著者
稲葉 信幸 宮島 英紀 武富 荒 近角 聡信
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.245-248, 1989-04-30 (Released:2007-12-07)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

Magnetization (M), field induced magnetic anisotropy (Ku), rotational hysteresis loss (Erot) and melting point (Tm)f water- and paraffin-base ferrofluids were investigated in a temperature range from 77 K to 300 K as a function of the density of colloidal particles. Both paraffin and paraffin-base fluids were melted down at the temperature range from 180 to 210 K. In this range, the values of M and Erot, for paraffin-base fluids increased and Ku decreased with increasing temperature. These properties are interpreted by assuming that liquid-state and solid-state parts in paraffin exist in this tempetarure range and that the volume of solid-state part decreases with increasing temperature. The freezing point depression was observed in water-base fluids.
著者
稲葉 信幸 宮島 英紀 武富 荒 近角 聡信
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.283-286, 1988-04-30 (Released:2007-12-07)
参考文献数
6
被引用文献数
5 3

The magnetization process of a ferrofluid whose carrier fluid is paraffin was investigated in a temperature range from 77K to 300K as a function of the intensity of cooling field and the freezing rate. Phase transition between liquid state and solid state can be simulated by using the ferrofluids as a magnetic probe. The uniaxial magnetic anisotropy was induced by field cooling in frozen ferrofluids. This induced anisotropy decreased with increasing temperature near the melting point and disappeared at 30K higher temperature than the melting point. In this region the rotational hysteresis was observed. The anisotropy constant K near the melting point was described by the equation K=A·exp(ΔEK/kT). The value of the activation energy ΔEK was almost the same as that of ΔEη estimated from the viscosity vs. temperature relation η∝ exp(ΔEη/kT).
著者
武富 荒 小川 伸一 宮島 英紀 近角 聡信
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.263-268, 1988-04-30 (Released:2007-12-07)
参考文献数
20
被引用文献数
14 16

Magnetooptical effect of magnetic fluids is investigated. The phase difference θ between the ordinary ray and the extraordinary ray which are transmitted through the magnetic fluid thin film was found to be described in the functional form θ1f(H)/[T-T1+f(H)], where H is the magnetic field applied to the magnetic fluid thin film, T is the absolute temperature of the film, f(H) is a certain increasing function of H and T1, θ1 are the positive constants. The field dependence of light transmissivity of magnetic fluid thin films is well described by the cluster model of ferrous colloidal particles in the applied field direction when the aggregation is small. The field dependence of transmissivity is, however, interpreted neither by the electric absorption of the clusters nor by the Rayleigh scattering when the cluster becomes larger. The diffraction effect by the linear clusters directed to the applied field must be taken into account in interpreting the light extinction.
著者
佐藤 誠 平田 幸広 河原田 弘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J74-D2, no.7, pp.887-894, 1991-07-25

計算機上での3次元形状モデリングを効率よく行うためのヒューマンインタフェースを実現するには,実際の3次元物体と同じように形状モデルを直接に操作できるような環境を構成することが必要である.このような環境を仮想作業空間と呼ぶ.人間が手を用いて物体を操作する場合,視覚や触覚・力覚などの感覚を無意識のうちに用いている.仮想作業空間を構成するためには,これらの感覚情報を人間に対して統合的に与えることが重要である.そしてこれらはすべて計算機処理により人工的に生成する必要がある.以上のことに基づき,本論文では,仮想作業空間を構成するために必要な入出力装置として,空間インタフェース装置SPIDARを新たに提案する.この装置は,指先の位置情報を得ることができると共に,指先に力覚情報を与えることができる.このSPIDARを用いて3次元形状の生成・加工のための仮想作業空間を構成する.そして,この仮想作業空間での3次元形状の直接操作性に対する力覚情報の効果を調べる実験を行い,その有効性を確認する.
著者
大西 範和 斎藤 真 平林 由果 片瀬 眞由美 栗林 薫 塩之谷 香
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.51-56, 2005-04-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
13

本研究の目的は, 筋電図の解析によりミュールを履いて歩行する際の身体的ストレスを評価することである. 被験者は11名の若年女性で, 50m/minの速度でトレッドミル上を, 裸足, スニーカーおよびヒール高9cmの3種類のミュールを履いて2分間歩行した. それぞれの歩行において後半1分間の上下肢の筋電図および心電図を記録した. 心拍数および歩調は, ミュールを履いて歩行した場合に, 裸足およびスニーカーと比べ統計的に有意 (p<0.05) に増加した. 股関節の屈曲, 膝関節の伸展および足関節の背屈に関係する筋において, 筋電積分値は, 裸足およびスニーカーを履いた歩行に対し, ミュールを履いた歩行の際に増加した. これらの筋活動の増加は, 爪先を上げてミュールの脱落を防止することや, 爪先と踵を同時に接地させて歩行の安定を図るための努力に関係すると推察される. ミュールを履いて歩行した際の前脛骨筋の活動増加は, 甲ストラップの装着により消失した. 歩行時にミュールを履くことで増加する身体的ストレスは, 構造を工夫することで低減され得ることが示唆された.
著者
川村 周三
出版者
日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.55-60, 2012-01

1.はじめに: 北海道の豊かな自然と広い大地。日本の一般消費者の多くは北海道で生産する農作物、畜産物、水産物に「新鮮で美味しくて安全」という良いイメージを持っている。実際にも、北海道の食料自給率(カロリーベース)は約200%であり、日本の食料基地として本州の大都市圏に多くの食料を供給している。東京、名古屋、大阪などの百貨店において、"客寄せイベント"として北海道物産展が定期的に開催される。北海道物産展の目玉商品の多くは農畜水産物やその加工食品である。数年前までは、その目玉商品に中に「北海道米」が登場することは決してなかった。従来から、日本で一般消費者に最も人気のある(一番美味しいと思われている)米は「コシヒカリ」である。一方、北海道は高緯度寒冷地であるために府県で育成されたイネの品種を栽培することができず、北海道で育成された品種のみを栽培してきた。また、府県に比較すると北海道はイネの登熟期間が短く登熟期の気温も低いために、イネにとって生育環境が悪い。その結果、古くから「北海道米は美味しくない」とされており、「北海道米は売れないお米の"やっかいどう米"」とも揶揄(やゆ)されてきた。そこで、北海道では米の食味向上を目指して、農家、農協、試験場、大学などの米の生産とその技術に携わる数多くの人たちが連携して、長年にわたる努力を積み重ねてきた。その結果、近年は百貨店の北海道物産展の目玉商品に北海道米が登場するようになった。ここでは、北海道から発信するフード・イノベーションとして、長年にわたり実施してきた米の食味試験の結果をとおして、北海道米の食味向上の軌跡と奇跡について述べる。
著者
守屋 修二
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.179-185, 1991-04-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
14

口唇口蓋裂児の外鼻ならびに上顎の成長発育を調べる目的で, 鼻梁線, 耳介付着線および耳介長軸の三者間の角度の検討を行った.研究対象は正常な三カ月児21名と生後三カ月, 一部5~10カ月の片側あるいは両側の口唇口蓋裂児術前例69名である.結果: 1.耳介付着線と鼻梁線とのなす角度は, 正常三カ月児, 片側口唇裂児, 片側唇顎口蓋裂児, 両側唇顎口蓋裂児, の順に小で, 各々の間に有意差が認められ, 口蓋裂を合併するものは外鼻の成長が小となる傾向が認められた.2.耳介付着線と耳介長軸とのなす角度は, 披裂度の増加に伴い減少の傾向が認められ, 三カ月正常児と両側唇顎口蓋裂児との問にのみ有意差が認められ, 何らかによる耳介の発育障害が考えられた.3.耳介長軸と鼻梁線とのなす角度でも上記2者と同様の傾向が認められたが, 三カ月正常児と片側口唇裂児, 片側口唇裂児と片側唇顎口蓋裂児の間には有意差は認められなかった.すなわち, 耳介長軸は基準線として不適当と考えられた.以上のことから, 口唇顎口蓋裂児中とくに口蓋裂児に上顎の劣成長が強く, 外鼻の発育も抑制されている傾向は認められるものの, 耳介長軸を発育の基準にすることは不適当と推測された。
著者
柴﨑 美奈 神山 洋一 南澤 孝太
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.537-540, 2016

<p>To make it possible for the deaf and hard of hearing to enjoy to appreciate the performance of tap dancers, we developed a system called "Karada Tap", which transfers the haptic sensation of Tap Dance from the stage to the audience seats in collaboration with a tap dance unit and a science museum. This system was used in a public performance and we confirmed that the system could provide the sense of rhythm to the deaf and hard-of-hearing audience so that we could help the tap dancers to share the fun of dance to the audience with disabilities.</p>
著者
水間 俊
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.3, pp.142-145, 2009 (Released:2009-09-14)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

腸管代謝は経口薬が循環血中に入るまでの初期に起こる過程であり,吸収率,肝アベイラビリティとともに重要な因子である.近年,腸管のCYP3Aによる第I相酸化代謝が経口バイオアベイラビリティを低下させるという認識が深まりつつある.さらに,最近,第II相代謝の抱合代謝についても,SULT1A3による硫酸抱合代謝,UGT1A8,UGT1A10などによるグルクロン酸抱合代謝が経口バイオアベイラビリティに大きなインパクトを与えることが明らかになった.これはプレシステミック臓器アベイラビリティとして評価すると肝代謝よりも大きなインパクトである.一方,視点を変えるとドラッグデリバリーの観点からも腸管代謝は興味深い.例えば,プロドラッグが活性薬物になる(程度の差はあるが)過程にもなり,トランスポーターを介した吸収ルートを利用するプロドラッグのプロドラッグ(プレプロドラッグ)への展開なども期待される.
著者
葛原 武典
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.193-201, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
7

ポスドクスタイル(株)は、博士号取得者に向けた転職支援サービスを提供する民間事業者である。本稿では、主に文部科学省 科学技術・学術政策研究所の公表データに基づき、博士号取得者の雇用環境を説明したたうえで、ポスドクスタイルの活動の事例を簡単に紹介する。
著者
七堂 利幸
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.37-55, 1996-03-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
121

時間経過とともにデータを取っていく経時測定データは, 時点間に系列相関があり, 各時点を独立した値と見て解析すると, 間違った結果になる。この経時測定モデルは鍼灸研究では, かなりの頻度で使われている。鍼灸研究における統計誤用が頻発しているため, この経時測定データの解析法について調べても, ほとんど誤用といってよい。そのため, 正確な解析法の情報を学会会員に伝えるため, 経時測定データの解析法の文献とコンピューター・ソフトウェア・パッケージ (統計ソフト) のレビューをした。

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出版者
巻号頁・発行日
vol.[15],
出版者
総合研究大学院大学学融合推進センター
雑誌
研究者入門 2011,2012
巻号頁・発行日
pp.1-88, 2013-06-24

本レポートは2011年7月16日~18日および2012年7月14日~16日に行われた「研究者入門」おける講義を記録したものです。編者:岩瀬 峰代[学融合推進センター] 、奥本 素子[学融合推進センター] CPIS-Report-2013/06/001(Lecture)
著者
森 基雄
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Naragakuen University (ISSN:2188918X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.97-108, 2018-03-10 (Released:2018-04-11)

要旨古英語において‘go’を意味する動詞であった長形gangan(<Gmc*gang-a-)と短形gānのうち、ganganは強変化動詞7類として分類され、その過去形としては本来の強変化動詞7類としての重複形*gegang-に由来するġēongを有したが、gānは不規則動詞として分類され、不規則な過去形ēodeを有した。またēodeはganganのもう1つの、しかも散文ではむしろ一般的な過去形でもあった。同様に、OEganganに対応するGogagganは不規則な過去形iddjaを有した。このように‘go’の過去形としてはまったく不規則な形態を成すēodeとiddjaの成り立ちと両者の語源関係についてはこれまでにさまざまな提案がなされてきたが、本稿ではこれらの提案に基づき、歴史的な観点からēodeとiddjaの成り立ちとその真の姿に迫った。
著者
平井 ゆか 内田 祥哉
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.263-274, 2001

本研究は,日本の伝統的な床材である畳と,畳を支える各種のシステムの開発と普及について,文献資料を広く収集し全貌を明らかにする事を目的としている。古代における畳の開発について,現存する最古の畳を区切りとして日本の独自性を記録から検証し,中世以後については形状の変化や床材としての成立を絵巻を中心に探り,畳の普及を日光社参史料をもとに検証している。畳職人の出現を記録から,畳屋の地方への広まりを地名から検証し,メンテナンスシステムの開発と普及を明らかにしている。一方,畳職人の育成システムについては職業訓練校の歴史等を探り,畳の生産・供給システムについては産地や問屋等の現地調査・資料収集を行っている。