著者
安達 一雄 梅崎 俊郎 清原 英之 白土 秀樹 中島 寅彦 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.235-241, 2007-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
4

頸部郭清術の嚥下機能に対する影響について検討を行った。頸部郭清術を行う際に迷走神経咽頭枝を損傷すると咽頭筋麻痺によりクリアランスが低下する。今回の検討では再建例も多く、クリアランス低下に加え、喉頭挙上制限や、嚥下惹起が遅延することで、誤嚥のリスクが高まることが明らかとなった。そのため、極力迷走神経咽頭枝を温存すべきであると考える。
著者
齋藤 實男
出版者
九州産業大学
雑誌
九州産業大学商經論叢 (ISSN:02867842)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.1-28, 2002-03-29

本稿のテーマは、情報の受発信・コミュニケーション,とりわけグリーンマーケティング論者O(Observer)の情報発信を意識しながら,ライフサエコロジー(Lifecyecology)型のグリーン社会を目指すA⇔B⇔C(国家⇔企業⇔消費者:Administration⇔Business⇔Consumer)各主体の間やA⇔A', B⇔B', C⇔C'の間を,環境・自然N(Nature)保全のために,IT・情報媒体M (Media)を媒介して行き交うグリーン情報・グリーンコミュニケーションが,いかにBのグリーンマーケティングを進化させてゆくのか,を考察することにある。つまり,A⇔B⇔C各々の情報の受発信主体の間をITを媒介して行き交う情報に注目し,B⇔C間のグリーンマーケティングコミュニケーション・グリーンブランド共創やグリーンコンシューマリズム→グリーンプロシューマリズム(C側の脱環境ホルモン[EDC: Endocrine Disrupting Chemicals]のための生産参画運動)について考察することにある。特に企業(B)からのIT活用の情報受発信に着目し,Bが国家・自治体(A)側にどのように発信する情報が,一方の局のグリーンプロシューマリスト(C)にどのように共有・記憶され,グリーンプロダクト購入・共創,ブランド共創などに繋がらせるのか,を考察する。また,グリーン情報のネゲントロピー効果にも着目し,まず情報をIT関連メディア・3S (Span-Space-Species)軸・リアル(ライブ)/ヴァーチャルなどの面から分類し,効果的なグリーン共創マーケティング・プロシューマーサポート(黒岩哲彦)・プロシューマリズムサポートに,グリーン情報がどう活かされるか,を考察する。力説したいのは,「消費」者C側の生産参画運動の重要性,その運動に果たすITの遠隔地操作等による超時空間的役割,超社会内分業的役割である。生産と「消費」の輻輳する生態系・食物連鎖準拠のグリーンA⇔B⇔C循環型経済社会を形成するためには,C側が,生産をヒト任せにせず,プロシューマリストたらねばならない,そのために,対Aプロシューマリズム(政策立案への直接参加[直接民主制])を前提に,対Bプロシューマリズム・NPO内プロシューマリズムを巻き起こさなければならない,という点である。
著者
中野 康一
出版者
鳴門教育大学情報基盤センター
雑誌
鳴門教育大学情報教育ジャーナル (ISSN:18823661)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-6, 2015-03

「道徳の時間」に、その特質を満たしながら、情報教育として規範意識を育成する授業の困難さの原因を探るべく、情報モラル教育のカリキュラムにおける規範意識の概念及び、公開教材「"ウチら"のルールとわが家のルール」を、具体的に検討したところ、道徳の特質を踏まえた場合、十分に規範意識の育成が行えないことが明らかになった。『学習指導要領』と『生徒指導提要』では、「規範意識」は「きまりを守る」ものでしかなく、その原因は学校教育法にあった。実社会の規範以上に、ネット社会の規範は完結したものではなく、日々つくられていくものであるから、単に「きまりを守る」という態度では、実社会に適応する以上に、ネット社会への適応は難しい。情報教育において規範意識を育成する際には、きまりをつくる視点が重要である。
著者
田川 基二
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.184-191, 1938-09-30

207. 熱河のケガハシダ Gymnopteris borealisinensis KITAGAWA は古くFRANCHET が Gymnogramme vestita HOOK. var. auriculata FRANCH. と命名したものと同種である.これは Gymnopteris vestita (HOOK.) UND. に外形だけは似てゐるが,むしろ G. bipinnata CHRIST に近いもので,ただこれは2囘羽状複生であるのにケガハシダは單羽状複生であるといふ差があるだけである.筆者はケガハシダを G. bipinnata CHRIST の變種とする秦仁昌氏の説を採つて Gymnopteris bipinnata CHRIST var. auriculata (FRANCH.) CHING といふ學名を用ひたい.種と考へるならばもちろん北川氏の學名を用ふべきである. 208. 印度支那の Diplazium aridum CHRIST と南支那の D. nudicaule (COPEL.) C. CHR. とは共に琉球や臺灣に多いシマシロヤマシダ Diplazium Doederleinii (LUERSS.) MAKINO と同種であると思ふ. 208. 印度支那の Diplazium contermium CHRIST と南支那の D. allantodioides CHING とは共にコクマウクジヤク D. virescens KUNZE と同種である.又 WHEELER が日本の何處かで採つた D. Wheeleri (BAK.) DIELS や屋久島のヤクシマクジヤク D. tutchuense KOIDZ. も同種であると思ふ. 210. タニイヌワラビの學名には Athyrium rigescens MAKINO よりも古い Asplenium otophorum MIQ. をメシダ屬に移した Athyrium otophorum (MIQ.) KOIDZ. を用ひるのがよい.暖地に多いもので,九州や四國に多く,本州では中國,近畿,北陸は越中あたりまで,東海道は伊豆附近まであり,秦仁昌氏によれば支那にも亦あるといふ. 211. 熱河のシラゲデンダ Woodsia jehoiensis NAKAI et KITAGAWA は支那の W. Rosthorniana DIELS と同種である. 212. イハデンダ屬 Woodsia R. BR. の中で Sect. Eriosorus CHING に屬する種類は邦内にはまだ一種も發見せられてゐなかつたが,京大農學部林學教室の岡本省吾氏が,昨年遂に臺灣の關山(3715m)で發見せられた.これは支那の W. cinnamomea CHRIST に似てゐるが,葉柄は黒檀色,羽片は深く切込み,裏面には毛の他に細い鱗片もあるから別種である.他に比較すべき種類もみあたらないので,新種にしてクワンザンデンダ(新稱) Woodsia Okamotoi TAGAWA sp. nov. と命名した. 213. イハヘゴモドキ(新稱) Dryopteris Mayebarae TAGAWA sp. nov. は前原勘次郎氏が肥後の人吉で10年ばかり前に發見せられたものである.外形はヲクマワラビ D. uniformis MAKINO の切込の淺いものに頗るよく似てゐるが,胞子には隆起皺があつて疣状の小突起がないからイハヘゴ D. cycadina C. CHR. var. meianolepis NAKAI に近いものである.
著者
田川 基二
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.251-264, 1937-12-15
著者
田中 晋吾 大崎 直太
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.588, 2005 (Released:2005-03-17)

寄生性昆虫の中には、寄主の行動を操作することにより天敵から逃れるものがいる。しかし、寄生者が操作することができる寄主行動には限界があり、寄主本来の性質を大きく外れることはないものと考えられる。そのため、寄主を操作することで適応度が高まるならば、積極的な操作が好まれるだろうし、操作しても効果が望めないのであれば、積極的に操作せず他の要素を優先するだろう。寄主操作には高度な特異性が要求されると考えられるが、同じ寄生者が寄主の性質に合わせてどこまで特異性を発揮できるのか興味深い。多寄生性寄生蜂アオムシコマユバチは、自らの繭塊を二次寄生蜂から守るために、寄主幼虫オオモンシロチョウの行動を操作することが知られている。本種寄生蜂は終齢の寄主幼虫から脱出するとその場で繭塊を形成するが、寄主幼虫はすぐには死なずにその場に留まり、繭塊に近づくものに対して威嚇をする。本種寄生蜂の利用する寄主はオオモンシロを含めてわずか数種ほどだが、その性質はきわめて対照的である。群集性のオオモンシロとエゾシロチョウの幼虫は行動も比較的活発だが、単独性のモンシロチョウ幼虫はおとなしい。このような寄主幼虫の性質の違いは、二次寄生蜂からアオムシコマユの繭を防衛する効果に影響を与えるかもしれない。寄主操作の効果が寄主幼虫の性質を反映したものであれば、前2者では寄主操作の効果は高いものと思われるが、モンシロチョウでは寄主操作の効果はあまり期待できないだろう。本研究では以上の予測を検証した上で、操作することで得られる利益が少ないと思われるモンシロチョウを利用することのメリットを、主に産卵数などの他の寄主利用に関する要素との兼ね合いによって説明する。
著者
宮嵜 悟 石井 勝 馬場 吉弘
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.125, no.5, pp.544-550, 2005 (Released:2005-08-01)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

A lightning return stroke model is indispensable in calculating electromagnetic field associated with a return stroke. A lot of return stroke models have been proposed, however, no model has ever succeeded in reproducing all the features of typical electromagnetic field waveforms at various distances. In this paper, two return stroke models are proposed. One is a Transmission-Line type model, and the other is modification of Diendorfer-Uman model. These models successfully reproduce all the features of typical electromagnetic field observed on ground.
著者
小林 隆 Takashi KOBAYASHI
出版者
国立国語研究所
雑誌
研究報告集 = Occasional Papers
巻号頁・発行日
vol.12, pp.165-189, 1991-03 (Released:2017-06-13)

現代方言における東西対立分布が,どのように成立したかを,『日本言語地図』と文献資料により考察した。その結果,東西対立の成立パタンには,東西対立をなす語形の,①放射の中心地,②放射の順序,③伝播の範囲の三つの観点から見て,四つの異なるタイプが想定されることが明らかになった。また,安部清哉氏の方言分布成立における「四つの層」の仮説が,東西対立の成立過程を説明するのに妥当かどうかを検討した。 I examine how the opposition of east and west in the distribution of modern dialects in Japan originated, using the Linguistic Atlas of Japan and some historical materials. I first consider the opposition patterns from three angles : (1) distributions from a center, (2) sequence of distributions, (3) scope of distributions ; it appears that four different types can be distinguished. Next, considering the hypothesis put forward by Abe (Seiya) on the existence of four layers in the formation of dialects, I examine whether this explains the east/west opposition. 17の書名 : 国立国語研究所研究報告集
著者
林 健太郎 角 泰人 原田 奈穂子 富塚 太郎 大橋 博樹 前沢 政次
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.154-162, 2015

<b>目的および方法</b> : 2011年の東日本大震災において, 日本プライマリ・ケア連合学会東日本大震災支援プロジェクトPCATは, 亜急性期に米国の団体から人的支援を受け入れた. 経済的支援と異なり, 海外からの人的支援は, 移動の問題や国内外の専門資格の違いなどの諸問題が生じる. 本稿では, この受け入れの経過について報告し, 海外支援団体受け入れの利点と問題点を考察する.<br><b>結果</b> : 2011年5月から7月にかけて, 米国のNGOであるThe People to People Health Foundation, Project HOPEから5回にわたり, 在米邦人または日本語でのコミュニケーションが過不足なく可能な日系米国人の医療者が, 原則2週間の派遣期間で, 計28人 (医師12人, 看護師15人) 登用され, 東日本大震災被災地に派遣, 医療支援活動を行った. 日本の医師免許・看護師免許を持たない参加者も含まれていたが, 厚労省医政局の事務連絡に基づき, 医療行為は可能であった. 避難所での医療サービスの提供が中心業務となった. 受け入れ開始当初は, 派遣予定者と事前に直接連絡を取れない状況で, 情報伝達の遅延と齟齬が見られたが, 日本医療政策機構による仲介を受け, 事前連絡が円滑化した. また, 同様に2011年6月から12月にかけて, 在米日本人からなる精神/心理領域専門家集団のNGO「Kokoro Wellness Network (KWN) 」から総計12人が登用され, 東日本大震災被災地に派遣, 精神/心理領域の支援活動 (Mental Health and Psychological Support : MHPSS) を行った. 全ての医療者を含む全ての施術者は米国にて, MHPSS活動をする資格及び経験を持ったものである. 在米生活の長い支援者の場合, 医療や社会文化の違いによる戸惑いも見られたが, 国内からの派遣者と協働する中で現場の状況を理解し, 被災地支援の従来の流れを乱さずに継続できた.<br><b>考察</b> : 災害亜急性期には国内からの支援応募が減っており, この時期に2週間交代で人的支援を受けたことは, 支援を継続する上で大きな力となった. 今回支援のため日本へ一時帰国した在外邦人は多かったと思われるが, 組織的に派遣ができる団体と提携し, 有効な活動につなげられたことは貴重な経験と考える. 日本も国際社会の一員として, 援助するだけでなく援助を受ける立場もありうることを自覚し, そのためのシステムを整備することは重要と考える.
著者
小笠原 弘樹 柴田 義孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.58, pp.97-102, 2007-06-07
参考文献数
8

近年、マルチユーザによるコミュニケーションや協調作業環境を実現する Collaborative Virtual Environment (CVE) に関する研究が多数行われている。その CVE において協調作業を行う場合の事前連絡やスケジュールの考慮といった同期作業における問題を解決するために、本研究では VR 空間そのものを連続的にアーカイブ化し、利用者の目的や都合に応じて過去の作業空間を再生したり、任意の時点の空間を再現できるシステムについて提案する。空間内の全てのオブジェクトをアーカイブの対象とすることで選択的、かつ柔軟な空間の再生や再現が可能となり、作業目標に向かって利用者同士が効率的かつ非同期にも協調作業が行える CVE 支援システムを構築できる。In this paper, we introduce a new idea of revision tree which can provide a flexible mechanism to store the current cllaborative virtual environments (CVE) space, replay the past recorded CVE space and replace the current CVE by other past CVE space. The revision tree with hierarchical 3D structure is visualized in space and operated by users to refer the past space information using replay, revert, clone and merge functions. Those functions provide effective and flexible cllaborative work in CVE to support communication among many users over computer network. Using this method, the users as group members can progress cllaborative work and confirm the past CVE without prior communication even if some of the group members do not participate in the space. Thus, asynchronous collaborative work can be attained and applied to efficiently more creative CVE applications.
著者
福野 勝久
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.180-181, 2014-04-20 (Released:2017-06-16)
参考文献数
3

平成14年に教科書における発展的内容の記載が認められるようになって以降,高度な内容が掲載されるようになった。反面,平成21年の学習指導要領の改訂に伴い,問題の発見,問題の解決能力の育成が求められている。これを受けて「難しい知識,概念を無理して教える授業」ではなく,「合理的なものの見方を共有する授業」を通して,自然界の法則,現象と戦ってきた先人の知恵への敬意,そして座学の授業に対しても「受けてよかった」というありがたみを感じる授業づくりについて考えてみた。
著者
山岡 捷利
出版者
千葉大学
雑誌
言語文化論叢
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-32, 2003-12-31
著者
吉次 通泰
出版者
日本南アジア学会
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.21, pp.133-151, 2009

世尊の死因については定説がない。80歳の高齢になっていた世尊は、最後の旅の途中、チュンダの調理したスーカラ・マッダヴァを食べた後、短期間で激しい苦痛(腹痛?)と血性下痢を生じた。頻繁に飲水と休息をとりながら旅を続け、クシナガラで入滅した。史実と異なる内容も多いと思われるが、最後の旅の途中に現れた死因解析に必要な臨床症状を最も詳細に述べている文献の一つはパーリ語によるMahaparinibbanasuttanta(MPS)である。死因に関する先行研究は、スーカラ・マッダヴァの性質(豚肉、キノコなど)に関するものが大部分であった。血性下痢をもたらす疾患には、感染性腸炎、腸間膜動脈閉塞症、虚血性腸炎、大腸癌、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸憩室症などがあるが、患者の年齢、症状、経過、糞便の性状などより、細菌(とくに赤痢菌)あるいは赤痢アメーバに汚染された食物ないし飲料水による重症の感染性腸炎であったと推測する。