著者
藤野 武彦 藤井 丕夫 張 興 丸山 徹 加治 良一 高柳 茂美 金谷 庄藏 大楠 丹
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.163-169, 1999-03-01

「気」情報系の実験モデルとして大村のBi-Digital O-Ring Test(ORT)を用い、「意識」が「気」情報系に及ぼす影響を検討した。若年女性3名において、3種の物質(テトロドトキシン、煙草、健康食品)を入れた紙容器を触れているときにORTを行った。また各物質のORTは二重盲検テスト、単盲検テスト、オープンテストの三つの方式で実施した。致死的毒物であるテトロドトキシンの場合のみ、二重盲検テスト、単盲検テスト、オープンテストによるそれぞれのORTは一致したが、他の二つの物質では二重盲検テスト結果と他の二つのテスト結果との間に乖離が見られた。これらの結果は「気」情報系に及ぼす「意識」の重要性と、ORTの「気」情報系実験モデルとしての有用性を示唆する。
著者
佐藤 桑 野々村 美宗
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.315-318, 2017-09-20 (Released:2017-09-27)
参考文献数
4

液体の粘度が撹拌行動に及ぼす影響を明らかにするために,20人の被験者が1.47~1.03×103 mPa・sの液体を棒で混合して液中に存在するジルコニアビーズを分散したところ,粘度の上昇とともに「広がりやすさ」の官能評価のスコアが低下しただけでなく,分散に必要な撹拌時間も長くなった。さらに,液体の粘度によって四つの撹拌パターンがあらわれた。すなわち,1.47 mPa・sの液体を撹拌するときは,80%の被験者が大きく円を描くCircle patternだったのに対し,1.03×103 mPa・sの液体では,線を引くような直線状の動きで撹拌するStraight patternや小さい円を描くSmall circle patternが観察された。これは,高粘度液体中では撹拌動作によって発生したエネルギーが散逸し,ビーズがシャーレの一部にしか広がらなくなったため,被験者がより効率の良い撹拌運動に切り替えたためと考えられる。このようなパターンの変化は,ヒトは液体を撹拌する際に,液体の粘性をセンシングし,それに基づいて運動を調節していることを示している。
著者
野辺 善仁 高畑 保之 野々村 美宗 高橋 幸司
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.264-267, 2017-08-20 (Released:2017-09-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1

脱泡は一般に遠心脱泡で行われるが,擬塑性を示す液体中からの微細気泡の脱泡は難しい。本研究では新たな脱泡装置として自転公転式撹拌機を開発し,擬塑性を示す高粘度ジェル中に存在する1 μLの大きさの気泡の脱泡を試みたところ,気泡の数にかかわらず数十秒で脱泡が終了した。この脱泡のメカニズムを明らかにするため,液面上部に赤く染色したジェルを滴下して自転公転操作を行い,遠心操作との比較を行ったところ,遠心脱泡法では赤色ジェルは撹拌前と同じ場所に残留しており,2液の混合はまったくなされていなかったが,自転公転式撹拌では,ジェル全体が赤色に染まり,容器内全体を撹拌する流れが生成していることが確認できた。すなわち,遠心操作に加えて自転操作を行うことで流動が促進され,撹拌と脱泡がされたものと考えられる。
著者
森野 友介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

「スクリーンスケイプ」はスクリーンに表示された映像から、このような現代社会を読み解いていこうという試みである。スクリーンスケイプとは狭義にはスクリーンに表示された映像そのものを意味するが、広義にはそれを通してつながったヒト、モノ、情報のフローやこれらを抑制、あるいは促進する文脈や技術との関係も含まれる。本研究では狭義のスクリーンスケイプの1つであるスクリーンの映像表現について調査する。本研究では現在のヴァーチャル空間の基礎につながっていると考えられる2Dのビデオゲームの空間を対象に調査を行う。このようなビデオゲームの空間は3DCG技術を利用した擬似3D表現が難しく、高さ、奥行き、幅の3軸のうち2軸を選択した平面で表現されている。そのため、その選択によって視点を分類することが可能であり、2Dのビデオゲームの空間をプレイヤーがみる視点の位置によって4種類に分類した。ファミリーコンピュータ(以下FCとも記す)およびスーパーファミコン(以下SFCとも記す)の2機種で発売されたタイトルを視点とゲームの内容を示すジャンルによって分類し、分析を行うことで、ビデオゲームの空間の特性を明らかにする。 FCおよびSFCで発売されたゲームタイトルを分類、分析した結果、以下のような知見が得られた。ビデオゲームのジャンルにはゲーム機の性能や普及台数による棲み分けや、ヒットタイトルによる特定のジャンルの流行などが見受けられた。視点とハードウェアの性能に注目すると、FCに比べ、性能の向上したSFCでは擬似3D表現が可能な視点の増加していた。また、ジャンルによって利用されている視点に明らかに偏りが存在することから、ゲームの内容に合わせた表現方法が選択されていることが明らかとなった。ビデオゲームの空間は技術的問題から大きく制限されているおり、効果的に視点を選択することによってゲームの空間を表視する必要がある。さらに、表示可能な情報量の少なさをインターフェースや音によって補っている。 スクリーンに表示される映像には必ず作り手が存在する。そのため、技術が進歩した今日でも表現方法の選択は行われており、依然としてヴァーチャル空間はインターフェースや音による補助なしには成り立たない。本研究ではスクリーンスケイプの一部のみを扱っており、情報化の進んだ現代を読み解くためにもより広義のスクリーンスケイプについての研究を進めていく必要がある。
著者
工藤 宏一郎 間辺 利江
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.9-16, 2010-06-25 (Released:2011-02-15)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

2010年4月,メキシコ発の新型インフルエンザウイルス(パンデミック(H1N1)2009)感染の発生が報告され瞬く間に地球規模で拡大,発生国メキシコでは多数の死亡例も報告された. 折しもアジア諸国を中心に発生している致死率の高い高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)がパンデミックに繋がるのでは,という懸念が世界的にも増大していた時であった.パンデミック H1N1 2009の発生を受け,発生国メキシコの臨床的実情を調査する機会も得,現地の医療機関と共同臨床研究を実施した.これらから,パンデミック H1N1 2009とH5N1,スペインインフルエンザ等のこれまでのインフルエンザパンデミックとの病態,重症化因子を対比したところ,インフルエンザの感染拡大,重症化,死亡には,ホスト,ウイルス間の相互関係が重要であること,社会・疫学的にはグローバルな疾患にも関わらずリージョナル(地域的)な側面が強いことを確認した. これらを踏まえ,パンデミック H1N1 2009の病態・臨床像と,重症・重篤・死亡に影響する医学的因子,社会的因子を述べる.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.538, pp.45-47, 2012-02-27

事業着手から20年掛けて着工に至った大阪府の槙尾川ダムが、知事の判断で中止となった。当時の橋下徹知事も、自らの政治判断が土木行政や市民を振り回す結果になったと認める。河川改修を選んだことで、新たな用地買収も必要となった。 「もともとのきっかけは2年前、ここまで詰めない段階で契約締結にゴーサインを出したことにある。
著者
豊国
出版者
伊豆屋三吉
雑誌
錦絵
巻号頁・発行日
1854
著者
江島 尚俊
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.1-26, 2016

<p>現代日本において宗務課は、なぜ文化庁の、ひいては文部科学省の組織管轄下に位置づけられているのか。その端緒を明らかにすべく、本稿では文部科学省の前身である文部省が、いつ、どのような状況の中で宗教行政所管のための理論構築を行っていったのかを明らかにしている。最初に焦点をあてたのは明治一〇年代である。まずは、この時期に生じた文部省・内務省間の宗教学校所轄問題が、太政大臣の政治判断によって一応の決着をみたことを論じた。次は、社会・外交状況の変化でその所轄問題が再燃する明治二〇年代に着眼している。そこでは、文部省が内務省とは別に所轄問題の解決を模索した結果、宗教学校のみならず宗教行政をも所管しようとする理論を構築していたことを指摘した。そして最後に、新しく構築された宗教行政所管論の特徴について論じている。この所管論においては、従来の内務省のように社寺行政の延長で宗教行政を捉えるのではなく、美術行政と学校・教育行政の枠組でそれを捉え直し、宗教行政の文部省所管が主張されていたことを明らかにした。</p>
著者
柳下 正和
出版者
城西大学
雑誌
城西大学経営紀要 (ISSN:18801536)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.35-52, 2012-03

少子高齢化,グルーバル化,財政健全化,地方分権といった深刻な問題を抱えるわが国経済社会にとって,税制の抜本的改革の必要性が指摘されてきた。最終的な政治判断は先送りされ続けてきたが,税制の抜本的改革の政策提言が数多く出されている。本稿では,まず,国際課税も含めた法人課税の抜本的改革に関する議論を整理し,グローバル経済における法人課税の在り方を明らかにしている。法人課税に関しては,経済のグローバル化をにらんで法人税率の引下げが論じられてきた。従来,法人課税は経済の活性化と企業の国際競争力の向上の点から議論されることが多かったが,グローバル経済のもとで,対内直接投資を呼び込んで,経済の活性化を図ろうをする視点も新たに加わってきている。また,目指すべき方向として,超過収益に限定した源泉地ベースの法人課税方式を検討すべきであるという意見も出てきている。次に,政権が民主党に代わってから2度目となる平成23年度税制改革大綱における法人課税の取り組みについてふれ,それがどのように評価されているのかを議論した。税率の引き下げや雇用促進効果,国際的な調和という観点からみると概ね評価できるとされているが,景気回復やデフレの解消に関しては効果を疑問視する見方も出ている。最後に,グローバル経済下における法人課税については,その進むべき方向性として,国際課税の分野では世界各国との調和を図りつつも,わが国に対内直接投資を行い,進出する企業が増加するといったインセンティブを与えられる租税政策が実行されるような戦略的な視点から,効率性や簡素化を目指した抜本的改革が行われるべきである。 This paper discussed recent Japan's corporate income tax reform. Japan's corporate income tax rate is higher than foreign countries. The corporate tax rate will be reduced by 5% in order to promote domestic investment and job creation through enhancing Japanese companies' international competitiveness as well as improving the environment for business establishment in FY 2011 tax reform. In this paper, it is argued how FY 2011tax reform is evaluated by experts. Japan's corporate income tax reform sould be intended by strategic reform will inward direct investment in global economy.
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.139, pp.28-31, 2011-01

国レベルの対策を初めて網羅的に規定することになる地球温暖化対策基本法案は国会に提出済みだ。基本政策の整備も進んでいる。 国内排出量取引制度については環境省が最終の取りまとめに入っており、12月中に固める予定。

1 0 0 0 OA 南都暦

出版者
巻号頁・発行日
vol.[9], 1667
著者
Shu-Kai Hsueh Cheng-I Cheng Hsiu-Yu Fang Mostafa Mohammad Omran Wen-Hao Liu Wen-Jung Chung Chien-Jen Chen Cheng-Hsu Yang Chih-Yuan Fang Chiung-Jen Wu
出版者
一般社団法人 インターナショナル・ハート・ジャーナル刊行会
雑誌
International Heart Journal (ISSN:13492365)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.313-319, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
36
被引用文献数
12

To investigate the postprocedural cardiovascular events and vascular outcomes, including hand ischemia and neurological compromise, after transulnar (TU) catheterization in ipsilateral radial artery occlusion.Previous randomized trials have shown that the transulnar (TU) approach for coronary angiogram and intervention has safety and outcomes similar to those of the transradial (TR) approach. However, the safety of the TU procedure when ipsilateral radial artery occlusion occurs is unknown.We retrospectively reviewed 87 TU cases with ipsilateral radial artery occlusion confirmed by a forearm angiogram. Eighty percent of these patients had a history of ipsilateral radial artery cannulation or surgery. We avoided the use of over-sized sheaths or applied a sheathless approach during surgery.No ulnar artery occlusion was observed by subsequent Doppler ultrasound or pulse oximetry. No patient developed hand ischemia or serious complications requiring surgery or blood transfusion during the follow-up period of 32.2 ± 24.0 months. Review of the preprocedural forearm angiograms showed that 95.7% of the patients possessed significant collaterals supplying flow from the interosseous artery to the occluded radial artery remnant. Thus, the blood circulation to the palmar arch and digital vessels was maintained even when the ulnar artery was temporarily occluded by an in-dwelling ulnar arterial sheath.TU catheterization was safe in patients with coexisting ipsilateral radial artery occlusions and feasible for use in complex intervention procedures. Cautious manipulation of ulnar artery cannulation and hemostasis helped decrease the risk of hand ischemia.