度センサを用いて歩行時の下腿近位部に生じる加速度の計測を行い,腰OAから得られた加速度波形とそのパワースペクトルより健常例とは異なるパラメーターを同定し,その特徴を明らかにする事を目的とする。対象は健常群10名(過去に腰痛の経験がない),膝OA群9名(Kellgren & Lawrence分類 ; Grade IV)である。結果は,膝OAでは健常人と異なる加速度波形・速度波形が確認できた。また,周波数解析の結果,膝OAは健常例と異なる測方加速度パワースペクトルが認められた。膝OAの加速度波形の特徴は衝撃吸収メカニズムの破綻と膝関節安定メカニズムの欠如によって起こっていると推測した。周波数解析の結果からは,筋による下腿運動の制御が不十分であると推測した。加速度センサによる歩行時の脛骨運動の測定は,病態運動の把握と定量的評価,理学療法プログラム立案,治療法の効果判定などのスクリーニング検査として有用性が高く,他党的指標の一つになり得る。また,非侵襲的であり,コスト面からも十分に臨床応用が可能である。
著者
瀧原 博史 植野 卓也 城甲 啓治 城嶋 和孝 酒徳 治三郎 中山 純
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.924-927, 1989-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

膀胱尿道異物は, 小郡第一総合病院泌尿器科において, 過去7年間に3例 (泌尿器科外来総受診患者の0.1%) 経験され, 2例が外来にて内視鏡下に経尿道的に摘出され, 1例は入院のうえ, 観血的に摘出された。患者はすべて男性で, 年令は24才, 42才, 56才であった。2例は尿道異物で, 1例は膀胱異物であった。異物の種類は, 電気コード, ボールペン, ビニールキャップであった。侵入経路は3例とも経尿道的で, 2例が自慰によるもので, 1例が就寝中に他人により挿入されたものであった。1例は尿道鏡下生検用鉗子にて摘出, 2例目は膀胱高位切開術にて摘出, 3例目は膀胱鏡下, 異物鉗子を用いて摘出した。本邦における本症の治療法の検討から, 明らかに以前の観血的治療が減り, 内視鏡を中心とした非観血的治療法が中心となっていくことが示唆された。