著者
清 賢二
出版者
THE SOCIRETY OF RUBBER SCIENCE AND TECHNOLOGYY, JAPAN
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.125-132, 2010 (Released:2010-08-25)
参考文献数
2

An all weather running track is the common term to describe a rubberized artificial running surface for the sport of track and field athletics. In this article, history, structure-property relationship, and recent progress of the surface material in the all weather running track were reviewed.The first all weather running track was developed in the middle of 1960’s under the trade name of “Tartan tracks”, and in 1967, it was installed in Tokyo Metropolitan Gymnasium. Though several coliseum introduced such tracks, it was turned to be clear that the durability of the surface material was not high enough against the Japanese weather. Since then new surface materials composed of mainly polyurethane has been developed. In these days, inner structure of the truck as well as surface materials were chosen to contribute to the safety and amenity for the athletes and to the new records.
著者
堀内 進之介
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.169-185, 2019-12-31 (Released:2020-01-18)
参考文献数
45

ビッグデータを解析する情報処理技術の高度化を背景に,評価対象の動向を合理的な精度で予測するアルゴリズムの開発が進んでいる。金融分野では,FinanceとTechnologyを融合させた〈FinTech〉と総称される企業やサービスが,この技術によって顧客の与信管理を自動化したことで,多くの人びとが金融サービスにアクセス可能になった。治安維持や司法の現場でもビッグデータを解析し,将来,誰が被害者や加害者となる蓋然性が高いかを評価する予測アルゴリズムの導入が進んでおり,犯罪予測や予測的ポリシングが常態化しつつある。予測アルゴリズムは多くの恩恵をもたらしているが,他方では,さまざまな人間活動や決定がビッグデータを基にした予測によって影響を受け始めており,自由な活動や決定を委縮させる可能性が増している。そこで,本稿では〈ビッグデータによる予測〉の実態を,特に与信管理との関係を中心にケーススタディとして考察する。この考察では,まず個人のライフチャンスへの影響について,いくつかの事例を取り上げ,それらに共通すると思われる諸問題を整理・検討する。その上で,それら諸問題に関する個人的および社会的な対策にはどのような課題があるかを明らかにする。そして最後に,諸問題の是正には既存の対策に加え,特に何が検討されるべきか,その論点を提示する。
著者
野口 麻穂子 奥田 史郎
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.192-195, 2012-08-01 (Released:2012-09-13)
参考文献数
26
被引用文献数
2

高知県東部の暖温帯域に位置するスギ人工林皆伐跡地において, 皆伐5年後から11年後までの林分構造と種組成の変化を明らかにした。調査地では, 皆伐5年後の2003年の時点で胸高直径2 cm以上の広葉樹の幹密度が11,300本 ha−1に達し, 調査期間中一貫して増加した。2009年には胸高断面積合計が29.8 m2 ha−1に達した。個体の約65%が多幹個体であったことから, 前生樹からの萌芽再生が更新に重要であったことが示唆された。期間中の林分構造と種組成の変化から, クサギなどの先駆性の低木種の大部分が枯死し, 常緑広葉樹林の林冠構成種, 特にシイ類が優占する傾向が強まったことが示された。これらの結果から, 本研究の調査地では針葉樹人工林の皆伐後に常緑広葉樹林が成林し, その植生回復過程は, これまでに報告されている萌芽更新由来の常緑広葉樹二次林の遷移とおおむね同様の経過をたどっていると考えられた。
著者
丹野 宗彦 中山 雅文 京増 芳則 川上 睦美 間島 寧興 遠藤 和夫 千葉 一夫 山田 英夫 丹野 瑳喜子 笠原 洋勇
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.190-197, 1992-03-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1

脳幹部に疾患が疑われ, 脳幹部のMRIを施行した97症例のMRI所見につき検討した. 対象は昭和63年6月より平成元年3月迄に施行した97症例である. その内訳は男性53症例, 女性44症例である. 平均年齢は共に71歳である. 病変の判定はT1強調像, T2強調像およびプロトン像で行った.その結果, 1) 61歳以上の高齢者では脳幹部, 特に橋部に病変を認めた症例が多く, その内訳では梗塞例が最も多かった. また橋部にT2強調像で高信号域を認め, T1強調像で同部の異常信号を認めないMRIの画像診断上, いわゆる典型的な梗塞パターンを示さない症例も多く認められた. 2) この二つの所見を呈した症例では共に高い頻度で基底核, 視床などに病変を合併していた. 3) 高血圧症の既往を有する症例では, 認めない症例に比して, 橋部により高い頻度で病変を認めた (α<0.01)
著者
吾郷 美奈恵 高橋 恵美子 岡安 誠子 小田 美紀子 小林 洋貴 山下 一也 Minae AGO Emiko TAKAHASHI Masako OKAYASU Mikiko ODA Hiroki KOBAYASHI Kazuya YAMASHITA
雑誌
島根県立大学出雲キャンパス紀要 (ISSN:2187199X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.35-43, 2019-12-25

A大学では,大学IRコンソーシアムの正会員となり,ベンチマーク可能な標準調査として位置づけられた学生生活調査を全学生に行い,教学IR(Institutional Research)の取組を推進している。今回の目的は、学生の授業経験・学習態度や能力・知識の獲得状況からA大学における看護教育の現状を明らかにすることを目的とした。また,その結果をIRコンソーシアムの基礎集計結果と比較し,A大学の特徴について検討する。回答のあった307票(協力率91.4%)について分析した結果,A大学看護学科の現状や大学IRコンソーシアム結果の比較から,次のことが特徴と考えられた。■全ての学年で主体的に学び,看護に役立つ知識やスキルを学ぶ授業を経験している。■ TAやSAの活用は難しい現状にあるが,教員が添削やコメントなど丁寧な授業運営を行っている。■授業態度は悪くはないが,各学年に一定程度の欠席,遅刻,居眠りはある。■能力・知識の多くを学年進行に伴って獲得しているが,外国語や数理的な能力・知識は増えていない。■授業態度が良く,能力・知識が増えた者は成績順位上位者である。我が国においては,看護教育の質評価・質保証に必要な資源(人・設備・費用)等,これから体制整備がされていく状況にあるが,IR機能に着目し,教育の質を客観的に保証するとともに,更なる教育改善の方策を見出すことが重要である。
著者
河原 国男
出版者
日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.255-270, 2010

本稿はマックス・ヴェーバー(1864-1920)の1919年の論文「職業としての政治」を、第一次大戦敗北にともなう君主制崩壊後の指導者不在に対応して、自国の民主的な政治指導者をいかに形成するかという政治教育の課題を思想的に受けとめたテクストとして検討した。その結果、社会的現場での、「カリスマ的教育」に相当する苛酷な「修練」に耐えることを通じ、政治上の理念を政治指導者たるべき者がみずからの追随者に対し不断に「実証」して指導者選抜を図りつつ、自己自身を内面的に支配するのみならず、行為結果や環境との関連で客観的に自己対象化するという主体形成の思想が摘出できた。こうして政治家としての指導者諸資質を意図して形成することを求めるヴェーバー政治教育思想は、等しく民主主義の理念に導かれつつも同時代の公民教育とは異なった思想的可能性を示していた。

1 0 0 0 九州人国記

出版者
熊本日日新聞社
巻号頁・発行日
1966