著者
J.S. ミル [著] 関口正司訳
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2019
著者
八尾 隆史
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.1743-1751, 2010 (Released:2010-11-08)
参考文献数
61
被引用文献数
1

一般に前癌病変(precancerous lesion)とは癌発生の危険性が有意に高い限局性病変のことを指し,ほとんどが腺腫や異形成(dysplasia)などの腫瘍性病変であり,上皮内癌(carcinoma in situ;CIS)とはいえない程度の異型性を示す上皮内腫瘍に相当する.消化管における前癌病変の代表的なものとして,食道では上皮内腫瘍(intraepithelial neoplasia;IN),胃では腺腫(腸型,幽門腺型)と過形成ポリープ,大腸では腺腫(管状,絨毛,鋸歯状,陥凹型)と潰瘍性大腸炎などの腸炎関連腫瘍(dysplasia)について,それぞれにおける病理組織学的特徴および癌化における意義を解説する.
著者
呉 修一 Bambang WINARTA 武田 百合子 有働 恵子 梅田 信 真野 明 田中 仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_183-I_190, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
20

2006年5月,インドネシア・シドアルジョ市で泥火山が噴出した.噴出に伴い,2011年6月の時点で6.5km2の範囲が泥水で覆われ,高速道路や鉄道が影響を受け,3万人以上の近隣住民の生活に影響が及んだ.堆積・貯蔵限界を超えた泥水は,隣接するポロン川へ導水路を通じて排出されている.噴出した泥には硫黄などの有毒成分が含まれるため,河川・海洋の環境汚染および汚泥の堆積による河川の洪水疎通能力の低下が懸念されている.本論文は,ポロン川における汚泥の堆積・流出状況を評価するため,河川横断面データを収集し河床形状の時間的な変化を解析した.解析結果により,ポロン川への汚泥の流入に伴い,乾期に汚泥の堆積が顕著に進むが雨期には流出し, その堆積量は年々減少していることが明らかとなった.
著者
富樫 亮太 宍戸 道明
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual56, no.Proc, pp.5-6, 2018 (Released:2018-09-14)
参考文献数
3

Recently, development of Brain-Computer Interface (BCI) which are enables non-contact operation of external devices by using electroencephalograms are progressing. This system is expected as an alternative communication tool for patients who are limited body function. However, BCI has expanded the area of research, it has problems such as high cost and instability due to requiring complicated control operation. On the other hand, evaluate the responsiveness and voluntariness of the system are also expected. Therefore, in this study participants conducted motor control tasks and clarified the voluntariness of the BCI based on the task success ratio. Also, "attention" acquired from the electroencephalogram sensor was used as the driving threshold of the motor, and 40, 50, 60, and 70 were set. As a result of comparing the task success ratio at each threshold value, when threshold is 60, the average is 50.8% and the result that the malfunction is small is obtained.
著者
笠野 由布子 三上 章允
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0079, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに】変形性膝関節症の発症と進行には,肥満や年齢,職業や栄養の他,下肢のアライメントや筋力等の要因も関与していると考えられている。特に足部や足関節のアライメントは膝関節や股関節に運動学的な代償の連鎖を引き起こし,関節症発症に関与する可能性がある。我々は第49,50回大会において内側縦アーチ高率,外反母趾角と歩行時下肢関節モーメントの相関関係等を解析し,外反母趾角が大きい人ほど歩行時の下肢関節モーメントは低下する歩行様式をとることを報告した。本研究の目的は,横アーチの低下いわゆる開帳足が歩行時の下肢関節モーメントに与える影響を検討することである。【方法】対象は若年健常女性23名(平均年齢21.1±1.6歳)とした。開帳足の指標として足長(mm)に対する足幅(mm)の占める割合によって横アーチ長率(%)を算出した。足幅は荷重立位時の第1趾側中足点と第5趾中足点間の距離,足長は荷重立位時の最も長い足趾先端から踵先端までの距離とし,人体測定器を用いて計測した。歩行解析は,三次元動作解析装置(ANIMA,WA-3000)と床反力計(ANIMA,MG-1090)を用い,被験者任意の歩行速度による裸足歩行を計測した。貼付する反射マーカーは,左右の上前腸骨棘,大転子,大腿骨外側顆,外果,第5中足骨指節間関節の10点とした。得られた床反力垂直成分のデータから,立脚期の2つのピークを第1ピーク,第2ピークと規定し,解析区間を1)全立脚期:踵接地~足趾離地,2)第1期:踵接地~第1ピーク,3)第2期:第1ピーク~第2ピーク,4)第3期:第2ピーク~足趾離地の周期に分類し各区間における平均関節モーメントを算出した。関節モーメントは,三次元解析システムから得られた三平面(矢状面,前額面,水平面)におけるモーメントと総合モーメントを用いた。解析は横アーチ長率と各関節モーメントの相関関係についてPearsonの相関係数を用いて検討した(p<0.05)。【結果】全立脚期および全ての区間で股関節屈曲伸展モーメントは横アーチ長率と負の相関関係をみとめた。また,全立脚期,第1,2期において横アーチ長率が高値であるほど膝関節外反モーメントと総合モーメントが高い値を示した。また,横アーチ長率が高値であるほど,全立脚期,第1,3期の股関節外転モーメントと,全立脚期,第3期の股関節総合モーメントが高い値を示した。その他足関節および膝関節矢状面,水平面,股関節水平面のモーメントに有意な相関関係をみとめなかった。なお,関節モーメントは内部モーメントとして表記している。【結論】横アーチの低い人,つまり開帳足の傾向のある人では,外反母趾における研究と同様に立脚期の矢状面における股関節モーメントを減少させる歩行戦略が用いられていた。しかし,開帳足による影響はそれだけでなく,立脚初期から中期にかけての膝関節内反ストレスと立脚初期と終期の股関節内転ストレスの増大を引き起こしていた。
著者
新井 保幸
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
no.46, pp.p1-16, 1982
著者
小島 友宏 塩見 邦博 石田 裕幸 梶浦 善太 中垣 雅雄
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集 日本蚕糸学会第72回学術講演会
巻号頁・発行日
pp.137, 2002 (Released:2004-02-03)

カイコの休眠ホルモン(DH)遺伝子の食道下神経節(SG)における発現はわずか14個の神経分泌細胞に限定される。このようなDH遺伝子の細胞特異的発現調節機構は先に形質転換キイロショウジョウバエで解析され、FXPRLアミドペプチド産生細胞において特異的な発現に関わるシスエレメントが同定された。さらに我々は組み換えAcNPV(rAcNPV)ベクターを用いた迅速かつ簡便なレポーター遺伝子発現解析システムを開発し、カイコ個体でのDH遺伝子の発現解析を進めた(日本蚕糸学会中部支部第57回·東海支部第53回研究発表会にて発表)。こうした解析系を用い今回はシスエレメントの同定を試みた。カイコはN4系統の5齢幼虫、および蛹を用いた。BAC-TO-BACバキュロウイルス発現システム(インビトロジェン)により12種類以上のDH遺伝子上流域を削除したコンストラクトを持つrAcNPVを作製した。rAcNPVをカイコに注射後、SGにおけるEGFPおよびDsRedの蛍光を観察した。その結果、形質転換キイロショウジョウバエで明らかにされたシスエレメントとは異なる領域もDH遺伝子の発現に関わっていることが分かった。
著者
大和 祐子 玉岡 賀津雄 熊 可欣 金 志宣 YAMATO Yuko TAMAOKA Katsuo XIONG Kexin KIM Jeeseon
出版者
名古屋大学言語文化研究会
雑誌
ことばの科学 (ISSN:13456156)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.39-58, 2017-12-25

本研究では,韓国人日本語学習者31名を対象に,語彙テスト36問および漢字読み取り・書き取りテスト各24問(合計48問)の結果から,韓国人日本語学習者の語彙知識と漢字の読み書き能力との因果関係を検討した。日本語の語彙知識が漢字の読みと書きに同時に貢献する並列モデルと日本語の語彙知識がまず漢字読み取り能力に貢献し,読み取り能力を介して漢字書き取り能力に貢献するとする逐次モデルを想定して,それぞれのデータとモデルの適合度を構造方程式モデリングの手法で調べた。その結果,逐次モデルテストの結果を最もよく反映していることが分かった。韓国人日本語学習者は,日本語の基本的な語彙知識から漢字語の読み(音韻的表象群の形成)を習得し,その記憶の蓄積から,漢字語の書き取り能力(書字的表象群の形成)を向上させるという因果関係をみいだした。
著者
黒岩 純一 今道 友則
出版者
公益社団法人 日本実験動物学会
雑誌
実験動物 (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.213-222, 1977 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2

Chinchilla lnaigerは南米Andes山脈原産の齧歯目, ヤマアラシ亜目, チンチラ科, チンチラ属の毛皮獣でモルモットと比較的近縁である。当研究室では1966年チンチラの飼育繁殖を開始し, 常時120~150匹を飼育し, 実験動物化および毛皮産業の発展を目標として研究を行なってきている。本報は当研究室において最近4年間に得られたチンチラの発育, 繁殖に間する成績をまとめたものである。初回腟開口日令は変異が大きく (71日令以下~308日令) , 45匹の平均は173.2±57.6日令であった。24匹100性同期の平均は35.7±7.9日であり, 15~62日の範囲であった。5匹の動物について調べられた5妊娠期間の平均は110.4日で108~112日の範囲であった。3年間に分娩した123腹中で5月~8月の分娩数が81腹 (65.9%) で最も多い。従って妊娠期間約110日をさかのぼった1月~4月すなわち春がチンチラの繁殖に最も適した季節と考えられる。12月には分娩が見られず, 妊娠期間をさかのぼると8月~9月上旬には受胎しないようであり, Weirのいうsummer anoestrusと考えられる。産仔数は1~4匹で2匹が最も多く (46.3%) , 平均1.90±0.76匹 (1~4) であった。出生時の性比は133.7 (雌98, 雄131匹) で, 他の動物に比較して雄が多いようである。1973年の年間分娩数は37腹71匹で平均産仔数は1.92匹であった。離乳仔数は59匹, 1腹平均1.59匹, 240日令つまり成熟に達するとみなされる日令に達したもの50匹で1腹平均1.35であった。死因を調査した91匹の動物のうち, 事故死が26匹 (28.6%) , 乳仔の死亡が23匹 (25.3%) と最も多かった。不正咬合が9匹 (9.9%) , 直腸脱が5匹 (5.5%) と多いのが特徴的であった。
著者
庄司 洋子 菅沼 隆 河野 哲也 河東田 博 野呂 芳明 湯澤 直美 田中 聡一郎 百瀬 優 深田 耕一郎 酒本 知美
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

「自立とソーシャルワークの学際的研究」と題し、自立についての規範的意味とソーシャルワークという実践との関連を包括的に検討した。その中で、社会福祉の領域で、中心的な議論であった経済的自立だけではなく、様々なフィールドで展開されている社会的な自立とソーシャルワークの重要性について明らかにした。
著者
関矢 信康 林 克美 檜山 幸孝 並木 隆雄 笠原 裕司 地野 充時 大野 賢二 喜多 敏明 平崎 能郎 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.723-728, 2007-07-20 (Released:2008-09-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1

漢方治療が奏効した蕁麻疹の4症例を経験した。内容はコリン性蕁麻疹2例, 慢性特発性蕁麻疹1例, 寒冷蕁麻疹1例であった。悪化要因として, 第1例は義父の介護と子宮摘出術のストレス, 第2例は家庭内の問題での精神的ストレス, 第3例はパニック障害樣のエピソード, 第4例は家族に対する心配・不安を指摘できた。皮膚症状を改善する上での有効方剤は, それぞれ桂枝茯苓丸, 半夏厚朴湯, 抑肝散加陳皮半夏, 加味逍遙散であった。これらの処方の選択を行う際に, 皮膚症状に関与する心理的背景を聞きだし得たことが大いに役立った。心理的背景について繰り返し丁寧に問診を行うことは, 蕁麻疹難治例の治療において有用であると考えられた。