著者
外丸 敏明
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.444, 2008-03-28

とまる・としあき●建設会社勤務を経て2002年にトマル経営技術コンサルタント設立。建設会社向けコンサルティング業務を通じて、わかりやすい説明による信頼関係の構築に努めている。http://www.geocities.jp/tomaranran/今回は、受験者が最も多い道路の科目を対象に、専門論文の書き方を解説する。

1 0 0 0 OA 張交帖

出版者
巻号頁・発行日
vol.[9],
著者
島田 直明 米地 文夫
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.119-131, 2006-03-01

カラマツは宮沢賢治作品への登場頻度の高い樹木である。そのカラマツ林やその周辺の景観について賢治の描写を分析するとともに、同時代の代表的詩人北原白秋の作品と比較検討を行った。本論文では特に心象スケッチ『春と修羅』のなかの作品群に描かれたカラマツに着目した。それらの多くは岩手山麓の牧草地や放牧地の防風林としてのカラマツ林であった。賢治の作品から1920年代の岩手山麓は、草地や草地から遷移が進んだ森林、カシワ林などさまざまな植生タイプがみられ、また草地を囲むようにカラマツ林が列状に連なる景観であったと読み取れた。旧版地形図や岩手県統計書などの資料から判読した当時の景観も同様であり、賢治が『春と修羅』の作品群において正確に景観を描写していたことが検証できた。一方、北原白秋の有名な詩「落葉松」は、カラマツ林の中に歩み入り、また歩み去る己れを抒情的に詠いあげた。この詩人の絶唱ともいうべき作品ではあるが、カラマツ林の景観そのものについては全く描写していない。これに対して、賢治はカラマツ林の景観をナチュラリストの眼で観察し、心象スケッチという形で具体的に描写・記録した。彼はのち,カラマツを用いて景観を造る「装景」をも考えていたのであった。
著者
神谷 啓太 布施 孝志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_759-I_769, 2016

近年,流動的な人口の把握が多分野から注目されており,GPSにより収集した大量の位置情報を用いたメッシュ人口のモニタリングが期待される.モニタリングでは異常状態の検知が重要だが,統計的異常検知手法の開発は扱うデータに応じてアドホックに行われている.本研究では異常検知問題を特徴付ける要因を整理し,メッシュ人口データのモニタリングを,半教師学習した統計モデルにより時系列データ中の文脈型異常を検知する問題と設定した.そして,時系列データの潜在状態数を推定可能な階層ディリクレ過程隠れマルコフモデルを援用した異常検知手法を提案した.シミュレーション実験では潜在状態の事後分布を比較する手法を用いることで高い性能を確認し,実データへの適用では列車運転見合わせが発生した時刻での高い異常スコアの検知を確認した.
著者
矢島 伸男
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.83-95, 2013-08-31 (Released:2017-07-21)

本稿は、学校教育における笑いの導入に確かな正当性を持たせ、かつ、導入に関しての注意点を明らかにする思いから、笑いが持つ同義性を中心に考察した.笑いがもつあらゆる両義性のうち、学校教育から疎まれる性質を持つものは、【協調⇔対立】、【創造⇔破壊】、【更生⇔堕落】の3つであると考えられる。望ましくない笑いが持つ【対立】【破壊】【堕落】の属性に陥る危険性を冒してもなお、望ましい笑いが持つ【協調】【創造】【更生】の属性の教育的可能性は捨てきれない。笑いの可能性を支持する教育者にとっては、笑いの同義性について深く理解をしてもらった上で、「笑いは決して万能ではない」との自覚を持ってもらいたい。ともあれ、「教育者の温かい人間的な善意]があればこそ、学校教育にとって笑いは望ましいものであり続ける。笑いを安易に用いることなく、適切な用法を持って子どもと接することが、教育者にとって大切なのではないだろうか。

1 0 0 0 OA 五經大全

著者
明胡廣等奉敕撰
巻号頁・発行日
vol.[36], 1653
著者
高野 誠二
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.256, 2005

<B>1. はじめに</B><BR> 近年増加しつつある、駅を中心とした都市整備を行う「駅と街づくり」事業において、都市と鉄道との間の交渉は重要な意味を持つ。両者が共同して事業にあたる必要があるだけでなく、公共の利益を確保する目的を持つ自治体と、自社の利益の確保を目指す鉄道事業者の利害が、鋭く交錯するからである。本研究では、どのような形で都市と鉄道が利害を調整しながら、駅の整備を進めてきたのかを明らかにする。<BR><B>2. 都市と鉄道との間の問題の推移と利害の調整</B><BR> まず、駅や鉄道の整備をめぐる、都市と鉄道との間の問題の変遷を、新聞記事数の集計から概観した。時代が下るにつれて、踏切の改良や駅裏改札口の設置といった小規模な事業から、鉄道連続立体交差事業や駅ビル建設のように、より高度で複雑な事業へと、関心が推移したことがここから分かる。また近年では、自由通路の設置や駐輪場建設等の問題が増加した。これらの場合では、都市と鉄道の間の立場や費用分担等が、現行の法制度によって十分に規定されておらず、交渉が紛糾しやすいことも、記事の数が多くなった一因である。記事の内容を見ても、たとえば駅前広場整備のように、都市と鉄道の利害を調整する法制度や、設計や費用分担の基準等が充実している事業では、両者の交渉が紛糾することは少なかった。このように、都市と鉄道の利害を法制度が十分に調整できていない問題では、都市と鉄道会社との交渉の成否が、駅やその周辺地区での整備事業の帰趨にとって重要である。そこで、都市と鉄道は具体的にどのような交渉を展開しながら、駅の整備を行ってきたのか、駅を中心とする都市整備事業が多く行われてきた、八王子市を事例にして調査を行った。<BR><B>3. 八王子市における都市と鉄道の交渉</B><BR> 八王子市と国鉄の間で特に大きな問題となったのは、八王子駅において1949年に開設された駅裏改札口や、1983年に完成した自由通路と駅ビルの建設であった。駅裏改札口や自由通路の設置は、都市と鉄道の間での費用分担や設置基準等を定めた法制度が無いだけでなく、これらの建設が収入の増加に直結する訳ではない、鉄道側の姿勢が消極的だったことも大きな障害であった。また、八王子のライバル都市での駅ビル推進運動もあったので、必ずしも八王子駅での駅ビル建設を進める必然性が無い国鉄は、八王子市に対して厳しい条件で臨んでいた。これに対して八王子市は、元国鉄職員の市議会議員を中心とするコネを活用して交渉を進めた。また、市内の住民の反対運動に遭って頓挫しかけていた、国鉄のオイルターミナル建設やパイプライン敷設の計画に対して、八王子市が反対運動を鎮めたり用地を斡旋したりする等、国鉄にとって有利となる条件を示して取引することで、自由通路と駅ビルの建設への国鉄の協力を取り付けることができた。<BR> 京王電鉄の駅をめぐっては、京王八王子駅の地下化にあたり、市が構想を持っていた京王線の延伸計画に対応可能なように、設計の変更を働きかけた他、市内各駅の整備を進める必要があった。また京王グループは、市内のバス路線のほとんどを傘下に収めるので、バスターミナルの整備や、山間部への不採算バス路線の維持についても、市は京王グループの協力を得る必要があった。これらの交渉における鍵の一つが、宅地開発への対応であった。市内での宅地開発や様々な開発事業を進める、多角経営の京王グループの収益にとって、市の態度は重要である。八王子市では、担当官の裁量の幅が大きい、宅地開発要綱の運用において便宜を図ること等の条件の代わりに、駅の整備やバスの運行等に関する市の要求が実現されるように、京王グループと取引を行っていた。<BR><B>4. まとめ</B><BR> このようにみてみると、都市と鉄道との間に介在する諸問題のうちで、法制度によって調整が行われる範囲外の問題では、両者の間で様々な条件の政治的取引を絡めた交渉を行うことで解決を図らざるを得ず、事業は滞りがちであった。たとえば近年も、法制度による利害の調整が十分に機能していない、駐輪場の設置をめぐる問題が各地で大きくなっているように、両者を調整する法制度の有無が、今後の駅と周辺地区の整備の進展に大きな影響を及ぼすであろう。また、八王子市の場合では、国鉄と京王グループの性格の特徴が、それぞれの市との交渉の中に表出していた。鉄道事業者としての性格を十分に読み解くことで、駅と周辺地区における都市整備事業の進展の様子も、より明らかになると考えられる。
著者
喜多村 美保 友清 衣利子 前田 潤滋
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第18回風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.000024, 2005 (Released:2005-07-20)

It is known that the spread of structural damage is more strongly affected by gust speeds than by maximum wind speeds. The authors have focused on the duration and fluctuation of wind gusts. The results of damage analysis based on the effects of Typhoon Bart in 1999 have indicated that the spread of damage has a higher correlation to the standard deviation of the wind gusts rather than to the intensity of turbulence. Comparisons of the time evolutions of wind records at selected observation points have indicated more serious damage at areas with higher fluctuations of wind speed. Although the above investigation is based on a survey of the damage of only one typhoon, it is suggested that fluctuation intensity as well as the duration of high wind speed is a significant factor in the spread of structural damage.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1713, pp.78-81, 2013-10-28

10月1日に同社が神戸市内の研究開発拠点で開いた内定式。59人の内定者のうち、10人は外国人だ。スイスや中国、スリランカ、カンボジア、韓国と国籍も多様。中には中東パレスチナの出身者もいるという。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1361, pp.150-152, 2006-10-09

「コンピューターの仕事、興味ないですか?」——リクルートスーツ姿の大学4年生に採用の担当者が駆け寄ってくる。9月21日、東京・有楽町で開かれた合同会社説明会での光景だ。参加80社の大半が中小企業で、そのうち62社が2007年春の新卒学生を募集していた。内定式が10月1日に迫るのに、必要数を確保できていない。
巻号頁・発行日
vol.[33] 地所之部, 1000
著者
安藤 潤
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学国際学部紀要 (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-38, 2016-04-28

本論文では1980 年以降の四半期データを用いて米国における防衛部門経済の外部効果を実証的に考察した.防衛経済学の先行研究で従来用いられてきたFeder-Ram モデルは多重共線性の発生を始めとしていくつかの推定上の課題を持つが,モデルを修正し,多重共線性を発生すると考えられる説明変数を標準化することでその課題を克服した.ポスト冷戦期では防衛部門経済から非防衛部門経済への,そして防衛部門経済から民間部門経済への有意な正の外部効果が存在し,それら弾性値はともに0.001(年率換算で0.004)であることが明らかにされたが,冷戦期では有意な外部効果は確認されなかった.また米国は両期間において防衛支出拡大による経済成長率押上げ効果を享受することが可能であったこと,ただしその経済成長率押上げ効果は冷戦期がポスト冷戦期を上回っていたことも明らかにされた.
著者
井上 勝雄 広川 美津雄 岩城 達也 加島 智子
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.40, 2015 (Released:2015-06-11)

今日、スマートフォンなどに代表される多機能な情報通信機器の普及により、誰でも直感的に使用することのできるインタフェースデザインが求められている。 そこで、報告者らは数年前から直感的なインタフェースデザインの設計論について研究を行ってきている。アンケート調査や心理実験、心理学に関する文献調査の結果から、直感的なインタフェースデザインは「知覚と行為の円滑な結合」であることが明らかになった[1]。そのためには心理学の「体制化」と「親近性」を拡張した考え方を設計論に応用することができると考え、その考え方をもとに、直感的なインタフェースデザインの10原則を提案した。
著者
久島 英二 佐藤 正広 沖 守 秋元 成太 富田 勝
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.750-753, 1990

血液浄化用Double Lumen Catheter(以下DLCと略す)の問題点として、血栓および位置不良による血流不良が挙られる。我々はそれらを解決するため回転式DLCにスライド式(抜去)の改良を加えた回転スライド式DLCを考案し、その臨床試作を試みた。その構造は従来の固定式と異なり、DLC本体が360度回転し、かつ抜去可能なスライド式になっている。このカテーテルを用いて、血流不良時に対する有効性について検討した。血流不良は、体位変換等により一時的に認められたがDLCの回転あるいはスライドにより容易な対処が可能であった。また、血流不良が頻回に生じる場合では、スライド式が効果的であった。なお、血栓が原因と考えられる血流不良での対処は、スライド方式により一部改善を認めたが血栓が内腔にまで及んだ状態(完全閉塞)での対処は困難であった。以上より、本カテーテルは、血流不良時の対処法として効果的であり、今後十分臨床に応用できるDLCであると判断された。
著者
(唐) 釋實叉難陀 譯
巻号頁・発行日
vol.卷19,20,

唐の実又難陀訳「華嚴經」80巻のうちの巻19、20を合冊したもの。料紙は黄檗染紙、界線は淡い朱線。界高23.3cm、界幅1.9cm、毎行17字。巻頭表題下方に、千字文帙号とみられる「章」字、紙数、「大和寧国蔵」字を記す。字様は勤直、墨色は漆黒。幅広の折帖に仕立て、板表紙を付して、それに隷書で「華嚴經第十冊」と刻し、緑青を入れてある。後代の改装とみられる。この一類は国内外10か所余の所蔵が知られる。書写時期・地点については諸説ある。奈良時代、唐・宋・元代、渤海、さらに明初にモンゴル族オイラートの建てた大和寧国説など。最近の研究では、料紙・朱界線・書風など、北宋代の写本大蔵経の特徴と共通点が多いとされている。