著者
阿部 永
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.55-66, 2010 (Released:2010-07-23)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本州中部においてコウベモグラMogera woguraがアズマモグラM. imaizumiiと競合し,分布を置換しながら前進している8地域においてトンネルのサイズ調査を行い,2009年時における前者のおよその分布先端を確定した.特に1959年に分布先端を確定してあった長野県内2河川流域のうち,木曽川上流においては上松付近において50年間に最大4.1 kmの分布拡大が認められた.他方,天竜川上流の支流小野川流域では最大2.4 km,本流域では最大16 kmの分布拡大が認められた.石川県金沢平野におけるコウベモグラの分布先端は,1998年における最初の調査以後の11年間に大きな変化はなかった.富士川流域では最上流部にある甲府盆地の下流約16 kmの峡谷に分布先端があった.静岡県・神奈川県にまたがる地域では,両県を分け南北に連なる山脈がコウベモグラの東進を妨げる障壁になっていることが明らかになった.
著者
笹生 美貴子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.50, pp.41-59, 2014-09-30

『源氏物語』「須磨」「明石」巻では、源氏・明石一族の運命を切り拓いてゆく複数の夢が描かれる。とりわけ、源氏と明石入道・源氏と朱雀帝といった重なり合う二つの「夢」が軸となり物語を展開させている。
著者
荒波 一史
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

昨年度に引き続き、英国との共同研究を行った。まずは、殺菌剤のトリクロサンが、紫外線照射下で脱塩素化して二塩化ダイオキシンになることに着目し、純水と淡水と海水を用いて、人工光照射下での光分解実験を行った。その結果、純水中のトリクロサンはほとんど分解せず、淡水に比べて海水中のトリクロサンの方がほぼ倍の速さで分解した。これは、環境水中に含まれる有機物や塩類が、トリクロサンの光分解を促進していることを示唆する。特に塩類の効果に関しては、本研究で初めて示された。一方で、ダイオキシンは海水中で残存しやすいことが示唆された。次に、揮発性および残留性有機化合物における、炭素と塩素の安定同位体比(13Cと37Cl)および炭素の放射性同位体比(14C)に関する文献を集め、個別化合物おける各種同位体比の測定法、起源推定における適用例をレビューした。その結果、新しい炭素が含まれる生物起源炭素と古い炭素が含まれる人為起源(化石燃料起源)炭素を識別できる14Cが、最良の起源推定ツールとして示された。一方で、13Cと37Clに関しては、環境動態(同位体分別効果)を調べるツールとしての可能性が示された。そこで、英国沿岸で採取した汚染底質の抽出試料を分画し、Natural Environment Research Councilに13C測定を依頼し、14C測定のためにプリマス大学で分取型GCを用いて分取濃縮した。また、国際学会では「バイオアッセイを用いた廃油中PCBの簡易分析法の開発」と「トリクロサンの光分解」を発表した。閉会式では、注目すべき研究として、後者の研究が紹介された。
著者
野村 文夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.12, pp.3096-3102, 2013-12-10 (Released:2014-12-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

質量分析技術の臨床検査応用は急速に進んでいる.ステロイドホルモン,ビタミンD代謝物などの定量測定においてLC-MS/MSはイムノアッセイに比して特異性に優れ,高感度である.また,多項目の同時測定も可能であり,今後臨床化学領域において重要な地位を占めると予想される.一方,細菌検査室におけるMALDI-TOF MSによる細菌・真菌の迅速同定はすでにルーチン検査として行われている.
著者
万里集九
出版者
巻号頁・発行日
vol.[12],
著者
永井 暁子
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.87-99, 2010

これまでは過疎地の嫁不足など, 結婚難は特定地域の問題とされていた. しかし, 現在進行している未婚化は, 特定地域の問題ではない. 釜石市の4つの高校の同窓会を対象にした調査と釜石市市民への意識調査を用いて, 本稿は結婚と地域移動の関連について検討した. さらに未婚や離婚がもたらす個人の生活への影響とその受け入れ先としての故郷に本稿では着目した. 未婚は特定の地域, 例えば釜石の問題ではない. また, 地域移動の回数やパートナーとの出会いの種類の豊富さが結婚に結び付いているわけでもない. あえていえば「還流型」のような特定の広範な地域にネットワークを持つ人々がパートナーを見つけやすい傾向がみられた. 未婚状態は, 個人の人的資源の少なさのみならず, 長期的にいえば持ち家率の低さのような個人の経済的資源の少なさと結びついていた. また, ひとたび結婚しても, 離婚経験は初婚継続者とは異なり, やはり人的資源, 経済的資源の少なさと結びついていた. そのような中で, 故郷は離別者の受け入れ先として機能していることがわかった.The current trend toward remaining single is widespread, beyond that of low marriage rates in specific communities with few women able to marry. The relationship between marriage and community relocation was examined in surveys of four high school reunions and attitudes of Kamaishi citizens, with a focus on individual lifestyles after divorce and the accepting hometown. Marriage was unrelated to the number of relocations or volume of different encounters with potential partners. Possessing broad regional "circulatory" interpersonal networks was linked to finding a partner. Being unmarried was not linked merely to the scarcity of individual personal resources, but also in the long-term to few individual economic resources such as a low rate of home ownership. Scarce personal and economic resources were found among divorcees but not among individuals remaining in their first marriage. The hometown functions to accept individuals who separate from spouses.
著者
小坂 義種
出版者
医学書院
雑誌
臨床検査 (ISSN:04851420)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1213-1214, 1991-11-15

今からちょうど4年前の7月,われわれにとっては悪夢ともいうべき事態が発生した.20日間に2人の医師があいついでB型劇症肝炎で死亡し,1人の看護婦がB型重症急性肝炎に罹患したというものである. 当時は連日,新聞や週刊誌などに取り上げられ,病院関係者,なかでも病院長や小児科の教授,ウイルス肝炎対策委員長であった筆者などは苦渋に満ちた日々を送っていたものであった.7月16日には緊急にウイルス肝炎対策委員会を開き,職員全員にHBVに対する注意を喚起し,それに相前後して小児科医師,看護婦の肝機能,HBs抗原,IgM-HBc抗体を測定し,新規肝炎発生者のないことを確認するとともに,3人の血清を自治医大予防生態の真弓忠教授に送り,デルタウイルス関与の有無などの検索を依頼した.このことがきっかけとなり後日,真弓教授らにより劇症肝炎ウイルスともいうべきHBVの変異ウイルスが発見された.
著者
Hyun-Tak Kim
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 71.2 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.1730, 2016 (Released:2017-12-05)

In a strongly correlated material VO_2 (3d^1, half filling), undergoing the insulator-to-metal transition (IMT, or metal-to-insulator transition (MIT)) and the structural phase transition near T_c=340 K, the mechanism of the IMT is still controversial due to unclear mechanism inducing the IMT. In particular, the correlated Coulomb interaction between electrons is not understood in experimental data. This is attributed to insufficient theoretical analysis in the Mott transition. In this presentation, impurity effect, observed by temperature dependences of both Hall effect and optical conductivity (new data is here shown), is theoretically analyzed on the basis of pseudopotential and Hubbard model. In conclusion, a result that the impurities break the critical Coulomb interaction is obtained; this is an impurity-induced IMT.

1 0 0 0 OA 一番組よ組

著者
芳虎
出版者
広岡屋
雑誌
江戸の花子供遊び
巻号頁・発行日
1858

1 0 0 0 OA 杜甫と弥耳敦

著者
徳富猪一郎 著
出版者
民友社
巻号頁・発行日
1917
著者
金 祥洙 KIM Sang-Soo
出版者
名古屋大学大学院法学研究科
雑誌
名古屋大學法政論集 (ISSN:04395905)
巻号頁・発行日
vol.259, pp.372-381, 2014-12-25

関連論文:(解題)韓国のロースクールにおける法実務教育の現状と課題 (http://hdl.handle.net/2237/21093)