著者
吉田 紘二 安部 幸雄 山岡 康浩 屋良 貴宏 明石 浩介
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.248-250, 2013-03-25 (Released:2013-06-11)
参考文献数
5

母指MP関節尺側側副靭帯(以下UCL)損傷の多くは保存的治療で治癒するが,損傷靱帯が反転しているStenar lesionには手術療法が必要になる.今回,MRI検査でStener lesionが診断可能かどうかを検討したので報告する.UCL損傷に対して手術を行った25例中,術前にMRI検査を行った8例を対象とした.平均年齢37.3歳(17~54),男性2例,女性6例であった.MRIではT2強調像STIRの冠状断が有効であり,Stener lesionでは中手骨頭部に不規則な盛り上がり像を呈していた.axial像は靭帯損傷の範囲を決めるにはあまり有用ではなかった.今回の検討でMRI検査でもStenar lesionの診断は可能であるが,超音波検査を併用する事でより診断精度を向上させることが期待され,現在両検査を併用し検討中である.
著者
斎藤 寿昭 加藤 元一郎 鹿島 晴雄 浅井 昌弘 保崎 秀夫
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.223-231, 1992
被引用文献数
24

脳損傷者53例, 健常者24例に頭文字およびカテゴリーによる Word Fluency Test および Modified Stroop Test を施行した。前頭葉損傷群の頭文字による Word Fluency Test の成績は他部位皮質損傷群に比較し有意に低下していた, 次に前頭葉損傷群において, Word Fluency に対しステレオタイプの抑制障害が与える影響を発動性要因を考慮した上で検討した。すなわち, ModifiedStroop Test の単純な色名呼称に要する時間を用い, 前頭葉損傷群を発動性低下が強いと考えうる群と発動性低下が少ないと考えうる群に分けたところ, 後者で頭文字による Word Fluency Test の成績と Modified Stroop Test における抑制障害の指標との間に負の相関が認められた。したがって, 発動性欠如の程度が軽度と考えうる前頭葉損傷群における Word Fluency にはステレオタイプの抑制障害が関与すると考えられた。
著者
木田 春代 武田 文 朴峠 周子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.112-119, 2012-02-15
参考文献数
32

<b>目的</b>&emsp;幼児を持つ母親の偏食の状況について嫌いな食品の摂取行動と食物摂取の関連性を明らかにするとともに,嫌いな食品の摂取行動が自身の幼少期の食生活とどう関連しているかを明らかにする。<br/><b>方法</b>&emsp;A 県 B 市の公立幼稚園15か所の園児1,145人の母親を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。質問項目は,属性,嫌いな食品の摂取行動,嫌いな食品の数,食物摂取頻度,幼少期の共食者,幼少期に受けた食教育とした。回収した797部(回収率69.6%)のうち,嫌いな食品の摂取行動についての回答があった685人(有効回答率59.8%)を分析対象とした。<br/><b>結果</b>&emsp;嫌いな食品を「食べる&bull;たぶん食べる」者は「食べない&bull;たぶん食べない」者よりも,嫌いな食品の数が少なく食物摂取状況が良好であった。幼少期に受けた食教育16項目との関連をみたところ,下位の 4 項目で有意な関連が認められ,食事づくりを手伝った/おかずは一人分ずつ盛りつけられていた/食事時はテレビを消していた/子ども向けに味付けや切り方が工夫されていた者は,嫌いな食品を食べる傾向にあった。<br/><b>結論</b>&emsp;幼児を持つ母親の嫌いな食品の摂取行動は食物摂取状況と関連しており,幼少期の家庭において子どもが食べやすい食事が出され食事に集中しやすい食生活環境が整っていたかどうかと関連していたことから,これらの食教育を推進する必要性が示唆された。
著者
鈴木 雅暢
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン = Nikkei personal computing (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.734, pp.93-96, 2015-11-23

第4回今回のテーマはメモリーとバッテリーだ。いずれも複雑さを増しているので、重要なポイントをしっかり理解しよう。鈴木 雅暢=ライターメモリー 今回はメモリーとバッテリーの仕様について解説する。
著者
井上 徹彦 池川 誠司 飯村 成美
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.83, no.8, pp.884-890, 2008 (Released:2011-01-20)

球根専用緩効性肥料を用いた施肥法。富山県は冬季に積雪があり、チューリップに適した地温と湿度を保つことができることや、球根生産に最適な砂壌土水田に恵まれていること、ウイルスを伝搬するアブラムシの飛来が暖地と比べて遅いこと、また、水田の用排水路が完備されているため畝間灌水と徹底した排水が可能であることなど栽培条件が整っており、1993年にはチューリップ球根出荷球数が6118万球まで増加した。しかし、1988年以降オランダ産球根の隔離検疫制度の緩和により安価な球根が大量に輸入され、国内での球根単価が低迷していること、さらに近年は土壌伝染性病害などによる単収減にも悩まされていることから、2005年には出荷球数は2720万球にまで減少した。そのような状況の中、球根生産者は農業普及指導センターや富山県花卉球根農業協同組合などの指導機関による栽培技術や経営のアドバイスを取り入れるなどして、さらなる省力・低コスト栽培や新たな栽培技術の導入による経営の安定化を図っている。野菜花き試験場(現園芸研究所)では栽培技術の改善などによる品質・単収向上技術の開発に取り組んでいるが、ここでは新たな施肥体系技術について紹介する。
著者
井口 正典 辻橋 宏典 永井 信夫 片岡 喜代徳 加藤 良成 郡 健二郎 栗田 孝 八竹 直
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.293-302, 1985
被引用文献数
1

食事が尿中排泄物質 (とくに蓚酸) に及ばす影響について検討した.<br>1) 健康成人男子9名に16時間の絶食の後普通食を与えると, Ca排泄量は食後2~4時間目にピークをしめし, 蓚酸は食後4~6時間目にはじめて有意に増加した. 食事負荷による食後6時間の増加分は, Ca 38.4%, 蓚酸11.8%, 尿酸7.1%, Mg 27.8%で, 普通食が尿中蓚酸排泄量に及ぼす影響はCaに比べてはるかに少なかった.<br>2) 健康成人男子11名に一定の朝食と, 昼食として標準食, 高蓚酸食 (標準食+ホウレンソウの油イタメ150g), 高蓚酸高蛋白食を負荷した. 高蓚酸食負荷により蓚酸排泄量は標準食の約2倍増加したが, 逆にCa, Mg排泄量は標準食の約半分に減少した. 高蓚酸高蛋白質食を負荷すると, 高蓚酸食負荷時に比べてCa排泄量は有意に増加し, 逆に蓚酸排泄量は有意に減少した.<br>3) 上記と同じ高蓚酸高蛋白食を absorptive hypercalciuria と診断した男子結石患者13名に負荷したところ, Ca排泄量は対照群より著明に増加していたが, 蓚酸排泄量には差がなかった.<br>以上の結果ならびに既報の結石患者の食生活調査成績 (日本栄養・食糧学会誌37:1~7, 1984) をもとに, 再発予防法としての食事指導の実際について具体的に述べた.
著者
酒井 清孝
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.2-9, 2012 (Released:2012-09-14)
参考文献数
34

The most commonly used artificial organ is the artificial kidney using dialysis membrane, a machine that performs a treatment known as hemodialysis. This process cleanses the bodies of renal failure patients by dialysis, filtration and adsorption which are simple physicochemical processes. Dialysis membranes account for the largest volume of artificial membranes, far outstripping other fields. Worldwide, the consumption of dialysis membranes has reached some 300 million square meters a year. More than 70% of the dialysis membranes in use are made of polysulfone. This paper describes dialyzers and dialysis membranes so far developed for blood purification.
著者
谷口 康浩 川口 潤
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.485-498, 2001-12-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
102
被引用文献数
2 8

日本列島東北部を中心に分布する長者久保・神子柴文化に土器が出現する.青森県大平山元I遺跡は,最古の土器を出土した遺跡の一つである.大平山元I遺跡出土土器の表面に付着していた煮炊きのコゲとみられる微量の炭化物を試料として,加速器質量分析計(AMS)による14C年代測定を行った結果,12,680±140~13,780±170yrs BPの年代値が得られた.長者久保・神子柴文化よりも相対的に新しい十和田八戸テフラのAMS14C年代が12,380±110~13,080±60yrs BPであることに照らしてもこれは妥当な年代であり,長者久保・神子柴文化期における土器出現の14C年代は13,000yrs BP以前に遡る可能性が強い.INTCAL98を使用して大平山元I遺跡の14C年代を暦年較正すると15,320~16,540cal BPとなる.これは晩氷期の年代域よりもさらに古い.土器の出現は後氷期に起こった人類技術革新の一つと説明されてきたが,極東地域では最終氷期の寒冷な環境下ですでに土器の使用が始まっていたことが確実となった.長者久保・神子柴文化期を縄文時代草創期に含めている現在の時代区分は見直しが必要である.
著者
浦野 文男
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1397, pp.183-186, 2007-06-25

世間を大きく騒がせたペンタックスとHOYAとの合併論議は、5月にHOYAのTOB(株式公開買い付け)を受けることで合意しました。取引先や社員、株主の皆様に心配をおかけしましたが、やっとまとまりました。 そもそもは私が主導した合併について、その真意を話したいと思います。 2006年12月21日、ペンタックスとHOYAは合併することで基本合意しました。

1 0 0 0 OA 琉球関係書類

著者
ヱムシー・ペルリ(Perry, Matthew Calbraith)
巻号頁・発行日
vol.亜米利加合衆国琉球王国政府との定約,
著者
石渡 奈緒美 堤 一磨 福岡 美香 渡部 賢一 田口 靖希 工藤 和幸 渡辺 至 酒井 昇
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.265-274, 2012-08-05
参考文献数
19
被引用文献数
1

IHクッキングヒーターを加熱源とし,フライパンでハンバーグを片面ずつ焼成する時の温度と水分移動を予測できる数学モデルを構築するため,モデル試料(シリコン,ボロニアソーセージ)を用いた解析を行った。蓋をしたフライパン内全体を調理空間とみなした伝熱モデルは,IH発熱層,フライパン伝熱層,フライパンと試料との接触層および試料から構成される伝導伝熱領域と,フライパン内の空気との熱伝達からなる。試料表面と空気との熱伝達とともに,フライパンから空気への放熱が,試料の温度上昇に影響をおよはずことから,試料のないフライパン面と空気との熱伝達も考慮した。水分移動の計算では,試料表面とともに,試料内部も水分蒸発の計算領域とした。本モデルの妥当性を検証するため,調理中に形状が一定とみなせるボロニアソーセージを用い,中心温度50℃で一度反転させた際の温度と含水率変化を算出した。その結果,解析値は実験値と同様な傾向を再現可能であった。