著者
藤原 惠洋
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.91, pp.61-68, 1992-05-01 (Released:2017-07-25)

創建神社は明治以降の創設になり国家神道思想より祭祀と由緒を創造した神社であったが,基本的な性格は,国家神道体制の教化拠点としての役割,国庫支出による国家的事業としての創建,古式遵奉に則り祭祀に応じた社殿意匠の設定,近世期神仏習合を排除し簡素な神社施設の再構成といった点を共通項として見せた。具体的例として,創建神社の嗜矢である明治5年竣工の別格官幣社湊川神社に見られた本殿の春日造は地域的様式を反映させたものと言え,制限図に則った吉野神宮,独創的な神明造を見せた宮崎神宮,御所施設を移築した橿原神宮の初期創建神社4例を通し,建武中興の時代から神武天皇の再評価へ復古目標を遡行させながら見られた意匠的混乱が,明治中期に効力を発揮した制限図によりいったん回収され本殿流造に統一,明治後半期になると復古主義的発想と創造的発想との対立を生み出したことを究明した。
著者
松本 隆仁 乾 博 宮武 和孝 中野 長久 村上 克介
出版者
生態工学会
雑誌
Eco-Engineering (ISSN:13470485)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.223-227, 2007-10-31 (Released:2008-03-29)
参考文献数
29
被引用文献数
1

We have investigated the effects of light quality and CO2 concentration (0.04% and 10%) on growth of Euglena as a fundamental study. Useful nutrients such as high quality protein and fatty acid, as well as specific saccharide (β-1,3 glucan), contained in Euglena are now being highlighted. In the present study, we investigated the effects of light quality and CO2 concentration on the production of protein, paramylon and fatty acid. Under the CO2 concentration of 0.04%, protein contents in Euglena cultured in red and blue light were 105.0 μg 106 cells-1, paramylon 48.2 μg 106 cells-1, and in blue light fatty acid was 20.3 μg 106 cells-1, higher than those in other light conditions. Whereas under the CO2 concentration of 10%, protein contents in Euglena cultured in red and blue light were 125.6 μg 106 cells-1, paramylon 57.6 μg 106 cells-1, and in blue light fatty acid 29.7 μg 106 cells-1, higher than those in ordinary air conditions (with 0.04% CO2). No significant differences in these nutrient contents were found between the four light quality treatments under the CO2 concentration of 10%. As previous data we showed growth of Euglena depended on chlorophyll contents, protein and paramylon contents depended on chlorophyll contents, too. It was concluded that Euglena would be good nutrition source when they are cultured in each light conditions under CO2 concentration of 10%, so CO2 discharged from industrials, power stations and so on, will be utilized to this new food production system, effectively.
著者
藤子・F・不二雄著
出版者
小学館
巻号頁・発行日
2011
著者
長谷川 真紀子
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.833-842, 1987

股関節屈曲の主作動筋といわれる腸腰筋 (大腰筋と腸骨筋) の筋線維構成を観察し, 両筋を比較するとともに, ヒトの他筋と比較して, その機能的特徴を検討した.研究対象は10%ホルマリン水注入屍から得られた大腰筋左右11対 (男性: 6, 女性: 5) と腸骨筋6側 (男女各3) で, これらはセロイジン包埋, HE染色を施した.また, 45歳女性の未注入屍から大腰筋と腸骨筋を採取し, Sudan BlackB染色を施し, 筋線維を分別し, 前者と対比した.結果: 1.Sudan BlackB染色による所見1) 3筋線維型の比率は, 白筋線維が大腰筋では41.3%で最も高く, 腸骨筋では38.3%で中間筋線維 (40.5%) とほぼ等しく, 両筋とも赤筋線維が少なかった.2) 3筋線維型の太さの平均値は, 両筋ともに, 赤筋線維, 中間筋線維, 白筋線維の順に大で, 赤筋線維の太さは白筋線維の約3倍であった.3) 筋線維密度は, 筋線維型別に見ると大腰筋では赤筋線維が, 腸骨筋では中間筋線維がそれぞれ最も高く, 白筋線維の密度は低かった.これは本筋群の持続的収縮傾向を示すものである.II.HE染色による所見1) 筋腹横断面積は大腰筋では男性が女性よりも優ったが, 腸骨筋では性差を認め難く, 両筋問では男性では差がなかったが, 女性では腸骨筋が大腰筋よりも優る傾向が見られた.これは骨盤部形態の性差に基くものと考えられた.2) 1mm<SUB>2</SUB>中の筋線維数は, 大腰筋では性差なく, 腸骨筋よりも多く, 後者では女性の方が男性よりも優る傾向が見られた.3) 筋腹横断面における筋線維総数は両筋とも上腕二頭筋あるいは前脛骨筋に匹敵し, 男性では大腰筋が, 女性では腸骨筋がそれぞれ他よりも多かった.4) 筋線維の太さは腸骨筋が大腰筋よりも優り, 大腰筋は上腕二頭筋, 胸鎖乳突筋, 咬筋等に, 腸骨筋は僧帽筋尾側部, 小菱形筋, 肩甲挙筋等にそれぞれ匹敵し, 両筋とも男性が女性よりも優る傾向が見られた.その分布型は大腰筋では単峰性の左方推移型が, 腸骨筋では多峰性の右方推移型がそれぞれ多く, 大腰筋では退縮傾向が著明であった.5) 筋線維の密度は両筋とも80%前後で, 大腰筋では男性が女性よりも優り, 男女とも加齢的に低くなる傾向が認められた.6) 以上の事から, 本筋は主として股関節の屈曲位の維持に働き, それぞれ大凡上腕二頭筋に近い筋力を有し, 歩行に当って腸骨筋は大腿の外旋にも働き, その傾向は女性で著しいと考えられた.
著者
山口 和孝 藤原 敬
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部 (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.25-37, 2014

The educational values have been shaken by the critiques from post-modernism. To reconstruct the values in education, the correlation between educational values and the ideas based on the theory needed to be analyzed. I used liberalism approach to this analysis.
著者
西永 英司 内山 千代子 牧 利一 斉藤 浩一 深澤 哲 鈴木 苗穂 山本 高司 村越 倫明 大寺 基靖 福田 功 大久保 章男 冨士谷 盛興 千田 彰
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.321-330, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
36

目的 : 唾液による総合的な口腔検査法の確立を目指し, う蝕・歯周病・口腔清潔度に関する7項目の唾液因子 ([う蝕関連] う蝕原性菌, pH, 酸緩衝能, [歯周病関連] 潜血, 白血球, タンパク質, [口腔清潔度関連] アンモニア) を5分間で測定できる唾液検査システム (AL-55) を開発した. 著者らは前報において, 一般的な口腔内の臨床検査結果と, AL-55で測定した7項目の唾液因子の検査結果との相関を解析し, AL-55による検査が口腔内の状態把握に有用であることをすでに明らかにした.  AL-55の最大の特徴は, 7項目の唾液因子について, 試験紙の色調変化を反射率として一括して検出できる多項目検査という点にあるが, これら個々の唾液因子においては, 従来より培養法・電極法・酵素法などの一般的な分析法が確立されている.  本研究では, AL-55の臨床応用に際し, 従来の分析法とAL-55による測定結果を比較することにより, 従来の分析法に対するAL-55の測定値の妥当性および信頼性について検討した.  方法 : 前報における研究協力者231名から, 蒸留水3mlを口に含み, 10秒間軽く洗口した後の吐出液を採取し, AL-55の試験紙に10μlずつ点着, 1分および5分後に反射率を測定した. 従来の分析法については, う蝕原性菌は培養法, pHおよび酸緩衝能はpH電極法, 潜血および白血球はラテックス免疫凝集比濁法, タンパク質はピロガロールレッド法, アンモニアはグルタミン酸脱水素酵素法を用いて測定した.  従来の分析法とAL-55による測定結果の相関について, Pearsonの相関係数検定を用いて検討し, 有意水準をα=0.01とした. また, 従来の分析法およびAL-55の測定結果を3段階に層別した際の一致率を検討した.  結果 : 従来の分析法とAL-55による測定結果との相関係数rは, う蝕原性菌が0.59, pHが−0.74, 酸緩衝能が−0.86, 潜血が−0.74, 白血球が−0.67, タンパク質が−0.75, アンモニアが−0.89 (7項目ともにp<0.01) で, 中等度~高い相関が認められた. 従来の分析法およびAL-55の測定結果を3段階に層別した際の一致率は, う蝕原性菌が70%, pHが82%, 酸緩衝能が73%, 潜血が71%, 白血球が72%, タンパク質が84%, アンモニアが90%であった.  結論 : 従来の分析法とAL-55による測定結果を比較した結果, 両者に高い相関を確認するとともに, 両者の測定結果を3段階に層別した際には, 70~90%の高い一致率を示したことから, 従来の分析法に対するAL-55の測定値の妥当性および信頼性が明らかとなった.
著者
三澤 一成 加藤 知行 金光 幸秀 小森 康司 平井 孝
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.1787-1796, 2006 (Released:2011-06-08)
参考文献数
32
被引用文献数
2 2

目的: 直腸癌局所再発は, 根治のためには外科的切除しかないが, その侵襲に見合った治療効果の得られない例も少なくない. 術前の進展度別に当院での治療成績を解析し, 外科的治療の意義を検討した. 対象と方法: 1981年から2002年に直腸癌局所再発に対し, 治癒切除目的で手術が行われた84例を, 術前画像診断から腫瘍進展の局在より, A 群: 再発腫瘍が内閉鎖筋, 梨状筋に浸潤または接する, または第2以上の仙骨に接するもの, B群: 第3以下の仙骨や, 子宮, 精., 膀胱などの骨盤内臓器に浸潤または接するもの, C群: 吻合部周囲に限局するものの3群に分類. また, 同時期に直腸癌局所再発病変の進展が高度であることを理由に非切除・手術非適応となった19例を非手術群として, 治療成績を比較検討した. 結果: 治癒切除率は全例61.9%, A群31.8%, B群80.6%, C群81.3%. 再発切除術後5年生存率は, 全例30.0%, A群5.9%, B群32.7%, C群67.0%であった. 術後局所再々発や遠隔転移について, A群で有意に早期に認められた. A 群と非手術群の比較では, 再発後生存期間に有意差を認めなかったが, 局所再発から遠隔転移が起こるまでの期間は中央値でA 群8.4か月, 非手術群18.0か月と有意差を認めた. 結論: A群では治癒切除率が低く, 早期に局所再々発や遠隔転移を来し予後不良であった. 今後, 手術適応や術式, 補助療法などの再検討が必要であろう.

1 0 0 0 OA 応用薬物学

著者
フランツ・ペンツヲルト 著
出版者
広瀬桂次郎等
巻号頁・発行日
vol.下, 1894
著者
羽渕 由子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
巻号頁・発行日
pp.77, 2016 (Released:2016-10-17)

本研究は,病院薬剤部において医薬品取り揃え時に発生する取り間違いエラーについて,発生を予測し,防止策を提案することを目的とした。医療機関において約2か月間に発行された処方箋から,層化無作為二段抽出法によって約1000枚の処方せんを抽出し,処方された医薬品の組み合わせを共起ネットワークとして描画し,実際の取り間違いデータと比較した。検討の結果,正しい処方医薬品と取り間違われた医薬品は特定の症状で処方される医薬品との関連が強いネットワーク上にあることが示された。いわゆる“思い込み”エラーとして,薬剤師が医薬品を取り間違える要因の一端が明らかになった。
著者
川村 ハツエ
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.26, pp.1-16, 1993 (Released:2009-10-07)
参考文献数
11

It was in 1888 thatTHE OLD BAMBOO-HEWER'S STORY (Taketorimonogatari) was translated into English for the first time and published in London by F. V. Dickins. Eight years later, in 1906, he revised it completely and included it in hisPRIMITIVE & MEDIAEVAL JAPANESE TEXTS. In the preface he wrote, “I desire here to acknowledge my great indebtedness to the writings of Dr. Aston, Prof. B. H. Chamberlain, Dr. Karl Florenz and Sir Ernest Satow : to my friend, Mr. Minakata Kumagusu.” Kumagusu stayed in London from 1892 to 1900. During his stay, he met F. V. Dickins, then registrar of University of London. According to Kumagusu's diary, Dickins showed him his translation ofTAKETORIMONOGATARIand asked for his opinion. On reading it, Kumagusu criticised it severely from his point of view as a Japanese. The diary says Dickins got very angry, because he was proud of his rendering. However, Dickins accepted Kumagusu's helpful advice. It took him eight years to revise it thoroughly. This shows that Dickins was fascinated by the story of Kaguyahime, simple, graceful and genuinely Japanese.
著者
松木 明知
出版者
克誠堂出版
雑誌
麻酔 (ISSN:00214892)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.p1251-1255, 1986-08
著者
福代 和宏
出版者
空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.147, pp.53-56, 2009-06-05
参考文献数
9

小売物価統計調査年報をもとに1960年から2007年までの48年分の年平均・エネルギー源別単価(フラットレート)を算出した.本稿では電力に関しては勤労者世帯を対象とした単価を,都市ガスに関しては全国49都市の人口加重平均による単価を標準的な家庭用エネルギー単価として示した.本稿で算出した単価と日本エネルギー経済研究所による推計値との比較も行った.
著者
朝戸 裕貴
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.426-434, 2011 (Released:2012-12-15)
参考文献数
15

外耳の先天異常には, 頻度の高いものとして副耳, 耳瘻孔などがある。このほかにも軟骨の形成を要しない耳垂裂や埋没耳などは軽度の外耳先天異常といえる。軟骨の形成を要する中等度の先天異常としては, 立ち耳やスタール耳, 折れ耳や絞扼耳があげられる。小耳症は重度の耳介形成不全であり, 多くの場合に外耳道閉鎖を伴っている。小耳症の形成手術は10歳前後まで待機して, 肋軟骨で作製したフレームワークを耳介の部位に移植する肋軟骨移植術と, 半年経過後に形成耳介の後方を側頭部から聳立させる耳介挙上術, という2段階の手術方法で行われるのが一般的である。これら外耳の先天異常, とくに小耳症の形成手術について概略を述べた。
著者
山崎修治 徳山 英明 胡暁丹彡 藤村 誠 前村 葉子 黒田 英夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.25, pp.77-82, 2002-03-08
被引用文献数
2

フラクタル画像符号化では,レンジブロックを最も類似したドメインブロックで近似するため,どのドメインブロックで近似するかによって復号画像の品質が左右される。本論分では,復号画像の高品質化を目指して,各ブロックにおけるフラット/ノンフラットブロックの判定閾値を用いた符号化制御の設計法を提案する。本設計法により,フラットレンジブロック判定閾値と高品質の復号画像を得るときのフラットドメインブロック判定閾値は比例関係を示し,その近似誤差が最大0.15dBの範囲であることから,ブロック閾値による符号化制御の設計が有効であることを示す。For fractal image coding, range block approximated by the best matching domain block. So the quality of reconstructed image will be influenced by which domain block is set as the best matching domain block. In this paper, we propose the method that using threshold value of flat block, to attain high quality of reconstructed image. As a result of a simulation experiment, the relations between threshold value for flat rage block and threshold value for the flat domain block which obtains high quality reconstructed image is expressed by propotrionality relation, and the approximation error is suppressed within 0.15dB. As a result the affectivery of the proposed method using these threshold value is shown.