著者
伊藤 みちる
出版者
Institute of Human Culture Studies, Otsuma Women's University
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.26, pp.63-97, 2016 (Released:2016-09-16)
参考文献数
148
被引用文献数
1

本稿は,カリブ海における地域統合体「カリコム」の更なる地域経済政治統合の動きである「カリコム単一市場経済(CSME)」について,その完成を妨げている様々な要因の理論的背景を先駆的に探求したものである.カリコム加盟国15ヶ国における天然資源や人的資源の不足,また弱小且つ脆弱な経済がもたらす様々な問題を解決し,統合を達成しようとする政治意思や強いリーダーシ ップが,なぜ域内において欠如しているのかを探り,理解を推し進めるものである.ガイアナ,トリニダード・トバゴ,ジャマイカ,バルバドス等のカリブ海諸国や,ニューヨークやマイアミにおいて,44人のカリブ諸国政府高官やビジネス関係者等カリブ海地域出身のカリコム関係者に対し,対面及びビデオ・スカイプによるインタビューを行い,談話分析を行った.調査結果によると,ナショナリズムに影響を受けた人的資源不足に悩むCSME参加国が,CSMEにおける主権争いや利害衝突を引き起こし,結果としてカリコムを形骸化させ政治意思を実現不可能にしていることが明らかになった.しかしながら,グローバル化が進む世界の中,カリコム諸国が生き残るためにCSME達成が最重要であることはCSME参加国間で強い合意に達している.そのため今後必要となるのは, CSME達成に向けた各国に対する技術支援を迅速に行うため,カリコムとCSMEのガバナンスを根底から改善することである.
著者
石田 譲 イシダ ユズル
雑誌
流通經濟大學論集
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.24-56, 1993-03
著者
レアード D. W. ランペ P. D. ジョンソン R. G.
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.70-77, 2015-09

私たちの体を構成する細胞どうしは様々な方法で情報交換している。血流に乗って伝わるホルモンはその一例だ。
著者
松田 親典
出版者
奈良文化女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:02862867)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.27-34, 2006-11

昨今大学生の学力低下が問題になっている。奈良産業大学では情報処理教育センターを中心に,学生が大学での学習にスムーズに入っていけるようプレアドミッション教育として,e-Learningシステムを活用している。主に英語と数学の教材であるが,特別なソフトも必要とせず,インターネットを通して家庭で学習できる環境を実現したものである。私も数学の問題作成にかかわらせていただいたのでその報告をする。またネットで問題を配信することを通して,数学の力をつけるための問題作成法,解答や誤答分析のあり方を研究した。
著者
森田 裕介 中村 彰宏 室田 高志 瀧川 幸伸 長谷川 秀三 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.377-379, 2001-08
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

水位変動をともなう冠水, 湛水条件下が近畿地方に分布するヤナギ属8種の成長および生理特性に与える影響評価を行った。冠水, 湛水条件下では, 下流域を中心に分布するカワヤナギ(Salix gilgiana), オオタチヤナギ(Salix pierotii), タチヤナギ(Salix subfragilis)の成長抑制が小さく, 山地に分布するヤマナギ(Salix sieboldiana)は12時間冠水によって枯死した。このように, 分布が氾濫の多い下流域に近いほど, 冠水, 湛水に対する耐性は大きくなることが明らかになった。
著者
Masahiro Oomura Yuto Uchida Keita Sakurai Takanari Toyoda Kenji Okita Noriyuki Matsukawa
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.0604-17, (Released:2018-04-27)
参考文献数
19
被引用文献数
6

We herein report a patient with Miller Fisher syndrome mimicking Tolosa-Hunt syndrome. A 47-year-old man presented with right orbital pain and diplopia. On a neurological examination, he had right oculomotor nerve palsy and diminished deep tendon reflexes. Brain magnetic resonance imaging failed to show any parenchymal lesions; however, the bilateral oculomotor nerves were gadolinium-enhanced. The presence of a triad of orbital pain, ipsilateral oculomotor nerve palsy, and a rapid response to steroid therapy met the diagnostic criteria for Tolosa-Hunt syndrome. After discharge, antibodies against GQ1b and GT1a were reported to be positive only with phosphatidic acid. The present case was ultimately diagnosed as an incomplete phenotype of Miller Fisher syndrome.

1 0 0 0 OA 三草紙絵巻

出版者
巻号頁・発行日
vol.[3],
著者
鈴木 滋 西戸 裕嗣 大塚 良平
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.238-247, 1976
被引用文献数
1

東京都小笠原父島北東海岸の初寝浦付近には,無人岩の枕状溶岩が広く分布している。筆者らの一人(西戸)はその空隙をうめて,キフッ石,モウフッ石,カイジュウジフッ石などのフヅ石および緑色粘土を伴なって産する淡褐色の粘土を見い出した。その後の室内研究により,この粘土は加水タルクを主とし,極く少量中の不透明鉱物を伴なうことが明らかにされた。その粘土の化学分析の結果から, 22の陽電荷をもとにして求めた構造式は以下の通りである。<br> (Mg<sub>2.87</sub>Mn<sub>0.02</sub><sup>2+</sup>Fe<sub>0.09</sub><sup>3+</sup>)(Si<sub>3.95</sub>Al<sub>0.01</sub>)0<sub>10</sub>(OH)<sub>2</sub>・Ca<sub>0.03</sub>・Na<sub>0.05</sub>・K<sub>0.01</sub>・<sub>n</sub>H<sub>2</sub>O.<br> この論文では,このほかにその陽イオン交換能および交換性イオン, X線回折データ,熱分析データ,赤外吸収スペクトル,電子顕微鏡像が示されている。
著者
千葉春村 著
出版者
婦女界社
巻号頁・発行日
1918
著者
小山 豊 山岸 淳 宍倉 豊光 深山 政治 武市 義雄
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.27, pp.169-183, 1986 (Released:2011-03-05)

オモダカの防除法確立のため,その生態的特性について検討を行った。1. 出芽特性 (1)塊茎には休眠性があり,休眠覚醒に対しては0℃の低温処理及び包皮除去処理の効果が認められた。(2)塊茎からの出芽深度は塊茎の大小により異なり,土中深い位置からの出芽歩合は塊茎が小さいほど低下した。1g以上の大きい塊茎は地表下20cmの深い層からも容易に出芽した。(3)土壌の還元程度が塊茎からの出芽に及ぼす影響は同じオモダカ科の中でも異なり,ウリカワに比べてオモダカは土壌の還元に対する適応力が大きかった。(4)塊茎は土壌水分が最大容水量の80%(対乾土60%)以上で出芽した。また,湛水深が15cmと深くても出芽は劣らず,水生雑草の特徴をよくあらわしている。2. 生育特性 (1)稲わらを施用した強還元条件でも生育はほとんど劣らず,塊茎形成量はかえって多くなった。(2)遮光処理により草丈,葉面積は大となったが,地上部乾物重は低下した。(3)本県産のオモダカには3種の種内変異が認められ,各々外観,出芽時期,塊茎形成量が異なった。(4)親塊茎の大小により生育及び塊茎形成量が異なった。生体重1gと2gとの間では明らかな差は認められなかったが,0.5g以下の小塊茎は他に比べ地上部生育量,塊茎形成量ともに少なかった。3. 塊茎形成に関する諸要因 (1)塊茎形成に入る時期の地上部の生育状態により塊茎形成数及び塊茎の大小,土中分布は著しく異なった。すなわち,地上部の生育量が大であるほど塊茎形成数,一個当り塊茎重量は大となり,形成される塊茎の土中分布も広い範囲にわたった。最高値は,塊茎形成数で180個/株,一個当り重量で1.7g,形成範囲は地表下30cmまで,水平距離で50cmまでであった。また,塊茎の重量は形成される深さが深いほど,株からの水平距離が遠いほど重くなった。(2)塊茎形成は短日処理により促進された。(3)遮光処理の時期・程度にかかわらず自然条件に比べ塊茎形成数が多くなり,ミズガヤツリ,クログワイと異なった反応を示した。
著者
Takashi YAMAUCHI Toru YOSHIKAWA Takeshi SASAKI Shun MATSUMOTO Masaya TAKAHASHI Machi SUKA Hiroyuki YANAGISAWA
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
Industrial Health (ISSN:00198366)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.85-91, 2018-01-31 (Released:2018-02-07)
参考文献数
11
被引用文献数
1 15

In Japan, overwork-related disorders occur among local public employees as well as those in private businesses. However, to date, there are no studies reporting the state of compensation for cerebrovascular/cardiovascular diseases (CCVD) and mental disorders due to overwork or work-related stress among local public employees in Japan over multiple years. This report examined the recent trend of overwork-related CCVD and mental disorders, including the incidence rates of these disorders, among local public employees in Japan from the perspective of compensation for public accidents, using data from the Japanese Government and relevant organizations. Since 2000, compared to CCVD, there has been an overall increase in the number of claims and cases of compensation for mental disorders. Over half of the individuals receiving compensation for mental disorders were either in their 30s or younger. About 47% of cases of mental disorders were compensated due to work-related factors other than long working hours. The incidence rate by job type was highest among "police officials" and "fire department officials" for compensated CCVD and mental disorders cases, respectively. Changes in the trend of overwork-related disorders among local public employees in Japan under a legal foundation should be closely monitored.