著者
永田 尚義
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.3180-3188, 2012 (Released:2012-10-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1

感染性腸炎は日常臨床上頻度の高い疾患群である.細菌性腸炎を疑う場合には便培養検査により病原菌を同定するが,便培養の病原菌同定率は非常に低い.内視鏡検査は,特徴的な画像所見が得られるだけでなく,病変部からの腸液の吸引や生検を行えるため,感染性腸炎の診断に有用である.内視鏡検査により得られた腸液あるいは生検検体を,可能性の高い病原微生物を想定し,鏡検法,培養法,PCR法,免疫組織化学的検査などを用いて検討することにより,診断の精度が上昇する.これらを各検査部門に依頼する場合には,臨床情報を十分伝えることが肝要である.
著者
和田 直樹
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.204-208, 2019-03-18 (Released:2019-04-26)
参考文献数
17

パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)の非運動症状として,自律神経障害は頻度の高い病態であり,中枢神経のみならず,末梢神経,自律神経にもαシヌクレインが沈着することが原因と考えられている.便秘,循環機能障害,排尿障害,性機能障害,発汗障害,流涎などの症状を認めるが,運動症状の発現以前から出現する症状も多くpremotor symptomとも呼ばれている.自律神経障害は患者のADL,QOLを低下させるため,早期発見・治療を行うことが重要である.
著者
牟田 昌平
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.8(2008-CH-077), pp.17-24, 2008-01-25

我が国では「アーカイブ」という言葉の本来的な意味である「記録資料」や、それを保存公開する施設としての「文書館」について社会的な認知が低い。本来的な意味での「アーカイブ」が社会的に認知されている欧米諸国とは異なって、「デジタルアーカイブ」は「データベース化されたデジタルコンテンツ」の意味で理解されている。最近ではGoogleのようなサーチエンジンとさえ混同されるようになっている。本稿では、一般に馴染みのない「アーカイブ」のデジタル化を進める国立公文書館の試みを通じて、本来的な意味での「アーカイブ」をデジタル化することで生まれた可能性や課題について紹介する。

5 0 0 0 OA 日本風俗図絵

著者
黒川真道 編
出版者
日本風俗図絵刊行会
巻号頁・発行日
vol.第7輯, 1915
著者
野中 矩仁
出版者
The Society of Fiber Science and Technology, Japan
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.P493-P503, 1984-07-10 (Released:2008-11-28)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1
著者
柳田 信也
出版者
総合危機管理学会
雑誌
総合危機管理 (ISSN:24328731)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-84, 2020 (Released:2020-12-10)
被引用文献数
1

消防隊員の活動安全性を向上させるために、我々はスポーツ科学で用いられている暑熱環境下での活動時の身体冷却方法を採用し、その効果を検証してきた。具体的に本研究では、氷と冷水の混合物であるアイススラリーの摂取による身体冷却効果について、実際の消防活動を模擬した環境において実験的に検討を行った。現職の消防隊員が、通常の火災・災害現場での活動と同じ装備を着装し、火災現場を模擬した高温・高湿環境内で運動負荷実験を実施した。その間に、深部体温や心拍数などの生理学的指標の測定を行った。被検者は運動間の休息中に、冷水もしくはアイススラリーを摂取し、その影響が比較された。本研究において、消防活動を模擬した高温・高湿環境におけるアイススラリー摂取により、運動による深部体温の上昇に対する有意な抑制効果が認められることが明らかとなった。このことから、暑熱環境での消防活動における熱中症予防として、アイススラリーを導入することの有用性が示唆された。
著者
木村 毅一
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料試験 (ISSN:03727971)
巻号頁・発行日
vol.5, no.39, pp.770-773, 1956-12-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
36
著者
田中 秀和 石井 香奈子 若林 進
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.27-38, 2021 (Released:2021-04-27)
参考文献数
13

【目的】朝食後に赤線など一包化された分包紙へ色線を付す行為は,個々の薬局・病院において独自に配色が行われているが,転居や災害などによって調剤施設が変わると配色パターンも変更となり服用間違いが懸念されるため,配色について実態調査を行った.【方法】2018 年 5 月 16~22 日において,薬剤師を対象として Web アンケートを実施した.なお,本研究は長崎県薬剤師会倫理審査委員会の承認を得て実施した(長倫薬29-7).【結果】有効回答 77 件のうち,用法ごとに色線を設定していた施設は 54.5%(42件)あった.配色で最も多かった 4 色は,朝食後─赤系,昼食後─黄系,夕食後─青系,就寝前─黒系であった.アンケート中,配色パターンの統一に対して賛成 66.2%(51 件)であり,反対 15.6%(12 件)を上回った.【考察】配色パターンが未統一であることに起因するインシデント事例も存在し,統一に賛成する意見が反対する意見を上回った.配色パターンの統一が望ましいと考える.

5 0 0 0 OA 催眠薬

著者
加藤 信
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.339-345, 1977-09-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
12
著者
桝田 一二
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理 (ISSN:21851697)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.397-401, 1940-07-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
5
著者
中澤 克成 横嶋 哲 石川 秀平 久末 信幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00116, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
46

レベルセット法とVOF法は気液二相流解析によく利用されるものの,両者を客観的に比べた例は希少である.前報(土木学会論文集 A2, 76(2), I 439, 2020)ではACLS法(レベルセット法)とCICSAM法(VOF法)の主に界面移流精度を比べた.本報ではTHINC/WLIC法(VOF法)を加え,複数の気液二相流問題を対象に,精度と計算負荷を比較した.一般にレベルセット法は質量保存に,VOF法は界面曲率評価に難があるものの,ACLS法は界面識別関数の変更,VOF法はS-CLSVOF法の導入によって問題点が大幅に改善された.界面ソルバー単独ではACLS法が他の2手法の数倍の計算負荷を伴うものの,気液二相流解析では流体ソルバーの負荷が卓越するので,トータルの計算負荷はほとんど変わらない.
著者
仁田 勇
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.269-276, 1977 (Released:2010-09-30)

Reminiscences are given out of the early stages of the development in x-ray crystallography, both in Japan and abroad. Activities in Prof. Ewald's school in Germany, those of Prof. Bragg's in England, Prof. Terada's and Nishikawa's in Japan are described.Prof. Nishikawa's contribution concerning the space group theory in the structure analysis is brought to attention. Early works of Prof. Nitta on organic crystals are also described.Some x-ray photographs taken by Prof. Nishikawa and Prof. Nitta in the early period from 1913 to 1925 are reproduced. (abstract by the editor)
著者
小長谷 有紀
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.34-42, 2007 (Released:2010-06-02)
参考文献数
17
被引用文献数
2

モンゴル牧畜システムは移動性が高いという特徴に加えて,多くのオスを維持し,多種の家畜を多角的に利用するという特徴を有しており,自然環境のみならず,社会環境にも適応的であった.それは単なる生存経済ではなく,軍事産業であり情報産業でもあった.20世紀になると社会主義的近代化のもとで脱軍事化すなわち畜産業化が進行した.市場経済へ移行してからは,牧畜に従事する人々すなわち遊牧民の間で地域格差と世帯格差が拡大している.今日,遊牧民たちは必ずしも自然環境だけではなく,むしろ社会環境に対して積極的に適応して移動している.