著者
濱口 郁枝 山本 存 森 由紀
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>目的</b> 近年,若年女子の不必要な減量行動による健康上のリスクが問題視されており,前報では,その背景要因として,メディアによって助長されるおしゃれ意識がかかわることを明らかにした.本研究では,女子大生の購読率の高いファッション雑誌を取り上げ,そこにみられる食事や運動に関するダイエット情報の特徴について検討した.<br><b>方法</b> ファッション雑誌Aにおける2010年8月号から2011年7月号までの1年間に刊行された12冊について,ダイエットに関する特集記事の見出しをデータとし,テキストマイニングの手法を用いて頻出語や特徴ある語句について分析した.<br><b>結果</b> 12冊の中で,ダイエットに関連する記事が掲載されていたものは10冊であった.品詞別の頻出上位3語は,動詞では,食べる,鍛える,太る,サ変名詞では,ダイエット,運動,食事,名詞では,ヤセ,筋肉,脂肪であった.また,複合語では,老廃物,美脚,ムダ肉,前もも,小顔の出現数が上位に入っていた.さらに,対応分析の結果から,やせ,筋肉,脂肪,ダイエットは,多くの発行月号の記事内容を特徴づける語句であったことが示された.記事の全体的な特徴としては,効果,簡単など,手軽に無理なく痩せることを強調する語句を用いることや,芸能人のシェイプアップ方法や海外の有名なモデルが実践しているダイエット方法を示すなど,読者の興味をひくような工夫がなされていた.しかし,遺伝子や血液型によるヤセ効果の高い食べものを掲載するなど,エビデンスが得られていない情報が多いこと,さらにプチ整形を勧めるなど問題点が提起された.女子大学生に対する健康教育として,情報を的確に取捨選択し活用できる能力を身につけさせる必要性が示唆された.
著者
二木 立
出版者
日本福祉大学福祉社会開発研究所
雑誌
現代と文化 : 日本福祉大学研究紀要 = Journal of Culture in our Time (ISSN:13451758)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.107-130, 2018-03-31

私は,日本福祉大学に在職中,医療経済・政策学の視点から,政策的意味合いが明確な実証研究と医療・介護・福祉政策の分析・予測・批判・提言の「二本立」の研究・言論活動を行った.その際,現実の医療と医療政策の問題点を事実に基づいて明らかにするだけでなく,医療制度・政策の改善に多少なりとも寄与しうる研究や提言も行うように努めた.ここで「医療経済・政策学」とは,「政策的意味合いが明確な医療経済学的研究と,経済分析に裏打ちされた医療政策研究との統合・融合をめざし」て,新たに考えた造語・新語で,私も編集委員となって2000 年代初頭に刊行した『講座 医療経済・政策学』(勁草書房.全6 巻)で初めて用いた. 在職した33 年間に,単著23 冊,単著に準ずる共著2 冊の合計25 冊等を出版した.第1 節では,それらの出版順に,概説及び各著書に収録した論文のうち,学術的価値が高いか先駆的で歴史的意義があると自己評価している論文,または私にとって「思い出深い」論文を紹介する.第2 節では,日本医療の将来予測を行うために考案した3 つの分析枠組み・概念について述べる.
著者
山中 顕次郎 漆谷 重雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.208, pp.77-82, 2012-09-20

ディザスタリカバリに備えたバックアップの遠隔転送を目的に,利用者が指定した速度で転送を行うファイル転送方式を提案する.本方式には,ネットワーク遅延やパケットロス率,それらの動的変動に関わらず,指定速度を守る,という特徴がある.このため,インターネットなどの安価な共用回線を介して,時間制約のあるファイル転送を行うのに有用である.本方式を用いて,海外パブリッククラウドとの間(ネットワーク遅延270ms)でファイル転送を行い,560MbpsとLAN並みの転送速度を達成したので,その実験結果も報告する.
著者
笹原 信一朗
巻号頁・発行日
2003

現在の日本は、経済・社会の各分野にわたり高度成長を遂げた後、流動的要素を多く含み、社会全体が不安定な様相を呈している。そのなかで、日本の科学技術の発展は、これからの時代を切り開く重要な戦略事項として、政府もその支援方策について検討を重ねている ...
著者
杉浦 真治
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.313-316, 2012-11-30 (Released:2017-04-28)
参考文献数
29

島嶼生物地理学は、島に分布する種や生物相の起源、分散、絶滅を再構築しようとする視点(歴史生物地理学)と、生物と島嶼環境との相互作用に注目し、現在生息する種の多様性や分布の地理的な変異を説明しようとする視点(生態生物地理学)から研究されてきた。本特集では、相利共生関係や、捕食-被食関係といった生物間相互作用を考慮し、歴史的、生態的な視点から島嶼生物地理学を論じる。従来は、種間の相互作用をあまり考慮せず、個々の種の系統地理や、特定グループの種数-面積関係などが研究されてきた。しかし、他種との相互作用なしに生息する種は存在しない。相互作用する複数種を同時に扱うことで切り拓かれる島嶼生物地理学の新たな展開を紹介する。
著者
中村 俊彦 楡井 秀夫 中村 香織
出版者
日本景観生態学会
雑誌
国際景観生態学会日本支部会報 (ISSN:1345532X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.64-66, 1997-05-09 (Released:2011-03-18)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
土屋 一彬 斎藤 昌幸 弘中 豊
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.179-192, 2013-07-30 (Released:2017-04-28)
参考文献数
150

都市生態学は、人間活動が優占する都市生態系のふるまいの解明にとりくむ研究分野である。近年、国際的に進行している都市人口の増加と、それにともなうさまざまな環境問題の拡大を背景に、都市生態学への注目が高まっている。とくに都市生態学には、生物相保全や生態系サービス向上へ向けたとりくみの科学的基盤となることが期待されている。本稿では、日本国内における研究者のさらなる都市生態学への参入と議論の深化のきっかけとなることを企図し、国際的な都市生態学研究の進展状況と今後の主要な研究課題について、主に1)都市において環境問題の解決に生態学が果たす意義、2)都市に特徴的な生態学的パターンとプロセスおよび3)社会経済的要因の影響の3点から論述した。都市において環境問題の解決に生態学が果たす意義を取り扱った研究は、生物相保全を通じた環境教育への貢献や、都市生態系が提供する生態系サービスのうちの調整サービスおよび文化サービス、そして負の生態系サービスの評価を多くとりあげていた。都市生態系の特徴の解明にとりくんだ研究についてみると、都市から農村にかけての環境傾度に沿った種群ごとの個体数の変化や、都市に適応しやすい生物とそうではない生物の比較といった、生態学的なパターンについての知見が多くみられた。一方で、そうした生態学的なパターンをもたらすプロセスについては、十分に研究が進んでいなかった。都市生態系を規定する社会経済的要因を取り扱った研究については、社会経済的要因も含めた都市生態系の概念的なモデルの追求や、生態系の状態に影響が強い社会経済的要因の特定にとりくんだ研究が多くみられた。他方で、生態系の状態と管理などの具体的な人間の行為との関係や、その背後にある制度などの間接的な社会経済的要因との関係については、十分に明らかにされていない状況であった。今後の都市生態学には、都市生態系の構成要素や社会経済要素が相互にどう関係しているか、すなわち都市における社会生態プロセスに対して、さらに理解を深めていくことが求められよう。その実現のためには、生態学者が中心となった都市の生態学的プロセスの解明や、社会科学者と協働することによる分野横断的な研究アプローチの開発が鍵となろう。

1 0 0 0 OA 尺〆仕出

著者
岩田誠中 著
巻号頁・発行日
1838
著者
井口 誠 植松 太郎 藤井 達朗
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2018-CSEC-81, no.10, pp.1-8, 2018-05-10

昨今,ビッグデータ利活用促進のための取組みとして,個人データの流通が重要な役割を果たすようになっている.この流れを受け,日本でも 2017 年 5 月に改正個人情報保護法が全面施行された.結果,匿名加工情報制度の創設など,プライバシー保護を図りつつ個人データを第三者に提供可能とする環境整備が整いつつある.しかし,環境整備は整ったものの,具体的な個人データの第三者提供ルールはまだ策定されていない状態にある.一例として匿名加工情報を見た場合,一律の基準は存在せず具体的な加工方法は明確にはなっていない.本稿では,リスクベースアプローチを用いて実用的な個人データの第三者提供ルールを策定する手法を検討する.特に米国の HIPAA (Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996) 法を例に分析を行い,リスクベースアプローチが直感的な個人データの第三者提供ルールの策定に活用されていることを示す.また分析結果を踏まえ,他分野における第三者提供ルール策定へ向けた方法論を考察する.

1 0 0 0 OA 康富記

著者
中原康富
出版者
巻号頁・発行日
vol.[42],
著者
小風 尚樹 中村 覚 纓田 宗紀 山王 綾乃 小林 拓実 清原 和之 金 甫榮 福田 真人 山崎 翔平 槙野 翔 小川 潤 橋本 雄太 宮本 隆史 菊池 信彦 後藤 真 崎山 直樹 元 ナミ 加藤 諭
巻号頁・発行日
pp.1-57,

2018年4月15日に開催された「2018 Spring Tokyo Digital History Symposium」のイベントレポート。シンポジウムは、歴史研究においてデジタル技術を駆使する際のいくつかの指針を提示すべく、歴史研究者・アーキビスト・エンジニアの学際的協働に基づくワークショップTokyo Digital Historyが主催した。 本シンポジウムでは、歴史研究が生み出されるまでの4つのプロセス、すなわち「情報の入手」「情報の分析」「情報の表現」「情報の公開」に着目し、それぞれに関連の深いデジタル技術や知識を提示した。さらに、それらを活用した具体的な歴史学的実践例を提供した。このシンポジウムおよびTokyo Digital Historyは、学際的協働を必要とする人文情報学プロジェクトの好例であるとともに、歴史研究の分野においては画期的な試みである。
著者
Agnew Judy L. 安生 祐治
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.133-141, 1994

行動分析学の企業への応用はここ数年の間にめざましい発展を遂げている。本論文では、行動分析学を利用しているビジネスコンサルティング会社、Aubrey Daniels & Associatesが提供するコンサルティングサービスを解説する。パフォーマンス・マネジメントと呼ばれるこのサービスは、標的行動と成果の特定、先行条件の特定、測定、フィードバック、ゴール設定、結果の操作の6つの基本的なステップから成り立っている。パフォーマンス・マネジメントによる成功事例を、クライアントが直面していた問題とその解決方法を含めて紹介する。
著者
谷口房男著
出版者
緑蔭書房
巻号頁・発行日
1996
著者
Hirofumi Dohi Yoshihiro Nishida
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.26, no.151, pp.119-130, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
60
被引用文献数
1 6

チオグリコシドは高い化学安定性を有し、グリコシル化において化学選択的に活性化できることから糖鎖合成に幅広く用いられている。チオグリコシドはチオールから調製されるが、チオールは刺激的で不快な臭いを発するうえに、酸化によってジスルフィドを形成しやすいことから使用がはばかられる。これらの要因がチオグリコシドの化学合成への応用を事実上制限している。本稿では、チオグリコシド調製時に不快臭を伴わない手法の開発に向けた最近の取り組み、およびこれらの糖鎖合成における反応性について述べる。