著者
瀬﨑 陸 丸山 喜久 永田 茂
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.6_244-6_257, 2019 (Released:2019-10-31)
参考文献数
23

本研究では, 車載カメラから取得した画像から, 地震による道路被害を深層学習によって自動で抽出することを目的としている.あらかじめ目視で被害の有無を分類した教師用画像を使用し, それらを畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で深層学習し, 画像判別モデルの作成を行った.この画像判別モデルに学習に使用していない精度評価用画像300枚を判別させたところ, 道路閉塞の判別精度は87%, 無被害の判別精度は90%と高かったが, 道路被害の判別精度は66%とやや低かった.この結果を踏まえて, 地震直後の利用を想定した条件設定を行い, 道路変状の自動抽出シミュレーションを行った.本研究の手法は地震後の道路被害の早期把握に有効と考えられ, 道路管理者の震後対応に貢献できる.
著者
日比 八束
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.14-18, 2014 (Released:2014-04-30)
参考文献数
9

永続的副甲状腺機能低下症は,甲状腺全摘術で懸念すべき合併症の一つである。今回甲状腺全摘を要する疾患ごとに,副甲状腺の機能温存状況を検討した。その結果,術後1年の時点でintact PTH値が正常値下限であった症例の頻度は甲状腺癌症例で0.78%,バセドウ病で2.0%,非中毒性甲状腺腫では0%であった。また副甲状腺が将来過形成をきたす可能性のある重症慢性腎臓病やMEN2A型への甲状腺全摘を施行した症例では副甲状腺を全摘し,一部前腕筋肉内へ自家移植したがこれらの症例で永続的副甲状腺機能低下症をきたしたものはなかった。副甲状腺の温存状況は個々の症例や対象疾患により様々ではあるが,まずは発見しやすい上腺を確実に術中に同定することが重要と思われる。

1 0 0 0 OA 新秩序の研究

著者
矢部貞治 著
出版者
弘文堂
巻号頁・発行日
1945
著者
横溝 賢 鮎川 恵理 岩村 満
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1_26-1_31, 2016-02-01 (Released:2016-04-19)
参考文献数
5

奥入瀬自然観光資源研究会は、青森県奥入瀬渓流のコケを観光資源化するべく活動している団体である。本研究では、同団体のNPO法人化に伴う組織デザインから法人のビジュアルアイデンティデザインまで展開したプロセスについて概説する。全体のデザインプロセスは、組織デザインにおいてワークショップを戦略的に活用し、①導入②知る活動③創る活動④まとめの4段階で組織化を行った。①導入と②知る活動では、メンバー間のビジョン統合作業を行い、③創る活動と④まとめでメンバー個々人の専門性を活かした枠組み─事業コンセプトを整理した。組織のビジュアルアイデンティティは、この事業コンセプトからデザインキーワードを抽出し、ロゴのデザイン展開を行った。ワークショップではメンバー自身が合意形成のプロセスを組み立てるようファシリテートした。これにより、組織の連帯性だけでなく自律性を形成することができた。また、メンバーとの事業コンセプトづくりによってビジュアルアイデンティティのコンセプトに関しても相互理解が深まり、ロゴデザインのコンセンサスまで円滑に進めることができた。
著者
淡野 将太
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.108-120, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
52

本稿は, 置き換えられた攻撃研究の概要とTDA(triggered displaced aggression)研究の動向をレヴューし, 置き換えられた攻撃研究の変遷を辿った。攻撃の置き換えの現象成立に関する一貫しない実験研究は, Marcus-Newhall, Pedersen, Carlson, & Miller(2000)のメタ分析によって集約され, 無視されてきた調整変数も見直された。現在では攻撃行動の一形態としての置き換えられた攻撃を研究する流れと, TDAとしての置き換えられた攻撃を研究するふたつの流れが存在する。そして, TDA研究は現在, TDA理論を軸に攻撃の置き換えの誘発メカニズムについて精緻化を行いながら, 置き換えられた攻撃に従事しやすい個人差を測定する尺度の開発や, 攻撃の置き換えを誘発しない緩衝効果の検討を行うなど, 研究を発展させている。本稿は, 置き換えられた攻撃の発達心理学的研究, 社会的行動特徴としての置き換えられた攻撃研究, TDA研究の知見を応用した介入研究, TDA理論のさらなる精緻化および直接的攻撃, 置き換えられた攻撃およびTDAの複合的検討の可能性を示した。
著者
遠山 千春
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第34回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.423, 2007 (Released:2007-06-23)

1990年代はじめに米国においてダイオキシンの職業曝露により耐糖能低下の報告がなされ、その後、ダイオキシン曝露と糖尿病発症との関係を示唆する疫学調査が報告された。それらは、ベトナム戦争における枯葉剤散布(Ranch Hand)作戦に関わった退役軍人を対象としたコホート、工場における職業性曝露集団、イタリア・セベソにおける一般住民コホート、廃棄物汚染地区近隣の住民に関する研究である。 In vivo実験研究では、2,3,7,8-四塩素化ジベンゾ-p-ジオキシン(TCDD)による消耗性症候群の発症条件下において、小腸におけるグルコースのトランスポーター発現上昇(SLGT1及びGLUT2)と血糖値の上昇、あるいは妊娠ラットへのTCDD曝露における胎仔死亡と胎盤におけるGLUT3発現異常が報告された。また、TCDDの低用量曝露を受けたモルモットで、脂肪組織や膵臓へのグルコース取り込みが用量依存的に減少すること、ならびに脂肪細胞(3T3-L1)ではGLUT4による糖の細胞内輸送がTCDDにより抑制されることが報告されている。また、2型糖尿病患者の膵島では、ダイオキシン受容体AhRとヘテロダイマーを形成するARNTの発現レベルの顕著に低下すること、ならびにβ細胞特異的ARNTノックアウトマウスではインスリン分泌能阻害や耐糖能異常が示されている。 他方、妊娠マウス(C57BL/6系)にTCDDを一回経口投与し、生まれた仔を通常食または高カロリー食で飼育した場合、生後26週目までの間に、TCDDによる耐糖能やインスリン分泌能への影響は観察されていない。 本講演では、これらの知見を元にダイオキシンと糖尿病発症との関係を考察する。
著者
林 孝文 伊藤 寿介 中山 均 小林 富貴子 中村 太保 小宮 隆瑞 鈴木 誠 福島 祥紘 高木 律男 大橋 靖
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.74-80, 1993-06-30 (Released:2011-09-05)
参考文献数
20

Carcinomas arising in jaw cysts are a very rare lesion. There was only one case report which was thought to be of origin from an inscisive canal cyst.The authors present a case of squamous cell carcinoma probably arising from an incisive canal cyst.The patient was a 60-year-old female with complaints of swelling and tenderness of the hard palate. Overlying mucosa of the lesion was normal except for an opening of fistula.An occlusal X-ray film and bone images of X-ray computed tomography (X-CT) showed a radiolucent lesion on the midline of the palate with well-defined margin and they also revealed an irregular resorption of the alveolar process of the maxilla.Soft tissue images of post contrast X-CT showed a heterogenously enhanced area in the anterior part of the lesion extending to the left upper lip.Pathological examination revealed a squamous cell carcinoma and suggested that the tumor derived probably from an incisive canal cyst.
著者
田村 暢章 三宅 実 小川 尊明 大林 由美子 長畠 駿一郎 羽場 礼次
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.364-367, 2005-07-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

Malignant tumors rarely arise from jaws cyst. We report a case of squamous cell carcinoma arising from a nasopalatine duct cyst. A 70-year-old man presented with a swelling in the palatal gingiva at the middle of the maxilla. Oral examination showed a 28×25mm swelling with a puncture mark, asmooth surface, and normal color. Radiographic examination revealed a round translucent image measuring 15×12mm in diameter in the middle of maxilla. The image was clearly demarcated. Under general anesthesia, extirpation of the cyst was performed for a diagnosis of nasopalatine canal cyst. Histopathological examination of the resected specimens showed transition of histologically normal cystic epithelium to squamous cell carcinoma. After the first operation, partial resection of the maxilla was performed. Three months after the partial resection, left jugular lymph node metastasis was detected. Partial neck dissection, chemotherapy, and irradiation were performed. Twelve months after partial resection of the maxilla, right jugular lymph node metastasis was found. Radical neck dissection was performed.For 2 years 4 months, there was no disease recurrence. However, the patient died due of pneumonia on April 13, 2002.
著者
木島 章文 樋口 貴広 島 弘幸 奥村 基生 鈴木 聡
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

小学校2, 4, 6年生を対象とした実験を完了し,以下の結果を得た(現状も分析を続行している).1) 三者跳躍課題の遂行に伴うミスの回数を学年間で比較した結果,第2学年以上になるとミスの回数が多くなる傾向が見られた.2年生においては一方向のみあるいは定型的に跳躍方向を切り替える組(例えば,左右1回ずつ交互に,あるいは2回ずつ交互になど)が7割がたを占め,第4学年以上になると不規則に跳躍方向を切り返す組が7割がたを占めていた.また第6学年では成人と同じく,反時計回り方向へ跳躍するケースが顕著に多くなった(平均で成功回数の7割).2)先導跳躍者に対する他二者の遅れに関して学年間に有意差はなかったが,全ての学年における遅れ時間が,成人より有意に大きかった.また先導・追従性に差がない等質群においては,成人と同じく,正方形条件における遅れが正三角形条件における遅れより大きい傾向があった.また先導性に差がある異質群においては,成人とは逆に,正方形条件において先導児童が早期に跳躍することを示す二者先導(一者追従)型の協応パタンを示す傾向が強かった.3)等質群では,三者の配置が対称な正三角形条件において三者それぞれが他を先導する確率が等しく(約33%),正方形条件では跳躍方向に空き地を持つ一者が先導する確率が抜きん出て高く,他の二者が先導することはほとんどなかった.これら協応パタンは成人のパタンと同じ性質であり,それぞれの地形における跳躍者の配置の対称性から群論に基づいて予測したパタンと一致する.一方で異質群においては先導児童が場の制約に反して先導する傾向が高かった.そこで現れるパタンの時空間対称性は地形から予測される対称性より低い.現在,跳躍者の個性が地形の幾何学対称性から予測される協応パタンの対称性が,そこに配置される跳躍者の個性によって崩れることを説明する数理モデルを検討している.
著者
柚木 朋也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.332-339, 2012-12-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The purpose of this study is to develop a teaching material on crystallization and to examine the utilization of the crystal in order to arouse pupils' and students' interest in crystals and learn about it effectively. We made a highly-pure crystal from antifreezing agent, which is a familiar material. It consists of CaCl_2・6H_2O, the same ingredient as Antarcticite. Using the crystal, we examined ways of utilizing it for an experiment showing how the mineral crystal is formed. This teaching material has the following characteristics: a. A familiar material is used. b. A highly-pure and beautiful crystal can easily and cheaply be made. c. A crystal equal to a naturally occurring mineral can artificially be made. d. The melting point of CaCl_2・6H_2O is 29.6℃, making it possible to safely study the crystallization and melting of the crystal. e. By using CaCl_2・6H_2O, aspects of crystal growth and the experiment on the formation of the mineral crystal can be observed easily. In summary, we found that the experiment of crystallization treating the antifreezing agent can be utilized safely and effectively as a teaching material.
著者
中村 將 北野 健 野津 了 加賀谷 玲夢
出版者
一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

高水温飼育により不妊化したナイルティラピアの性行動を調べた。30日齢の幼魚を高水温飼育(37℃,50日間)した後25カ月齢まで飼育し供試魚とした。高水温飼育オス3尾と正常なメス5尾を一群として大型水槽に入れ、5日にわたって性行動を観察した。その結果、同じ実験を8回行なったうち6回で繁殖行動が観察された。正常オスを用いた対照実験においても同様な結果が得られた。実験に用いた高水温飼育した全てのオスの精巣は透明色で、組織学的な観察においても精子は認められなかった。以上のことから、高水温飼育オスは、処理後少なくとも25カ月にわたって不妊化が維持され、メスに対して正常な性行動を行なうことが明らかとなった。高水温飼育により不妊化したモザンビークティラピアのメスの長期飼育による生殖特性について調べた。ふ化後10日の幼魚を高水温飼育(37℃、56日間)した後約21カ月齢まで成長させた。高水温飼育メスは婚姻色を示さず、泌尿生殖突起も未発達で外見的に明らかに正常成熟メスと異なっていた。卵巣は著しく小さく糸状で卵は確認出来なかった。組織観察でも生殖細胞は全くみとめられなかったが、卵巣の特徴である卵巣腔が認められた。ステロイド代謝酵素の抗体による免疫染色では強い陽性反応を示す少数の細胞が確認された。血中の性ホルモンも正常成熟メスと比べても著しく低かった。このことから、不妊化メスはオスと異なり長期に渡り性的成熟が起こらないことが明らかとなった。メダカの生殖細胞増殖におけるHSPの役割を明らかにするため、hsp70.1過剰発現メダカ系統を作製して生殖細胞の増殖状況を調べた。その結果、孵化時期におけるこの系統の生殖細胞数は、野生型個体と比較して、雌雄ともに有意差は認められなかった。

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1945年08月26日, 1945-08-26

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1945年12月20日, 1945-12-20

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1941年11月13日, 1941-11-13
著者
垣内 理希
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.54-63, 1996-08-15 (Released:2016-12-06)

For nearly three decades, the existence of the physical attractiveness stereotype or the stereotype that physically attractive people have a more socially desirable personality almost has been taken for granted in social psychology. However, the existence of this stereotype is not so evident as is often assumed to be. Results of an experiment reported in this paper demonstrate that the effect of perceived "beauty" of a stimulus person (photographed female) on the subject's evaluation of that person's personality is drastically reduced or even reserved when the degree of subjects' liking of that person is controlled. On one personality dimension, even the reverse stereotype that physically attractive people have a malignant personality was found to exist when subject's liking of the stimulus person is controlled. These and related findings suggest that people assume that physically attractive person has a nice personality not because they have an implicit personality theory connecting physical and mental attractiveness but rather because people simply like an attractive person.