著者
馬場 典子
出版者
名古屋大学国際言語センター
雑誌
名古屋大学日本語・日本文化論集 (ISSN:1348804X)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.17-36, 2018-03-31

本稿は、感情を表す動詞のうち、「嫌悪」の感情を表す動詞「嫌う」が持つ複数の意味について記述し、それらの意味の関連性を明らかにすることを目指した。分析の結果、「嫌う」には7つの別義が認められた。それらの別義は「メタファー」と「メトニミー」という比喩により動機づけられている。また、拙論では「感情を表す用法」と「感情以外のものを表す用法」に分けて考察していたが、本稿では「放射状カテゴリー」の概念を援用することにより、包括的な記述をすることができた。また「嫌う」には、他の動詞「避ける」と意味が近いものもあり、他の感情である「困る」との連続性が感じられるものもあることがわかった。さらには「感覚」という別の領域との繋がりもある例も認められた。
著者
土岐 知弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2018年度日本地球化学会第65回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.170, 2018 (Released:2018-11-21)

沖縄周辺には,数多くの非火山性温泉があり,唯一の火山性温泉の可能性がある竹富海底温泉の学術的な研究は,非常に多くなされているが,非火山性温泉のデータはほとんどない。それらの研究は,本島南部の水溶性ガス田の分布調査によって推進されてきた経緯がある。新たに竹富島掘削試料が得られたことから,今後竹富海底温泉の噴出メカニズムが明らかにされることが期待される。
著者
植村 立 喜納 悠大 大嶺 加菜子
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2018年度日本地球化学会第65回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.25, 2018 (Released:2018-11-21)

石筍中に含まれる流体包有物中の水の酸素同位体比は、過去の気温変動を直接推定できる点で重要なプロキシである。近年、各地の鍾乳石からの測定例が報告され始めている。しかし、一部のデータは天水線からの乖離を示しており、二次的影響等が指摘されているそこで本研究では、開発した分析手法と実際の石筍試料を用いて、同位体交換平衡の影響を評価した。加熱実験では、同じ深度における流体包有物の水の酸素同位体比は約30時間までの間にわずかに上昇し、その後は一定値を示した。モデル計算の結果は、限られた量の流体包有物中の水が、周囲の炭酸カルシウムの酸素と再平衡に達していることを示唆している。この結果は、氷期サイクル程度の気温変動では、酸素同位体交換の影響は小さく、過去の気温の推定には、ほとんど影響しないことを示唆している。
著者
上地 佑衣菜 植村 立
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2018年度日本地球化学会第65回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.89, 2018 (Released:2018-11-21)

降水の酸素の同位体比(δ18O)は、炭酸カルシウムやセルロースに保存されるために古気候のプロキシとして広く用いられている。しかし様々なプロキシの解釈は異なっており、それは各地域の降水の同位体比が複数の気候要素の影響を受けているからと考えられる。そこで本研究では、東アジアモンスーン地域における古気候のプロキシにおいて、降水の同位体比変動の解釈を明確にするために、沖縄島降水の同位体比変動を長期間測定し、気象データやENSO等の指標と比較した。過去7年間、沖縄島降水δ18Oに対するENSOの影響はみられなかったが、δ18Oの年平均は降水量と強い負の相関を示し、NAOと正の相関を示した。
著者
橋田 規子 垣花 創 長尾 徹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

欧米人は週に1回以上浴槽入浴をする人は3割以下に対し,日本人は週平均5回浴槽入浴を行っている[注1].そして、日本人の9割以上が浴槽入浴の目的を「心身をリラックスさせるため」と考えており,浴槽入浴が日本人にとって大切な行為であることがわかる.また,広い空間が使われ掃除されることも考慮すると,水の使用量は多大であり,贅沢な入浴習慣である.しかし省エネルギーが重視される社会でこの入浴スタイルは今後も維持できるのだろうか.本研究は日本の入浴習慣及び空間を海外と比較し,節水性の優劣を探ることである.本研究は今後の日本の入浴方法を省エネルギー社会の中で維持していくために貢献できると考えられる. 本研究は日本の入浴習慣の実態を把握し,海外との比較を行うことによって,違いを明確にすることである.以下の点について研究を行った.<br>・日本の入浴の成り立ちについて,文献により調査する.また 海外(欧州)との比較により,入浴に対する考え方の違いを 把握する.<br>・現在の入浴スタイルについて,アンケート調査を行う.同様 に外国人にもアンケート調査を行い,日本と海外を比較する.<br><br>
著者
櫻田 弘治 石井 香織 長山 医 中嶋 美保子 葉山 恵津子 氷見 智子 加藤 祐子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1073, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに・目的】栄養関連指標であるGNRI[Geriatric Nutritional Risk Index={14.89×血清アルブミン}+{41.7×(現体重/理想体重)}]は手術後患者や透析患者などの生命予後予測指標として注目されている。我々は,心不全患者におけるGNRIが,その後の心血管疾患による死亡の規定因子であることを報告した。心不全患者は心不全の進行により,呼吸負荷や交感神経系の活性化によるエネルギー消費量の増大や筋肉の異化亢進に伴う筋肉量の低下,腸管浮腫による腸管運動障害による吸収障害や食欲低下によって,低栄養状態に陥りやすいといわれ大きな問題となっており,心不全患者における栄養状態の改善が急務とされている。一方,心不全患者の予後規定因子として確立とされている運動能の指標と栄養状態の関係について検討した報告は少ない。今回,栄養関連指標としてGNRIを用いて,心不全患者の栄養状態と運動療法の効果との関係を検討した。【方法】2011年6月から2013年10月までに,NYHAII度以上の心不全患者に対する運動療法を週2回以上の頻度で291±180日間実施した21例{男性:14例,年齢:62±11歳,NYHA(II度:11例,III度:9例,IV度:1例)}を対象とした。運動療法は,有酸素運動とレジスタンストレーニングを行った。評価項目は,患者基本情報,運動療法前後の血液生化学データ(Hb,CRP,eGFR,ALB,BNP),心臓エコー検査による左室駆出率(LVEF),GNRI,心肺運動負荷検査(AT@VO2,Peak VO2,VE/VCO2 slope,Peak WR)とした。心不全患者による運動療法前後のGNRI改善率と心肺運動負荷検査による諸指標の改善率との関係,さらに,心不全患者の中でGNRIが94未満の心不全患者を,栄養障害リスクあり心不全群(7例)の運動療法前後のGNRI改善率と心肺運動負荷検査による諸指標の改善率の関係について検討した。統計学的手法は運動療法の効果についてはPaired t-test,相関関係はSpearmanの順位相関係数により統計解析を行った。全ての検定における有意水準はp=0.05とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究の実施にあたり,事前に研究の趣旨,研究内容及び調査結果の取り扱いについて説明し同意を得た。また,本研究は他者との利益相反はない。【結果】運動療法前後のHb,CRP,eGFR,ALB,BNP,LVEFは有意差を認めなかった。GNRIは運動療法前が97.3±9.2から運動療法後に100.4±7.1と有意な改善が認めた(p<0.05)。また,運動療法によってAT@VO2は運動療法前が9.2±1.9ml/min/kgから運動療法後に10.0±1.8 ml/min/kg(p<0.01),Peak VO2は運動療法前が12.7±3.8 ml/min/kgから運動療法後に14.4±3.2ml/min/kg(p<0.01),Peak WRは運動療法前が68.1±28.0Wから運動療法後に79.8±27.1W(p<0.01)と有意に改善したが,VE/VCO2 slopeは運動療法前が37.0±9.8から運動療法後に34.7±10.3と有意差は認めなかった。全ての心不全症例において,運動療法前後のGNRI改善率と心肺運動負荷検査による諸指標の改善率には有意な相関を認めなかった。しかし,栄養障害リスクあり心不全群において,運動療法前後のGNRI改善率とAT@VO2改善率(r=0.978;p<0.001),GNRI改善率とPeak VO2改善率(r=0.877;p<0.001),GNRI改善率とPeak WR改善率(r=0.791;p<0.05)には有意な正の相関関係を認めたが,GNRI改善率とVE/VCO2 slope改善率には相関関係を認めなかった。【考察】心不全患者を対象とした,GNRIを用いた本研究結果より,栄養障害リスクのある患者は,栄養状態の改善率によって,運動療法の効果に影響を及ぼす可能性がある。このため,今後は積極的な栄養状態の改善に対する介入研究が必要と考える。【理学療法学研究としての意義】心不全患者に対する運動療法の有効性は周知されている。今回の研究結果によって,栄養障害リスクのある患者は,栄養状態の改善へのアプローチも心臓リハビリテーションの役割のひとつであると再認識できた。栄養状態の改善によって,さらなる効果的な運動能の改善が期待され,心不全患者の生命予後の改善に影響する可能性が示唆された。
著者
佐伯 直秀
巻号頁・発行日
vol.7, pp.11-23, 1957-01-20
著者
岩船 由美子 西尾 健一郎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.75, no.650, pp.371-379, 2010-04-30 (Released:2010-06-14)
参考文献数
22
被引用文献数
3 2

Residential energy consumptions for space heating depends on climate conditions, floor areas, dwelling structures, thermal insulation performances, types of heating supply systems, inhabitant preferences. A standard indicator of space heating services independent of above conditions is advanced based on actual measurement values on 61 dwellings in Japan area on this paper. The indicator is calculated using average room temperatures during a space heating period, room floor areas and numbers of space heating days. A space heating efficiency in a dwelling can be analyzed by examining the correlation between the indicator and energy consumption. The dwellings having electric storage thermal heating systems or electric boilers consume larger energy for their space heating standards. An efficiency of a space heating by air conditioners cannot be observed in this study.
著者
Yoshiaki Kato Kenji Niiyama Hideki Jona Shigemitsu Okada Atsushi Akao Shouichi Hiraga Yoshimi Tsuchiya Koji Tomimoto Toshiaki Mase
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.1066-1072, 2002 (Released:2002-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
6 8

An asymmetric synthesis of a selective endothelin A receptor antagonist 1b is described. Asymmetric conjugate addition of aryllithium derived from 18 to the chiral oxazoline 17 followed by hydrolysis afforded 15 in 96% ee via purification as (S)-(−)-1-phenylethylamine salt. Pd(OAc)2/dppf (1,1′-bis(diphenylphosphino)ferrocene) catalyzed carbonylation followed by chemoselective addition of aryllithium derived from 23 which gave ketone 24. Diastereoselective reduction of the ketone with catecholborane followed by concomitant activation of the resulting alcohol and cyclization gave the late intermediate 26. Introduction of amino moiety on the pyridine ring by imidoyl rearrangement followed by deprotection and purification by crystallization furnished the enantiomerically pure target molecule 1b in 8% overall yield from 16.
著者
加藤 喜章
出版者
岐阜大学
巻号頁・発行日
2003

博士論文
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.295, pp.105-107, 2001-01

うどん店のメニューの中で、脇役的な存在の「カレーうどん」——。そう思っていたら、すぐにその考えを改めていただきたい。東京・巣鴨の「古奈屋」では、その脇役を堂々たるメインに育て上げ、月商500万円を叩き出す。席数はわずかに12席、午前11時30分から午後4時までの4時間30分に、平日で170杯、土日は250杯を売り切るというから「驚異的」としか言い様がない。
著者
広田 耕作 丸橋 和夫 浅尾 哲次 千田 重男
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.3377-3379, 1982-09-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
15
被引用文献数
4 8

Thermolysis of 6-azido-1, 3-dimethyluracil (1) in formamide gave 1, 3, 6, 8-tetramethylpyrimido [5, 4-g] pteridine-2, 4, 5, 7 (1H, 3H, 6H, 8H)-tetrone (3), while the same reaction in N, N-dimethylformamide (DMF) gave 3-(5-amino-1, 3-dimethyluracil-6-yl)-4, 6-dimethyl-[1, 2, 3] triazolo [4, 5-d] pyrimidine-5, 7 (4H, 6H)-dione (4), which was converted into 3 in refluxing formamide. Compound 4 was also obtained by the treatment of 1 with 4, 6-dimethyl [1, 2, 3] triazolo [4, 5-d] pyrimidine-5, 7 (4H, 6H)-dione (5) in refluxing DMF. The mechanism of these reactions is discussed.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.609, pp.33-35, 2014-10-01

アンケート回答企業が実施したセキュリティ関連投資の単純平均額は、2013年の1137万円に対し2014年は1439万円と26.6%増加した。投資が増える最大の要因と見られるのが標的型攻撃への対策である。 2014年8月の調査時点で標的型攻撃対策を導入済みの企業は37.9%。
著者
中井 大介
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.10-25, 2016
被引用文献数
5

本研究では,量的研究が限られている中学生の友人に対する信頼感の因子構造を実証的に明らかにし,友人に対する信頼感が生徒の学校適応感とどのように関連するかを検討した。中学生563名を対象に調査を実施した。第一に,生徒の友人に対する信頼感尺度(STS尺度)を作成し,信頼性と妥当性を検討した。その結果,(1)STS尺度は「友人への安心感」「友人への不信」「友人への頼もしさの感覚」の3因子構造からなり,信頼性と妥当性があること,(2)STS尺度の得点は,1年生が3年生に比べ,女子が男子に比べ高く,学年差・性差があることが明らかになった。また,生徒の友人に対する信頼感が生徒の学校適応感に及ぼす影響を検討したところ,(3)「友人への安心感」「友人への不信」「友人への頼もしさの感覚」のそれぞれが生徒の学校適応感に異なる影響を及ぼしていること,(4)また,その関連の様相も生徒の学年別,性別によって異なる可能性が示唆された。
著者
永井 由佳里 野口 尚孝
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.185-194, 2001-11-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
5
被引用文献数
6

デザインの創造的な思考過程を言葉から形への変換過程と考えた場合, デザイン目標として与えられたキーワードによってどのように思考モードが異なるかを知るため, 約80人の被験者に実験をおこなった.まず形への変換の難易度が異なる二種類の言葉からそれらに相応しい花瓶の形を考えさせる課題を課した.その結果, 形に結びつきにくい言葉の場合はキーワードから連想できる具体的な事実や対象を描くことから花瓶の形を考える傾向があることがわかった.次に「悲しい気持ちにさせる」というキーワードに相応しい椅子の形を考えさせた.その結果, 形に結びつきにくい言葉の場合, ドローイングの過程でキーワードから思い浮かべられる人間の姿勢やものの状態などを媒介にして, 言葉の意味を形に近いレベルにまで構造化し, 椅子の形に結びつけていることがわかった.以上から, デザイン思考過程における思考の抽象度をデザイン目標から形としてのデザインの創出までの距離として考えれば, この距離が長いほど思考の努力が必要であり, その過程でのドローイングの役割も大きいことが推測できた.
著者
陳 晋
出版者
産業学会
雑誌
産業学会研究年報 (ISSN:09187162)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.32, pp.123-136, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
33

This paper focuses on the growth pattern of the competitive advantage Dajiang Innovation Technology Inc. (DJI), a Chinese drone manufacturer currently enjoys, and how it has developed so as to lead the global commercial drone industry.In 2005, DJI was ranked third among “The World's Top 10 Most Innovative Companies” by Fast Company, an American consumer electronics magazine, after Google, a leading U.S. internet search engine provider, and Tesla, a leading U.S. electric vehicle manufacturer. DJI’s drone model “Inspire” was ranked second on the list of “Top 10 Tech Product Designs of 2014” by the American magazine TIME.Unlike the conventional growth pattern of all other Chinese companies, DJI developed the core components, such as the controller system, on its own, and captured 70% of the global commercial drone market in a short period. Moreover, the sales destination of DJI’s products is not developing countries, such as China and other Asian countries, but developed countries such as the U.S., Europe and Japan, where 70% or more of its sales are produced.This paper explores the key research question of what growth pattern DJI has followed to gain its competitive advantage and jump to the top position in the world commercial drone industry.Firstly, DJI has created value for customers through its originality and has invented a drone fitted with a camera for a niche market, thus achieving technological leadership as a first mover.. Secondly, DJI has quickly responded to changes in the markets of developed countries centered around the U.S. and established its own brand by letting consumers recognize the value of DJI’s technology and products.Thirdly, with its production base located in Shenzhen, a superb industrial clusters center, DJI has made efficient use of the industrial infrastructure of parts makers to establish its competitive advantage of low cost and leadership, and expand its market share successfully.
著者
佐藤 惣之助[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1936-01